料理研究家、料理大好きフッくんです。
ほくほくの栗が顔を出す栗ご飯は、秋だけのごちそうですよね。
でも、いざ献立を考えると「おかずは何を合わせればいいの?」と迷いませんか?
こんなお悩み、よく聞きます。
- 栗ご飯の日のおかずが決まらない
甘みのあるご飯に、どんな主菜が合うのか分からない。 - 汁物はすまし汁か味噌汁か迷う
栗ご飯の香りをじゃましない汁物を知りたい。 - 家族みんなで食べやすくしたい
高齢の親や小さな子どもにも、安心して出したい。
この記事では、現役料理人20年で栄養士でもある私が、栗ご飯に合う献立を15選でお伝えします。
秋の主菜・汁物・副菜から、私の献立表から選んだ献立例まで、順番に見ていきましょう。

栗ご飯に合う献立——たんぱく質と汁物
先に結論をお伝えしますね。
栗ご飯は、ご飯と栗の両方が炭水化物で、主食が二重になった一膳です。
だから献立は、魚や肉のたんぱく質の主菜と、野菜や汁物を足すのが基本になります。
- 主菜:焼き魚や煮魚、鶏肉
栗ご飯にないたんぱく質を、秋の魚や肉で足します。 - 汁物:きのこのすまし汁
栗ご飯の香りをじゃませず、秋らしい一杯になります。 - 副菜:青菜やきのこ
彩りと野菜を足して、献立のバランスを整えます。
栗ご飯のルーツ——丹波の栗と江戸の節句

栗ご飯は、日本で生まれた秋の炊き込みご飯です。
ただ、「この県で生まれた」と言える一か所の発祥地はなく、栗の名産地・丹波を中心に、日本各地で秋に楽しまれてきた料理なんです。
栗は日本原産の木の実で、縄文時代から食べられていたと言われています。
奈良・平安時代には宮廷で大切にされ、10世紀の『延喜式』には、丹波の国(いまの京都府と兵庫県のあたり)から栗を納めた記録が残っています。
「丹波栗」という名前は、平安時代の書物にも出てくるそうです。
江戸時代になると、丹波の栗は京阪神で売られ、参勤交代の武士たちによって全国に知られるようになったと伝えられています。
栗をご飯に炊き込む習わしも江戸時代に広まったと言われ、9月9日の重陽の節句は、庶民の間で「栗の節句」とも呼ばれていたそうです。
関西の丹波で育った栗の名声と、江戸の節句の楽しみが合わさって、栗ご飯は日本中の秋の定番になったんですね。
栗ご飯の日——十三夜は栗名月

栗ご飯には、行事の定位置があります。
旧暦9月13日の十三夜は、栗や豆を供える風習から「栗名月」「豆名月」と呼ばれてきたと言われています。
十五夜が里芋の「芋名月」、十三夜が栗の「栗名月」で、秋の月見は二回セットなんです。
十三夜のお話や、もちもちに炊く黄金比は、栗ご飯の作り方の記事でくわしく紹介しています。
この記事では、その栗ご飯に合わせる献立を考えていきますね。
献立の考え方——主食が重なる

栗ご飯の献立でいちばん大切なのは、「主食が重なっている」ことを知っておくことです。
栗の主成分はご飯と同じ炭水化物なので、栗ご飯は、それだけでしっかりした主食です。
私は、次の3つを意識して献立を組んでいます。
①主菜は魚や肉のたんぱく質
栗ご飯に足りないのは、たんぱく質です。
秋が旬の鮭やさんま、鶏肉などの主菜を1品入れてください。
②汁物はすまし汁で香りを生かす
栗ご飯の繊細な香りを楽しむなら、きのこのすまし汁がいちばんよく合います。
ふだんの日は、あっさりした味噌汁でも大丈夫です。
③芋やかぼちゃは重ねない
さつまいもやかぼちゃ、里芋、じゃがいもの煮物は、栗と同じく炭水化物の多い食材です。
栗ご飯の日に合わせると、主食がさらに重なって、献立がもったりします。
副菜は、青菜やきのこ、海藻を選んでください。
栗ご飯は、栗のほんのりした甘みと、塩の味が主役のご飯です。
合わせるおかずは、塩をして焼いた魚のように、すっきりした塩気のものがよく合います。
甘辛い煮物を重ねるより、栗の甘みがいちばん引き立つ組み合わせです。
献立の早見表——主菜5・汁物5・副菜5

