料理研究家、料理大好きフッくんです。
寒い日の夕方、湯気と一緒に酒粕の香りが立ちのぼる粕汁。
大阪で育った私にとって、冬の食卓にごく当たり前に並ぶ、なつかしい一杯です。
でも、いざ作ろうとすると「具は何を入れたらいいの?」と迷いませんか?
こんなお悩み、よく聞きます。
- 鮭以外の具が思いつかない
毎回同じ具になって、変化がつけられない。 - 入れる順番が分からない
根菜がかたかったり、鮭がぱさぱさになったりする。 - 家族みんなで食べられるか心配
子どもや運転する家族に出していいのか、アルコールが気になる。
この記事では、現役料理人20年で栄養士でもある私が、粕汁の具材を20選でお伝えします。
定番から、主役の替え方、変わり種、入れる順番、アルコールの注意まで、順番に見ていきましょう。

粕汁の具材は主役・根菜・香り
粕汁の具材は、大根やにんじん、ごぼうなど、豚汁とよく似た顔ぶれです。
違うのは、主役が味噌ではなく酒粕であるところ。
私は、具材を「主役・根菜・香り」の3つの役割で選んでいます。
- 主役:塩鮭・ぶり・豚バラ
うま味と塩気を汁に溶かし出す、椀の顔になる具です。 - 根菜:大根・にんじん・ごぼう
酒粕のまろやかさを受け止める、粕汁の土台です。 - 香り:長ねぎ・七味・ゆずの皮
最後に添えて、酒粕の香りを引き締めます。
主役を1つ、根菜を2〜3つ、香りを1つ選べば、粕汁はきれいにまとまります。
酒粕の溶き方や、酒粕と味噌の黄金比は、粕汁の作り方の記事でくわしく紹介しています。
粕汁の具材の早見表——20選

まずは、この記事で紹介する20の具材を、入れるタイミングと一緒に表にまとめました。
根菜から先に煮て、主役は後から入れるのが基本です。
| 分類 | 具材 | 入れるタイミング |
|---|---|---|
| 定番10 | 塩鮭・大根・にんじん・ごぼう・こんにゃく・油揚げ・里芋・長ねぎ・しいたけ・豆腐 | 根菜とこんにゃくは最初、鮭と油揚げは後、ねぎは最後 |
| 主役を替える5 | ぶりのあら・豚バラ・たら・鶏もも・厚揚げ | 下ごしらえしてから、根菜のあとに入れる |
| 変わり種5 | 白菜・しめじ・さつまいも・春菊・かぶ | さつまいもとかぶは早めに、春菊は最後 |
定番の具材10選——鮭と根菜

まずは、どの家庭の粕汁にも入る定番の具材です。
大阪では塩鮭を入れる家が多く、私の家の粕汁も塩鮭が主役でした。
10品のうち、主役を1つと根菜を2〜3つ選ぶだけで、いつもの粕汁になります。
①塩鮭
甘塩の切り身を一口大に切って入れます。
鮭の塩気とうま味が汁に溶けて、酒粕のまろやかさとよく合います。
②大根
いちょう切りにして最初から煮ます。
酒粕の汁をたっぷり吸って、とろりとやわらかくなります。
③にんじん
大根より少し薄めのいちょう切りにすると、火の通りがそろいます。
白い汁の中で、彩りの役目もしてくれます。
④ごぼう
ささがきにして水にさらしてから入れます。
土の香りが、酒粕の香りと重なって味に深みが出ます。
⑤こんにゃく
手でちぎるかスプーンで一口大にし、下ゆでしてから入れます。
表面がでこぼこになると、汁がよくからみます。
⑥油揚げ
熱湯をかけて油抜きし、短冊に切ります。
コクが加わり、汁をたっぷり含んでおいしくなります。
⑦里芋
皮をむいて一口大に切り、塩でもんでぬめりを洗ってから入れます。
ねっとりした口あたりが、粕汁によく合います。
⑧長ねぎ
斜め切りにして、火を止める直前に散らします。
香りと甘みが、最後に椀を引き締めます。
⑨しいたけ
薄切りにして根菜と一緒に煮ると、きのこのうま味が汁に重なります。
⑩豆腐
木綿豆腐を角切りにして、最後に加えて温める程度に煮ます。
やわらかく、食べやすい一品になります。
主役を替える5選——ぶり・豚・たら

