料理研究家、料理大好きフッくんです。
甘く煮た油揚げに酢飯を詰めた稲荷寿司。どこか懐かしく、お花見やお弁当に欠かせない一品ですよね🦊 握り寿司と違って生ものを使わず、冷蔵で数日もつので、行楽シーズンの作り置きにもぴったりです。
正直に言うと、稲荷寿司の美味しさは「油揚げの甘煮」でほぼ決まります。寿司職人として20年、私もここに一番こだわってきました。コクのある甘さと、じゅわっとあふれる煮汁——これが出せれば、お店の味に近づきます。
今回は、失敗しない油揚げの下ごしらえから、家庭の手軽な甘煮の黄金比、ざらめときび糖でコクを出す本格江戸前の煮方、酢飯の詰め方まで、寿司職人の視点で完全解説します。手軽な家庭版と本格版の2本立てなので、初心者の方も本格志向の方も、ぴったりの作り方が見つかりますよ🍚
- 油揚げの下ごしらえがわかる
油抜き・破れない開き方で、失敗しない土台づくり - 甘煮の黄金比(2本立て)
家庭の手軽な割合と、ざらめ+きび糖の本格江戸前 - 酢飯の詰め方のコツ
ふんわり、はみ出さず、きれいに詰める - 行楽・お弁当にも
冷蔵・冷凍の保存と、持ち運びのポイント
ぜひ最後までご覧くださいね🦊
稲荷寿司の基本


稲荷寿司は「油揚げの甘煮」と「酢飯」の組み合わせ。まずは全体像と、地域による違いを押さえましょう。
- 主役は油揚げの甘煮
味の決め手は油揚げ。じゅわっと煮汁を含んだ、コクのある甘煮を目指します。ここに一番こだわります - 酢飯はシンプルに
油揚げが甘めなので、酢飯はすっきりめが好相性。詰めすぎず、ふんわりが基本です - 関東と関西で形が違う
関東は俵型で濃いめの味付け、関西は三角形で薄味の傾向。三角は、稲荷神社の使いであるキツネの耳に見立てた、とも言われます
油揚げは前日に煮ておくと、味がよく染みて、当日は酢飯を詰めるだけ。冷凍保存もできるので、まとめて作っておくと便利ですよ🦊
油揚げの下ごしらえ ── 油抜きと開き方

美味しい甘煮の第一歩は、丁寧な下ごしらえ。ここを省くと、油臭さが残り、味も染みにくくなります。
- 油抜きをする
沸騰したお湯に油揚げを入れ、3〜5分茹でます。これで余分な油が抜け、油臭さが消えて、味が染み込みやすくなります。茹でたら水にとって冷まし、軽く絞って水気を取ります - 破れないように開く
稲荷用の油揚げはそのまま開けますが、普通の油揚げは、菜箸や棒を表面で軽く転がすと、内側がはがれて開きやすくなります。半分に切って、袋状に開きます - 破れをチェック
開いたら、破れていないか確認します。破れたものは、刻んで五目いなりや混ぜご飯に使えば無駄になりません
油揚げの甘煮の作り方 ── 2本立ての黄金比


ここが稲荷寿司の決め手。家庭で覚えやすい手軽な割合と、フッくん流の本格江戸前、2パターンをご紹介します。
まずは家庭で失敗しない、覚えやすい割合から。調味料を「同量」でそろえるのがポイントです。
| 材料 | 分量(油揚げ10枚=20個分) |
| だし汁 | 300cc |
| 砂糖 | 大さじ3 |
| しょうゆ | 大さじ3 |
| みりん | 大さじ3 |
| 酒 | 大さじ3 |
鍋に油抜きした油揚げを並べ、調味料を合わせて注ぎ、落し蓋をして弱火で10〜12分。煮汁が少なくなり、油揚げが煮汁を吸ったら火を止めます。そのまま冷ますことで、味がぐっと染み込みます。甘めが好きな方は砂糖を少し増やしても。
次に、私(フッくん)が使っている本格江戸前の割合です。たくさん作るときの業務用の分量で、ざらめときび糖の2種使いで深いコクを出します。
| 材料 | 分量(油揚げ25枚=50個分) |
| だし汁(カツオ・昆布・椎茸・干し貝柱) | 適量(油揚げがかぶるくらい) |
| ざらめ | 150g |
| きび糖 | 150g |
| 濃口しょうゆ | 250cc |
| みりん | 15cc |
ポイントはざらめ+きび糖の2種使い。ざらめがすっきりした強い甘みとコクを、きび糖がやさしい風味と深みを出します。だしに干し貝柱を加えると、ぐっと上品な旨味になるのが、お店の味の秘密です。沸騰しただしに調味料を溶かし、油抜きした油揚げを入れて、ある程度色がついたら火を止め、冷ましながら味を含ませます。家庭で試すなら、この割合を5分の1(油揚げ5枚)にして、ざらめ30g・きび糖30g・濃口しょうゆ50cc・みりん3ccを目安にしてみてください。
だしに干し貝柱を加えると、上品な旨味がぐっと増します。乾物なので保存もきき、稲荷の甘煮はもちろん、茶碗蒸しや炊き込みご飯にも使えますよ。
酢飯の詰め方 ── ふんわり、はみ出さず

