料理研究家、料理大好きフッくんです。
お盆は、ご先祖様をお迎えし、故人を偲ぶ大切な行事ですよね。昔から精進料理(肉や魚を控えた料理)でお迎えする風習があり、そうめんやお煮しめ、ぼたもちなどが食卓に並びます。ただ、ご高齢の方やご家族と一緒に囲む食卓では、「噛む力・飲み込む力」への配慮も欠かせません。
今回は、お盆の伝統的な精進料理を嚥下(えんげ)に配慮してやわらかく仕立てた献立を7選、栄養士・現役介護士の視点でご紹介します。
- お盆の精進料理をやわらかく
そうめん・お煮しめ・ぼたもちを嚥下に配慮して - UDF×嚥下調整食分類2013の早見表
ご家族の状態に合わせて選べます - 献立例A・B(栄養成分付き)
夏に不足しがちな栄養もカバー - 餅の誤嚥を避ける工夫
安全に楽しむためのNG食材も解説
ぜひ最後までご覧くださいね🌸
お盆の介護食の基本
お盆の食事は、地域や宗派によって違いがありますが、ご先祖様への感謝を込めて、精進料理でお迎えするのが一般的です。
- 精進料理が基本
肉や魚を控え、野菜・豆腐・乾物を中心に。ただし介護施設では栄養面から豆腐・高野豆腐・卵などでたんぱく質を補うのもよい - そうめんは「お迎えの道しるべ」
ご先祖様が荷物を背負う紐、または喜びを表すなど諸説ある定番 - 嚥下への配慮を最優先に
やわらかさ・とろみ・ひと口大を意識し、見守りながら召し上がっていただく
夏は食欲が落ちやすく、水分やたんぱく質が不足しがちな季節でもあります。お盆の食卓は、故人を偲ぶ気持ちを大切にしながら、ご高齢の方の体調にもやさしい一膳にしたいですね🍵
お盆の介護食献立7選
お盆の定番を、嚥下に配慮してやわらか仕立てにした7品です。
- ①やわらかそうめん
お盆の定番。やわらかめに茹でて2〜3cmに短くカットし、めんつゆにとろみをつけるとすすり込みによるむせを防げます - ②精進揚げ(やわらか天ぷら)
なす・かぼちゃ・さつまいもを薄い衣で揚げ、だしに浸して衣をやわらかく。ひと口大に切って - ③やわらかお煮しめ
里芋・人参・かぼちゃ・高野豆腐・椎茸を、だしでくたっとやわらかく煮含める。精進だし(昆布・椎茸)で上品に - ④豆腐の白和え
絹ごし豆腐をなめらかに練り、やわらかく茹でたほうれん草・人参を和える。たんぱく質も補える一品 - ⑤なめらかぼたもち風
もち米は誤嚥の心配があるため、上新粉の団子や軟飯をやさしく丸め、なめらかなこしあんで包んだ安全なお供え風スイーツに - ⑥冬瓜のそぼろあんかけ
旬の冬瓜をくたっと煮て、高野豆腐のそぼろあんをとろみをつけてかける。夏らしい涼やかな一品 - ⑦水ようかん
こしあんの水ようかんは、つるんとなめらかで嚥下しやすい夏の和菓子。お供えにも喜ばれます
お盆の定番そうめんは、やわらかめに茹でて短く切り、つゆにとろみをつければ、ご高齢の方も安心して召し上がれます。即席のにゅうめんなら、温かいだしでやわらかく仕上がり、夏の食欲が落ちた時にも食べやすい一品です。
UDF×嚥下調整食分類2013 早見表
ご家族やご利用者様の状態に合わせて、かたさ・とろみを選びましょう。市販の介護食でおなじみのUDF区分と、医療・介護現場で使われる嚥下調整食分類2013の対応の目安です。

| UDF区分 | 嚥下調整食分類2013 | 状態の目安 | お盆メニュー例 |
|---|---|---|---|
| 区分1 容易にかめる | コード4 | かたいものが苦手な方 | やわらかお煮しめ・精進揚げ |
| 区分2 歯ぐきでつぶせる | コード3 | 歯ぐきでつぶせる程度 | 豆腐の白和え・やわらかそうめん |
| 区分3 舌でつぶせる | コード2-2 | 舌でつぶせる程度 | 冬瓜のあんかけ・なめらかぼたもち風 |
| 区分4 かまなくてよい | コード2-1 | かむのが難しい方 | 水ようかん・白和えのペースト |
※UDF区分に該当しないコード1j・0j・0t(ゼリー状・とろみ水など)は、より配慮が必要な段階です。状態に迷う場合は、かかりつけ医や言語聴覚士など専門職にご相談ください。
