料理研究家、料理大好きフッくんです。
とろとろの卵が、甘辛いつゆをまとって、ごはんに染みていく。親子丼は、そば屋さんの出前からおうちの昼ごはんまで、みんなに愛される丼の代表ですよね。でも、いざ作ると「卵がかたくなる」「つゆの味が決まらない」「鶏の生焼けが心配」と、シンプルなのに悩みの多い料理でもあります。
正直に言うと、親子丼の勝負どころは2つだけ。「丼つゆの黄金比」と「卵を2回に分けて入れる」。この2つさえ押さえれば、お店のふわとろは、おうちで再現できます。
そこで今回は、現役料理人20年・栄養士のフッくんが、親子丼の作り方をまるごと解説します。だし4:しょうゆ1:みりん1の黄金比、卵の2回入れ、鶏を先にしっかり加熱する安全の手順、そしてお店の段取り「頭(あたま)の作り置き」まで。親子丼の決定版として、ぜひブックマークしてくださいね🌸
まずは、みなさんが親子丼で困りがちなポイントを整理してみましょう。
- 卵がかたくなってふわとろにならない
2回に分けて入れる、お店の技で解決します。 - つゆの味と量が決まらない
黄金比(だし4:しょうゆ1:みりん1)をお伝えします。 - 鶏肉の生焼けが心配
そぎ切りと「先に完全加熱」の手順で防げます。 - 子供や高齢の家族にも安心して出したい
しっかり加熱版とやさしい工夫を解説します。
親子丼の卵がかたくなる理由

まず、理由から知っておきましょう。オムレツの記事でもお伝えしたとおり、卵は加熱すると一気に固まり、火が入るほど水分が抜けてかたくなる食材です。
親子丼で卵がかたくなる原因は、たいてい「全部の卵を一度に入れて、火が通るまで煮てしまう」こと。全体に火が入るのを待つうちに、先に入った部分はどんどんかたくなっていくんですね。
だから、お店では卵を2回に分けます。1回目でベースの半熟を作り、2回目で仕上げのとろとろをのせる。役割を分ければ、ふわとろは誰でも作れる技術になります。
そしてもうひとつ、大事な約束。半熟でいいのは、卵だけです。鶏肉は、卵を入れる前に、中心温度75℃で1分以上、中まで完全に火を通してください(厚生労働省「食中毒予防」参照)。★鶏肉はカンピロバクター食中毒予防のため、生食は絶対NG★。★卵の半熟部分もサルモネラリスクがあるため、使う卵は生食用・賞味期限内・冷蔵保管の新鮮なものを選び、高齢者・妊婦・乳幼児・体調のすぐれない方には完全加熱でお出しください★。この順番と加熱基準が、おいしさと安全の両方を守ってくれますよ。
鶏もも肉100gあたり約190kcal・タンパク質約16.6g、卵1個約71kcal・タンパク質約6.1g、ごはん茶碗1杯(150g)約234kcalです(文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」)。
おひたしや酢の物、お味噌汁を添えれば、立派な定食になります。
★この料理には★特定原材料8品目「卵」+★準ずる20品目「鶏肉」「大豆」(醤油)「小麦」(醤油)★が含まれます。アレルギー対応は消費者庁「食物アレルギー表示制度」で必ずご確認ください★
★半熟の卵とじには★サルモネラ食中毒のリスク★があります。使う卵は必ず★賞味期限内・冷蔵保管★の生食用の新鮮な卵を選び、割ってすぐ使いましょう(厚生労働省「食中毒予防」参照)★
材料と丼つゆの黄金比

材料は、2人前で、鶏もも肉200g・玉ねぎ1/2個・卵4個(1人2個)・三つ葉・温かいごはん。鶏はジューシーなもも肉が定番です。
そして、丼つゆの黄金比。「だし4:しょうゆ1:みりん1」。2人前なら、だし200ml・しょうゆ50ml・みりん50mlです。甘めがお好きなら、砂糖をひとつまみ。ちなみに私は、砂糖は基本、キビ糖を使っています。ミネラルを含んだやさしい甘さで、つゆにまろやかなコクが出るんですよ。
実はこの比率、天ぷらの記事でお伝えした天つゆと、まったく同じなんです。つまり、4:1:1をひとつ覚えれば、天つゆも親子丼も、うどんのつけつゆも作れる。和食のつゆの世界は、この比率が背骨になっていますよ。
下ごしらえは2つ。鶏もも肉は、厚みを薄くする「そぎ切り」で一口大に。火の通りが均一になって、生焼けを防げます。玉ねぎは、繊維に垂直に切ると、つゆを吸ってくたっと甘くなりますよ。
包丁を寝かせて、厚みをそぐように一口大に切ります。
断面が広くなるぶん、火の通りが速く均一になり、つゆもよくからみます。
生焼け防止とおいしさを、一度にかなえる切り方ですよ。
黄金比の再現には、計量スプーンが頼りになります。しょうゆとみりんを正確に量れば、つゆの味が毎回ぴたりと決まる。マグネットで冷蔵庫に貼れるタイプなら、丼ものの日の相棒になりますよ。
ふわとろ親子丼の作り方4ステップ

