料理研究家、料理大好きフッくんです。
根菜と豆腐がごろごろ入った、湯気の立つ一椀 🥢
いざ作ろうとして「何を入れればけんちん汁なのか」「豚汁と何が違うのか」「毎回同じ具で飽きる」ということ、ありませんか?
正直に言うと、けんちん汁は具材を決めた時点で、豚汁との違いも、味の半分も決まります。作り方より前の話なんですよね。
こんなお悩み、ありませんか?
- 定番の具材が分からない
根菜と豆腐が土台です。そこに油揚げと長ねぎ。この4つで形になります。 - 豚汁との違いが分からない
肉を入れないこと、そして豆腐を手でくずして入れること。この2つです。 - いつも同じで飽きる
変わり種を1つ足すだけで、別の顔になります。 - 子どもが根菜を残す
甘みのある具を1つ、やわらかい具を1つ。それで手が伸びます。
現役料理人20年・栄養士。店で冬になると毎日仕込んでいたけんちん汁の、具の選び方から書いていきますね。

けんちん汁の具材は「根菜と豆腐が土台」
結論から言いますね。けんちん汁の具材は、根菜と豆腐が土台です。大根・にんじん・里芋・ごぼう。そこに手でくずした豆腐。この組み合わせが、けんちん汁をけんちん汁にしています。
けんちん汁は、もともとお寺の精進料理から広まった汁物です。鎌倉の建長寺で作られていた「建長汁」がなまった、という説がよく知られています。精進料理なので肉を使わず、その代わりに豆腐と油揚げでコクを出し、ごま油で炒めて香りをつける。これが豚汁との決定的な違いですね。
だから具材選びの軸も、豚汁とは少し違います。豚汁は肉のうま味が中心にあって、野菜はそれを受ける側。けんちん汁は野菜そのものがうま味の出どころで、豆腐と油揚げがそれを包む。肉がないぶん、根菜の種類と量が味を決めるんですね。
なお、由来の詳しい話や、汁を澄ませる下ごしらえ・炒める順番は作り方の記事にまとめてあります。この記事は「何を入れるか」に絞って書きますね。
具材選びの3つの考え方

店でけんちん汁を仕込むとき、私は具材を3つの役割で見ていました。筑前煮と同じ考え方ですが、汁物なので「コク」の担当が一つ増えます。肉がないぶん、誰がコクを出すかを決めておかないと、ただの野菜スープになってしまうんですね。
①根菜を3〜4種、土台にする
大根・にんじん・里芋・ごぼうから、3〜4種。全部そろえなくて構いません。大根と里芋は外さないでください。大根が汁に甘みを、里芋がとろみを出して、けんちん汁らしい口当たりになります。
②豆腐と油揚げで、コクを出す
これが肉の代わりです。豆腐は手でくずして入れるのが決まり。包丁で切ると角が立って、汁と一体になりません。油揚げは油抜きをせず、そのまま入れると油のコクが汁にまわります。
③彩りを、一つ
けんちん汁は茶色い汁です。長ねぎの青いところか、青菜を最後に。それだけで、器の印象が変わります。
合わせ方の早見表
| 作る日 | 土台 | コク | 足す一つ |
|---|---|---|---|
| 普段の晩ごはん | 大根・にんじん・里芋・ごぼう | 豆腐・油揚げ | 長ねぎ |
| 鍋の翌日・冷蔵庫の整理 | 大根・にんじん・白菜 | 豆腐・厚揚げ | しめじ |
| 子どもがいる日 | 大根・にんじん・じゃがいも | 豆腐・油揚げ | さつまいも(甘み) |
| 高齢のご家族と | 大根・にんじん・里芋 | 豆腐(多め)・油揚げ | 青菜(刻む) |
定番の具材8選