まずは、この記事で紹介する15品を、表にまとめました。
使う素材が重ならないように選んでいるので、どの組み合わせでも同じ食材が続きません。
| 分類 | 料理 | 選ぶポイント |
|---|---|---|
| 主菜5 | 銀鮭の塩焼き・秋刀魚の生姜煮・赤魚の西京焼き・鶏の照り焼き・茶碗蒸し | 栗ご飯にないたんぱく質を足す |
| 汁物5 | 舞茸のすまし汁・松茸のすまし汁・白菜とわかめの味噌汁・なめこの味噌汁・豚汁 | すまし汁で香りを生かす |
| 副菜5 | ほうれん草のなめ茸和え・きのこと青梗菜のナムル・れんこんと昆布の煮物・春菊のごま和え・かぶの浅漬け | 青菜やきのこで野菜を足す |
栗ご飯に合う主菜5選——焼き鮭

主菜は、栗ご飯に足りないたんぱく質を補う、献立の柱です。
秋が旬の魚を中心に、私の献立表で栗ご飯の日に出してきた料理も入れています。
- 銀鮭の塩焼き
大根おろしを添えて。すっきりした塩気が、栗の甘みを引き立てます。 - 秋刀魚の生姜煮
しょうがの香りで、秋のさんまをやさしく煮た一品です。 - 赤魚の西京焼き
白みその香ばしさが、栗ご飯とよく合います。 - 鶏の照り焼き
魚が苦手な家族にも。甘辛いたれは控えめにします。 - 茶碗蒸し
やさしい口あたりで、お祝いの膳にもなります。
魚の骨は、高齢の方や小さなお子さんの分は、骨を2回確かめてから身をほぐして出してください。
鶏肉は、新鮮な鶏肉でも中心75℃1分以上を目安に、中までしっかり焼いてくださいね。
鶏肉の生焼けはカンピロバクターによる食中毒の原因になり、まれに手足のまひが起こるギラン・バレー症候群につながることもあると言われています。
栗ご飯に合う汁物5選——きのこ

汁物は、栗ご飯の香りを生かす、澄んだすまし汁がいちばんです。
秋のきのこを入れると、栗とまた違う秋の香りが重なります。
ふだんの日には、やさしい味噌汁や具だくさんの豚汁も合います。
- 舞茸のすまし汁
私の献立表でいちばんよく出してきた汁物。舞茸の香りが澄んだだしに広がります。 - 松茸のすまし汁
十三夜の膳には、少しぜいたくに松茸を。 - 白菜とわかめの味噌汁
ふだんの日には、やさしい味噌汁で。 - なめこの味噌汁
とろりとした口あたりで、のどにやさしい一杯です。 - 豚汁
具だくさんで、たんぱく質と野菜を一緒に足せます。
栗ご飯にも塩が入っているので、汁物の味つけは控えめにするのがオススメです。
栗ご飯に合う副菜5選——青菜

副菜は、栗ご飯に足りない野菜と彩りを補う一品です。
栗ご飯の黄色と茶色に、青菜の緑が加わると食卓がぱっと明るくなります。
芋やかぼちゃの煮物は避けて、青菜やきのこ、根菜を選んでいます。
- ほうれん草のなめ茸和え
なめ茸のうま味で、ほうれん草がたっぷり食べられる私の献立表の定番です。 - きのこと青梗菜のナムル
ごまとにんにくの香りで、きのこと青菜を一緒にとれます。 - れんこんと昆布の煮物
シャキッとした食感が、ほくほくの栗と好対照です。 - 春菊のごま和え
秋から冬の春菊のほろ苦さが、栗の甘みを引き締めます。 - かぶの浅漬け
さっぱりした箸休めに。献立の口直しになります。
私のお店の献立A・B

