料理研究家、料理大好きフッくんです。
コトコト、湯気、からしの黄色。おでんの夜は、それだけで冬のごちそうです。でも食卓に出した瞬間、こう聞こえてきませんか。「……で、ご飯のおかずは?」
先に結論からお伝えします。おでんの夜に味噌汁はいりません。つゆがその係です。足すべきは、緑の副菜と、茶飯などの主食と、揚げ物や焼き魚のもう一品。この引き算と足し算が分かれば、おでんの献立は迷いません。
こんなお悩み、ありませんか?
- おでんだけだと、なんだか物足りない
足りないのは肉ではなく、緑と主食とごちそう感。15品で埋めます。 - おでんの日の汁物、いる?いらない?
いりません。理屈からはっきりお伝えします。 - ご飯に合わせるものが白飯だけで寂しい
おでんの相棒は茶飯。関東煮の街の定番、黄金比つきで解説します。 - 高齢の家族と囲むおでんの注意が知りたい
餅巾着の置き換えと、こんにゃくの見守りまでお任せください。
現役料理人20年、おでんを「関東煮(かんとだき)」と呼ぶ大阪の台所から「おでんに合う献立15選」を完全解説します。最後まで読めば、今夜のおでんが定食屋の顔になりますよ🍳

おでんのうんちく(関西では「関東煮」)

おでんのルーツは、豆腐に味噌を塗って焼いた田楽(でんがく)と言われています。「お田楽」が「おでん」に縮まって、焼く田楽から煮る田楽へ。江戸で育った煮込みおでんが関西へ渡り、大阪では「関東煮(かんとだき)」の名前で根付きました。
関西のおでんは昆布とうすくちの淡いつゆ、牛すじとたこが名物選手。そして相棒には、ほうじ茶で炊いた茶飯。おでんと茶飯のセットは、関東煮の店ののれんをくぐると必ず出会う、冬の名コンビなんです。具材の順番や地域の違いは、おでんの具材の記事たちが本場ですので、この記事は「まわりを固める献立」に集中しますね。
おでんの献立、考え方は3つだけ

①汁物はいらない(つゆがその係)
おでんは、具と汁を一緒に楽しむ料理。味噌汁を並べると、汁と汁がぶつかって、塩分もかさみます。献立は足し算だけでなく引き算。おでんの夜は、汁物の椀を思い切って下げてください。そのぶん、食卓がすっきり整います。
②おでんの栄養の穴は「緑」にある
大根・卵・練り物・こんにゃく。おでんはたんぱく質と満足感の役者はそろっていますが、緑の野菜とビタミンCが手薄です。だから副菜は青菜と生野菜の担当。ほうれん草、水菜、ブロッコリー。緑を一皿置くだけで、献立の栄養が締まります。
③物足りなさは「主食」と「もう一品」で埋める
おでんが「おかずとして物足りない」と言われるのは、ご飯を押す力が淡いから。茶飯や炊き込みで主食にだしの味方をつけて、揚げ物や焼き魚を一品足せば、りっぱな定食の完成です。
おでんは冷めるときに味が染みる料理なので、前日に仕込んで一晩置いた二日目が一番おいしい。つまりおでんの献立は、前日と当日の分業ができるんです。
当日はおでんを温め直すだけにして、空いた手でとり天や唐揚げを揚げる。煮物と揚げ物が同じ食卓に並ぶ贅沢は、この時間差が作ってくれますよ。
おでんに合う献立15選・早見表

| カテゴリ | 料理 |
|---|---|
| 緑の副菜(5品) | ほうれん草の胡麻和え/水菜とじゃこのサラダ/きゅうりとわかめの酢の物/白菜のゆず浅漬け/ブロッコリーのおかか和え |
| さっぱり副菜(2品) | トマトの和風マリネ/かぶの甘酢漬け |
| 主食(3品) | 茶飯/鮭の炊き込みご飯/焼きおにぎり |
| もう一品(5品) | 鶏の唐揚げ/さばの塩焼き/とり天/ポテトサラダ/りんごのコンポート |
おでんに合う献立15選を料理人が解説