粕汁の主役は、鮭だけではありません。
京都や北陸ではぶりのあらを使うこともあり、土地や家によって椀の中身が違います。
主役を替えると、同じ粕汁でもまったく別の表情になります。
⑪ぶりのあら
骨からうま味がたっぷり出る、冬ならではの主役です。
塩をふって霜降りにしてから入れると、生ぐささが抜けます。
⑫豚バラ
豚汁に近い、こくのある粕汁になります。
薄切りを一口大にして、根菜のあとに入れます。
⑬たら
冬の白身魚。やさしい味で、酒粕の香りを引き立てます。
身がくずれやすいので、最後のほうに入れて煮すぎないようにします。
⑭鶏もも
一口大に切って入れると、鶏のうま味で子どもにも食べやすい味になります。
中心75℃1分以上を目安に、中までしっかり火を通してください。
⑮厚揚げ
肉や魚を使わない日の主役に。
油抜きして一口大に切ると、食べごたえのある粕汁になります。
ぶりのあらは、薄く塩をふって15分ほどおき、出てきた水気を拭いてから熱湯をかけます。
表面が白くなったら冷水にとり、残ったうろこや血を指でていねいに洗い流します。
このひと手間で、生ぐささが抜けて、酒粕の上品な香りが生きてきます。
変わり種の具材5選——白菜・きのこ

いつもの粕汁に飽きたら、冬の野菜やきのこを加えてみてください。
甘みや香りが加わって、同じ粕汁でも新しい味わいになります。
⑯白菜
ざく切りにして、芯は早めに、葉は後から入れます。
白菜の甘みが、酒粕のまろやかさとよく合います。
⑰しめじ
小房に分けて根菜と一緒に煮ると、うま味と食感が加わります。
⑱さつまいも
いちょう切りにして早めに煮ると、ほくほくした甘みが広がります。
甘めの粕汁が好きな子どもにも喜ばれます。
⑲春菊
火を止める直前に入れて、さっと煮ます。
ほろ苦い香りが、酒粕の香りによく合う大人の味です。
⑳かぶ
大根の代わりに使うと、やわらかく煮えて口あたりがやさしくなります。
葉も刻んで最後に入れれば、彩りになります。
具材を入れる順番——根菜から

粕汁の具材は、火の通りにくいものから順に入れていきます。
酒粕と味噌は、具に火が通ってから最後に加えるのが決まりです。
粕汁の作り方の記事と同じ順番で、具材を中心にまとめました。
- 1 酒粕をだしでふやかす
作り始める前に、酒粕をだしに浸してやわらかくしておきます。 - 2 根菜とこんにゃくを炊く
大根・にんじん・ごぼう・里芋・こんにゃくを、だしでやわらかくなるまで煮ます。 - 3 主役と油揚げを入れる
塩鮭や豚バラ、油揚げを加えて、中まで火を通します。 - 4 酒粕を溶き入れて弱火で5分
ふやかした酒粕を溶き入れ、静かに煮ます。 - 5 味噌を溶いてねぎを散らす
味噌は沸かさずに溶き、長ねぎを散らして火を止めます。
酒粕の量は、作り方の記事と同じく、汁の量の10〜15%が目安です。
具材を増やしたぶん汁が薄まったら、酒粕と味噌で少しずつ調整してください。
下ごしらえと切る大きさ

粕汁の具材は、切る大きさをそろえることが大切です。
大きさがそろうと、火の通りがそろい、椀の見た目もきれいになります。
私は、どの具もスプーンに乗るくらいの一口大にそろえています。
根菜は薄めのいちょう切り
大根とにんじんは5mmほどのいちょう切りに、ごぼうはささがきにします。
薄めに切ると、早く煮えて酒粕の味もよくしみます。
こんにゃくと油揚げは下ゆで
こんにゃくは下ゆでして独特のにおいを抜き、油揚げは熱湯をかけて油抜きします。
このひと手間で、酒粕の香りがすっきり生きます。
鮭は骨を取って一口大に
塩鮭は皮と骨を取り、一口大に切ります。
小骨は指でなでて、骨を2回確かめてから入れてください。
粕汁はとろりとした汁なので、大きな具は箸でつかみにくくなります。
具をスプーンに乗るくらいの一口大にそろえると、汁と一緒にすくって食べやすくなります。
高齢の家族や子どもにも、そのまま出しやすくなります。
私のお店の組み合わせ例