まずは土台になる8つです。この8つは、どれもごま油で炒めてからだしで煮るという、けんちん汁の作法に合う具ばかり。炒めると香りが立ち、煮ると汁に甘みが移る。この二段の働きを持つ具が、定番になっているんですね。
全部そろえる必要はありません。この中から5〜6つ選べば、けんちん汁の顔になります。
大根——汁に甘みを出す主役
けんちん汁の甘みは、大根から出ています。大根が入っていないけんちん汁は、どこか薄い。それくらい大事な具です。
いちょう切りで5mm厚。薄すぎると煮崩れ、厚すぎると火が通りません。皮を厚めにむくと、透きとおるまで煮えますよ。
にんじん——彩りと甘み
茶色い汁の中でオレンジが目を引き、煮ると甘みが増します。大根と同じいちょう切り、同じ厚さにそろえると、火の通りがそろいます。
里芋——とろみの担当
里芋が入ると、汁にとろみが移って口当たりがやさしくなります。これがけんちん汁を「汁物」から「一椀のごちそう」にしている具です。
塩でもんでぬめりを取ってから。ぬめりが残ると汁が濁ります。崩れやすいので、少し大きめに切って、根菜の中では最後に加えてください。
ごぼう——土の香り
ごぼうが入ると、汁に土の香りが立ちます。ささがきにして水にさらしてから。この香りが、ごま油と相性がいいんですね。噛みごたえがあるので、高齢のご家族には外すか薄くしてください。
こんにゃく——食感の変化
手でちぎって下ゆで。汁を吸って、根菜にはない弾力を持ち込みます。ひと口ごとに食感が変わるのは、こんにゃくのおかげです。噛み切りにくいので、高齢のご家族には薄く小さく。冷凍には向きません。
木綿豆腐——手でくずして
けんちん汁の豆腐は、必ず手でくずして入れます。包丁で切ると角が立って、汁と別々のものになる。手でくずすと表面がでこぼこになって、汁を吸いながら一体になります。
木綿が向いています。絹は崩れすぎて、汁が白く濁ります。水切りは軽くで十分。ごま油で炒めるとき、最初に豆腐を入れて焼き目をつけると、コクが一段上がります。
油揚げ——肉の代わりのコク
油抜きをせず、そのまま入れてください。油揚げの油が汁にまわって、肉がなくてもコクが出ます。精進料理でけんちん汁が成立したのは、この油揚げのおかげです。
短冊に切って、根菜と一緒に炒めます。厚揚げに替えると、さらに食べごたえが出ます。
長ねぎ——最後の彩りと香り
青いところを小口切りにして、火を止めてから散らします。煮込むと香りが飛ぶので、最後に加えるのがコツ。白いところは斜め切りにして、根菜と一緒に煮ても構いません。
変わり種の具材7選

「いつも同じ」を抜けるための7つです。ただし、ここで一つ線を引かせてください。変わり種は、土台に一つ足すつもりで選ぶこと。全部入れると、けんちん汁ではなく「野菜が全部入った汁」になります。
けんちん汁は「ありもので作る」精進の汁ですが、それは「何を入れてもいい」という意味ではありません。根菜と豆腐の土台があって、はじめて変わり種が引き立つ。土台なしに変わり種ばかり入れると、それはもう別の汁物です。
れんこん——シャキッとした歯ざわり
やわらかい具が多いけんちん汁に、シャキッとした歯ざわりを持ち込みます。薄いいちょう切りにして、酢水にさらしてから。煮ても食感が残るので、対比が生まれます。
干ししいたけ——だしを一段深く
戻し汁ごと使うと、だしそのものが深くなります。精進のだし(昆布としいたけ)の本家なので、お寺の台所で生まれたけんちん汁とはもともと相性のいい組み合わせです。そぎ切りにして根菜と一緒に。
厚揚げ——ボリュームを出したい日に
油揚げの代わりに、あるいは追加で。食べごたえが一段上がって、主菜がいらない日の一椀になります。熱湯をかけて油抜きしてから、ひと口大に。
かぼちゃ——甘みと彩り
甘みと黄色を一度に足せます。ただし崩れやすいので、最後に加えて短く煮るのがコツ。皮を少し残すと形が保てます。
しめじ——きのこのうま味
石づきを取ってほぐし、根菜が煮えてから加えて3分。煮すぎるとしんなりするので、短く。えのき・まいたけでも同じ役目が務まります。
さつまいも——子どもが喜ぶ甘み
子どもがいる日の「甘みの一つ」に。皮つきのまま厚めの輪切りにして、根菜が煮えてから加えて10分。崩れやすいので、あまり触らないでください。
白菜——鍋の翌日に
鍋の残りの白菜を、けんちん汁に回す。冷蔵庫の整理としていちばん出番が多い変わり種です。ざく切りにして、根菜が煮えてから加えます。白菜から水が出るので、だしを少し減らしてください。
店で親方に言われたのが、「変わり種は一つでええ。二つ入れたら、それは別の汁や」という一言でした。足す楽しみは、一つずつがちょうどいいんですよね。
子どもが食べやすい具材5選

