料理研究家、料理大好きフッくんです。
サクッとした衣の中から、ふっくらした白い身が顔を出すあじフライ。
定食屋さんでも家庭でも、昔から愛されてきた揚げ物ですよね。
でも、家で作るとなると、あじを開くところでつまずく方が多いようです。
こんなお悩み、よく聞きます。
- あじの開き方が分からない
ぜいごや骨の取り方が分からず、身がぼろぼろになる。 - 魚の臭みが気になる
揚げても、生ぐささが残ってしまう。 - 衣がはがれてべちゃっとする
お店のようなサクサク感が出ない。
この記事では、寿司職人20年の私が、あじの開き方からサクサクの衣、揚げ方まで、あじフライの作り方をまるごとお伝えします。
小骨の取り方や、家族に出すときの工夫まで、順番に見ていきましょう。

あじフライとは——開いて揚げる定番
あじフライは、開いたあじに小麦粉・卵・パン粉の衣をつけて、油で揚げる料理です。
あじは一年中手に入りますが、脂がのっておいしいのは初夏から夏にかけてと言われています。
お店では、その日の朝に仕入れたあじを開いて揚げていました。
新鮮なあじの選び方
目が澄んでいて、えらが鮮やかな赤色のものを選びます。
体に張りとつやがあり、お腹がかたく締まっているものが新鮮です。
開いてあるあじを買うときは、身がみずみずしく、ドリップ(赤い汁)が出ていないものを選んでください。
あじの開き方——ぜいごを取って背開き

あじフライのいちばんの山場が、あじを開く作業です。
寿司屋では、あじを開くのは見習いが最初に覚える仕事のひとつでした。
慣れれば1尾1分ほどでできるので、ゆっくり順番に覚えていきましょう。
ぜいごを取る
ぜいごは、あじの尾の近くにある、かたいとげのようなうろこです。
包丁をねかせて尾のほうから入れ、上下に小さく動かしながら頭のほうへそぎ取ります。
両面とも取ったら、うろこを包丁の背でこそげ落とします。
頭と腹わたを取る
胸びれの後ろから包丁を入れて、頭を落とします。
お腹を少し切って腹わたをかき出し、中の血合いを流水でていねいに洗ってください。
背から開いて中骨を外す
背から包丁を入れ、中骨にそって腹の皮を切らないところまで開きます。
中骨を尾の付け根で切り離し、腹骨を包丁でうすくすき取れば、フライ用の開きのできあがりです。
魚をさばく基本は、魚のさばき方の記事でも紹介しています。
開いてあるあじを使えば、この工程はまるごと省けます。
あじを開くときは、包丁の刃を中骨に軽く当てたまま、骨の上をすべらせるように動かします。
包丁が骨から浮くと、身が骨に残ってしまい、もったいないうえに見た目もぼろぼろになります。
刃先で骨の感触を追いかける——これが、寿司屋で最初に教わった開き方の極意です。
臭み取り——塩をふって10分

あじの生ぐささは、身の表面に出てくる水分に多く含まれています。
揚げる前にこの水分を抜いておくと、臭みが消えて、衣もはがれにくくなります。
お店では、どんなに新鮮なあじでも、必ずこのひと手間をしています。
開いたあじの両面に、薄く塩をふって10分ほどおきます。
表面ににじみ出てきた水気を、キッチンペーパーでしっかり拭き取ってください。
血合いが残っていると臭みの原因になるので、塩をふる前にもう一度きれいに洗っておきます。
サクサク衣——つけたらすぐ揚げる

あじフライの衣は、小麦粉・溶き卵・パン粉の3つです。
献立の記事でもお伝えしているとおり、サクサクに揚げるコツは「衣をつけたらすぐ揚げる」ことです。
時間をおくと、パン粉が身の水分を吸って、べちゃっとした仕上がりになってしまいます。
小麦粉は薄くはたく
小麦粉は、全体に薄くまぶして、余分な粉をしっかりはたき落とします。
粉が厚いと、衣がはがれる原因になります。
パン粉は軽く押さえてなじませる
溶き卵にくぐらせたら、パン粉を全体にまぶし、手のひらで軽く押さえてなじませます。
中目のパン粉を使うと、身の厚みとのバランスがよく、サクッとした食感に仕上がります。
あじフライの作り方——6工程

ここからは、4人分の作り方を順番に見ていきます。
あじを開くところから始めても、30分ほどで揚げたてが食卓に並びます。
材料は4人分で、次のとおりです。
- あじ 4尾(開いてあるものでも可)
- 塩 少々
- 小麦粉 大さじ3
- 卵 1個
- パン粉(中目) 適量
- 揚げ油 適量
- せん切りキャベツ・レモン・ソースやタルタルソース 適量
工程1 あじを開く
ぜいごと頭、腹わたを取り、背から開いて中骨と腹骨を外します。
工程2 塩をふって水気を拭く
両面に薄く塩をふって10分おき、出てきた水気をしっかり拭き取ります。
工程3 小麦粉をまぶす
全体に薄く小麦粉をまぶし、余分な粉をはたきます。
工程4 溶き卵にくぐらせる
溶き卵に全体をくぐらせ、余分な卵を落とします。
工程5 パン粉をつける
パン粉をまぶして、手のひらで軽く押さえてなじませます。
工程6 170〜180℃で揚げる
衣をつけたら、すぐに170〜180℃の油で揚げます。
揚げ方のくわしいポイントは、次の見出しでお伝えします。
揚げ方——170〜180℃で3〜4分