20の具材から何を選ぶか迷ったら、私がよく作る組み合わせを参考にしてみてください。
主役を替えるだけで、同じ粕汁がまったく違う一杯になります。
- 大阪の定番:塩鮭と根菜
塩鮭・大根・にんじん・こんにゃく・油揚げ。私が子どもの頃から食べてきた一杯です。 - 北陸風:ぶりのあらと大根
ぶりのあら・大根・ごぼう・長ねぎ。ぶりのうま味が溶けた、冬のごちそうです。 - 子どもが喜ぶ:鶏とさつまいも
鶏もも・さつまいも・白菜・しめじ。甘みがあってやさしい味になります。
組み合わせに正解はないので、冷蔵庫にあるもので、わが家の定番を見つけてみてください。
粕汁の具材で避けたいこと3つ

粕汁は、具材を増やすほどおいしくなるわけではありません。
酒粕が主役の汁だからこそ、よくある3つの失敗を知っておくと、味がぶれずに仕上がります。
- 具材を入れすぎる
酒粕の味がぼやけて、汁が薄まります。主役を1つ、根菜を2〜3つにしぼります。 - 魚の下ごしらえをしない
ぶりのあらやたらをそのまま入れると、生ぐささが汁に出ます。塩と熱湯で霜降りにします。 - やわらかい具を最初から煮る
たらや豆腐、春菊を早く入れると、くずれたり色が悪くなったりします。後から入れます。
3つに共通するのは、「酒粕の主役をじゃませず、具をそれぞれいちばんいい状態で合わせる」という考え方です。
子どもと運転する方へ——アルコール

粕汁の酒粕には、アルコール分が残ります。
煮ても、アルコールがすべてなくなるわけではありません。
家族みんなで食べる料理だからこそ、ここは大事なところなので、正直にお伝えします。
- 小さなお子さん
1歳未満には出しません。それ以上のお子さんも、心配なら別鍋にしてください。 - これから運転する方
量や体質によっては影響が出ることがあるので、食後に車を使う日は避けてください。 - 妊娠中・授乳中の方
不安がある場合は、酒粕を入れる前に取り分けてください。 - お酒に弱い方・控えている方
お薬を飲んでいる方も同じです。かかりつけの先生に確かめてくださいね。
いちばん確実なのは、酒粕を入れる前に鍋から人数分を取り分けて、味噌汁として仕上げることです。
同じ具材で作れば、同じ食卓で同じ一杯を囲めます。
粕汁の栄養——1杯150〜200kcal

栄養士として、粕汁の栄養も押さえておきますね。
粕汁の作り方の記事で紹介しているとおり、1杯に使う酒粕は25gほどで、エネルギーにすると約54kcalです。
具材と味噌を合わせると、1杯150〜200kcalが目安になります。
根菜と油揚げ、鮭が入るので、汁物としては食べごたえのある一杯です。
一方で、塩鮭と味噌の両方に塩気があるので、塩鮭を使う日は味噌を少し控えめにしてください。
この記事の具材の特定原材料は、味噌の種類によっては小麦です。
準ずる品目では、鮭、豚肉、鶏肉、豆腐や油揚げ・厚揚げ・味噌の大豆が入ります。
食物アレルギーのあるご家族がいるときは、使う具材と味噌の表示を確かめてください。
塩鮭は、それだけで塩気のある具材です。
塩鮭を使う日は味噌を少し控えめにして、根菜のうま味と酒粕の香りで味をまとめると、塩分をおさえられます。
塩分の指示を受けている方は、かかりつけの先生の指示を優先してください。
高齢者や子供にやさしい粕汁