子どもがけんちん汁を残すのは、たいてい「茶色くて、根菜ばかりで、噛みごたえがある」からです。この3つを、具材で一つずつ外していきます。
じゃがいも——親しみのある根菜
里芋のねっとりが苦手な子でも、じゃがいものほくほくは受け入れやすいことが多いです。里芋の代わりに入れると、子ども向けの一椀になります。煮崩れるので、大きめに切って最後に。
キャベツ——やわらかくて甘い
白菜より甘みがあり、子どもに親しみのある野菜です。ざく切りにして、根菜が煮えてから加えて5分。くたっとするくらいが、子どもには食べやすいです。
ちくわ——やわらかくて、うま味も出る
練り物のやわらかさは、根菜の合間の休憩になります。噛み切りやすいので小さいお子さんにも。斜めに切って、最後の5分で加えます。長く煮るとかたくなります。
がんもどき——ふわっとした食感
汁をよく吸って、ふわっとした食感が根菜との対比になります。噛む力が弱くても食べやすい具です。熱湯をかけて油抜きしてから、ひと口大に。
うどん——〆にすれば、一食になる
けんちん汁にうどんを入れれば「けんちんうどん」。子どもにとっては、汁物が主食に変わる瞬間です。別ゆでして、器で合わせてください。鍋に入れると汁を吸って、翌日には別物になります。
具材ごとの下ごしらえと、切る大きさ

けんちん汁の具材でいちばん大事なのは、大きさをそろえることと、豆腐を手でくずすことの2つです。大きさが違うと火の通りがそろわず、豆腐を包丁で切ると汁と別々になる。
目安はいちょう切りで5mm厚。汁物なので、筑前煮より薄めです。炒め方や、汁を澄ませる下ごしらえの細かい技術は作り方の記事に詳しく書いてあるので、ここでは「どの具をどう扱うか」だけ一覧にしますね。
| 具材 | 下ごしらえ | 大きさ |
|---|---|---|
| 大根・にんじん | 皮をむく | いちょう切り5mm |
| 里芋 | 塩でもんでぬめりを取る | やや大きめ(崩れやすい) |
| ごぼう | 水にさらす | ささがき |
| こんにゃく | 手でちぎって下ゆで | ひと口大 |
| 木綿豆腐 | 軽く水切り | 手でくずす |
| 油揚げ | 油抜きしない | 短冊 |
| 厚揚げ・がんもどき | 熱湯をかけて油抜き | ひと口大 |
| 長ねぎ | そのまま | 小口切り・最後に |
| かぼちゃ・さつまいも | そのまま | 大きめ・最後に加える |
けんちん汁でいちばん言われるのが、「豆腐が別のものみたいに浮いている」という悩みです。原因は包丁です。
手でくずすと、表面がでこぼこになって汁を吸い、根菜と一体になります。
親方の言葉は「けんちんの豆腐は、切るもんやない。ちぎるもんや」でした。
私のお店の組み合わせ例

店で実際に出していた組み合わせを、3つご紹介します。土台3〜4種+コク2+足す一つ、という形は同じで、中身だけ変えています。
普段の晩ごはん
大根・にんじん・里芋・ごぼう・豆腐・油揚げ・長ねぎ。いちばん基本の形です。ごぼうが入ると、ごま油の香りと重なって、けんちん汁らしい香りが立ちます。
鍋の翌日・冷蔵庫の整理
大根・にんじん・白菜・豆腐・厚揚げ・しめじ。ごぼうと里芋がなくても、白菜と厚揚げで十分な一椀になります。冷蔵庫に残った野菜で作れるのが、けんちん汁のいいところです。
子どもがいる日
大根・にんじん・じゃがいも・豆腐・油揚げ・さつまいも・ちくわ。ごぼうとこんにゃくを外し、甘みとやわらかさを足しました。うどんを別ゆでして合わせれば、一食になります。
けんちん汁は具だくさんが身上ですが、7種を超えると、汁の顔が消えます。具だけを食べているようになって、汁を飲む楽しみがなくなる。
土台3〜4・コク2・足す一つ。合計6〜7種で、汁と具の間に「すきま」が残ります。
迷ったら減らしてください。大根・里芋・豆腐・油揚げだけでも、立派なけんちん汁です。
基本のけんちん汁の作り方(4人分)
具材が決まったら、作り方は一つです。詳しい火加減や、汁を澄ませる下ごしらえは作り方の記事にありますが、この記事の具材でそのまま作れる手順を、短くまとめておきますね。
材料(4人分)
大根 150g/にんじん 1/2本/里芋 3個/ごぼう 1/3本/こんにゃく 1/2枚/木綿豆腐 1/2丁/油揚げ 1枚/長ねぎ 1/2本
だし 800ml/しょうゆ 大さじ2.5/みりん 大さじ1/塩 少々/ごま油 大さじ1
手順
①根菜はいちょう切り5mm。里芋は塩でぬめりを取り、こんにゃくは手でちぎって下ゆで。豆腐は軽く水切り
②鍋にごま油を熱し、豆腐を手でくずしながら入れて焼き目をつける
③根菜・こんにゃく・油揚げを加えて2分炒め、全体に油がまわったらだしを注ぐ
④煮立ったらアクを取り、弱火で15分。里芋を最後に加える
⑤しょうゆ・みりん・塩で味を決め、火を止めて長ねぎを散らす
※熱い汁物です。お子さんや高齢の方には、器に取ってから少し冷ましてお出しください。
けんちん汁の具材で避けたいこと【NG3選】