あじフライは、170〜180℃の油で揚げます。
献立の記事でも、揚げ油を180℃に保つのがサクサクのコツとお伝えしています。
えびフライの作り方の記事と同じく、パン粉を落としてすっと散って浮けば適温の合図です。
皮目を下にしてそっと入れる
あじは、皮目を下にして、鍋のふちからすべらせるようにそっと入れます。
入れてすぐは衣がやわらかいので、1分ほどは触らずに待ちます。
衣が固まったら裏返して、合計3〜4分、全体がきつね色になるまで揚げます。
油はねと鍋のそばの注意
揚げている間は、鍋から離れないでください。
油がはねることがあるので、揚げている間はお子さんを台所から離してくださいね。
揚げ油の温度の見分け方は、揚げ物のコツの記事でくわしく紹介しています。
火の通りの確かめ方——中心まで白く

あじは身が薄く、火が通りやすい魚です。
それでも、身の厚いところは中まで火が通っているかを確かめてから出してください。
揚げ色ではなく、次の3つで確かめます。
- 身:中心まで白く不透明
いちばん厚い1枚を切って、中心まで白く、透きとおった部分がないかを見ます。 - 泡:揚げる泡が小さく静かになる
入れた直後の大きな泡が、小さく静かな泡に変わってきます。 - 浮き:浮いて、持つと軽い
身の水分が抜けてくると、あじが浮いてきて、持ち上げたときに軽く感じます。
揚げたての身はとても熱くなっているので、食べるときはひと呼吸おいてからにしてくださいね。
骨の確かめ方——小骨は2回

あじには、身の中央に小骨が一列に並んでいます。
揚げると小骨もやわらかくなりますが、骨は骨です。
だから私のお店では、あじフライの小骨は必ず2回確かめてから衣をつけています。
1回目:骨抜きで1本ずつ抜く
身の中央を指先でなでると、小骨の列が分かります。
骨抜きで、身の流れにそって1本ずつていねいに抜いてください。
2回目:衣をつける前にもう一度なでる
抜き終わったら、衣をつける前に、もう一度指先で全体をやさしくなでて確かめます。
1回目で見落とした細い骨は、2回目でほとんど見つかります。
骨を2回確かめる手間は、家族みんなで安心して食べるための、いちばん大事な工程です。
開いてあるあじを買ったときも、小骨が残っていることがあるので、同じように確かめてくださいね。
あじの小骨は、身の流れにそって、頭のほうへ斜めに生えています。
骨抜きで頭のほうへ向けて引くと、身がくずれず、するっと抜けます。
反対に尾のほうへ引くと、身がちぎれて骨も途中で折れやすくなります。
よくある失敗——衣がはがれる

あじフライの失敗は、だいたい4つのパターンに分かれます。
どれも原因がはっきりしているので、ひとつずつ直していけば、次からはお店の仕上がりに近づきます。
- 衣がはがれる
身の水気か、小麦粉が厚いのが原因です。水気を拭いて粉を薄くはたき、入れて1分は触りません。 - 衣がべちゃっとする
衣をつけてから時間がたったか、油の温度が低いのが原因です。つけたらすぐ、170〜180℃で揚げます。 - 生ぐさい
血合いや表面の水分が残っています。よく洗って、塩をふって10分おき、水気を拭きます。 - 小骨が残る
1回だけでは見落とします。骨抜きで抜いたあと、衣の前にもう一度なでて確かめます。
4つに共通するのは、「揚げる前の下ごしらえで、仕上がりが決まる」ということです。
開き方と臭み取り、骨のひと手間が、サクサクのあじフライをつくります。
保存と冷凍——衣をつけて凍ったまま

あじフライは、衣をつけた状態で冷凍しておくと、食べたい日にすぐ揚げられて便利です。
えびフライの作り方の記事と同じく、冷凍したものは凍ったまま揚げるのが正解です。
衣をつけて冷凍する
骨を2回確かめて衣をつけたあじを、1枚ずつラップで包み、保存袋に入れて冷凍します。
2〜3週間を目安に使い切ってください。
凍ったまま揚げる
冷凍したあじフライは、解凍せずに凍ったまま揚げます。
表面の霜を軽く払ってから、少し低めの温度でじっくり揚げ、中心まで白くなっているかを必ず確かめてください。
揚げたあとは冷蔵で翌日まで
揚げたあじフライが残ったら、よく冷まして冷蔵庫に入れ、翌日までに食べきります。
温め直すときは、オーブントースターで中まで熱くなるように温めると、衣がサクッと戻ります。
一度解凍したものの再冷凍は避けてください。
あじフライの栄養——たんぱく質約14g

