料理研究家、料理人・栄養士・現役介護士のフッくんです。
ご家族の介護をされている方、介護施設で働かれている方の中で、「肉を食べさせあげたい、食べて頂きたいけど、噛み切れなくて飲み込めない」「ひき肉は誤嚥が怖い」「煮込んでも硬いまま」と悩んでいる方、本当に多いですよね。
肉は良質なタンパク質・鉄分・ビタミンB群が豊富で、高齢者の筋肉維持に絶対欠かせない食材です。でも調理を間違えると硬くて噛めず、誤嚥のリスクも上がります。
私は料理人として20年以上、栄養士の資格を持ちながら現役のレクリエーション介護士としても働いています。
料理人として肉を知り尽くし、介護士として現場で食事介助も行ってきた経験から、本当に嚥下しやすい肉と調理法をお伝え出来たらと思います。
前回ご好評いただいた「嚥下しやすい魚10選」の介護食辞典・第2弾として、今回は嚥下しやすい肉10選を完全解説しますね。
料理人厳選の肉10種(牛・豚・鶏)、介護食の嚥下区分早見表、柔らかく仕上げる調理10技、ひき肉の誤嚥対策、NG部位3選、介護食レシピ3品まで、ご家族の食事を本当に支える情報を全部詰め込みました。
この記事を読めば…
- 嚥下しやすい肉の3つの条件が分かる
- 料理人厳選!嚥下しやすい肉10選(牛・豚・鶏)が分かる
- 介護食の嚥下区分(UDF)早見表(肉編)が分かる
- 肉を柔らかく仕上げる調理10技が分かる
- ひき肉の誤嚥対策(つなぎの極意)が分かる
- 嚥下食レシピ3品(牛バラ煮・鶏もも煮・鶏団子あんかけ)が分かる
嚥下しやすい肉の3つの条件

「嚥下しやすい肉」を選ぶには、料理人だからこそ分かる3つの条件があります。これを知るだけで、ご家族に合う肉が選べるようになりますよ。
条件①脂が多い(加熱で硬くならない)
肉は加熱するとタンパク質が固まって硬くなる性質があります。でも脂が多い肉は加熱後も柔らかさを保ちます。
- 脂が多い肉→加熱後もしっとり柔らかい
- 赤身肉→加熱でパサパサ・硬くなりやすい
- 介護食には脂身20%以上の部位がおすすめ
条件②繊維が短い・薄切り
肉の繊維は高齢者の最大の噛み切り困難ポイントです。
- 繊維が長い・厚切り肉→噛み切れない
- 薄切り・繊維と垂直カット→食べやすい
- しゃぶしゃぶ用・薄切り肉が安全
条件③水分量が多く、パサつかない
噛む力が弱くなった方には、口の中で水分が出てまとまる肉が向いています。
- 水分豊富な肉→飲み込みやすい
- パサパサ肉→誤嚥リスク高
- 煮込み・蒸し料理で水分を補給
🍳 私が肉を選ぶ時は、まず「サシ(脂身)・色つや・厚さ」を見ます。介護食用ならさらに「2〜3mmの薄切り・脂身20%以上」を選びます。スーパーでは「しゃぶしゃぶ用」「薄切り」と書かれた商品がベスト。少し高くても、安全と美味しさには代えられませんよ🥩
料理人厳選!嚥下しやすい肉10選


ここからは、私が料理人20年+介護士の視点で厳選した肉10選をご紹介します。脂身・繊維の細かさ・水分量で評価しました。
①牛バラ薄切り(脂多め最強)
嚥下食の肉部門・キング
です。脂身が30%以上あり、煮込んでも口の中でとろけるような食感を保ちます。
- 脂身30%超で煮ても柔らか
- 繊維が短く薄切りで安全
- 煮込み・しゃぶしゃぶに最適
私のお店の煮込みは、ほぼ牛バラ薄切りで作ります。介護食でも信頼の部位です。
②牛もも薄切り(タンパク質重視)
脂は少なめですが、薄切りで使えば赤身でも食べやすいです。タンパク質を効率よく摂りたい時におすすめ。
- 高タンパク・低脂肪
- 薄切り(2mm以下)が必須
- あんかけ・しゃぶしゃぶ向き
③豚バラ薄切り(コスパ最強)
牛バラと並ぶ介護食の鉄板部位。価格が手頃で、脂のジューシーさが食欲をそそります。
- 脂身豊富で柔らかい
- 価格が安く家計に優しい
- 煮物・しゃぶしゃぶ・蒸し料理に◎
④豚ロース薄切り(バランス型)
