料理研究家、料理人・栄養士・現役介護士のフッくんです。
ご家族の介護をされている方、介護施設で働かれている方の中で、「お正月のおせちを食べさせてあげたいけど、噛み切れない」「ひな祭りのちらし寿司を食べて頂きたいけど、酢飯がパサパサで飲み込めない」「敬老の日に特別な食事を作ってあげたいけど、何を作ればいいのか分からない」と悩まれている方、本当に多いですよね。
行事食は家族の絆を深め、季節の彩りを感じる大切な食事です。でも介護食になると「普通のおせちは硬すぎる」「市販の介護食おせちは高い」と諦めてしまっている方が多いのが現状。
私は料理人として20年以上、栄養士の資格を持ちながら現役の介護士としても働いています。**料理人として行事食を熟知し、介護士として現場で食事介助も行ってきた**経験から、ご家族と一緒に楽しめる本物の介護食×行事食をお伝えできます。
「嚥下しやすい魚10選」「嚥下しやすい肉10選」に続く介護食辞典・第3弾として、今回は介護食×行事食12選を完全解説しますね。
行事食を介護食に変える調理5原則、月別12行事のおすすめメニュー、嚥下対応レシピ3品、料理人推奨の関連商品まで、ご家族の特別な日を支える情報を全部詰め込みました。
- 介護食で行事食を作る3つの意味が分かる
- 行事食を介護食に変える調理5原則が分かる
- 月別!介護食でおすすめの行事食12選が分かる
- 介護食×行事食レシピ3品(おせち・ちらし寿司・敬老御膳)が分かる
- 行事食ごとの嚥下注意ポイントが分かる
- 料理人推奨の行事食関連商品が分かる
介護食で行事食を作る3つの意味
「介護食でわざわざ行事食を作る必要があるの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。でも私は介護現場で働く中で、行事食には3つの大切な意味があると実感しています。
意味①季節を感じる「五感の刺激」
高齢者は外出機会が減り、季節を感じる機会が少なくなりがちです。行事食は視覚・嗅覚・味覚・触覚・聴覚の五感をすべて刺激してくれます。
桜餅の桃色、おせちの彩り、ひな祭りのちらし寿司の華やかさ。これらは脳の活性化・認知症予防にも繋がる、かけがえのない刺激なんです。
意味②家族の絆と思い出
行事食は「あの時お母さんが作ってくれたおせち」「家族みんなで囲んだひな祭り」といった思い出を呼び起こします。
介護食でも、ご本人と家族が同じ食卓を囲む時間はQOL(生活の質)を大きく向上させますよ。
意味③食べる楽しみと食欲増進
毎日同じような介護食が続くと、食欲が落ちる方が増えます。行事食という非日常の食事は食欲増進・低栄養予防に直結します。
私が介護現場で見てきた中で、行事の日だけ普段の倍量を食べる方が珍しくありませんでした。
🌿 行事食は「特別感」が栄養摂取の最大の動機になります。普段食欲がない方でも、彩り豊かで思い出のある料理は驚くほど食が進みます。1日のカロリー・タンパク質摂取量を増やしたい時こそ、行事食を活用するのが栄養士の知恵ですよ🌿
行事食を介護食に変える調理5原則

行事食を介護食に変えるには、料理人としての20年の経験で確立した5原則があります。これさえ覚えれば、どんな行事食でも介護食化できますよ。
原則①硬い食材は柔らかい食材に置き換え
おせちの「数の子」「黒豆」など硬い食材は、茶碗蒸しや出汁巻き卵に置き換えるのがおすすめ。見た目は華やかなまま、嚥下リスクを大幅に下げられます。
原則②圧力鍋・低温調理で柔らかく