選び方の話をしてきましたが、やってしまいがちな組み合わせも3つだけ書いておきます。どれも私が店で一度はやって、親方に直された失敗です。
- 豆腐を包丁で切って入れる
角が立って、汁と別々になります。手でくずしてください。それだけで一体になります。 - 崩れやすい具を、最初から入れる
里芋・かぼちゃ・さつまいも・じゃがいもは、根菜が煮えてから。最初から入れると溶けて、汁が濁ります。 - 変わり種を二つ以上入れる
白菜としめじとかぼちゃを全部入れると、何の汁か分からなくなります。足すのは一つまで。
けんちん汁の栄養と、家族への出し方

けんちん汁のいいところは、肉がなくても、たんぱく質と食物繊維が一椀でとれることです。豆腐と油揚げがたんぱく質を、大根・里芋・ごぼう・こんにゃくが食物繊維を担当しています。
1人前を200mlとして計算すると、だしと調味料を足して1人前で約160kcalです。
- 大根30gが約5kcal
- にんじん15gが約5kcal
- 里芋30gが約16kcal
- ごぼう15gが約9kcal
- こんにゃく20gが約1kcal
- 木綿豆腐50gが約37kcal
- 油揚げ10gが約38kcal
- ごま油小さじ1が約37kcal
意外なのは、エネルギーの半分近くが、油揚げとごま油だということ。野菜そのものは軽くて、コクを出している油の側に数字がある。軽くしたいなら、油揚げを油抜きするか、ごま油を小さじ1/2に減らすのが効きます。ただしそれは、けんちん汁のコクを減らすことでもあります。
塩分は、しょうゆ大さじ2.5と塩少々で4人分を作ると1人約1.8g。汁を残せば、そのぶん下がります。具をしっかり食べて、汁は半分、という食べ方もありますよ。
食塩相当量の目標量は、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」で成人男性7.5g未満・成人女性6.5g未満/日です。塩分や糖分の指示を受けている方は、かかりつけの先生の指示を優先してくださいね。
出す前に確かめておきたいのが特定原材料です。けんちん汁には、特定原材料8品目(2025年4月くるみ追加・現在えび/かに/小麦/そば/卵/乳/落花生/くるみ)のうち小麦(しょうゆ)、また特定原材料に準ずる大豆(豆腐・油揚げ・しょうゆ)・ごま(ごま油)・やまいも(混ぜる場合)を使います。ちくわやがんもどきは製品によって原材料が変わるので、パッケージの表示を見てくださいね。
軽くしたいなら、油揚げを油抜きするかごま油を半分に。ただしコクも減ります。
塩分は汁を残すぶんだけ下がる。具はしっかり、汁は半分、という食べ方も。
※文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」を参考にした概算値です。
高齢者や子供にやさしいけんちん汁の具材