甘煮ができたら、酢飯を詰めます。詰め方ひとつで、見た目も食感も変わります。
- 酢飯は俵型にまとめる
酢飯を、油揚げの大きさに合わせて軽く俵型にまとめます。詰めやすく、形もきれいに仕上がります - 煮汁を軽く絞ってから
油揚げは、軽く煮汁を絞ってから詰めます。絞りすぎると味が抜け、絞らないと酢飯が水っぽくなるので、ほどよく - 両角までしっかり、でも詰めすぎない
油揚げの両方の角に、酢飯を指で押し込むように。ただし詰めすぎると破れたり、ご飯が硬くなったりするので、ふんわりと - 口を折りたたんで形を整える
詰めたら、口の一方を内側に折りたたみ、形を整えます。閉じる向きを下にして盛ると、美しく見えます
🍣 稲荷寿司で大事なのは、油揚げの甘さに合わせて、酢飯はすっきりめにすること。甘い油揚げに甘い酢飯だと、くどくなります。酢飯はシャリの記事でご紹介した割合をベースに、砂糖をやや控えめにすると、油揚げの甘さが引き立ちます。そして詰めるのは「ふんわり八分目」。ぎゅうぎゅう詰めると、ご飯が潰れて硬くなり、油揚げも破れます。20年やってきて思うのは、稲荷は「甘煮の味」と「ふんわり感」の両方がそろって、はじめて美味しいということです。
三角稲荷(関西風)の詰め方

関西では、三角形のお稲荷さんも親しまれています。キツネの耳に見立てた形で、俵型とはまた違った可愛らしさがあります。詰め方に少しコツがあるので、ご紹介しますね。
- 油揚げを三角に切る
油揚げを対角線で半分に切り、三角形の袋にします。油抜きして甘く煮るのは、俵型と同じです - 油揚げを裏返す
甘く煮た油揚げを、いったん裏返しにします(裏側を外に出す)。こうしておくと、詰めたあとの形がきれいに決まります - 握る要領で頂点とシャリを合わせる
シャリを俵型にまとめ、寿司を握る要領で、三角の頭(頂点)の部分とシャリの先を合わせるように詰めます。ここが三角稲荷のいちばんのコツです - 裏返しをもとに戻す
詰めたら、裏返していた油揚げをもとに戻します(表に戻す)。これで三角の形がぴんときれいに立ち上がります - 口を閉じて整える
最後に口を折りたたんで閉じ、三角形を整えれば完成です。俵型とはまた違う、愛らしい三角稲荷の出来上がりです

木製の飯台(寿司桶)があると、酢飯づくりがぐっと楽になります。稲荷寿司はもちろん、ちらしや手巻きにも使えて、一つあると重宝しますよ。
稲荷寿司のアレンジ

基本の稲荷寿司に慣れたら、具を混ぜたアレンジも楽しめます。
- 五目いなり
にんじん・ごぼう・椎茸・れんこんなどを甘辛く煮て、酢飯に混ぜ込みます。彩りも栄養も豊かになり、ごちそう感が出ます - 薬味でさっぱり
白ごま・刻んだ大葉・しょうがなどを酢飯に混ぜると、さっぱりして飽きずに食べられます - 開いて「開きいなり」に
油揚げを開いて、酢飯の上に具を彩りよくのせる「開きいなり」も華やか。おもてなしやお祝いにぴったりです
稲荷寿司の作り方レシピ