お盆の介護食 献立例
栄養バランスを考えた献立例を2パターンご用意しました。夏に不足しがちなたんぱく質とビタミンも意識しています。
軟飯
やわらかそうめん
精進揚げ(なす・かぼちゃ)
やわらかお煮しめ
水ようかん

全粥
冬瓜のそぼろあんかけ
豆腐の白和え
なめらかぼたもち風

| 栄養価 | 献立例A(やわらか膳) | 献立例B(つぶし膳) |
|---|---|---|
| メニュー | 軟飯 やわらかそうめん 精進揚げ お煮しめ 水ようかん | 全粥 冬瓜のそぼろあんかけ 豆腐の白和え なめらかぼたもち風 |
| エネルギー | 520kcal | 420kcal |
| たんぱく質 | 18.0g | 15.0g |
| 脂質 | 14.0g | 10.0g |
| 炭水化物 | 80.0g | 68.0g |
| 食物繊維 | 5.0g | 4.0g |
| カルシウム | 180mg | 200mg |
| ビタミンC | 25mg | 18mg |
| 食塩相当量 | 2.0g | 1.8g |
献立例Aは噛む力が比較的ある方向け、Bは舌でつぶせる程度の方向けです。どちらも豆腐や高野豆腐でたんぱく質を補い、夏バテ対策にもなる構成にしています🌸
お盆の介護食 嚥下対応の調理5原則
精進料理をやわらかく安全に仕上げるための、現場で実践している5つの原則です。
- ①やわらかく煮含める
野菜や乾物は、箸でほろりと崩れるまで時間をかけて煮る。圧力鍋も便利 - ②ひと口大・繊維を断つ
繊維のある野菜は繊維を断ち切る方向に切り、ひと口大に。すすり込む麺は短くカット - ③とろみで誤嚥を防ぐ
そうめんのつゆ・あんかけにとろみ調整剤を使い、口の中でまとまりやすくする - ④水分とたんぱく質を補う
夏は脱水に注意。豆腐・高野豆腐・卵でたんぱく質を、汁物やゼリーで水分を - ⑤見た目と季節感を大切に
器や彩りで季節を感じられる盛り付けに。食べる楽しみが食べる意欲につながります
とろみ調整剤は、つゆやあんかけのとろみづけに欠かせない介護食の必需品。さっと溶けてダマになりにくいタイプを選べば、むせ込みを防ぎ、安全に召し上がっていただけます。
お盆の嚥下対応レシピ3品
代表的な3品の作り方を詳しくご紹介します。
【1】やわらかそうめん(2人前)
そうめん100g/めんつゆ(ストレート)200ml/とろみ調整剤適量/青ねぎ少々
①そうめんを表示より1〜2分長めにやわらかく茹で、流水でしめて2〜3cmに短く切ります。
②めんつゆを温め、とろみ調整剤を加えて、軽くとろみをつけます。
③器にそうめんを盛り、とろみつゆをかけ、やわらかく刻んだ青ねぎを添えて完成。すすり込まずに食べられます。
【2】やわらかお煮しめ(2人前)
里芋4個/人参1/3本/かぼちゃ1/8個/高野豆腐1枚/干し椎茸2枚/精進だし(昆布・椎茸)400ml/薄口しょうゆ・みりん各大さじ1
①里芋・人参・かぼちゃをひと口大に切り、面取りします。高野豆腐は戻してひと口大に。
②精進だしと調味料で、野菜が箸でほろりと崩れるまで弱火でじっくり煮含めます。
③一度冷ますと味が染み込みます。再度温めて、やわらかさを確認してから提供を。
【3】なめらかぼたもち風(4個分)※餅の代替
上新粉50g/水適量/軟飯100g/こしあん120g
①上新粉を熱湯で練り、やわらかい団子生地を作ります(または軟飯をすりつぶして使用)。
②ひと口大に丸めます(もち米は使わず、誤嚥しにくいやわらかさに)。
③なめらかにのばしたこしあんで包んで完成。お供えにも、おやつにも安心していただけます。
お盆の介護食で避けたいNG食材3選
ご先祖様をお迎えする席だからこそ、安全に楽しんでいただくために気をつけたい食材を3つまとめました。
- 餅・もち米のぼたもちお盆の定番であるぼたもち・おはぎは、もち米が使われており、粘り気が強く喉に貼りつきやすいため、ご高齢の方には誤嚥・窒息のリスクが高い食材です。提供は避け、上新粉の団子や軟飯を使った「なめらかぼたもち風」や、ういろう・上新粉ゼリー・葛菓子などで代替しましょう。お供えの気持ちは大切にしつつ、安全な形で楽しんでいただくのが一番です。