けんちん汁は、具材を選ぶだけで、誰にでも出せる汁物になります。作り方を変えなくても、入れるものを変えればいいんですね。
これは汁物ならではの強みです。同じ鍋の中で、具ごとにやわらかさも大きさも違う。だから取り分けるときに、その人に合った具を選べる。そして汁そのものは、誰にでも同じ味で届く。具は分けても、汁は分けない——それがけんちん汁のやさしさだと思っています。
気をつけたいのは「硬い具」と「熱さ」の2つだけです。
高齢のご家族に出すとき
気をつけたいのは、こんにゃく・ごぼうの2つです。こんにゃくは噛み切りにくく、ごぼうは繊維がしっかり残ります。外すか、薄く小さく切ってください。
代わりに、豆腐を多めに。豆腐は手でくずしてあるので、そのままでもやわらかい。汁に少しとろみをつけると、具と汁がまとまって、ひと口が飲み込みやすくなります。
お子さんに出すとき
じゃがいもとさつまいもで、甘みとやわらかさを。うどんを別ゆでして合わせれば一食になります。
そして熱い汁物なので、やけどに気をつけてください。器に取ってから、少し冷まして。ふうふうして飲む練習にもなります。1歳未満のお子さんには出しません。塩分とごま油の両方が理由です。
私は現役介護士でもあります。
こんにゃくとごぼうを外して、豆腐を多めに、汁にとろみ。それだけで、同じ鍋から出せます。熱いものは器で少し待ってから。
それでも難しい日があります。けんちん汁を、具をつぶした一椀に置き換える日があっていいと思っています。同じ汁の味が届きます。
けんちん汁の具材でよくある質問
読者の方からよくいただく質問を、まとめておきますね。
Q1.豚汁との違いは何ですか?
肉を入れないこと、豆腐を手でくずして入れること、ごま油で炒めることの3つです。精進料理から広まった汁なので、豆腐と油揚げが肉の代わりをしています。
Q2.具材は何種類入れればいいですか?
6〜7種が目安です。土台の根菜3〜4種、コクの豆腐と油揚げ、足す一つ。それ以上は汁の顔が消えます。
Q3.豆腐はなぜ手でくずすの?
包丁で切ると角が立って、汁と別々のものになるからです。手でくずすと表面がでこぼこになって汁を吸い、根菜と一体になります。
Q4.冷凍できる具材はどれですか?
大根・にんじん・ごぼうは冷凍できます。こんにゃく・豆腐・里芋は冷凍に向きません。食感が変わります。粗熱を30分以内に取って、冷蔵なら2〜3日。温め直しは中心まで75℃で1分以上。再冷凍は避けてくださいね。
Q5.子どもが根菜を食べません
ごぼうとこんにゃくを外して、じゃがいもとさつまいもを入れてください。甘みとほくほくがあると、そこから食べ始めてくれます。うどんを合わせるのも手です。
“おいしい”は、全部が重なること
けんちん汁の具材を考えるとき、私は四つの軸で見ています。大根の甘み、里芋のとろみ、油揚げのコク、そしてごま油の香り。
けんちん汁は、一つの具で完成する汁ではありません。大根だけでは薄く、豆腐だけでは汁にならない。それぞれの具が、椀の中で別の役割を持っているから、ひと口ごとに表情が変わる。だから具材を「役割」で選ぶのが、この汁のいちばんの近道だと思っています。
この四つが同じ椀の中で重なった瞬間が、私の思う「おいしい」です。肉がなくても、ここまでコクが出る。お寺の台所で生まれた汁が、家庭の冬の定番になった理由は、そこにあるんだと思います。
作り方の技術、里芋や豆腐の保存の記事も、あわせてご覧くださいね。
まとめ。。。

けんちん汁の具材を、最後にもう一度まとめますね。
- 根菜と豆腐が土台。大根と里芋は外さない
大根が甘みを、里芋がとろみを出します。 - 豆腐と油揚げでコクを。肉の代わりです
豆腐は手でくずして、油揚げは油抜きせずに。 - 彩りを一つ、変わり種は一つまで
長ねぎの青いところ。足すのは一つ。二つ入れたら別の汁。 - 具は7種まで
それ以上は汁の顔が消えます。迷ったら減らしてください。 - いちょう切り5mmでそろえる
火の通りがそろいます。崩れやすい具はあとから。 - 高齢のご家族には、こんにゃく・ごぼうを外す
豆腐を多めに、汁にとろみ。同じ鍋から出せます。 - 熱い汁は、器で少し冷ましてから
お子さんにも高齢の方にも。1歳未満には出しません。 - こんにゃく・豆腐・里芋は冷凍に向かない
粗熱30分以内・冷蔵2〜3日。再冷凍は避けてください。
けんちん汁って、「ありもので作る」から始まった汁なんですよね。だから正解の具材は、本当はありません。
それでも私が店で守っていたのは、根菜と豆腐と油揚げ、そして変わり種は一つだけ。親方の「二つ入れたら別の汁や」という言葉は、足したくなる気持ちを止めてくれる、いい線引きでした。
今日の冷蔵庫にある根菜から、一椀どうぞ。
フッくんでした!
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