料理研究家、料理大好きフッくんです。
お月見(十五夜)は、秋の実りに感謝して、美しい満月を眺める行事ですよね🌕 ススキを飾り、月見団子や里芋、秋の味覚をお供えしてお祝いします。介護施設でも、秋を感じる風流な行事。窓辺で一緒にお月見をするご家庭も多いですよね。ただ——正直に言うと、お月見の食べ物にも、ご高齢の方には見過ごせない危険が隠れています。
「おじいちゃんおばあちゃんにも、お月見のごちそうを食べさせてあげたい」——ご家族はそう願い、「ご利用者様にも、季節の行事食を食べて頂きたい」——私たち介護の現場も同じ気持ちです。けれど、月見団子はお団子(もち)、里芋や白玉は球状で、どちらも喉に詰まりやすい食べ物。だからこそ、お祝いの気持ちはそのままに、やわらかく安全に仕立て直すことが大切です。
今回は、お月見のごちそうを嚥下(えんげ)に配慮してやわらかく仕立てた献立を7選、栄養士・現役介護士の視点でご紹介します。秋の味覚も取り入れて、料理人・栄養士・介護士の3つの目線でお伝えしますね🌾
- 月見団子は団子・もちを代替
喉に詰まりやすいお団子は使わず、上新粉のやわらか生地でお月見の味を安全に - 秋の味覚をやわらかく
里芋・秋鮭・かぼちゃなど、旬の恵みをやさしい口当たりで - UDF×嚥下調整食分類2013の早見表
ご家族の状態に合わせて選べます - お月見に避けたいNG食材も分かる
月見団子・里芋・白玉の落とし穴を解説します
ぜひ最後までご覧くださいね🌸
お月見の介護食の基本

お月見の行事食は風流なものですが、ご高齢の方と楽しむなら「安全」が何より大切です。特に月見団子と球状の食材には注意が必要です。
- 月見団子は団子・もちを代替する
お団子のもちは喉に貼りつきやすく、ご高齢の方には窒息のリスクが高い食べ物です。上新粉のやわらか生地・つぶしたあん・なめらかな芋きんとんで置き換えます - 球状の食材は小さく切る
里芋を丸ごと、白玉、栗、ぶどうなどは、つるんと丸飲みして喉に詰まる危険があります。小さく切るか4等分にしてから出します - 満月・ススキの彩りで季節感を
黄色い食材で満月を表したり、器や盛り付けで秋を感じさせるだけで、いつもの介護食がぐっとお月見らしくなります
お月見は、十五夜の翌月に十三夜もあり、二度楽しめる行事です。秋の夜長、季節を感じながら、ご本人の体調にやさしい一膳にしたいですね🍵
お月見の介護食献立7選

お月見らしい秋の味覚を、嚥下に配慮してやわらか仕立てにした7品です。
- ①月見団子風のやわらかおやつ
お月見の主役。もちは使わず、上新粉のやわらか生地で。つぶしたこしあんを添えて、小さく仕上げます - ②里芋の衣かつぎ風やわらか煮
お月見の定番・里芋を、だしで箸が通るまでやわらかく。小さく切って食べやすく - ③月見つくね
やわらかい鶏つくねに、加熱した卵黄あんを満月に見立てて。彩りも栄養も満点です - ④秋鮭のやわらかムニエル
秋の味覚・鮭をふっくらやわらかく焼いて。骨を丁寧に取り、ほぐしやすく - ⑤秋野菜のやわらか煮
かぼちゃ・さつまいも・きのこを、だしでくたくたに煮含めた秋の恵みの一品 - ⑥月見けんちん汁
大根・にんじん・豆腐をやわらかく煮た具だくさん汁。とろみをつけて飲み込みやすく - ⑦お月見ゼリー
満月に見立てた黄色いゼリー(かぼちゃやみかん)で、秋の甘いお祝いを安全に
UDF×嚥下調整食分類2013 早見表