栄養士として、あじフライの栄養も押さえておきますね。
あじ1尾の食べられる部分は、およそ70gです。
日本食品標準成分表(八訂)で計算すると、たんぱく質は約14gとれます。
揚げ油を吸う量は揚げ方で変わるので、エネルギーの数字はここでは書いていません。
ソースやタルタルソースは、かける量で塩分やエネルギーが大きく変わるので、小皿に取ってつけながら食べるのがオススメです。
タルタルソースの黄金比は、チキン南蛮の作り方の記事で紹介しています。
この作り方に使う特定原材料は、衣の小麦と卵です。
タルタルソースを添えるときは、マヨネーズの卵も入ります。
食物アレルギーのあるご家族がいるときは、使う食材とソースの表示を確かめてください。
揚げ物のあじフライには、せん切りキャベツをたっぷり添えるのが、定食屋さんの知恵です。
シャキシャキのキャベツが口の中をさっぱりさせ、野菜もしっかりとれます。
脂質や塩分の指示を受けている方は、かかりつけの先生の指示を優先してください。
高齢者や子供にやさしいあじフライ

あじフライは、白身のようにふっくらした身で、家族みんなが食べやすい揚げ物です。
ただ、魚の骨と、固い衣には、食べる人に合わせた気づかいが必要です。
高齢の家族に出すとき
骨を2回確かめたうえで、ひと口で食べられる大きさに切ってから出します。
衣が固く感じる方には、衣を外して身だけにしたり、だしであんをかけてしっとりさせたりすると食べやすくなります。
片栗粉のあんは唾液で戻っていくので、飲み込む力に不安がある方には、市販のとろみ剤(とろみ調整食品)でとろみをつけ、日本摂食嚥下リハビリテーション学会の嚥下調整食学会分類2013を目安に調整してくださいね。
小さなお子さんに出すとき
2歳以下のお子さんの分は、骨を2回確かめたうえで、身をほぐして小さく取り分けてください。
揚げたては中が熱いので、少し冷ましてから出しましょう。
タルタルソースの卵は固ゆでにし、半熟卵のタルタルは2歳以下のお子さんや高齢の方、妊娠中の方には出さないでください。
揚げ物で衣も固いので、1歳未満のお子さんにはあじフライそのものは出さないようにしましょう。
魚を離乳食に使うときの始める時期や量は、月齢で変わるので、かかりつけの先生や自治体の相談窓口で確かめてくださいね。
私は現役介護士でもあります。
揚げた衣は、噛む力が弱い方には口の中でまとまりにくいことがあります。
その日は、骨をていねいに除いたあじを小さく切って、大根おろしとだしでやわらかく煮てお出ししています。
あじフライを、やわらかいあじのおろし煮に置き換える日があっていい。
あじフライでよくある質問
最後に、あじフライを作るときによくいただく質問にお答えします。
Q1. 開いてあるあじでもいい?
もちろん大丈夫です。
開いてあるあじも小骨が残っていることがあるので、骨を2回確かめてから衣をつけてください。
Q2. 背開きと腹開き、どちらがいい?
どちらでもおいしく作れます。
背開きは身の厚みがそろってきれいに揚がり、腹開きは慣れると手早く開けます。
Q3. 少ない油で揚げ焼きにできる?
できます。
フライパンに1cmほどの油を入れ、両面をこんがり揚げ焼きにします。
油の量が少ないぶん、はねやすいので気をつけてください。
Q4. 何をつけて食べるのがいい?
ソース、しょうゆ、タルタルソース、レモンなど、好みで選んでください。
関西ではウスターソース、関東ではとんかつソースやしょうゆなど、地域によっても好みが分かれます。
まとめ。。。

あじフライの作り方を、開き方から臭み取り、衣、揚げ方、骨の確かめ方、冷凍までまとめました。
- ぜいごを取って背から開く
包丁は中骨の上をすべらせます。 - 塩をふって10分で臭み取り
出てきた水気をしっかり拭きます。 - 衣をつけたらすぐ揚げる
小麦粉は薄く、パン粉は軽く押さえて。 - 170〜180℃で3〜4分
揚げている間は鍋から離れません。 - 火の通りは中心まで白く
揚げ色ではなく、断面と泡と浮きで確かめます。 - 小骨は必ず2回確かめる
骨抜きは頭のほうへ向けて引きます。 - 冷凍は衣をつけて、凍ったまま揚げる
2〜3週間を目安に使い切ります。
あじフライは、魚をさばくところから始まる、手間のぶんだけおいしくなる料理です。
開き方と骨のひと手間は、食べる家族への思いやりそのものです。
今度の週末は、ぜひ丸ごとのあじを買って、寿司屋の開き方に挑戦してみてくださいね。
揚げたてのサクッという音に、きっと家族が集まってくるはずだよ。
フッくんでした!
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