ここからは、私の献立表から選んだ、栗ご飯の献立を2つ紹介します。
献立Aは十三夜の膳、献立Bはふだんの秋の日の組み合わせです。
主菜・汁物・副菜は、私がこれまで何度も作ってきた献立表のものです。
①栗ご飯(茶碗1杯)
②銀鮭の塩焼き(大根おろし添え)
③舞茸のすまし汁
④ほうれん草のなめ茸和え
①栗ご飯(茶碗1杯)
②秋刀魚の生姜煮
③白菜とわかめの味噌汁
④きのこと青梗菜のナムル
| 栄養価(1人前) | 献立A(十三夜の膳) | 献立B(ふだんの秋の日) |
|---|---|---|
| メニュー | ①栗ご飯(茶碗1杯) ②銀鮭の塩焼き(大根おろし添え) ③舞茸のすまし汁 ④ほうれん草のなめ茸和え | ①栗ご飯(茶碗1杯) ②秋刀魚の生姜煮 ③白菜とわかめの味噌汁 ④きのこと青梗菜のナムル |
| エネルギー | 約380kcal | 約440kcal |
| たんぱく質 | 約13.9g | 約14.1g |
| 脂質 | 約5.5g | 約11.3g |
| 炭水化物 | 約70.9g | 約72.2g |
| 食物繊維 | 約3.9g | 約3.8g |
| カルシウム | 約45mg | 約80mg |
| ビタミンC | 約30mg | 約20mg |
| 食塩相当量 | 約3.4g | 約3.9g |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)」を参考に算出した概算値です。
1人前は、次の分量で計算しています。
- 栗ご飯:栗ご飯の作り方の記事の2合を、茶碗1杯(約180g)に分けた量
- 主菜・汁物・副菜:私の献立表の1人前
栗ご飯は、茶碗1杯(約180g)でおよそ280kcalです。
主菜の魚と、汁物・副菜の野菜で、主食が二重になった栗ご飯の献立が整います。
この献立に使う特定原材料は、しょうゆの小麦です。
準ずる品目では、さけ、しょうゆや味噌の大豆、ナムルのごまが入ります。
15選のほかの料理では、茶碗蒸しの卵、鶏の照り焼きの鶏肉、豚汁の豚肉なども加わるので、食物アレルギーのあるご家族がいるときは表示を確かめてください。
栗ご飯はおいしくて、ついおかわりしたくなる一膳です。
でも、主食が二重になっているので、おかわりの前に、主菜や副菜をしっかり食べてもらうのがオススメです。
糖分や塩分の指示を受けている方は、かかりつけの先生の指示を優先してください。
秋の行事に——敬老の日やお彼岸

栗ご飯は、十三夜だけでなく、秋の行事の膳の主食にもぴったりです。
作り方の記事でも、敬老の日やお彼岸の膳の主食に、と紹介しています。
行事ごとに、合わせる一品を少し変えてみてください。
- お彼岸:精進の副菜を
れんこんと昆布の煮物や、春菊のごま和えなど、肉や魚を控えた副菜を合わせます。 - 敬老の日:茶碗蒸しを添えて
やわらかい茶碗蒸しと、骨を除いた焼き鮭で、お祝いの膳になります。 - 十三夜:すまし汁で月見の膳
松茸か舞茸のすまし汁で、秋の香りを重ねます。
行事の膳は、品数を増やすより、ひとつひとつを季節の食材でそろえると、ぐっと華やかになります。
残った栗ご飯——冷凍で約2週間

栗ご飯が残ったら、冷凍が正解です。
作り方の記事でもお伝えしているとおり、ご飯は冷蔵庫の温度で固くなり、栗もぱさつきます。
あたたかいうちに1膳ずつラップで包み、平らにして粗熱を取ってから冷凍庫へ入れて、約2週間を目安に食べきってください。
食べるときは、電子レンジで中までしっかりあたためます。
ごま塩をふっておにぎりにすれば、秋の行楽のお弁当にもなります。
栗そのものの保存は、栗の保存方法の記事にまとめています。
栗ご飯を1膳ずつ包むとき、栗をご飯の上のほうに寄せておくと、あたため直したときに栗がつぶれにくくなります。
ご飯の中に埋もれた栗は、レンジの熱で崩れやすいからです。
見た目もきれいなまま、炊きたての栗ご飯に近い姿で食卓に出せます。
高齢者や子供にやさしい栗ご飯の献立