ご家族やご利用者様の状態に合わせて、かたさ・とろみを選びましょう。市販の介護食でおなじみのUDF区分と、医療・介護現場で使われる嚥下調整食分類2013の対応の目安です。
| UDF区分 | 嚥下調整食分類2013 | かたさの目安・この献立での例 |
|---|---|---|
| UDF区分1(容易にかめる) | コード4 | かたい・大きいものはやや苦手な方に。里芋の衣かつぎ風・秋鮭のムニエル |
| UDF区分2(歯ぐきでつぶせる) | コード3 | 歯ぐきでつぶせるかたさ。月見つくね・秋野菜のやわらか煮 |
| UDF区分3(舌でつぶせる) | コード2-2 | 舌でつぶせるなめらかさ。月見団子風のやわらかおやつ・里芋のつぶし |
| UDF区分4(かまなくてよい) | コード2-1 | かまずに食べられる均質なもの。お月見ゼリー・かぼちゃの裏ごし |
UDF区分に該当しないコード1j・0j・0t(ゼリー状・とろみ水など)は、より配慮が必要な段階です。状態に迷う場合は、かかりつけ医や言語聴覚士など専門職にご相談ください。
お月見の介護食 献立例
栄養バランスを考えたお月見膳の献立例を2パターンご用意しました。秋の恵みを大切にしつつ、たんぱく質やビタミンも意識しています。
①きのこの炊き込みご飯
②月見つくね
③秋鮭のやわらかムニエル
④里芋の衣かつぎ風やわらか煮
⑤月見けんちん汁
⑥月見団子風のやわらかおやつ
①月見卵粥
②なめらか豆腐の白和え
③秋鮭のほぐし煮
④秋野菜のすり流し汁
⑤お月見ゼリー

| 栄養価 | 献立例A(やわらかお月見膳) | 献立例B(つぶしお月見膳) |
|---|---|---|
| メニュー | ①きのこの炊き込みご飯 ②月見つくね ③秋鮭のムニエル ④里芋の衣かつぎ風煮 ⑤月見けんちん汁 ⑥月見団子風おやつ | ①月見卵粥 ②なめらか豆腐の白和え ③秋鮭のほぐし煮 ④秋野菜のすり流し汁 ⑤お月見ゼリー |
| エネルギー | 約540kcal | 約490kcal |
| たんぱく質 | 約24g | 約20g |
| 脂質 | 約15g | 約13g |
| 炭水化物 | 約78g | 約72g |
| 食物繊維 | 約7g | 約6g |
| カルシウム | 約200mg | 約190mg |
| ビタミンC | 約35mg | 約25mg |
| 食塩相当量 | 約2.5g | 約2.3g |
献立例Aは噛む力が比較的ある方向け、Bは舌でつぶせる程度の方向けです。どちらも卵・魚・大豆でたんぱく質をバランスよく補い、汁物で水分もしっかり摂れるよう、お月見らしい秋の彩りを大切にした構成にしています🌕
🥢 お月見は、ちょうど夏の疲れが出やすい季節の変わり目。秋鮭やかぼちゃ、きのこは、旬の栄養が豊富です。鮭には良質なたんぱく質、かぼちゃにはビタミン、きのこには食物繊維。旬の食材は栄養価も高く、彩りも豊かなので、やわらかく調理して積極的に取り入れたいですね。汁物を一品添えると、水分補給にもなって安心です。
お月見の介護食 嚥下対応の調理5原則

