料理研究家、料理大好きフッくんです。
だしと甘辛いしょうゆの香りに、ほっとする。肉じゃがは、日本の家庭料理の顔ですよね。でも、いざ作ると「じゃがいもが煮崩れてドロドロに」「味が染みない」「お肉がかたくなる」と、シンプルなのに奥が深いのが肉じゃがです。
正直に言うと、肉じゃがには、覚えることが2つしかありません。「黄金比1:1:1」と「味は冷めるときに染みる」。この2つの理屈さえつかめば、おふくろの味は、今日からあなたの得意料理になります。
そこで今回は、現役料理人20年・栄養士のフッくんが、肉じゃがの作り方をまるごと解説します。黄金比、じゃがいもの品種の使い分け、お肉がかたくならないプロ技、煮崩れ防止、そして味しみの科学まで。肉じゃがの決定版として、ぜひブックマークしてくださいね🌸
まずは、みなさんが肉じゃがで困りがちなポイントを整理してみましょう。
- じゃがいもが煮崩れる
品種選びと面取り、炒めの膜で防げます。 - 味が染みない・ぼやける
黄金比1:1:1と「冷める時間」が解決します。 - お肉がかたくパサパサになる
最初に炒めて取り出す、プロの技があります。 - 煮汁の量と煮る時間がわからない
だし300ml+落としぶた15分が目安です。
肉じゃがの味が決まらない理由

まず、理由から知っておきましょう。肉じゃがの失敗は、たいてい「煮ながら味を染ませよう」とすることから始まります。
味を染ませたくて、長く煮る。すると、じゃがいもは煮崩れ、お肉はかたくなり、煮汁は煮詰まってしょっぱくなる。実は、煮物の味がぐっと染み込むのは、煮ている間ではなく、火を止めて冷めていくときなんです。
だから正解は、「短く煮て、じっくり休ませる」。煮る時間は15分で十分、そのあと30分休ませる。この時間の使い方こそが、味しみと煮崩れ防止を、同時にかなえてくれます。
それでは、材料の黄金比から順番に見ていきましょう。
肉じゃがは、じゃがいも・にんじん・玉ねぎ・牛肉(こま切れ)を基本にした煮物で、文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」によればじゃがいも100g約59kcal・牛もも(脂身付き)100gはタンパク質約19.5gです。
だし巻き卵(卵1個で約6.1g)を添えると、たんぱく質を補強できます。
★この料理には★特定原材料に準ずる20品目「牛肉」「大豆」(醤油)「小麦」(醤油)★が含まれます。アレルギー対応は消費者庁「食物アレルギー表示制度」で必ずご確認ください★
材料と黄金比(じゃがいもの品種も決め手)

材料は、2〜3人分で、牛こま切れ肉200g・じゃがいも3個・にんじん1本・玉ねぎ1個・しらたき1袋。お肉は、関西では牛、関東では豚が定番です。お好みでどうぞ。
そして、調味料の黄金比。「しょうゆ:みりん:酒=1:1:1、砂糖はその半分」。この分量なら、各大さじ3と砂糖大さじ1.5、だし300mlです。この比率さえ覚えれば、鍋の大きさが変わっても、味はぶれません。
じゃがいもは、品種で仕上がりが変わります。煮崩れしにくいメークインは、形よく仕上げたい煮物向き。ほくほくの男爵は、崩れやすいぶん、煮汁を吸った「へり」がおいしい家庭の味に。どちらが正解ということはないので、わが家の好みで選んでくださいね。
お店のように形よく仕上げるなら、煮崩れしにくいメークインです。
崩れかけを煮汁ごと味わう、おふくろの味なら男爵に軍配。
品種の選択も、レシピのうち。
売り場でぜひ見比べてみてくださいね。
黄金比の再現には、計量スプーンが頼りになります。大さじ3を正確に量れば、味が毎回ぴたりと決まる。マグネットで冷蔵庫に貼れるタイプなら、使いたいときにさっと手に取れて、毎日の計量が習慣になりますよ。
肉じゃがの作り方5ステップ