筑前煮・煮物などは圧力鍋10〜15分で歯ぐきでつぶせる柔らかさに。低温調理(60℃で1時間)も鶏肉・豚肉に最適です。
原則③とろみ・あんかけで飲み込みやすく
行事食特有のパサつき・口の中でばらけやすさはとろみあんかけで解決。和風の「べっこう餡」「白だしあん」がよく合いますよ。
原則④彩りで「特別感」を演出
介護食でも赤・黄・緑の3色を必ず入れること。トマト・卵・ほうれん草の3食材で簡単に彩りが整います。
原則⑤盛り付けで「行事感」を出す
お重箱・ひな段風プレート・千代結びの紙ナプキンなど器・装飾で行事感を演出。中身は柔らかくても見た目は本格行事食に変身します。
🍳 介護食×行事食で最も重要なのは「目で食べる」演出です。私のお店では、お重箱に盛り付けるだけで料理の格が3倍に上がります。100均のミニ重箱でもOK。中身が柔らかくても、見た目が華やかなら立派な行事食になりますよ🎍
月別!介護食でおすすめの行事食12選

ここからは月別12行事の介護食メニューを、料理人と介護士の視点で厳選してご紹介します。
①1月 お正月(おせち・お雑煮)
おせちは嚥下事故が最も多い行事食です。特にお餅は要注意。
- お餅は1cm角以下にカット・とろみ汁と一緒に
- 数の子・黒豆は茶碗蒸しに置き換え
- 伊達巻き・きんとんは元々柔らかくおすすめ
- 煮しめは圧力鍋で柔らかく仕上げる
②2月 節分(恵方巻き)
恵方巻きは巻きずしを介護食用に小さくカットするのがコツ。
- 巻きずしを2cm幅にカットして提供
- 海苔は細かく刻んで使う(噛み切りにくい)
- 具材はマグロ赤身・卵焼き・きゅうり中心に
③3月 ひな祭り(ちらし寿司)
ひな祭りのちらし寿司は介護食にしやすい行事食の代表です。
- 酢飯は柔らかめに炊く(水分多め)
- 錦糸卵・桜でんぶで彩り抜群
- サーモン・マグロの刺身を細かくカット
- 蛤のお吸い物は身を細かくほぐして
詳細な献立はひな祭り献立記事もご参照ください。
④4月 お花見(春のお弁当)
外出が難しい方には「お部屋でお花見気分」のお弁当がおすすめ。
- 桜の塩漬けで春の香りを演出
- 桜餅は柏餅同様に皮を取り除く
- 小さなおにぎりは菜の花で彩り
- 緑茶ゼリーで飲み込みやすく
⑤5月 端午の節句(柏餅・ちまき)
端午の節句は柏餅・ちまきの嚥下リスクが特に高いので注意が必要です。
- 柏餅の柏葉は必ず剥がす
- 餅は1cm角・あんこと一緒にとろみ追加
- ちまきは中の具を細かくほぐして
- 兜の盛り付けで男の子のお祝い感UP
詳細な献立は端午の節句献立記事もご参照ください。
⑥6月 父の日(特別ディナー)
お父様への感謝の日は少し贅沢な介護食ディナーを。
- 牛バラの柔らか煮込み(嚥下肉記事推奨)
- ノンアルコールビールゼリー
- お父様の好物をやわらか化アレンジ
⑦7月 七夕(そうめん)
七夕の定番そうめんは嚥下リスクと栄養面で注意が必要。
- そうめんは2cm幅にカット
- つゆはとろみ追加でむせ防止
- 星形にんじん・オクラで彩り
- タンパク質のささみ・卵を必ずトッピング
⑧8月 お盆(精進料理)
お盆の精進料理は元々柔らかく介護食向きの料理が多いです。
- 高野豆腐の含め煮は柔らかく仕上げる
- 茄子の田楽で夏野菜たっぷり
- そうめんの代わりに柔らかうどんも◎
⑨9月 敬老の日(お祝い御膳)
敬老の日は介護食×行事食の最重要日です。
- 赤飯は柔らかく炊く(水分1.2倍)