豚バラより脂控えめで、栄養バランスが良い部位。生姜焼き・しゃぶしゃぶで活躍します。
- 脂と赤身のバランス◎
- ビタミンB1豊富(疲労回復)
- 脂身を残してカットがコツ
⑤豚ひれ(柔らか調理向き)
豚肉の中で最も柔らかい部位。しっとり調理すれば、介護食でも満足感のある一品に。
- 繊維が細かく口どけ良い
- 低脂肪・高タンパク
- 蒸し豚・煮込みが最適
⑥鶏もも(皮なし)
鶏肉部門のエース
。皮を取れば噛みやすく、煮込んでも柔らかさを保ちます。
- 脂と水分のバランスが絶妙
- 皮は必ず除去(噛み切れない)
- 煮込み・トマト煮・蒸し鶏が◎
⑦鶏ささみ(下処理あり)
筋を取れば超柔らかい高タンパク食材。介護施設でも頻繁に使われています。
- 筋を必ず取る(下処理重要)
- 蒸し鶏・あんかけが最適
- パサつき防止に塩麹漬けが◎
⑧鶏むね(柔らか調理)
そのままだとパサつきますが、塩麹・砂糖・低温調理で驚くほど柔らかく変身します。
- 塩麹漬け30分→ふっくら
- 低温(60℃)で1時間調理が理想
- 高タンパク低脂肪でダイエット◎
⑨ひき肉(つなぎ必須)
ひき肉は噛む必要がない反面、口に残って後から誤嚥するリスクがあります。必ずつなぎでまとめましょう。
- 卵・パン粉・豆腐でつなぐ
- 団子・ハンバーグ・つくねに加工
- ばらけたひき肉のままはNG
⑩レバー(下処理あり)
鉄分・ビタミンA・ビタミンB12が圧倒的に豊富
。高齢者の貧血予防に最適です。
- 牛乳に20分浸して臭み抜き
- 柔らかく繊維も短い
- レバーペースト・煮込みが◎
🌿 嚥下しやすい肉は脂が多い=カロリーも高めです。でも高齢者はサルコペニア(筋肉減少)予防のためタンパク質1日60〜80gが必要。1食あたり**肉60〜80g**を目安にすれば、低栄養を防ぎながら美味しく食べられます。レバーは週1〜2回で鉄分補給を忘れずに🥩
介護食の嚥下区分(UDF)早見表(肉編)


ご家族の嚥下レベルに合わせた肉調理を選ぶことが、安全な食事の基本です。日本介護食品協議会のUDF区分で簡単に判断できます。
UDF区分(ユニバーサルデザインフード)
- 区分1:容易にかめる→普通食寄り
- 区分2:歯ぐきでつぶせる→ソフト食
- 区分3:舌でつぶせる→ムース食
- 区分4:かまなくてよい→ペースト食
肉調理の段階別目安
- 区分1→生姜焼き・薄切り肉炒め(普通の調理OK)
- 区分2→煮込み・蒸し鶏(柔らかめ調理)
- 区分3→ハンバーグ・団子・あんかけ(つなぎでまとめる)
- 区分4→ペースト・ムース・レバーペースト(ミキサー必須)
🌿 嚥下区分は「日々の体調で変化する」のがポイント。今日は調子がいいから区分2、疲れている日は区分3と、柔軟に変えてあげてください。ご本人の「むせ」「飲み込みに時間がかかる」様子を観察することが何より大切です。気になる時はすぐに区分を1段階下げて、医師や言語聴覚士にも相談してくださいね👩⚕️
料理人20年!肉を柔らかく仕上げる調理10技


ここからは私がお店と介護現場で実践している、肉を柔らかく仕上げる10技をお伝えします。これを覚えれば、肉の介護食が一気にレベルアップしますよ。
技①繊維と垂直にカット
肉の繊維と90度に切ることで噛み切りやすくなります。これを知らないと硬くなる肉も、切り方一つで柔らかく感じられます。
技②筋切りで縮みを防ぐ
豚ロース・鶏もも肉などは脂と赤身の境目に包丁で切れ目を入れると、加熱時の縮みが防げて柔らかさを保ちます。
技③塩麹・ヨーグルトに漬ける
肉のタンパク質を酵素の力で分解することで、加熱しても柔らかさを保ちます。30分〜1時間漬けるだけで効果絶大。
技④砂糖をまぶす
砂糖が肉の水分を保持してくれます。鶏むね肉に小さじ1の砂糖をすり込んで20分置くだけで、驚くほどしっとり仕上がります。
技⑤マイタケと一緒に漬ける
マイタケに含まれるプロテアーゼ酵素が肉のタンパク質を分解。マイタケと一緒に20分漬けるだけで、安い肉も高級肉のような柔らかさに。
