料理研究家、料理大好きフッくんです。
ほっとする味わいの、和食の定番・煮物🍲 でも「味が染みない」「煮崩れる」「味が決まらない」と、苦手意識はありませんか?
この記事では、こんなお悩みにお答えします。
- 調味料を入れる順番を知りたい
「さしすせそ」の順番と理由を、料理人の目線で解説します。 - 味をしっかり染み込ませたい
味が染みる仕組みと、しみしみにするコツをお伝えします。 - 煮崩れを防ぎたい
落とし蓋や火加減で、きれいに仕上げるコツを紹介します。 - 落とし蓋の使い方を知りたい
落とし蓋の役割と、家にあるもので代用する方法をお伝えします。 - 高齢の家族や子供にも食べやすくしたい
やわらかく仕上げる工夫や、離乳食での使い方までお伝えします。
結論から言うと、煮物は「さしすせその順番」と「冷めるときに味が染みる」仕組みを知れば、驚くほど味が決まりますよ🍲

煮物の基本・さしすせその順番

煮物の味付けには「さしすせそ」という順番があります。この順番を守ると、味がきれいに決まります🍲
| 順番 | 調味料 | 入れる理由 |
| さ | 砂糖 | 分子が大きく浸透が遅いので最初に |
| し | 塩 | 浸透が早いので砂糖の後に |
| す | 酢 | 加熱で風味が飛ぶので中盤に |
| せ | 醤油 | 香りを生かすため後半に |
| そ | 味噌 | 風味を生かすため最後に |
※砂糖を先に入れるのは、分子が大きくて染み込むのに時間がかかるからです。塩を先に入れると、砂糖が入りにくくなります。
煮物はだしのうま味成分(イノシン酸=かつお/煮干し・グルタミン酸=昆布)をきかせると、少ない調味料でも満足感が出ます。しっかりだしをとれば、しょうゆや塩を控えても、深い味わいに仕上がります。煮汁には、食材から溶け出した水溶性成分やうま味も含まれるので、汁ごといただける煮浸しや、煮汁を吸わせる調理は、成分を無駄なくとれます(厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」で18歳以上男性7.5g未満・女性6.5g未満が塩分目安)。塩分が気になる方は、だしを濃いめにとって、調味料を控えめにするとよいですよ。市販の顆粒だしは塩分を含むものが多いので、量に気をつけてくださいね。
味しみの科学(冷めるときに味が入る)

煮物の味しみには、ちょっとした科学があります。これを知ると、味の染み方がぐっとよくなります🍲
- 味は冷めるときに染み込む
食材に味が入るのは、実は温度が下がるとき。煮ている間より、火を止めて冷める過程で、煮汁が食材にしみ込みます。 - 一度冷ますと味しみアップ
煮たら火を止めて、一度冷ますと味が染みます。食べる前に温め直すと、さらに味がなじんでおいしくなります。 - 前日に作るとより染みる
煮物は作り置きに向く料理です。前日に煮て冷ましておくと、味がしっかり染みて、いっそうおいしくなります。
現役料理人として、味しみのコツをお伝えします。煮物はグラグラ煮続けても、味はそれほど染みません。味が入るのは冷めるときなので、ある程度煮たら火を止めて、じっくり冷ますのがコツ。この「冷ます時間」こそが、味しみの決め手です。忙しいときも、火を止めてしばらく置くだけで、味の入りが変わります。おでんや煮物を前日に作るのは、この理屈にかなっているんです。食べるときに温め直せば、味がなじんで、できたてより深い味わいになりますよ。急がず、冷ます時間を味方につけましょう。
落とし蓋の効果と使い方

落とし蓋は、煮物をおいしく仕上げる名脇役です。少ない煮汁でも、味を全体に行き渡らせます🍲
- 少ない煮汁を全体に回す
落とし蓋をすると、煮汁が対流して食材の上まで回り、少ない煮汁でも味が均一に染みます。 - 煮崩れを防ぐ
食材が煮汁の中で踊るのを抑え、ぶつかり合いによる煮崩れを防いでくれます。 - 家にあるもので代用できる
専用の落とし蓋がなくても、アルミホイルやクッキングシートに穴をあければ代用できます。
落とし蓋には、もう一つ役割があります。煮汁の表面に浮いたアクや余分な脂を吸い取ってくれるんです。とくにクッキングシートやアルミホイルの落とし蓋は、アクをよく吸います。木製の落とし蓋を使うときは、水でぬらしてから使うと、においやアクが移りにくくなります。落とし蓋と鍋のふたを両方使うと、より少ない煮汁で早く味が染みますが、煮汁が多い含め煮では落とし蓋だけにするなど、料理で使い分けるのがコツですよ。落とし蓋ひとつで、仕上がりが料亭のように変わります。
※落とし蓋があると、少ない煮汁でも味が均一に染みて、煮崩れも防げます。サイズ調整できるシリコン製やステンレス製は、いろいろな鍋に使えて便利。ひとつあると、煮物の仕上がりがぐっと本格的になりますよ。
煮崩れを防ぐコツ

せっかくの煮物、煮崩れると見た目も残念。ちょっとした工夫できれいに仕上がります🍲
- 面取りをする
大根やかぼちゃは、切った角を薄くそぎ落とすと、角から崩れるのを防げます。ひと手間で仕上がりが上品に。 - 触りすぎない・混ぜすぎない
煮ている間に何度も混ぜると、煮崩れの原因に。落とし蓋をして、あまり触らずに煮るのがコツです。 - グラグラ煮立てない
強火でぐらぐら煮ると、食材がぶつかって崩れます。煮立ったら弱火にして、コトコト煮ましょう。
火加減と煮汁の量