- 鯛の塩焼きは骨を完全除去・あんかけに
- 茶碗蒸しは老若男女向けの完璧介護食
- 紅白なますは細切り・酸味控えめに
⑩10月 ハロウィン(かぼちゃ料理)
ハロウィンのかぼちゃは介護食に最適な食材です。
- かぼちゃの煮物は元から柔らか
- かぼちゃプリンで楽しいデザート
- オレンジ色で食卓が華やかに
- ベーターカロテン豊富で栄養◎
⑪11月 七五三(千歳飴アレンジ)
お孫さんの七五三も家族みんなで祝えます。
- 千歳飴は溶かして寒天ゼリーに
- 紅白の餅は柔らか煮込み風に
- 赤飯と紅白なますで祝い膳
⑫12月 クリスマス(柔らかチキン)
クリスマスの定番チキンも介護食化できます。
- 鶏もも肉(皮なし)を低温調理で柔らか
- クリームシチューで体も心も温まる
- ケーキは生クリーム多めで飲み込みやすく
- 星形人参・赤パプリカでクリスマスカラー
🌿 月別の行事食は年間の食事バランスと変化を生み出します。同じような食事が続くと食欲が落ちる高齢者にとって、月1回の行事食は大切な「生活のリズム」。栄養士として、年12回の行事食を上手く取り入れることをお勧めしています👩⚕️
介護食×行事食レシピ3品

私が現場で実際に作っている、介護食×行事食の代表レシピ3品をご紹介します。
~材料(2人分)~
【柔らか伊達巻き】
・卵…3個
・はんぺん…1/2枚
・砂糖…大さじ2
・みりん…大さじ1
・出汁…大さじ2
【きんとん】
・さつまいも…200g
・砂糖…大さじ3
・栗の甘露煮…3個
【柔らか紅白なます】
・大根…100g(細切り)
・人参…30g(細切り)
・酢…大さじ2
・砂糖…大さじ1
・塩…ひとつまみ
~作り方~
①伊達巻き:全材料をミキサーで混ぜ、フライパンで両面焼き→巻きすで巻く
②きんとん:さつまいもを蒸して潰し、砂糖を混ぜる→栗を散らす
③なます:大根・人参を塩もみ後、調味料で和える
④彩りよく重箱に盛り付けて完成
~材料(2人分)~
・ご飯…2合(柔らかめに炊く)
・酢飯の素…大さじ4
・卵…2個(錦糸卵)
・サーモン刺身…80g(5mm角)
・マグロ赤身…80g(5mm角)
・きゅうり…1/2本(みじん切り)
・桜でんぶ…大さじ2
・刻み海苔…適量
・絹さや…3枚(さっと茹で薄切り)
~作り方~
①柔らかめに炊いたご飯に酢飯の素を混ぜる
②錦糸卵を作る(細かく)
③サーモン・マグロは刺身用を5mm角にカット
④きゅうりはみじん切り
⑤酢飯にきゅうりを混ぜる
⑥器に盛り、錦糸卵・サーモン・マグロ・桜でんぶを彩りよく
⑦刻み海苔・絹さやで仕上げ完成
~材料(2人分)~
【柔らか赤飯】
・もち米…1合
・小豆(茹でた缶)…大さじ3
・水…200ml(多め)
【鯛のあんかけ】
・鯛切り身(骨取り)…2切れ
・出汁…200ml
・薄口醤油…大さじ1
・みりん…大さじ1
・水溶き片栗粉…大さじ2
【茶碗蒸し】
・卵…2個
・出汁…300ml
・薄口醤油…小さじ1
・みりん…小さじ1
・鶏ささみ・三つ葉…適量
~作り方~
①赤飯:もち米・小豆・水を炊飯器で炊く(水分多めで柔らか)
②鯛:塩を振って蒸し器で12分蒸す
③あんかけ:出汁・調味料を煮立てて水溶き片栗粉でとろみ→鯛にかける
④茶碗蒸し:卵・出汁・調味料を混ぜ→ささみと茶碗に入れて15分蒸す
⑤三つ葉を散らして完成
⑥お祝いの器に盛り付けて敬老御膳の完成