お月見のごちそうをやわらかく安全に仕上げるための、現場で実践している5つの原則です。
- ①月見団子・もちは代替する
お団子のもちは提供せず、上新粉のやわらか生地・なめらかな芋きんとん・つぶしたあんに置き換えます。これがお月見の介護食で一番大切な原則です - ②球状の食材は小さく切る
里芋を丸ごと・白玉・栗・ぶどうは、つるんと丸飲みして詰まる危険があるので、小さく切るか4等分にします - ③秋の味覚は中心までしっかり加熱
秋鮭やきのこは、中心までしっかり火を通します。鮭は骨を丁寧に取り除いてからほぐします - ④根菜・芋はだしでやわらかく
里芋・大根・にんじん・かぼちゃは、箸でほろりと崩れるまで時間をかけて煮含めます - ⑤あん・とろみでまとめて飲み込みやすく
仕上げに銀あんやとろみをつけると、口の中でまとまって飲み込みやすくなります
🍵 里芋をやわらかく仕上げるコツは、下茹でしてぬめりを取ってから、だしでじっくり煮含めること。ぬめりが残ると味が入りにくいんです。月見団子風の生地は、上新粉に少量の砂糖とぬるま湯を加えてよくこねると、冷めてもやわらかさが続きます。秋鮭は焼きすぎるとパサつくので、弱めの火でふっくら仕上げるのが、20年やってきた私のこだわりです。
とろみ調整剤は、けんちん汁やすり流し汁、銀あんのとろみづけに欠かせない介護食の必需品。さっと溶けてダマになりにくいタイプを選べば、むせ込みを防ぎ、安全に召し上がっていただけます。
お月見の嚥下対応レシピ3品

お月見膳の代表的な3品の作り方を詳しくご紹介します。主役の月見団子風から、ていねいに。
【1】月見団子風のやわらかおやつ(4個分)※もち米不使用
上新粉80g/砂糖小さじ2/ぬるま湯70ml/こしあん80g
①上新粉に砂糖を混ぜ、ぬるま湯を少しずつ加えてなめらかにこねます(もち米を使わないので喉に貼りつきにくい生地になります)。
②小さく平たく丸めてやわらかく蒸します。お月見らしく、小さめに3つ並べて。
③つぶしたこしあんを添えれば、安心してお月見の味を楽しめます。あんが気になる方はこしあんを裏ごしして、なめらかに。丸い形は小さく、ひと口で詰まらない大きさにします。
【2】月見つくね(2人前)
鶏ひき肉150g/卵1個/玉ねぎ(みじん切り)1/4個/片栗粉小さじ2/だし・しょうゆ・みりん各適量
①鶏ひき肉に卵半量・玉ねぎ・片栗粉を混ぜ、やわらかいつくねにして、中心までしっかり火を通します(中心温度75℃で1分以上が目安)。
②だし・しょうゆ・みりんで甘辛いたれを作り、とろみをつけます。
③残りの卵黄を加熱してあん状にし、つくねの上に満月に見立ててのせれば完成。やわらかく、彩りも楽しい一品です。
【3】里芋の衣かつぎ風やわらか煮(2人前)
里芋4個/だし300ml/しょうゆ・みりん各小さじ2
①里芋は皮をむき、食べやすい大きさに切ってから下茹でし、ぬめりを取ります(丸ごとは丸飲みの危険があるので必ず切ります)。
②だし・しょうゆ・みりんで、箸がすっと通るまでやわらかく煮含めます。
③仕上げにとろみをつけると、口当たりがよく飲み込みやすくなります。お月見の供物・里芋を、安全にやわらかく。
お月見の介護食で避けたいNG食材3選

風流なお月見だからこそ、安全に楽しんでいただくために気をつけたい食材を3つまとめました。
- 月見団子・白玉(団子・もち・球状)月見団子や白玉は、もちの粘りと球状の形で、ご高齢の方には窒息のリスクが特に高い食べ物です。提供は避け、上新粉のやわらか生地・なめらかな芋きんとん・つぶしたあんで代替してください。上新粉で小さく作れば、見た目はお月見団子らしく、安全に十五夜の味を楽しめます。
- 里芋まるごと・栗・ぶどう(球状の供物)お月見にお供えする里芋や栗、ぶどうは、つるんとした球状で丸飲みすると喉に詰まる危険があります。里芋は小さく切ってやわらかく煮て、栗はつぶして栗きんとんに、ぶどうは皮をむいて4等分にしてから出しましょう。ひと手間で安全に秋の味覚を楽しめます。
- きのこ・こんにゃく(弾力・噛みにくい)秋の味覚のきのこやこんにゃくは、弾力があって噛み切りにくく、誤嚥しやすい食材です。きのこは細かく刻んでやわらかく煮るか、なめらかなすり流しに。こんにゃくは小さく切って下味をつけ、無理なら控えめにしましょう。また、彩りに生のお刺身は使わず、加熱した具を使ってください。
ひと手間かけるだけで、ご家族みんなが安心してお月見の食卓を囲めます🌸
現役介護士のお月見の食卓のコツ