- お供えの硬い生果物りんごや梨などの硬い生果物は、噛み砕きにくく、かけらが気道に入る危険があります。お供えとして飾るのはよいですが、召し上がる際は、すりおろす・やわらかく煮る・コンポートにするなどの工夫を。バナナや熟した桃、缶詰の果物など、やわらかいものを選ぶと安心です。
- そうめんの長いまま・濃いつゆそうめんは長いまますするとむせやすく、誤嚥につながります。必ず2〜3cmに短く切り、つゆにはとろみをつけてまとまりやすくしましょう。また、めんつゆは塩分が高めなので、薄めて使うのが基本。夏は汗で塩分も出ますが、とりすぎには注意し、薄味で素材の味を活かしましょう。
ひと手間かけるだけで、ご家族みんなが安心してお盆の食卓を囲めますよ🌸
現役介護士のお盆の食卓のコツ

🍵 お盆の食卓で大切にしているのは、「安全と、故人を偲ぶ気持ちの両立」です。
精進料理をすべて完璧に揃える必要はありません。ご利用者様の嚥下の状態に合わせて、やわらかさやとろみを調整し、一品でもお盆らしいメニュー(そうめんや水ようかんなど)があれば、季節と行事を感じていただけます。器や彩りで「お盆だね」と会話が生まれることも、食べる意欲につながります。無理なく、ご家族やご利用者様のペースに合わせて楽しんでくださいね🥢
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お盆の介護食に関するよくある質問
お盆の介護食について、よくいただく質問4つにお答えします。
Q1. お盆はやっぱり精進料理にすべき?
A. 気持ちを大切にしつつ、柔軟にで大丈夫です。
地域や宗派で考え方は様々で、浄土真宗のように精進にこだわらない場合もあります。介護施設では、ご利用者様の栄養を優先し、豆腐・高野豆腐・卵などでたんぱく質を補うことも大切です。一品でもお盆らしいメニューがあれば、十分に季節を感じていただけますよ🌸
Q2. ぼたもちは食べさせてあげたいけど大丈夫?
A. もち米は避け、代替がおすすめです。
ぼたもちのもち米は喉に貼りつきやすく、ご高齢の方には誤嚥・窒息のリスクがあります。上新粉の団子や軟飯を使った「なめらかぼたもち風」、ういろうや葛菓子などで代替すれば、安全にお供えの気持ちを形にできます🥄
Q3. 夏の食欲が落ちている時の工夫は?
A. つるんと食べやすいものと水分補給を意識しましょう。
水ようかん・そうめん・冬瓜のあんかけなど、のど越しのよいメニューがおすすめ。夏は脱水にも注意が必要なので、汁物やゼリーで水分とエネルギーを補ってください。彩りや器で涼やかさを演出するのも食べる意欲につながります🍵
Q4. UDF区分と嚥下調整食分類2013、どう使い分ける?
A. 市販品はUDF、現場の共有は分類2013が目安です。
スーパーで買える介護食のパッケージにはUDF区分が、医療・介護の現場では嚥下調整食分類2013がよく使われます。本記事の早見表を参考に、ご家族の状態に合うかたさを選んでください。迷う場合は専門職にご相談を🌸
まとめ。。。
今回は、お盆の精進料理をやわらかく仕立てた介護食献立を7選ご紹介しました。
- お盆の定番をやわらか仕立てで
そうめん・お煮しめ・精進揚げ・ぼたもち風など7品 - UDF×嚥下調整食分類2013で選ぶ
状態に合わせたかたさ・とろみを - 餅は代替で安全に
上新粉・こしあん・葛菓子などで誤嚥を防いで - 夏の栄養と水分も意識
豆腐・高野豆腐でたんぱく質、汁物・ゼリーで水分を
お盆は、ご先祖様や故人を偲ぶ、心静かな大切な時間です。ご高齢のご家族と一緒に食卓を囲むなら、安全への配慮を忘れずに、けれど季節と行事の気持ちを大切に。やわらかく仕立てた精進料理で、みんなが安心して過ごせるお盆になりますように。ご家族やご利用者様のペースに合わせて、無理なく楽しんでくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。フッくんでした!








