料理研究家、料理大好きフッくんです。
外はカリッと、中はふんわり、つゆがしみた揚げ出し豆腐。
和食のおかずとして人気ですが、いざ献立にしようとすると、迷うことはありませんか?
こんなお悩み、よく聞きます。
- 揚げ出し豆腐は主菜?副菜?
これ一品でおかずになるのか、もう一品主菜がいるのか分からない。 - 揚げ物と揚げ物が重なる
何を合わせても、こってりした献立になってしまう。 - 汁物と副菜がいつも同じ
味噌汁と漬物から、なかなか抜け出せない。
この記事では、現役料理人20年の私が、お店で組んできた献立をもとに、揚げ出し豆腐に合う献立を15選でお伝えします。
主菜・汁物・もう一品の選び方から、私のお店の献立例、家族に出す工夫まで、順番に見ていきましょう。

揚げ出し豆腐は主菜か副菜か
揚げ出し豆腐は、量しだいで主菜にも副菜にもなるおかずです。
豆腐1/2丁(約150g)なら、たんぱく質がしっかりとれて、主菜の役目を果たせます。
小鉢に2切れほどなら、焼き魚や肉料理に添える副菜になります。
私のお店の献立では、揚げ出し豆腐は豆腐35〜60gほどの小鉢にして、副菜として出すことがほとんどでした。
豆腐はやさしい味なので、魚や肉の主菜をひとつ立てると、献立に芯ができます。
この記事でも、揚げ出し豆腐を「主役級の副菜」として、主菜・汁物・もう一品を組み立てていきます。
揚げ出し豆腐ってどんな料理?発祥と由来

揚げ出し豆腐は、片栗粉をまぶした豆腐を油で揚げ、温かいつゆをかけて食べる和食です。
江戸時代の料理本にも、豆腐を揚げてつゆで食べる料理が出てくると言われています。
その本としてよく名前があがるのが、天明2年(1782年)に大坂で出された『豆腐百珍』です。
『豆腐百珍』は、豆腐の料理を100品集めた本で、料理の格を6つの段階に分けて紹介しています。
揚げ出し豆腐の原型と見られる料理も、この本に登場すると言われているんですよね。
ただ、どこで生まれた料理なのかは、はっきりとは分かっていません。
長く家庭や料理屋で親しまれてきた、和食の定番のひとつです。
厚揚げとの違いは、衣があるかどうかです。
衣がつゆを吸って、とろりとした口あたりになるのが、揚げ出し豆腐ならではのおいしさです。
つゆは、だし4:しょうゆ1:みりん1が基本で、作り方の記事でくわしく紹介しています。
献立の考え方——3つのポイント

揚げ出し豆腐の献立を組むとき、私が気をつけているのは次の3つです。
どれも、揚げ出し豆腐の「揚げ物」と「やさしい味」という2つの顔から考えています。
①主菜は揚げない料理で
揚げ出し豆腐は、衣をつけて揚げた料理です。
主菜まで揚げ物にすると、油が重なって献立が重くなります。
焼き魚や照り焼き、煮物など、揚げない主菜を合わせるのが基本です。
②汁物で口をさっぱり
つゆと油のこくがある揚げ出し豆腐には、具の少ないすまし汁や、野菜の味噌汁がよく合います。
汁物で口の中がさっぱりして、次のひと口がまたおいしくなります。
③青い野菜を一品
揚げ出し豆腐も焼き魚も、色は茶色やきつね色になりがちです。
ほうれん草のお浸しや酢の物など、青い野菜の小鉢をひとつ足すと、見た目も栄養もまとまります。
私のお店の献立例——A・B