🌕 お月見の食卓で大切にしているのは、「季節の風情を一緒に味わうこと」です。
お月見は、窓辺にススキを飾って、満月を眺めながら過ごすだけで、ご本人の心が和みます。黄色いゼリーで満月を、白い器で雲を表現したり、小さなススキを添えたり——目で見て季節を感じてもらう工夫が、食欲にもつながります。月見団子は上新粉のやわらかおやつに、里芋は小さく切って——危険なところだけ安全に置き換えれば、おじいちゃんおばあちゃんも、昔懐かしいお月見を安心して楽しめます。なお、白和えやけんちん汁の豆腐など、大豆製品を使う場合は大豆アレルギーの方への確認も忘れずに。秋の夜長、ご本人のペースに合わせて、ゆっくり季節を味わってくださいね🥄
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お月見の介護食に関するよくある質問
お月見の介護食について、よくいただく質問4つにお答えします。
Q1. 月見団子を食べさせてあげたいけど大丈夫?
A. もちは避け、上新粉のやわらか生地で代替を。
月見団子のもちは喉に貼りつきやすく、球状なので窒息のリスクが高い食べ物です。上新粉(うるち米の粉)で小さくやわらか生地を作り、つぶしたこしあんを添えれば、見た目はお月見団子らしく、安全に十五夜の味を楽しめます🌕
Q2. 里芋や栗はどうすれば安全?
A. 小さく切って、やわらかく。
里芋を丸ごとや栗は球状で丸飲みの危険があります。里芋は小さく切ってだしでやわらかく煮て、栗はつぶして栗きんとんにすると安全です。球状のものは必ず小さくしてから出しましょう🍵
Q3. お月見の献立で気をつけることは?
A. 団子・球状・弾力のある食材に注意。
月見団子・白玉・里芋まるごと・栗・きのこ・こんにゃくなど、もち・球状・弾力のある食材は、やわらかく小さく調理しましょう。汁物にとろみをつけると、水分補給と嚥下の助けになります🌾
Q4. 高齢者とお月見をどう楽しむ?
A. 満月とススキで季節を感じて。
お月見は、窓辺でススキを飾り、満月を眺めるだけでも心が和む行事です。やわらかく安全に仕立てたお月見膳で、秋の風情を一緒に味わうと、食卓の会話も弾みます。目で見て季節を感じる工夫が、食欲にもつながります🍵
まとめ。。。
今回は、お月見のごちそうをやわらかく仕立てた介護食献立を7選ご紹介しました。
- 月見団子は団子・もちを代替
上新粉のやわらか生地・つぶしあん・芋きんとんで、十五夜の味を安全に - 球状の食材は小さく切る
里芋・栗・白玉・ぶどうは、小さく・4等分にして丸飲みを防いで - 秋の味覚は中心まで加熱・やわらかく
秋鮭・きのこ・かぼちゃを、旬の恵みとして安全に - 季節の風情を一緒に味わう
満月とススキを眺めながら、ゆっくり見守って
お月見は、秋の実りに感謝して、美しい月を愛でる風流な行事です。ご高齢のご家族と楽しむなら、月見団子や球状の食材にだけは気をつけて、安全への配慮を忘れずに。やわらかく仕立てたお月見膳で、おじいちゃんおばあちゃんも一緒に、心安らぐ十五夜を過ごせますように。ご本人のペースに合わせて、ゆっくり秋の夜長を味わってくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。フッくんでした!