技⑥弱火・低温でじっくり加熱
肉は高温で焼くと一気に固まります。介護食では弱火〜中火でじっくり加熱が鉄則。鶏むね肉は60℃で1時間が理想です。
技⑦圧力鍋で骨まで柔らかく
圧力鍋を使えばスペアリブ・牛すじも10〜15分で骨まで柔らかに。介護食調理の最強アイテムです。
技⑧とろみあんで包む
完成した肉に片栗粉・くず粉でとろみあんをかけると、口の中での滑りが良くなり飲み込みやすくなります。
技⑨煮込みは沸騰させない
肉の煮込みでグラグラ沸騰させると硬くなります。表面に小さな泡が出る程度の弱火で、コトコト時間をかけて煮込むのが鉄則。
技⑩冷やしてから再加熱
肉を煮汁ごと一度冷やしてから再加熱すると、味が染みて食感もさらに柔らかく。前日仕込みは料理人の常識です。
🍳 介護食で最強の組み合わせは「塩麹漬け+圧力鍋+冷やして再加熱」の3コンボです。私のお店ではこの方法で、安い豚バラ肉でも高級店の角煮みたいな柔らかさに仕上げています。介護施設でもこの3コンボを使えば、限られた予算で最大のクオリティが出せますよ🔥
避けるべきNG肉部位3選
逆に、介護食には絶対に向かない肉部位もあります。3つご紹介しますね。
NG①牛・豚のステーキ用厚切り肉
ステーキ用の厚切り肉は繊維が長く硬く、噛み切れません。どんなに柔らかく調理しても限界があり、誤嚥リスクが高すぎます。
NG②鶏皮・豚バラの皮目
鶏皮・豚バラの皮は噛み切るのに大きな力が必要。介護食では必ず除去してから調理しましょう。
NG③ベーコン・ソーセージなどの加工肉
加工肉は繊維が硬く塩分も多いため介護食には不向き。本物の肉を柔らかく調理する方が、栄養面でも安全面でも優れています。
ひき肉の誤嚥対策(つなぎの極意)
ひき肉は便利ですが、そのままでは口に残って後から誤嚥するリスクが極めて高い食材。必ずつなぎを使ってまとめましょう。
つなぎ素材の選び方
- 卵→水分とタンパク質をプラス
- パン粉(牛乳浸し)→ふっくら柔らか
- 絹豆腐→さらに柔らか・低カロリー
- 片栗粉→形状保持にプラスアルファ
ひき肉料理の鉄則3つ
- 必ずつなぎを使ってまとめる(必須)
- 団子・ハンバーグ形状に成形
- 仕上げにあんをかけて滑り良く
嚥下しやすい肉レシピ3品
私が現場で実際に作っている、嚥下しやすい肉レシピ3品をご紹介します。
~材料(2人分)~
・牛バラ薄切り…200g
・大根…5cm(薄切り)
・人参…1/3本(いちょう切り)
・玉ねぎ…1/2個(薄切り)
・しょうが…1片(薄切り)
・出汁…300ml
・醤油…大さじ2
・みりん…大さじ2
・酒…大さじ2
・砂糖…大さじ1
・片栗粉…大さじ1(水大さじ2で溶く)
~作り方~
①牛バラに熱湯をかけて霜降り(臭み取り)
②大根・人参を下茹で(竹串が通るまで)
③鍋に出汁・調味料・しょうがを入れて煮立てる
④野菜を加えて10分煮る
⑤牛バラを加えて弱火で20分(沸騰させない)
⑥火を止めて10分置いて味を含ませる
⑦水溶き片栗粉でとろみをつけて完成
~材料(2人分)~
・鶏もも肉(皮なし)…200g
・玉ねぎ…1/2個(みじん切り)
・にんにく…1片(みじん切り)
・トマト缶…1/2缶
・水…100ml
・コンソメ…1個
・塩・こしょう…少々
・オリーブオイル…大さじ1
・パセリ・粉チーズ…仕上げ用
~作り方~
①鶏もも肉を一口大(2cm角)に切る
②フライパンにオイル+にんにくで香り出し
③玉ねぎを透き通るまで炒める
④鶏ももを加えて表面を焼く
⑤トマト缶・水・コンソメを加える
⑥弱火で30分煮込む(時々混ぜる)
⑦塩こしょうで調整しパセリ・粉チーズを散らして完成
~材料(2人分・鶏団子8個)~
【鶏団子】
・鶏ひき肉…200g
・絹豆腐…50g
・玉ねぎ…1/4個(みじん切り)
・卵…1/2個
・パン粉…大さじ2
・塩…ひとつまみ
・しょうが汁…小さじ1
【あん】
・出汁…300ml