ここからは、私のお店で実際に出していた献立を2つご紹介します。
どちらも揚げ出し豆腐を小鉢の副菜にして、主菜と汁物、ご飯を合わせた定食の形です。
献立A——魚の日
①揚げ出し豆腐のなめ茸あんかけ
②鯖の塩焼き(大根おろし添え)
③味噌汁(里芋・わかめ・ねぎ)
④ご飯(150g)
なめ茸のあんが、揚げ出し豆腐にとろりとからむ献立です。
脂ののった鯖の塩焼きには大根おろしを添えて、口の中をさっぱりさせます。
里芋の味噌汁は、ほっくりとした甘みで献立をやさしくまとめます。
献立B——肉の日
①木綿しめじ揚げ出し豆腐
②かしわの照り焼き(ボイルキャベツ添え)
③舞茸のすまし汁
④ご飯(150g)
甘辛いかしわの照り焼きに、しめじ入りの揚げ出し豆腐を合わせた献立です。
照り焼きのたれと揚げ出し豆腐のつゆは、どちらもしょうゆとみりんの味なので、汁物は舞茸のすまし汁であっさりと。
かしわ(鶏肉)は、中心75℃1分以上を目安に、中までしっかり火を通してください。
新鮮な鶏肉でも、生焼けはカンピロバクターによる食中毒の原因になり、まれに手足のまひが起こるギラン・バレー症候群につながることもあると言われています。
いちばん厚いところを切って、中まで白く色が変わっているか確かめると安心です。
| 栄養価(1人前) | 献立A(魚の日) | 献立B(肉の日) |
|---|---|---|
| メニュー | ①揚げ出し豆腐のなめ茸あんかけ ②鯖の塩焼き(大根おろし添え) ③味噌汁(里芋・わかめ・ねぎ) ④ご飯(150g) | ①木綿しめじ揚げ出し豆腐 ②かしわの照り焼き(ボイルキャベツ添え) ③舞茸のすまし汁 ④ご飯(150g) |
| エネルギー | 約460kcal | 約500kcal |
| たんぱく質 | 約20.4g | 約29.5g |
| 脂質 | 約12.3g | 約10.1g |
| 炭水化物 | 約73.5g | 約77.3g |
| 食物繊維 | 約4.6g | 約3.8g |
| カルシウム | 約80mg | 約90mg |
| ビタミンC | 約10mg | 約10mg |
| 食塩相当量 | 約3.9g | 約2.5g |
文部科学省『日本食品標準成分表(八訂)』を参考に算出した概算値です。
1人前は、私のお店の献立の分量どおりに計算しています。
- 揚げ出し豆腐の豆腐:献立A 35g・献立B 60g
- 鯖:50g
- 鶏もも肉(皮なし):100g
- ご飯:150g
献立Aの塩分約3.9gは、1日の目標量(男性7.5g未満・女性6.5g未満・食事摂取基準2025年版)のおよそ5割です。
塩焼きの塩と味噌汁が重なるので、味噌汁を少し残すと、ちょうどよく調整できます。
主菜5選——揚げない料理を

揚げ出し豆腐に合わせる主菜は、揚げない料理から選びます。
魚・鶏・豚・牛と、素材が重ならないように5つ選びました。
その日の気分で、魚にするか肉にするかを決めてください。
①鯖の塩焼き——大根おろしを添えて
脂ののった鯖の塩焼きは、揚げ出し豆腐のやさしい味とよく合います。
大根おろしを添えると、揚げ物の油もすっきりします。
②ぶりの照り焼き——甘辛いたれで
甘辛いたれをからめたぶりは、ご飯によく合う主菜です。
揚げ出し豆腐のつゆと味が近いので、汁物はすまし汁にすると味が重なりません。
③かしわの照り焼き——肉の日に
鶏もも肉を甘辛く焼いた、ボリュームのある主菜です。
ボイルしたキャベツを添えると、野菜もとれます。
④豚の生姜焼き——しょうがの香りで
しょうがの香りが、揚げ出し豆腐の薬味とつながります。
豚肉は、中心75℃で1分以上を目安に、中まで火を通してください。
⑤肉じゃが——煮物でほっこり
揚げ物に煮物を合わせると、献立に温かみが出ます。
肉じゃがの甘めの味つけは、子どもにも人気です。
鯖に塩をふって10〜15分おくと、表面に水気が出てきます。
この水気をキッチンペーパーで拭いてから焼くと、臭みが抜けて、身もふっくら焼き上がります。
揚げ出し豆腐のやさしい味の横で、塩焼きの香ばしさが献立の芯になります。
汁物5選——味噌汁かすまし汁か

揚げ出し豆腐の献立の汁物は、主菜の味つけで選ぶと決まりやすくなります。
塩焼きの日は味噌汁、照り焼きや煮物の日はすまし汁、と覚えておくと迷いません。
ここでは、豆腐が重ならない汁物を5つ選びました。
①里芋の味噌汁——ほっくり甘い
里芋のほっくりとした甘みが、秋冬の献立にぴったりです。
わかめとねぎを合わせて、彩りも添えます。
②舞茸のすまし汁——香りで軽く
舞茸の香りが立つ、あっさりしたすまし汁です。
照り焼きの日に合わせると、献立全体が軽くなります。
③あさりの味噌汁——貝のうま味
あさりのうま味が溶けた味噌汁は、魚の主菜とよく合います。
あさりは、中心部85〜90℃で90秒以上を目安に、口が開いてからさらに加熱してください。
口が開かないものは取り除いてください。
④南瓜の味噌汁——やさしい甘み
南瓜の甘みが味噌に溶けて、子どもにも飲みやすい味噌汁になります。
黄色い色が、茶色くなりがちな献立を明るくします。
⑤はんぺんのすまし汁——ふわふわ
ふわふわのはんぺんと三つ葉を浮かべた、上品なすまし汁です。
やわらかいので、高齢の方にも食べやすい汁物です。
もう一品5選——青い野菜を