それでは、本番です。1人前ずつ、小さめのフライパンか親子鍋で作るのが、お店の流儀。2人前をまとめて作るときは、少し大きめのフライパンでどうぞ。
①つゆと玉ねぎを煮る
フライパンに丼つゆと玉ねぎを入れて、中火で2〜3分。玉ねぎがしんなりして、つゆの甘みが引き出されるまで煮ます。
ここで玉ねぎをしっかりやわらかくしておくのが、あとの時短につながります。
②鶏肉を加えて、完全に火を通す
そぎ切りの鶏肉を加えて、4〜5分。ひっくり返しながら、完全に火を通します。色が変わるだけでなく、いちばん厚い一切れを割って、中まで白くなっているか確認を。鶏肉は、中心75℃で1分以上が安全の目安です。
ここで焦らないのが、親子丼の鉄則。半熟にしていいのは卵だけで、鶏の生焼けは絶対に避けたいところ。そぎ切りにしてあれば、火はすっと通りますよ。
③卵を2回に分けて入れる
卵は、白身を切るようにざっくり溶きます。混ぜすぎず、白身のかたまりが少し残るくらいが、ふわとろの素です。
まず、溶き卵の2/3を、鍋全体に回し入れます。ふつふつと、ふちが固まりかけてきたら、残りの1/3を中心に。この2回目の卵が、とろとろの仕上げ役になります。
④火を止めて、ふたをして10〜20秒
2回目の卵を入れたら、すぐ火を止めて、ふたをします。10〜20秒、余熱で蒸らしたら、できあがり。
丼によそった温かいごはんの上に、鍋からすべらせるようにのせて、三つ葉を散らします。とろとろの2回目の卵が上に来て、見た目もお店の顔になりますよ。
白身と黄身を完全に混ぜず、白身のかたまりを少し残して溶きます。
白身のぷるん、黄身のとろり。
混ざり切らない部分が、食感の豊かさになるんです。
お店の親子丼の断面を思い出してみてください。
あの白と黄色のまだらが正解ですよ。

フッくんのこだわり!炙り鶏の親子丼

ここからは、この記事だけの特別編です。私が親子丼を作るとき、必ずやっている下ごしらえがあります。それが「筋取り」と「炙り」です。
正直に言うと、外食でもスーパーのお肉でも、「鶏の匂いが少し気になる」と感じたこと、ありませんか?実は、そう感じている方は、世の中に結構いらっしゃいます。私も料理人として、ずっとここにこだわってきました。
まず、唐揚げの記事でもお伝えした筋取りから。もも肉の先端の太い筋と、身の中の細かい筋を、包丁の先で取り除きます。かんだときの「ぶちぶち」という食感の正体は、この筋。丼のお肉こそ、ここを丁寧にやると口あたりが変わります。
そして、こだわりの本番が、炙りです。筋を取ったもも肉を、炭火——なければ調理用バーナーで、表面に焼き色がつくまで炙ります。皮目を中心に、香ばしい焼き色がつけば大丈夫。強い熱で表面をさっと焼き上げることで、気になる鶏の匂いがすっと消えて、代わりに炭火焼きの香ばしさがまとわりつくんです。
あとは、そぎ切りにして、いつもの手順どおりつゆへ。炙りの香ばしさがつゆに溶け出して、まるで焼き鳥屋さんの親子丼のような、ひと味違う一杯になります。表面は炙ってあっても中は生なので、つゆで4〜5分、完全に火を通す手順は変わりませんよ。
バーナーを使うときは、まわりの可燃物を離して、換気をしながら、耐熱の受け皿やバットの上で。炭火なら、焼き網でさっと炙るだけで大丈夫です。ひと手間ですが、この香りを知ると、戻れなくなりますよ。
失敗と対策(かたい卵・水っぽい・生焼け)
親子丼のよくある失敗は、理屈がわかれば防げます。代表的な4つをまとめました。
- 卵がかたくなる
一度に入れて煮すぎるのが原因です。2回に分けて、2回目の直後に火を止めて余熱で仕上げましょう。 - つゆが多くて水っぽい
つゆの入れすぎが原因です。2人前でだし200mlが目安。ごはんが泳ぐほどのつゆは卵も固まりにくくなります。 - 鶏肉が生焼けだった
卵を急ぎすぎるのが原因です。そぎ切りにして、卵の前に4〜5分、中まで白くなるまで煮ましょう。怪しければ割って確認を。 - 味がぼやける
だしの薄さが原因のことが多いです。削り節でとっただしか、少し濃いめのだしで、黄金比4:1:1を守りましょう。