それでは、本番です。ポイントは、お肉の扱いと、最後の休ませ時間ですよ。
①下ごしらえ(面取りと、しらたきの下ゆで)
じゃがいもは大きめの一口大に切って、角を薄くそぎ落とす「面取り」を。角がぶつかって崩れるのを防いでくれます。切ったら水にさっとさらして、表面のでんぷんを流しましょう。
しらたきは、さっと下ゆでして臭みを取り、食べやすく短く切ります。にんじんは乱切り、玉ねぎはくし切りで準備完了です。
②お肉をさっと炒めて、一度取り出す
鍋に油を熱し、お肉を色が変わる程度にさっと炒めたら、いったんお皿に取り出します。ここが、プロの分かれ道。
こま切れ肉は、長く煮るとかたく縮んでしまいます。最初に取り出しておいて、最後に戻せば、お肉はやわらかいまま。うまみは炒めた鍋肌に残っているので、味はちゃんと全体に行き渡りますよ。
③野菜を炒めて、油をまわす
同じ鍋で、じゃがいも・にんじん・玉ねぎを2〜3分炒めます。表面に油の膜をまとわせることで、煮崩れしにくくなり、コクも出ます。
カレーの記事でもお伝えした「炒めてから煮る」は、和の煮物でも同じ理屈なんですね。
④だしと調味料を入れ、落としぶたで15分
だし300mlと、黄金比の調味料をすべて加えます。煮汁は具材が全部つからない「ひたひた」で大丈夫。落としぶたをすれば、少ない煮汁が対流して、全体に味がまわります。
アクを取ったら、中火で15分。じゃがいもに竹串がすっと通ったら、煮るのは終わりです。
⑤お肉を戻して、火を止めて30分休ませる
取り出しておいたお肉を戻し、ひと煮立ちさせたら、火を止めます。そして、そのまま30分。ここからが、味しみの本番です。
冷めていく間に、煮汁がじゃがいもの奥まで染み込んでいきます。食べる直前に温め直せば、味の染みた、おふくろの肉じゃがの完成ですよ。
味が染みるのは、煮ている間ではなく、冷めていくとき。
お店でも肉じゃがは早めに炊いて、休ませてから提供していました。
「15分煮て、30分休ませる」。
この時間割が、味しみの正体ですよ。
もう少しだけ、理屈のお話を。じゃがいものでんぷんは、加熱でやわらかくなり、冷めていく過程で、まわりの煮汁を抱き込みながら落ち着いていきます。だから、休ませた肉じゃがは、切り口の中まで煮汁の色が届くんです。
二日目のカレーがおいしくなるのと、同じ理屈ですね。煮物にとって、時間も大事な調味料。「急がば休ませろ」が、煮物上手への近道ですよ。

失敗と対策(煮崩れ・味染み・かたいお肉)
肉じゃがのよくある失敗は、理屈がわかれば防げます。代表的な4つをまとめました。
- じゃがいもが煮崩れてドロドロになる
煮すぎが最大の原因です。面取り・炒めて膜を作る・落としぶた・15分で火を止める、の4点で防ぎましょう。 - 味が染みない・表面だけ濃い
煮ながら染ませようとしていませんか。火を止めて30分休ませれば、冷める間に奥まで染みますよ。 - 煮汁が多すぎて水っぽい
だしは300mlのひたひたが目安です。多すぎたら、ふたを外して少し煮詰めて調整しましょう。 - お肉がかたく縮んだ
お肉の煮すぎが原因です。最初にさっと炒めて取り出し、仕上げに戻す方式に変えてみてください。

アレンジと翌日の楽しみ

基本をマスターしたら、アレンジも楽しみましょう。お肉を豚こまに変えれば関東風、鶏もも肉ならあっさりと、味わいが変わります。カレー粉を小さじ1加えたカレー風味の肉じゃがは、お子さんに人気の変化球ですよ。
だしを変えるのも面白いところ。削り節の香るだしなら王道の味に、白だしなら上品な薄色に仕上がります。変わり種の具材やリメイクのアイデアは、肉じゃがの具材の記事にたっぷりまとめています。
保存は、常温に置きっぱなしにせず、粗熱がとれたら速やかに小分けして冷蔵で2〜3日。再加熱は中心温度75℃1分以上でしっかり温めてください。★煮物を常温放置すると、酸素の少ない環境でウェルシュ菌が増殖するリスクがあります★(厚生労働省「食中毒予防」参照)。冷凍はじゃがいもをつぶしてから、が合言葉です。翌日のコロッケや肉じゃがうどんへのリメイクは、献立の記事でくわしくどうぞ。
ちなみに、多めに作るのは、実は理にかなっています。休ませ時間で味が染みる肉じゃがは、まとめて炊いて翌日も楽しむのが、いちばんおいしい食べ方だからです。「今日の分と、明日の分」の気持ちで、少し大きな鍋で炊いてみてくださいね。
牛はコクの関西風、豚はあっさりの関東風、鶏ならさらに軽やかに仕上がります。
どのお肉でも、100gあたりタンパク質はおおむね17〜22g(食品成分表八訂)で、主菜として食卓の中心になります。
★豚肉・鶏肉はE型肝炎ウイルスやカンピロバクター食中毒予防のため、必ず中心温度75℃で1分以上加熱してください(厚生労働省「食中毒予防」参照)。
わが家の定番のお肉で、うちの肉じゃがの味を育ててくださいね。
肉じゃがの味の土台は、だしです。香りのよい削り節でとっただしなら、黄金比の調味料が控えめでも、味に深みが出ます。お味噌汁や炒り豆腐にも毎日使えるので、和食の日の必需品ですよ。
高齢者や子供にやさしい肉じゃが