主菜と汁物が決まったら、もう一品で献立の彩りと食感を整えます。
揚げ出し豆腐がやわらかいぶん、歯ごたえのある小鉢や、さっぱりした酢の物がよく合います。
①ほうれん草のお浸し——青みの定番
だしとしょうゆで味をつけ、かつお節をのせたお浸しです。
青い野菜がひとつあるだけで、献立がぐっと引き締まります。
②きんぴらごぼう——歯ごたえを
ごぼうとにんじんを甘辛く炒めた、歯ごたえのある小鉢です。
やわらかい揚げ出し豆腐との食感の違いが楽しめます。
③もずくの酢の物——さっぱりと
もずくと胡瓜を甘酢で和えた酢の物は、揚げ物の献立にさっぱり感を足してくれます。
3歳ごろまでのお子さんの分は、胡瓜をさっと湯通ししてから和えてください。
④だし巻き卵——やさしい黄色
だしをたっぷり含んだだし巻き卵は、献立に黄色を足す一品です。
揚げ出し豆腐と同じだしの味で、献立に一体感が出ます。
⑤ひじきと枝豆——ごまあえで
ひじきと枝豆を、ごまの香りで和えた小鉢です。
黒と緑の色が、献立の見た目にめりはりをつけます。
小さなお子さんの分は、枝豆を刻んでから和えてください。
献立を作るときは、主菜と汁物、小鉢を先に仕上げて、揚げ出し豆腐をいちばん最後に揚げます。
揚げたてにつゆを張ると、衣のカリッととろりの両方が楽しめます。
豆腐の水切りと片栗粉の準備だけ、先に済ませておくと手際よく進みます。
避けたい組み合わせ3つ

揚げ出し豆腐の献立で、やってしまいがちな組み合わせを3つ挙げておきます。
どれも、少し入れ替えるだけで、ぐっとバランスのいい献立になります。
- 揚げ物を重ねる
とんかつや唐揚げと合わせると、油が重なります。主菜は焼くか煮る料理にします。 - 豆腐を重ねる
冷奴や豆腐の味噌汁まで並ぶと、食感も味も単調になります。汁物と小鉢は豆腐以外から選びます。 - しょうゆ味ばかりにする
つゆ・照り焼き・煮物と続くと、味が重なります。酢の物やお浸しで味を変えます。
3つに共通するのは、「揚げ出し豆腐とかぶらないものを選ぶ」ということです。
調理法・素材・味つけの3つを少しずつずらすと、毎日の献立に変化がつけられます。
栄養と家族への出し方

栄養士として見ると、揚げ出し豆腐は、豆腐のたんぱく質がとれるうれしいおかずです。
小鉢の量なら、主菜の魚や肉と合わせて、1食のたんぱく質をしっかり確保できます。
あとは青い野菜の小鉢を足せば、献立のバランスが整います。
気をつけたいのは、つゆと汁物の塩分です。
揚げ出し豆腐のつゆは器の底に張るので、全部飲まずに残すと塩分を控えられます。
この記事の献立に使う特定原材料は、しょうゆの小麦、竹輪とはんぺんの小麦や卵(商品によって)、だし巻き卵の卵です。
準ずる品目では、大豆(豆腐・しょうゆ・味噌・枝豆)・さば・鶏肉・豚肉・牛肉・ごま(ごまあえ・きんぴら)、はんぺんのやまいも(商品によって)が入ります。
食物アレルギーのあるご家族がいるときは、表示を確かめてください。
揚げ出し豆腐のつゆや照り焼きのたれのみりんは、ひと煮立ちさせてアルコールを飛ばしてから使います。
お子さんや妊娠中・授乳中の方、お酒に弱い方やアルコールを控えている方と食べる日も、この形にしてください。
揚げ出し豆腐を豆腐1/2丁の主菜サイズにした日は、魚や肉の主菜を小さめにします。
小鉢サイズの日は、主菜をしっかり。
豆腐と主菜を合わせて考えると、たんぱく質のとりすぎも、足りなさも防げます。
高齢者や子供にやさしい揚げ出し豆腐