火加減と煮汁の量も、煮物の仕上がりを左右します。料理に合わせて調整しましょう🍲
- 煮立ったらアクを取り弱火に
最初は中火で煮立て、浮いたアクを取ります。その後は弱火にして、コトコトと静かに煮ます。 - 煮汁の量は料理で変える
魚の煮付けは少なめの煮汁で照りよく、野菜の含め煮はたっぷりの薄味の煮汁でじっくりと使い分けます。 - ひたひた・かぶるを使い分ける
食材が少し出るくらいが「ひたひた」、全体が浸かるのが「かぶるくらい」。煮物によって調整します。
煮物の煮汁には、食材から溶け出したうま味や水溶性成分(ビタミンB群/カリウム等)が含まれます。煮浸しや、煮汁を吸わせた高野豆腐・切り干し大根などは、汁ごといただけて、成分を無駄なくとれます。ただし、煮汁には塩分も含まれるので、飲みほすと塩分のとりすぎになることも。減塩を意識するなら、だしを濃いめにして調味料を控えめにし、煮汁は適量にとどめるとよいですよ。野菜をたっぷり使うと、彩りもよく、満足感のある一品になります。
※煮物には、熱が均一に伝わる雪平鍋や両手鍋が使いやすいです。口が広めの浅い鍋だと、食材を重ねずに並べられて、煮崩れしにくく味も均一に。ひとつあると、煮物から下ゆでまで幅広く使えて重宝しますよ。
※アク取り用のお玉があると、煮立ちに浮くアクをきれいにすくえます。アクを取ると、煮汁が澄んで、えぐみのない上品な仕上がりに。細かい網目のものなら、アクだけをすっきり取り除けますよ。
高齢者・子供に煮物を出すときの工夫

煮物は、やわらかく味が染みて、高齢の方や小さなお子さんにも食べやすい料理です。ひと工夫で、さらに安心していただけます🍲
私は現役介護士でもあります。煮物はやわらかく煮えて味も染みるので、高齢の方に食べやすい料理です。硬い根菜は、小さめに切って下ゆでしてから、じっくりやわらかく煮ると安心です。飲み込む力が気になる方には、煮汁を片栗粉でとろみづけして、あんかけ風にすると、飲み込みやすくなります(日本摂食嚥下リハビリテーション学会「嚥下調整食学会分類2013」目安・医師/管理栄養士/言語聴覚士へ相談してください)。ごぼうなど繊維の多い野菜は、繊維を断つように切ると食べやすいですよ。薄味に仕上げれば、塩分も抑えられます。
小さなお子さんにも、やわらかい煮物は取り入れやすい料理です。離乳食初期(生後5〜6ヶ月)から、薄味でやわらかく煮た野菜を、月齢に合わせてつぶしたり刻んだりして使えます(大人用の煮物から味付け前のやわらかい野菜を取り分ける)・作り置きは冷蔵24時間以内・再加熱時は中心温度75℃以上でしっかりあたためてください。手軽に用意できますよ。
煮物に関するよくある質問
煮物についてよく聞かれる疑問にお答えしますね🍲
Q1.煮物に味が染みないのはなぜ?
味は冷めるときに染み込むので、煮続けるだけでは染みにくいのです。ある程度煮たら火を止めて、一度冷ましましょう。食べる前に温め直すと、味がなじみます。前日に作って冷ましておくと、しっかり染みておいしくなりますよ。
Q2.「さしすせそ」の順番はなぜ?
砂糖は分子が大きく染み込むのに時間がかかるので最初に、塩は浸透が早いので後に入れます。醤油・味噌は香りが飛びやすいので、最後のほうに加えて風味を生かします。この順番で、味がきれいに決まりますよ。
Q3.落とし蓋がないときは?
アルミホイルやクッキングシートで代用できます。鍋の大きさに合わせて切り、中央に穴をあけて、煮汁の上にのせます。落とし蓋があると、少ない煮汁でも味が均一に染み、アクも吸ってくれますよ。
Q4.煮崩れを防ぐには?
面取り・落とし蓋・弱火がポイントです。角を落として崩れにくくし、落とし蓋で食材が踊るのを抑え、弱火でコトコト煮ます。煮ている間に何度も混ぜないことも、煮崩れを防ぐコツですよ。
煮物に使う食材やだしの取り方、下ごしらえの記事も合わせてご覧くださいね 👇
まとめ。。。
今回の記事のポイントをまとめますね。
- 調味料はさしすせその順番で入れる
砂糖を先に、醤油・味噌は後に加えます。 - 味は冷めるときに染み込む
一度冷まして温め直すと味がなじみます。 - 前日に作ると味がしっかり染みる
煮物は作り置きに向く料理です。 - 落とし蓋で味を均一に・煮崩れ防止
ホイルやクッキングシートでも代用できます。 - 面取り・弱火・触りすぎないで煮崩れ防止
コトコト静かに煮るのがコツです。 - だしをきかせると減塩できる
うま味で薄味でも満足感が出ます。 - 高齢者や子供はやわらか・とろみで食べやすく
薄味で煮て、あんかけにすると安心です。

皆さん、煮物のコツ、イメージがわきましたか?さしすせその順番と、冷めるときに味が染みる——この2つを知れば、いつもの煮物が見違えますよ🍲 ほっとする味わいの煮物を、ぜひご家庭で楽しんでくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
フッくんでした!