失敗の4つに共通するのは、「だし・つゆ・火加減」のどれかがずれていること。逆に言えば、黄金比のつゆと2回入れの手順さえ守れば、親子丼は驚くほど安定します。
特に、味の土台のだしは、丼ものでは誤魔化しがききません。つゆの量が少ないぶん、だしの香りがそのまま丼の香りになるからです。削り節でさっととっただしは、それだけでお店の香りになりますよ。
丼つゆの味は、だしで決まります。香りのよい削り節でとっただしなら、黄金比4:1:1がそのままお店の味に。お味噌汁や天つゆにも毎日使えるので、和食の日の必需品ですよ。
仕上げの三つ葉も、じつは大事な役者です。あの清々しい香りが、甘辛いつゆを引き締めて、丼の後味を軽くしてくれます。なければ、刻みねぎや刻みのり、お好みで七味を。薬味ひとつで、丼の表情が変わりますよ。
お店の段取り「頭(あたま)の作り置き」

ここからは、お店の裏側の話です。そば屋さんの親子丼が、注文からすぐ出てくる秘密——それが「頭(あたま)」の作り置きです。
頭とは、卵でとじる前の、鶏と玉ねぎをつゆで煮たもの。お店では、これをまとめて仕込んでおいて、注文が入ったら1人前ずつ温めて、卵でとじるだけ。だから速くて、卵はいつも作りたてのふわとろなんです。
おうちでも、この段取りが使えます。頭をまとめて作って、小分けして冷蔵庫へ。2〜3日のうちに、食べる直前に温めて卵でとじれば、平日の夜でも2分でふわとろ親子丼。お弁当前の朝にも便利ですよ。
大事な注意をひとつ。作り置きできるのは、卵でとじる前の頭まで。半熟の卵でとじたあとの親子丼は、作り置きや持ち越しをせず、できたてをすぐ食べてくださいね。オムレツの記事でもお伝えした、半熟卵料理の鉄則です。
鶏と玉ねぎの頭は、タンパク質(鶏もも100g約16.6g)と野菜が一度にとれる、便利な仕込みです。
親子丼のほか、うどんにのせたり、豆腐にかけたりと使い回せます。
★仕込みの際は★鶏肉の中心温度75℃で1分以上加熱★し、粗熱がとれたら速やかに小分けして冷蔵で2〜3日、再加熱も中心温度75℃1分以上で必ずしっかり温めてください★(厚生労働省「食中毒予防」参照)。★鶏肉はカンピロバクター食中毒のリスクがあり、下ごしらえのまな板・包丁は他の食材と分けましょう★。
頭の作り置きには、密閉できる保存容器が便利です。1人前ずつ小分けしておけば、温めて卵でとじるだけの2分クッキング。つゆのにおい移りも防げるので、丼ものの段取りの相棒ですよ。
高齢者や子供にやさしい親子丼

