料理研究家、料理大好きフッくんです。
すすきを飾って、お団子を積んで、まんまるの月を見上げる夜。お月見は、日本の秋のいちばん美しい食卓の日ですよね。でも「十五夜って、何を食べればいいの?」「お団子以外の献立が思いつかない」と、いざ膳を組むと迷いませんか?
正直に言うと、お月見の献立は「月に見立てる」と「旬をいただく」の2つで決まります。卵黄の月をのせた月見つくね、芋名月の主役の里芋、きのこと秋鮭の実り。見立てと旬さえ押さえれば、食卓がそのまま観月の宴になるんです。
そこで今回は、寿司職人20年×栄養士のフッくんが、お月見の献立をまるごと解説します。縁起物と旬の7選、私のお店の献立例A・B(栄養成分付き)、月見団子の作り方まで。秋の名月の食卓が、この1本で決まりますよ🌸
まずは、みなさんがお月見の献立で迷いがちなポイントを整理してみましょう。
- お団子以外に何を作ればいいかわからない
縁起物と旬の7選からお選びいただけます。 - 十五夜の意味や由来を知らない
芋名月のお話からご案内します。里芋が主役ですよ。 - 月見団子を手作りしてみたい
豆腐入りのやわらか団子レシピをご用意しました。 - 子供や高齢の家族と安心して楽しみたい
お団子と卵の大事なお約束をお伝えします。

十五夜と芋名月(里芋が主役の夜)

献立の前に、少しだけ由来のお話を。十五夜は、旧暦8月15日の「中秋の名月」。平安の貴族が舟を浮かべて月を愛でた観月の宴が、やがて庶民の収穫感謝のお祭りになりました。
そして、意外と知られていないのが、十五夜のもうひとつの名前——芋名月。ちょうど里芋の収穫期と重なることから、この夜の主役は、実はお団子と並んで里芋なんです。煮っころがしの一鉢は、いちばん由緒正しいお月見のごちそうなんですよ。
だから、献立の合言葉は2つ。卵黄やお団子で「月に見立てる」、そして里芋・きのこ・秋鮭の「旬をいただく」。この2本の柱で、7選を組んでいきますね。
お月見の献立の考え方

お月見の献立は、3つのポイントで考えると迷いません。順番に見ていきますね。
①月に見立てる
まんまるの卵黄、白いお団子、丸くむいたかぶ。食卓のあちこちに「小さな月」を散りばめるのが、お月見の献立のいちばんの楽しみです。
月見つくねの卵黄がとろりと流れる瞬間は、食卓の名月。見立ての遊び心が、いつものおかずを行事食に変えてくれますよ。
②旬をいただく
芋名月の里芋、香りのきのこ、脂ののり始めた秋鮭。十五夜は、秋の実りの入口の日です。
旬の食材は、味がのっているうえにお手頃。「旬をいただく」だけで、献立はおいしく、豊かになります。
③縁起を添える
菊の花に見立てた菊花かぶ、収穫感謝のお団子の山。お月見の膳には、祈りと感謝の形が似合います。
難しく考えなくて大丈夫。一皿だけでも縁起物があれば、膳の顔がきりっと整いますよ。
お月見の献立 早見表
7選の全体像を、先にひと目でどうぞ。
| 種類 | おすすめ | ポイント |
|---|---|---|
| 主菜 | 月見つくね・秋鮭のきのこあん | 月の見立てと秋の旬 |
| 副菜 | 里芋の煮っころがし・菊花かぶ | 芋名月の主役と縁起物 |
| 主食・麺 | きのこの炊き込みご飯・月見とろろそば | 実りの香り |
| デザート | 月見団子 | 豆腐入りでやわらかく |
お月見の献立7選

ここからが本題です。月に見立てる料理と旬の料理、主素材が重ならないように7つ選びました。
- ①月見つくね
照りだれのつくねに卵黄の月。乾杯の主役です。 - ②秋鮭のきのこあん
焼いた秋鮭に、きのこの和風あん。秋の実りの一皿です。 - ③里芋の煮っころがし
芋名月の主役。ねっとり甘い、由緒正しいごちそうです。 - ④菊花かぶの甘酢
格子の切り込みで菊の花に。食卓の縁起物です。 - ⑤きのこの炊き込みご飯
しめじ・まいたけの香りの実り。おかわりの声が上がります。 - ⑥月見とろろそば
とろろに卵黄の月を浮かべて。つるりと粋な一杯です。 - ⑦月見団子
収穫感謝の白い月。豆腐入りでやわらかく作れます。
組み合わせのコツは、「月をひとつ、旬をふたつ」。卵黄かお団子の月を一皿、里芋ときのこの旬を二皿。それだけで、食卓は観月の宴になりますよ。
里芋、きのこ、秋鮭——十五夜の縁起物は、そのまま秋の旬の顔ぶれです。
旬の食材は味がのっていて、栄養も価格も食卓の味方になります。
行事にのっとるだけで献立が整う。先人の知恵は、頼っていいんですよ。
つくねやとろろそばの卵黄は、新鮮な卵を使ってその日のうちに。
小さなお子さん、ご高齢の方、妊娠中の方には、しっかり加熱した卵にしてください。
とろりの美しさと安心は、卵の鮮度がつくるんですよ。
つくねの照りだれや菊花かぶの甘酢には、計量スプーンが頼りになります。黄金比を道具に覚えてもらえば、行事の日の味も毎回ぴたり。毎日の合わせ調味料にも活躍しますよ。
私のお店のお月見献立例A・B(栄養成分付き)
実際に私のお店で出していた、お月見の献立を2パターンご紹介します。