ご家庭で作りやすい分量で、手軽な家庭版と、本格江戸前版の2パターンをまとめました。
【1】家庭で手軽な稲荷寿司(油揚げ10枚=20個分)
油揚げ10枚/だし汁300cc/砂糖大さじ3/しょうゆ大さじ3/みりん大さじ3/酒大さじ3/酢飯(米3合分)
①油揚げは半分に切り、熱湯で3〜5分茹でて油抜きし、水にとって軽く絞ります。
②鍋に油揚げを並べ、だし汁と調味料を注ぎ、落し蓋をして弱火で10〜12分煮ます。
③煮汁を吸ったら火を止め、そのまま冷まして味を含ませます(前日でもOK)。
④酢飯を俵型にまとめ、軽く煮汁を絞った油揚げに、ふんわり八分目に詰めて、口を折りたためば完成です。
【2】本格江戸前の稲荷寿司(油揚げ5枚=10個分・フッくん流)
油揚げ5枚/だし汁(カツオ・昆布・椎茸・干し貝柱)適量/ざらめ30g/きび糖30g/濃口しょうゆ50cc/みりん3cc/酢飯(米1.5合分)
①油揚げは油抜きして開きます。
②沸騰しただしにざらめ・きび糖・濃口しょうゆ・みりんを溶かし、油揚げを入れます。
③ある程度色がついたら火を止め、冷ましながら味を含ませます。ざらめときび糖のコク、干し貝柱の旨味が、お店の味に近づけます。
④酢飯(砂糖やや控えめ)を詰めれば、甘煮のコクが引き立つ本格稲荷の完成です。
※業務用は油揚げ25枚(50個分)にざらめ150g・きび糖150g・濃口しょうゆ250cc・みりん15cc。お店ではこの割合で仕込みます。
保存とお弁当のポイント

稲荷寿司は作り置きできるのが魅力。保存と持ち運びのコツです。
- 煮た油揚げは冷蔵3日・冷凍OK甘煮にした油揚げは、煮汁ごと冷蔵で3日ほど、それ以上は冷凍で保存できます。まとめて煮ておけば、食べたいときに酢飯を詰めるだけ。1個から作れて便利です。冷凍する時は重ならないように並べて。
- 酢飯を詰めたら早めに酢飯を詰めた稲荷寿司は、当日中に食べきるのが基本です。お酢に多少の日持ち効果はありますが、ご飯が乾いて硬くなるので、できたてが一番美味しい。お弁当に持っていくなら、朝詰めて、その日のうちに。
- 夏場は保冷を行楽やお弁当で持ち運ぶときは、特に夏場は保冷剤と一緒に。直射日光や高温を避け、涼しい場所で保管しましょう。握り寿司ほど傷みやすくはありませんが、油断は禁物です。
🦊 稲荷寿司は、油揚げ(大豆)とお米を一緒にとれる一品です。油揚げには植物性のたんぱく質が豊富。五目いなりにすれば、にんじんやごぼう、れんこんなどの野菜も一緒にとれて、彩りも栄養もぐっと豊かになります。行楽やお弁当のときは、卵焼きや野菜のおかずを添えると、栄養バランスが整いますよ。作り置きできるのも、忙しい日の強い味方ですね。なお、油揚げは大豆製品なので、大豆アレルギーの方はご注意くださいね。
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稲荷寿司に関するよくある質問
稲荷寿司について、よくいただく質問4つにお答えします。
Q1. 油揚げが破れてしまいます。コツは?
A. 油抜きと開き方がポイントです。
熱湯で油抜きすると、油揚げがやわらかくなって開きやすくなります。普通の油揚げは、菜箸を表面で転がしてから開くと破れにくいです。破れたものは、刻んで五目いなりに使えば無駄になりません🦊
Q2. 味がしっかり染みません。なぜ?
A. 冷ます時間が足りないのかもしれません。
油揚げは、煮てから冷ます過程で味が染み込みます。煮たてより、一度冷ました方が断然美味しい。できれば前日に煮て、ひと晩おくのがおすすめです🍚
Q3. 関東と関西で違うって本当?
A. 形と味付けが違います。
関東は俵型で濃いめ、関西は三角形で薄味の傾向です。三角は、キツネの耳に見立てたとも言われます。ざらめやきび糖でコクを出すと、より本格的な味になります🦊
Q4. お弁当に入れても大丈夫?
A. 当日中なら大丈夫です。
稲荷寿司は生ものを使わないので、握り寿司より日持ちします。ただし酢飯は乾くので、朝詰めてその日のうちに。夏場は保冷剤を添えると安心です🍙
まとめ。。。

今回は、稲荷寿司の作り方を、家庭の手軽な割合と本格江戸前の2本立てでご紹介しました。
- 下ごしらえを丁寧に
油抜きと破れない開き方で、失敗しない土台を - 甘煮は2本立て
家庭は同量で覚えやすく、本格はざらめ+きび糖でコクを - 酢飯はふんわり八分目
甘い油揚げに、すっきりめの酢飯を詰めすぎず - 作り置きで行楽にも
煮た油揚げは冷蔵3日・冷凍OK。お弁当は当日に
稲荷寿司は、甘煮の味とふんわり感がそろって、はじめて美味しくなります。前日に油揚げを煮ておけば、当日は酢飯を詰めるだけ。お花見やお弁当、運動会——大切な人と囲む食卓に、手作りの稲荷寿司は格別ですよ。ぜひ、お気に入りの甘さを見つけてくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。フッくんでした!