やわらかい卵とじの親子丼は、ご高齢の方にもお子さんにも、実は頼れる丼です。少しだけ、気配りを足してあげてください。
いちばん大事なのは、卵の火加減です。半熟のふわとろは、大人の食卓の特権。小さなお子さん、ご高齢の方、お弁当には、2回目の卵のあとも弱火で少し煮て、中までしっかり火を通した安心版にしてください。卵とじは、しっかり加熱してもやわらかいのが、親子丼のいいところです。
鶏肉は、小さめのそぎ切りにして、やわらかく煮ます。三つ葉は長いままだと食べにくいので、刻んでから。かむ力や飲み込む力が弱くなってきた方には、ごはんを軟飯にして、つゆごととじれば、しっとりまとまって食べやすくなりますよ。
お子さんの半熟卵の安全や年齢別の工夫は、親子丼の子供向け具材の記事で、栄養士×現役介護士の視点からくわしく解説しています。そちらもぜひ参考にしてくださいね。
介護の食卓の親子丼は、卵に中心温度75℃で1分以上、中までしっかり火を通します(70℃なら3分以上)。
卵とじのとろみが、ごはんとおかずをまとめて、むせを防ぎ、飲み込みを助けます。
鶏は5mm以下の小さめに、三つ葉は細かく刻んで、軟飯やおかゆに合わせましょう。
★とろみや形態のご相談は日本摂食嚥下リハビリテーション学会「嚥下調整食学会分類2013」を基準に、必ず主治医・言語聴覚士(ST)・管理栄養士にご相談ください★
★アレルギー(★特定原材料8品目「卵」+準ずる「鶏肉」「大豆」「小麦」★)・持病(腎機能・血糖)にご配慮ください。高齢者・妊婦・乳幼児は必ず完全加熱の卵とじで召し上がってください★
親子丼の作り方でよくある質問
Q1. 丼つゆの黄金比を教えてください。めんつゆでも作れますか?
黄金比は「だし4:しょうゆ1:みりん1」です。2人前なら、だし200ml・しょうゆ50ml・みりん50ml。天ぷらの天つゆと同じ比率なので、ひとつ覚えれば使い回せます。
めんつゆでも、もちろん作れます。3倍濃縮なら水で3倍ほどに薄めて、だし少々を足すと、ぐっと本格的な味に近づきますよ。
Q2. 卵を2回に分けるのは、なぜですか?
役割を分けるためです。1回目の2/3は、鶏と玉ねぎを包む半熟のベース役。2回目の1/3は、上にのるとろとろの仕上げ役。一度に入れると、火の通りが揃わず、先に入った部分がかたくなってしまいます。
2回目を入れたら、すぐ火を止めてふたをして10〜20秒。この余熱仕上げが、ふわとろの決め手ですよ。
Q3. 鶏肉の生焼けが心配です。見分け方はありますか?
いちばん厚い一切れを割って、中まで白くなっているかを確認してください。ピンク色が残っていたら、加熱不足です。鶏肉は、中心75℃で1分以上が安全の目安。
そぎ切りで薄く切っておけば、4〜5分の煮込みで火はしっかり通ります。「半熟でいいのは卵だけ、鶏は完全に」。この合言葉を忘れずに。
Q4. 親子丼は作り置きできますか?
卵でとじる前の「頭」(鶏と玉ねぎをつゆで煮たもの)なら、小分けして冷蔵で2〜3日の作り置きができます。食べる直前に温めて、卵でとじるだけ。お店と同じ段取りです。
ただし、半熟の卵でとじたあとは、作り置きや持ち越しはできません。できたてをすぐ食べてください。お弁当に入れるなら、卵に中までしっかり火を通した安心版で詰めてくださいね。
まとめ。。。
親子丼の作り方のポイントを、最後にまとめておきますね。
- 丼つゆの黄金比はだし4:しょうゆ1:みりん1
天つゆと同じ比率。ひとつ覚えて使い回せます。 - 鶏はそぎ切りで火の通り均一に
生焼け防止とつゆのからみを、一度にかなえます。 - 鶏は卵より先に、完全に火を通す
中心75℃1分が目安。半熟でいいのは卵だけです。 - 卵はざっくり溶いて、2回に分ける
2/3でベース、1/3で仕上げ。白身のかたまりがふわとろの素です。 - 2回目の直後に火を止め、ふたで10〜20秒
余熱の蒸らしが、とろとろを完成させます。 - 頭の作り置きで、平日は2分
卵でとじる前なら冷蔵2〜3日。お店の段取りです。 - 半熟はすぐ食べる・安心版はしっかり加熱
子供・高齢者・お弁当には、中まで火を通して。

親子丼は、「黄金比4:1:1」と「卵の2回入れ」の2つで、必ずお店の顔になります。今夜はまず、卵を2回に分けるところから試してみてください。あの白と黄色のまだらの断面に、きっと笑顔になりますよ。
鶏(親)と卵(子)が同じ丼で出会う、名前まであたたかい料理です。わが家のふわとろを育てて、家族みんなで楽しんでくださいね。困ったときは、またこの記事を見に来てください🌸
最後までお読みいただきありがとうございました。
フッくんでした!