・醤油…大さじ1.5
・みりん…大さじ1.5
・片栗粉…大さじ1(水大さじ2で溶く)
~作り方~
①鶏団子の材料を全てボウルでよく混ぜる
②2cm程度の団子に丸める(8個)
③鍋に出汁・調味料を煮立てる
④団子を入れて弱火で10分煮る
⑤水溶き片栗粉でとろみをつける
⑥火を止めて2分置いて味を含ませる
⑦器に盛って完成
🍳 嚥下食レシピで最重要なのは「煮汁ごと食べる」ことです。煮汁にはタンパク質・うまみ成分が溶け出ているので、必ずあんかけにして上から回しかけるのがプロの技。栄養を無駄にせず、飲み込みやすさも最大化できる一石二鳥の調理法ですよ🥩
料理人推奨の介護食・肉調理関連商品
最後に、私が現場で愛用している、嚥下しやすい肉作りに欠かせない本格アイテムを厳選してご紹介しますね。
※介護食調理の最強相棒。アイリスオーヤマの電気圧力鍋は牛すじ・スペアリブも10分で骨まで柔らかに。タイマー設定でほったらかし調理できるので、介護で忙しいご家族の強い味方です。一度買えば10年以上使える投資価値の高い1台ですよ。
※全自動調理の最高峰ホットクック。材料を入れてボタン押すだけで、肉の柔らか煮込みが完成。介護施設でも採用されている本格機種で、ご家族の食事介助に時間を使いたい方に最適。プロ並みの介護食が誰でも作れます。
※鍋に直接入れて使えるハンドブレンダー。鶏団子のひき肉混ぜ・レバーペースト作りにも最適で、洗い物も少なく介護現場で人気No.1。ブラウンの製品は耐久性が高く、長く使えるので結果的にコスパも◎です。
※肉に細かい切り込みを入れる筋切り器。豚ロース・鶏むね肉などの硬い肉も、これを使うだけで驚くほど柔らかくなります。介護食調理の必需品で、安い肉でもプロ仕様の柔らかさが実現できますよ。
※嚥下食の必需品「とろみ調整剤」。肉のあんかけ・スープ・ソースに混ぜるだけで適切なとろみが付き、誤嚥防止に直結します。介護施設でも採用されている定番品で、トロメイクSPはダマになりにくく温度を選ばず使える優秀品です。
※鍋肌を傷つけないシリコーンヘラ。あんかけ作り・煮込み料理の混ぜ作業に最適で、テフロン鍋にも使えます。耐熱性が高く、料理人レベルの作業がご家庭で実現できる便利アイテムです。
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まとめ。。。
今回の記事のポイントをまとめますね。
- 嚥下しやすい肉は脂・繊維短さ・水分量が条件
- 料理人厳選10選は牛バラ・豚バラ・鶏もも(皮なし)が鉄板
- UDF区分で嚥下レベルに合った調理法を選ぶ
- 調理10技は繊維カット・塩麹漬け・圧力鍋が最強3コンボ
- ひき肉は必ずつなぎを使い団子・ハンバーグに成形
- ステーキ厚切り・鶏皮・加工肉は介護食NG
- あんかけにすれば栄養も飲み込みやすさも最大化
- 電気圧力鍋・ホットクックが介護食調理の強い味方
皆さん、肉の介護食って難しいイメージがあるかもしれませんが、正しい部位選びと調理法を知れば、ご家族に喜んでもらえる嚥下食が作れるんですよ。
私はおばあちゃん子で育ち、その時の経験から「プロのスキルで食べやすい食事を作りたい」という思いで料理人・栄養士・介護士の道を選びました。20年以上現場で肉と向き合い、介護現場で食事介助もしてきた経験から、本当に喜んでもらえる嚥下食をお伝えできます。
特に牛バラ薄切り・豚バラ薄切り・鶏もも(皮なし)の3部位は介護食の鉄板なので、ぜひ最初に試してみてください。
ご家族の食事は、毎日の楽しみであり、生きる活力です。今回の記事が皆さんの介護生活の少しでもお役に立てたら、フッくんは本当に嬉しいです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
フッくんでした!







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