①月見つくね
②里芋の煮っころがし
③菊花かぶの甘酢
④きのこの炊き込みご飯
見立てと旬と縁起がそろった、十五夜のフルコース。おもてなしにも自慢できる膳です。

①月見とろろそば
②秋鮭のきのこあん
③月見団子
つるりとしたそばに、秋鮭とお団子。月を眺めながらの、粋な軽めの膳です。
2つの献立の栄養成分を比べてみますね(1人分の概算)。
| 栄養価 | 献立A(十五夜の膳) | 献立B(月見そばの膳) |
|---|---|---|
| メニュー | ①月見つくね ②里芋の煮っころがし ③菊花かぶの甘酢 ④きのこの炊き込みご飯 | ①月見とろろそば ②秋鮭のきのこあん ③月見団子 |
| エネルギー | 約630kcal | 約680kcal |
| たんぱく質 | 約26g | 約30g |
| 脂質 | 約14g | 約12g |
| 炭水化物 | 約99g | 約110g |
| 食物繊維 | 約6.0g | 約5.5g |
| カルシウム | 約90mg | 約80mg |
| ビタミンC | 約22mg | 約15mg |
| 食塩相当量 | 約3.2g | 約3.6g |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)」を参考に算出した概算値です。
数字を見ると、里芋ときのこの食物繊維がしっかり働いているのがわかります。行事の膳は、ごちそうでありながら、旬の力で自然と整う——先人の知恵は、栄養の目で見ても理にかなっているんですよ。
里芋のねっとり、きのこの香り。秋の旬は、食物繊維がとれる顔ぶれです。行事のごちそうが、そのまま季節を感じる膳になるのが十五夜のよさ。
この献立には特定原材料8品目「卵」(月見・つくね)「小麦」(そば・醤油)「そば」(月見そば)+準ずる20品目「大豆」(豆腐・醤油)「鶏肉」(つくね)「やまいも」(とろろ)などが含まれます。特に「そば」アレルギーは重篤なアナフィラキシーを起こすことがあるため、ご家族やお客様に出すときは必ず確認してください。
月見団子の作り方と、つくねの安心

お月見の顔、月見団子は手作りできます。白玉粉に絹豆腐を混ぜるのが、私の知恵。白玉粉100gに絹豆腐120gほどを混ぜてこね、丸めてゆでるだけで、時間がたってもかたくなりにくい、やわらか団子になりますよ。
【材料(約15個分)】
白玉粉…100g
絹豆腐…120g前後(水は加えない)
【作り方】
①白玉粉に絹豆腐を加え、耳たぶのやわらかさになるまでこねる(かたければ豆腐を少し足す)
②直径2〜3cmに丸める
③沸騰した湯でゆで、浮いてきてから1〜2分待つ
④冷水にとって冷まし、水気を切って積み上げれば完成
きなこや、みたらしのたれでどうぞ。その日のうちに食べ切ってくださいね。
そして、月見つくねの安心も。つくねはひき肉の料理なので、中心75℃で1分以上、しっかり火を通してください。竹串を刺して、澄んだ肉汁が出れば合図です。ハンバーグの記事と同じ、ひき肉のお約束ですね。
つくねは表面に焼き目をつけたら、照りだれで煮からめながら中まで火を通します。
ひき肉は中心75℃で1分以上。竹串の澄んだ肉汁が合図です。
たれのとろみが月見の卵黄を抱きとめる、居酒屋の定番の技ですよ。
里芋の煮っころがしと秋鮭のあんには、香り高い削り節のだしを。芋名月の主役は、だしの香りで格が上がります。お吸い物にも毎日活躍しますよ。
子供や高齢の家族と楽しむお月見(お団子のお約束)