🍳 介護食×行事食で最も大切なのは「家族みんなで同じ食卓を囲む」ことです。介護食だからといって別メニューにせず、健康な家族にも美味しいレシピを作るのがプロの技。今回ご紹介したレシピは、健康な家族が食べても美味しいので、ぜひご家族みんなで召し上がってくださいね🎍
料理人推奨の行事食関連商品
最後に、私が現場で愛用している、介護食×行事食作りに欠かせないアイテムを厳選してご紹介しますね。
※行事食の格を一瞬で上げる山中漆器のミニお重。介護食でも、お重に盛るだけで本物の行事食に変身します。一段でも三段でも、おせちはもちろん、ひな祭り・敬老の日にも一年中使える投資価値の高い1セットです。
※全自動調理の最高峰ホットクック。煮しめ・筑前煮・茶碗蒸しなど行事食の煮込み料理が、材料を入れてボタン押すだけで完成。介護で忙しいご家族の最強の味方です。プロ並みの介護食×行事食が誰でも作れます。
※おせちの煮しめ・筑前煮を10分で柔らかく仕上げる電気圧力鍋。年に何度もある行事食準備の救世主で、タイマー設定でほったらかし調理できるのも魅力。介護現場でも採用されている定番アイテムです。
※行事食の汁物・あんかけに必須のとろみ調整剤。お雑煮・お吸い物・煮物のあんかけに混ぜるだけで適切なとろみが付き、誤嚥防止に直結します。年間通じて使うので、1袋常備が安心です。
※行事食の演出に欠かせない千代結びの装飾。お正月・敬老の日・お祝い事に飾るだけで、介護食でも本物の行事食感が出ます。何度も使える耐久性の高い品で、毎年の行事を彩ってくれます。
※忙しい時の救世主・市販介護食。キユーピーの「やさしい献立」シリーズはおせちの代替・行事食のアレンジに最適。手作りと市販品を上手に組み合わせれば、介護生活が驚くほど楽になりますよ。
介護食×行事食に関する関連記事
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まとめ。。。
今回の記事のポイントをまとめますね。
- 介護食で行事食を作る意味は五感刺激・家族の絆・食欲増進
- 調理5原則は置き換え・圧力鍋・とろみ・彩り・盛り付け
- お正月のお餅は1cm角・とろみ汁と一緒に
- ひな祭りのちらし寿司は介護食化しやすい
- 敬老の日は鯛のあんかけ+柔らか赤飯+茶碗蒸しが鉄板
- かぼちゃ・茶碗蒸し・伊達巻は元から介護食向き
- 器・盛り付けで「特別感」を演出するのがプロの技
- 家族みんなで同じ食卓を囲むことが何より大切
皆さん、介護食でも行事食を諦める必要はないんですよ。正しい調理法と工夫を知れば、ご家族と一緒に季節の彩りある食卓が作れます。
私はおばあちゃん子で育ち、その時の経験から「プロのスキルで食べやすい食事を作りたい」という思いで料理人・栄養士・介護士の道を選びました。20年以上現場で行事食と向き合い、介護現場で食事介助もしてきた経験から、本当に喜んでもらえる介護食×行事食をお伝えできます。
特に敬老の日・お正月・ひな祭りの3大行事は、介護家族にとって大切な思い出作りの機会。今回ご紹介したレシピや工夫を活用して、ぜひご家族との特別な時間を作ってくださいね。
ご家族の食事は、毎日の楽しみであり、生きる活力です。行事の日の食事はそれ以上に、人生の喜びそのもの。今回の記事が皆さんの介護生活の少しでもお役に立てたら、フッくんは本当に嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
フッくんでした!






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