やわらかく煮えた肉じゃがは、ご高齢の方にもお子さんにも喜ばれる定番です。作り方の段階から、少しだけ気配りを足してあげてください。
かむ力や飲み込む力が弱くなってきた方の分は、具材を小さめに切って、弱火で少し長めに、やわらかく煮ます。じゃがいものほくほくは、実はパサつきやすい面もあるので、煮汁ごと器に盛って、しっとりさせて出すのが安心です。
しらたきは、するっと長いままだと噛み切りにくいので、下ごしらえで短く切っておきましょう。お肉も、こま切れをさらに短く。心配なときは、じゃがいもをつぶして「マッシュ肉じゃが」にすると、ぐっと食べやすくなります。
お子さんには、薄味で小さめに。じゃがいもは熱を持ちやすいので、少し冷ましてから出してあげてくださいね。
介護の食卓の肉じゃがは、具を5mm以下の小さめに切って、弱火で竹串がすっと通るまでやわらかく煮ます。
じゃがいもは煮汁ごと盛って、しっとりとまとまりを出し、むせを防ぎます。
しらたきは繊維が硬く長いので短く切るか外し、お肉は薄切りをさらに小さく切りましょう。
★とろみや形態のご相談は日本摂食嚥下リハビリテーション学会「嚥下調整食学会分類2013」を基準に、必ず主治医・言語聴覚士(ST)・管理栄養士にご相談ください★
★アレルギー(準ずる「牛肉」「大豆」「小麦」)・持病(腎機能・血糖)にご配慮ください★
翌日の肉じゃがの保存には、密閉できる保存容器が便利です。小分けしておけば、温め直しも食べる分だけ。味の染みた二日目の楽しみを、安心して迎えられますよ。
肉じゃがの作り方でよくある質問
Q1. じゃがいもは、メークインと男爵のどちらがいいですか?
形よく仕上げたいならメークイン、ほくほく感を楽しみたいなら男爵です。メークインはきめが細かく煮崩れしにくいので、煮物向き。男爵は崩れやすいぶん、煮汁を吸った部分のおいしさが魅力です。
男爵で崩したくないときは、面取りと「炒めてから煮る」を丁寧に。品種の性格を知って選ぶと、肉じゃがはもっと楽しくなりますよ。
Q2. お肉は、最初から一緒に煮てはいけないのですか?
一緒に煮ても作れますが、こま切れ肉は15分煮ると、かたく縮みがちです。最初にさっと炒めて取り出し、仕上げに戻す方式なら、お肉はやわらかいまま仕上がります。
うまみは炒めたときに鍋に移っているので、味が薄くなる心配はいりません。ひと手間で仕上がりが変わる、お店の技ですよ。
Q3. 味が染みた肉じゃがにするには、どうすればいいですか?
「火を止めて、30分休ませる」。これだけです。煮物の味は、煮ている間ではなく、冷めていくときに染み込みます。
長く煮て染ませようとすると、煮崩れとかたいお肉のもと。「15分煮て、30分休ませて、食べる前に温め直す」の時間割で、二日目のようなしみしみ肉じゃがが、当日に味わえますよ。
Q4. 圧力鍋で作ってもいいですか?
もちろん大丈夫です。加圧3分ほどで具材がやわらかくなるので、忙しい日の味方になります。ご高齢の方向けの、やわらか肉じゃがにもぴったりです。
ただし、圧力鍋でも「味しみは冷めるとき」は同じ。圧を抜いたら調味料の味をみて、少し休ませてから出すと、ぐっとおいしくなります。じゃがいもは煮崩れやすくなるので、大きめに切るのがコツですよ。
まとめ。。。
肉じゃがの作り方のポイントを、最後にまとめておきますね。
- 黄金比はしょうゆ:みりん:酒=1:1:1
砂糖はその半分。各大さじ3+砂糖大さじ1.5が目安です。 - だし300mlのひたひた+落としぶた
少ない煮汁を対流させて、全体に味をまわします。 - じゃがいもは品種で使い分け
形のメークイン、ほくほくの男爵。好みで選びましょう。 - 面取りと炒めの膜で煮崩れ防止
角を落として、油をまとわせてから煮ます。 - お肉は炒めて取り出し、最後に戻す
煮すぎによるかたさを防ぐ、プロの技です。 - 15分煮て、30分休ませる
味は冷めるときに染みる。時間割が味を決めます。 - 高齢者には小さめ・弱火・煮汁ごと
しらたきは短く。家族みんなで同じ鍋を囲めます。

肉じゃがは、「黄金比1:1:1」と「味は冷めるときに染みる」の2つさえ覚えれば、必ずおいしくなる料理です。今夜はまず、「15分煮て、30分休ませる」の時間割だけでも試してみてください。しみしみのじゃがいもに、きっと驚くはずですよ。
合わせる副菜や汁物は、肉じゃがの献立の記事でたっぷり紹介しています。わが家の味を育てて、湯気の向こうの笑顔まで楽しんでくださいね。困ったときは、またこの記事を見に来てください🌸
最後までお読みいただきありがとうございました。
フッくんでした!