お月見は、三世代で囲みたい行事です。だからこそ、大事なお約束を、きちんとお伝えしますね。
まず、お団子のこと。まんまるの月見団子は、丸い食べ物です。うずらの卵やミニトマトと同じで、丸ごとほおばると、のどに詰まりやすい形をしています。小さなお子さんとご高齢の方には、必ず小さく切って出してあげてください。そして、小さく切ったうえで、食べている間はそばで見守ること。歩いたり遊んだりしながら食べさせないのも、大事なお約束です。豆腐入りのやわらか団子にして、お茶や汁物と一緒に、ゆっくり味わってもらうのが安心ですよ。
卵黄の月も、お約束とセットで。生でのせるなら新鮮な卵でその日のうちに、そして小さなお子さん、ご高齢の方、妊娠中の方には、しっかり加熱した卵で楽しんでもらいましょう。落とし卵や薄焼き卵の月でも、見立ての美しさは同じですよ。
なお、かむ力や飲み込む力に不安のあるご家族との行事食は、嚥下にくわしい情報とあわせて準備してあげてください。安心の準備こそ、いちばんのおもてなしです。
まんまるの月見団子・もちは、消費者庁が繰り返し注意喚起する窒息事故の代表的な食品です。特にお正月や行事の時期に、乳幼児や高齢者の窒息死亡事故が起きています(消費者庁「子どもの窒息事故防止」参照)。
小さなお子さん(特に5歳以下)とご高齢の方には、必ず1cm以下の小さく切って、豆腐入りのやわらか生地にし、お茶や汁物と一緒にゆっくり、そばで見守りながら召し上がってください。歩きながら・遊びながらは絶対にNGです。
形態のご相談は日本摂食嚥下リハビリテーション学会「嚥下調整食学会分類2013」を基準に、必ず主治医・言語聴覚士(ST)・管理栄養士にご相談ください。
だしの土台の昆布は、煮っころがしにもあんにも働きます。水出しで仕込んでおけば、行事の日の段取りもすいすい。和の膳の縁の下の力持ちですよ。
お月見の献立でよくある質問

Q1. 十五夜はいつですか?毎年同じ日ですか?
旧暦8月15日の夜なので、毎年日付が変わります。現在の暦では、9月中旬から10月上旬のどこかになります。
今年の日付をカレンダーで確かめて、晴れた夜なら、すすきとお団子を用意して。曇っても「無月」といって、月を想う夜そのものが風情なんですよ。
Q2. お月見に、何を食べれば縁起がいいですか?
月見団子と、里芋です。十五夜は別名「芋名月」——里芋の収穫感謝の日なので、煮っころがしはいちばん由緒正しいごちそうです。
卵黄で月に見立てたつくねやそば、菊花かぶの縁起物を添えれば、見立てと感謝のそろった膳になりますよ。
Q3. 月見団子は、いくつ積めばいいですか?
十五夜にちなんで15個(下から9・4・2)が正式とされますが、簡略に5個や、家族の人数分でも大丈夫です。
大事なのは、収穫への感謝の気持ち。わが家の積み方で、楽しく飾ってくださいね。
Q4. 子供と一緒に作れる献立はどれですか?
月見団子がいちばんです。豆腐入りの生地は扱いやすく、丸める工程はお子さんの得意分野。粘土遊びのように楽しめますよ。
食べるときは、小さく切ってゆっくりと。作る楽しさと食べる安心、両方そろえてあげてくださいね。
“おいしい”は、全部が重なること

お月見の献立のおいしさは、料理の味だけでは、完成しません。すすきの飾りが食卓に秋を運んで、卵黄の月が歓声を生む。里芋の湯気の向こうに、収穫に感謝した先人の祈りが重なって、窓の外には、本物の名月が昇っている。
見立ての遊び心、旬の実り、縁起の祈り、そして家族の顔。それぞれは小さな一皿でも、十五夜の膳の上でひとつに重なったとき、「今年もお月見ができたね」の笑顔になります。行事食を作るというのは、季節と家族の思い出を、お皿の上にデザインすることなんだと、私は思っています。
今年の十五夜に、あなたはどの「月」を食卓にのぼらせますか?この記事の7選が、その答えのヒントになれたら、うれしいです🌸
まとめ。。。

お月見の献立のポイントを、最後にまとめておきますね。
- 十五夜は、芋名月
お団子と並ぶ主役は里芋。煮っころがしが由緒正しいごちそうです。 - 合言葉は、見立てと旬
卵黄とお団子の月、里芋ときのこの実りで膳が決まります。 - 月をひとつ、旬をふたつ
この配分で、食卓が観月の宴になります。 - お団子は、豆腐入りでやわらかく
白玉粉100gに絹豆腐120g。かたくなりにくい知恵です。 - 丸いお団子は、小さく切って
そばで見守りながら。子供と高齢の方への大事なお約束です。 - 卵黄は新鮮な卵で、その日のうちに
子供・高齢の方・妊娠中の方は、しっかり加熱で。 - つくねは、75℃1分
ひき肉のお約束。竹串の澄んだ肉汁が合図です。
お月見の献立は、「月に見立てて、旬をいただく」。この合言葉ひとつで、いつもの食卓が、平安から続く観月の宴につながります。すすきを一本飾って、お団子を積んで——今年の名月を、家族の笑顔と一緒に見上げてくださいね。困ったときは、またこの記事を見に来てください🌸
最後までお読みいただきありがとうございました。
フッくんでした!