揚げ出し豆腐は、中がやわらかく、つゆでしっとりするので、家族みんなで食べやすいおかずです。
献立全体で、食べる人に合わせた工夫を少し足してあげましょう。
高齢の家族に出すとき
揚げ出し豆腐は、ひと口で食べられる大きさに切ってから出します。
鯖などの焼き魚は、取り分ける前と出す前に、骨を2回確かめてください。
きんぴらごぼうは噛み切りにくいので、細く短く切って、やわらかめに煮ます。
つゆやすまし汁はさらさらで、むせやすいことがあります。
飲み込む力に不安がある方には、市販のとろみ剤(とろみ調整食品)でとろみをつけてからお出しします。
形ややわらかさは、日本摂食嚥下リハビリテーション学会の嚥下調整食学会分類2013を目安に調整してくださいね。
小さなお子さんに出すとき
揚げたての揚げ出し豆腐は中が熱いので、少し冷ましてから出してください。
2歳以下のお子さんには、衣を外して、やわらかい豆腐を小さく取り分けると食べやすくなります。
揚げ物で、つゆの味つけも大人と同じなので、1歳未満のお子さんには揚げ出し豆腐そのものは出さないようにしましょう。
豆腐を離乳食に使うときの始める時期や量は、月齢で変わるので、かかりつけの先生や自治体の相談窓口で確かめてくださいね。
私は現役介護士でもあります。
揚げた衣は、噛む力や飲み込む力が弱い方には、口の中でまとまりにくいことがあります。
そんな日は、豆腐に片栗粉を薄くまぶしてゆで、なめ茸のとろりとしたあんをかけてお出ししています。
飲み込む力に不安がある方の分は、あんのとろみも市販のとろみ剤でつけます。
献立Aのなめ茸あんかけと同じ味なので、家族と同じ献立を囲めます。
揚げ出し豆腐を、揚げないあんかけ豆腐に置き換える日があっていい。
揚げ出し豆腐の献立でよくある質問
最後に、揚げ出し豆腐の献立について、よくいただく質問にお答えします。
Q1. ご飯以外の主食は?
炊き込みご飯もよく合います。
きのこやひじきの炊き込みご飯にすると、揚げ出し豆腐のつゆと香りがつながります。
Q2. お弁当に入れられる?
つゆを含むと衣がしんなりするので、お弁当にはあまり向きません。
入れるなら、つゆをかけずに冷ましてから詰め、その日のうちに食べてください。
Q3. 作り置きできる?
揚げ出し豆腐は、揚げたての衣を楽しむ料理です。
前もって準備するなら、豆腐の水切りとつゆ作りまでにして、揚げるのは食べる直前にしてください。
Q4. 揚げずに作れる?
作れます。
フライパンに少し多めの油を入れて、揚げ焼きにすると手軽です。
油がはねやすいので、豆腐の水気をしっかり拭いてから入れてください。
揚げている間はフライパンから離れず、小さなお子さんは台所から離してくださいね。
“おいしい”は、全部が重なること
揚げ出し豆腐の献立を考えるとき、私は四つの軸で見ています。
揚げ出し豆腐のやさしさ、主菜の存在感、汁物のさっぱり、そして小鉢の彩りです。
揚げ出し豆腐は、一品だけで完成する料理ではありません。
揚げ出し豆腐だけでは物足りず、主菜だけでは重くなる。
それぞれの料理が、同じお盆の上で別の役割を持っているから、最後のひと口までおいしいんです。
豆腐と、主菜と、汁物と、小鉢。
その全部が重なったとき、いつもの定食が、少し特別な夕ごはんになります。
まとめ。。。

揚げ出し豆腐に合う献立を、最後にもう一度まとめますね。
- 揚げ出し豆腐は主役級の副菜
小鉢なら副菜、豆腐1/2丁なら主菜にも。 - 主菜は揚げない料理で
鯖の塩焼き・照り焼き・生姜焼き・肉じゃがから。 - 汁物は主菜の味で選ぶ
塩焼きの日は味噌汁、照り焼きの日はすまし汁。 - もう一品は青い野菜
お浸しや酢の物で、彩りと食感を。 - 揚げ物・豆腐・しょうゆ味を重ねない
調理法・素材・味つけを少しずつずらします。 - 揚げ出し豆腐は最後に揚げる
揚げたてにつゆを張って、カリッととろりを。 - 家族に合わせて形を変える
高齢の方にはあんかけ、小さなお子さんには衣を外して。
揚げ出し豆腐は、どんな主菜とも手をつなげる、やさしいおかずです。
魚の日も、肉の日も、小鉢にひとつ添えるだけで、献立がぐっと和の定食らしくなります。
今夜の献立に、揚げたての揚げ出し豆腐を加えてみてくださいね。
いつもの夕ごはんが、ちょっと料理屋さんの定食に近づくはずだよ。
フッくんでした!
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