栗ご飯は、秋の行事や家族の集まりに囲む、季節のごちそうです。
三世代で同じ食卓を囲む日だからこそ、栗の大きさと、ご飯の粘りに気を配ってください。
高齢の家族と囲むとき
大きな栗は、噛み切りにくく、のどにつかえやすいので、小さく割ってからご飯に混ぜて出します。
もち米が入った栗ご飯は少し粘りがあるので、飲み込む力に不安がある方には、もち米を入れずに炊いた分を用意すると安心です。
汁物を先にひと口飲んでのどをうるおしてから食べると、ご飯が口の中でまとまりやすくなります。
飲み込む力に不安がある方には、日本摂食嚥下リハビリテーション学会の嚥下調整食学会分類2013を目安に、やわらかさを調整してくださいね。
汁物のとろみは、唾液で戻りにくい市販のとろみ剤(とろみ調整食品)でつけてください。
小さなお子さんと囲むとき
栗は小さく割って、熱いご飯は少し冷ましてから出してください。
2歳以下のお子さんには、栗をつぶしてご飯に混ぜ、魚は骨を2回確かめてから身をほぐして取り分けましょう。
味つけも大人と同じなので、1歳未満のお子さんには栗ご飯そのものは出さないようにしましょう。
お米や栗を離乳食に使うときの始める時期や量は、月齢で変わるので、かかりつけの先生や自治体の相談窓口で確かめてくださいね。
私は現役介護士でもあります。
栗ご飯は、季節を感じられるごちそうとして、とても喜ばれます。
その日は、もち米を入れずにやわらかく炊いたお粥に、栗を細かくつぶして混ぜてお出ししています。
栗ご飯を、やわらかい栗がゆに置き換える日があっていい。
栗ご飯の献立でよくある質問
最後に、栗ご飯の献立についてよくいただく質問にお答えします。
Q1. 汁物は味噌汁でもいい?
もちろん大丈夫です。
十三夜などの行事の日はすまし汁、ふだんの日はやさしい味噌汁と、場面で選んでください。
Q2. 肉のおかずも合う?
合います。
鶏の照り焼きや豚汁で、たんぱく質を足してください。
甘辛いたれは控えめにすると、栗の甘みが引き立ちます。
Q3. さつまいもの副菜はだめ?
だめではありませんが、栗と同じく炭水化物が多いので、主食がさらに重なります。
合わせるなら少量にして、青菜の副菜も一緒に添えてください。
Q4. 甘露煮の栗ご飯にも合う?
合います。
甘露煮の栗ご飯は甘みが強いので、塩焼きの魚や、すっきりしたすまし汁がとくによく合います。
Q5. 栗おこわにも合う?
合います。
栗おこわはもち米が多く、栗ご飯よりもっちりしているので、汁物を添えてのどをうるおしながら食べてください。
“おいしい”は、全部が重なること
栗ご飯の献立のおいしさは、栗ご飯だけでは決まりません。
ほくほくの栗ご飯、塩気のきいた焼き魚、きのこの香るすまし汁。
その3つが同じお盆に並んで、はじめて秋のごちそうになります。
そして、もうひとつ重なるのが、季節を一緒に味わう時間です。
十三夜の月を見上げながら、家族で囲む一膳も、献立の大切な一部です。
栗ご飯と、主菜と、汁物と、月を囲む時間。
その全部が重なったとき、栗ご飯の献立はいちばんおいしくなります。
今年の十三夜は、どの一品を合わせますか?
まとめ。。。

栗ご飯に合う献立15選を、主菜・汁物・副菜から、献立例、残ったときの冷凍、家族への出し方までまとめました。
- 栗ご飯は主食が二重の一膳
主菜のたんぱく質と、野菜を足します。 - 主菜は塩気のきいた焼き魚
栗の甘みがいちばん引き立ちます。 - 汁物はきのこのすまし汁
栗ご飯の香りを生かします。 - 芋やかぼちゃは重ねない
副菜は青菜やきのこで。 - 十三夜は栗名月
秋の月見の二回目の主役です。 - 残ったら1膳ずつ冷凍
約2週間が目安。冷蔵は固くなります。 - 栗は小さく割って取り分け
魚の骨は2回確かめます。
栗ご飯は、秋の短い季節にだけ楽しめる、特別な一膳です。
だからこそ、合わせる一品にも、季節の香りをそろえたいですよね。
今年の十三夜には、ぜひ15選から一品を選んで、月を見上げながら囲んでみてくださいね。
ほくほくの栗に、家族の会話がはずむはずだよ。
フッくんでした!
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