粕汁は、根菜がやわらかく煮えて、家族みんなで食べやすい汁物です。
それでも、具の選び方と切り方には、食べる人に合わせた気づかいが必要です。
高齢の家族に出すとき
根菜は小さく切って、やわらかく煮てから出します。
こんにゃくはのどに詰まりやすいので、細かく刻むか、除いてください。
ぶりのあらは骨が多いので、あらは高齢の方と子どもに出さないようにし、身だけを取り分けましょう。
とろりとした汁でも、飲み込む力に不安がある方にはむせやすいことがあります。
片栗粉のとろみは唾液で戻っていくので、市販のとろみ剤(とろみ調整食品)でとろみをつけ、日本摂食嚥下リハビリテーション学会の嚥下調整食学会分類2013を目安に調整してくださいね。
小さなお子さんに出すとき
お子さんの分は、酒粕を入れる前に取り分けて、味噌汁として仕上げます。
鮭の小骨は、指でなでて2回確かめてから入れてください。
里芋のように丸くてつるんとした具は、5歳ごろまでは丸ごとではなく小さく切りましょう。
具材を離乳食に使うときの始める時期や量は、月齢で変わるので、かかりつけの先生や自治体の相談窓口で確かめてくださいね。
私は現役介護士でもあります。
酒粕の香りは、冬のなつかしい味として、とても喜ばれます。
その日は、根菜を小さくやわらかく煮て、こんにゃくは除き、酒粕を少なめにしたやさしい一杯をお出ししています。
酒粕の香りが強すぎる日は、具だくさんの味噌汁に置き換える日があっていい。
粕汁の具材でよくある質問
最後に、粕汁の具材についてよくいただく質問にお答えします。
Q1. 生鮭でも作れる?
作れます。
生鮭を使うときは、塩を少しふって10分ほどおき、水気を拭いてから入れると、生ぐささが抜けます。
Q2. 豚汁との違いは?
具の顔ぶれは似ていますが、粕汁は酒粕が主役、豚汁は味噌が主役です。
豚バラを主役にした粕汁は、豚汁に酒粕の香りが加わったような一杯になります。
Q3. 具材は何種類がいい?
主役を1つ、根菜を2〜3つ、香りを1つの、4〜5種類が目安です。
入れすぎると、酒粕の味がぼやけてしまいます。
Q4. 残った粕汁の具は?
粕汁は2日目に味がなじんでおいしくなる汁物です。
保存と温め直しの方法は、粕汁の作り方の記事で紹介しています。
“おいしい”は、全部が重なること
粕汁のおいしさは、具材だけでは決まりません。
酒粕の香り、根菜の甘み、主役のうま味。
その3つが椀の中で重なって、はじめて粕汁の味になります。
そして、もうひとつ重なるのが、冬の台所の記憶です。
湯気と一緒に酒粕の香りが広がると、子どもの頃の冬の夕方を思い出す方も多いのではないでしょうか。
酒粕と、根菜と、主役と、冬の記憶。
その全部が重なったとき、粕汁はいちばんおいしい一杯になります。
今夜の粕汁には、どの具材を入れますか?
まとめ。。。

粕汁の具材20選を、定番から主役の替え方、変わり種、入れる順番、アルコールの注意までまとめました。
- 主役・根菜・香りで選ぶ
主役を1つ、根菜を2〜3つ、香りを1つ。 - 定番は塩鮭と根菜
大阪では塩鮭を入れる家が多い一杯です。 - 主役を替えると別の表情に
ぶりのあら・豚バラ・たら・鶏もも・厚揚げ。 - 根菜から、酒粕はあとで
味噌は沸かさずに溶きます。 - 具はスプーンに乗る大きさに
家族みんなが食べやすくなります。 - 子どもの分は酒粕を入れる前に取り分け
1歳未満には出しません。 - 塩鮭の日は味噌を控えめに
塩分をおさえられます。
粕汁は、その家の冬の味がいちばんよく表れる汁物だと思います。
わが家の定番を大切にしながら、ときどき主役を替えて、新しい一杯も楽しんでみてくださいね。
酒粕の香りが立ちのぼる台所は、きっと冬のいちばんのごちそうになるはずだよ。
フッくんでした!
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