①ほうれん草の胡麻和え(緑の副菜)
おでんの淡いつゆに、胡麻のこくがちょうどいい相棒です。ゆでて絞って、すり胡麻・醤油・キビ糖で和えるだけ。緑の一皿目は、迷ったらこれで決まりです。
②水菜とじゃこのサラダ(緑の副菜)
シャキシャキの水菜に、カリカリに炒ったじゃことごま油。煮物のやわらかさが続くおでんの膳に、音の出る食感を差し込みます。水菜の鮮度の守り方は、水菜の保存記事へどうぞ。
③きゅうりとわかめの酢の物(緑の副菜)
酢2:醤油1:キビ糖1の三杯酢で、口の中をさっぱりリセット。おでんをもうひと巡りしたくなる、箸休めの仕事人です。
④白菜のゆず浅漬け(緑の副菜)
白菜を塩もみして、ゆずの皮と果汁をきゅっと。冬の白菜とゆずは、おでんと同じ季節に旬を迎える出会いものです。袋ひとつ、10分で完成します。
⑤ブロッコリーのおかか和え(緑の副菜)
かためにゆでたブロッコリーに、かつお節と醤油少々。だし文化のおでんに、かつおの香りで筋を通します。緑の中でいちばん食べごたえのある副菜です。
⑥トマトの和風マリネ(さっぱり副菜)
湯むきトマトを、だし・酢・オリーブオイルでマリネに。冷たい酸味が、あつあつのおでんの合間で光ります。ビタミンCの補給係でもあります。
⑦かぶの甘酢漬け(さっぱり副菜)
薄切りかぶの甘酢漬けは、上品な白い箸休め。おでんの大根と根菜同士、煮ると漬けるの食べ比べも一興です。大根の使い分けは、大根の保存記事が本家です。

⑧茶飯(主食・おでんの正妻)
ほうじ茶と塩で炊く、香ばしい茶色のご飯。関東煮の店の定番で、淡いつゆのおでんに、お茶の香りがふわりと寄り添います。黄金比は後半でたっぷり解説しますね。
⑨鮭の炊き込みご飯(主食)
鮭とだしの炊き込みは、おでんの夜を一気に定食に格上げします。おでんに魚の主役がいない日の、たんぱく質の補強係も兼任です。
⑩焼きおにぎり(主食)
醤油を塗ってこんがり焼いたおにぎりは、子供の歓声担当。締めに残ったつゆへ沈めて「即席だし茶漬け」にするのが、うちの裏メニューです。
⑪鶏の唐揚げ(もう一品)
「おでんだけじゃ足りない」の声に、いちばん確実に応える一皿。揚げ物の香ばしさは、煮物の膳の対極のごちそうです。鶏はしっかり中まで、竹串を刺して透明な肉汁(中心温度75℃で1分が目安)を確かめてください。衣のサクサクと二度揚げの温度、生焼けの見分け方は唐揚げの作り方の記事にまとめてあります。
⑫さばの塩焼き(もう一品)
焼き魚の香ばしさと脂は、淡いおでんの名脇役。大根おろしを添えれば、おでんの大根と「煮ると生」の大根二重奏になります。
⑬とり天(もう一品・関西の顔)
ふわっと軽い衣のとり天は、関西の食卓の人気者。ポン酢とからしでいただけば、おでんのからしと味の橋がかかります。こちらも鶏の火通りの確認は唐揚げと同じ約束で。
⑭ポテトサラダ(もう一品)
おでんにじゃがいもを入れる派も入れない派も、ポテサラなら別腹です。練り物の塩気と、ポテサラのまろやかさは、居酒屋が証明済みの相性です。
⑮りんごのコンポート(もう一品・甘い締め)
薄切りりんごをキビ糖とレモンでさっと煮るだけ。あつあつの夜の締めに、冷たい甘みをひと匙。おでんの夜の献立が、最後の一口まで整います。
私のお店の献立例A・B(栄養価つき)

①おでん盛り合わせ(大根・卵・厚揚げ・つみれ・こんにゃく)
②茶飯
③水菜とじゃこのサラダ
④白菜のゆず浅漬け

①おでん盛り合わせ(大根・卵・厚揚げ・つみれ・こんにゃく)
②とり天
③ほうれん草の胡麻和え
④りんごのコンポート
| 栄養価 | 献立A(おでん定食型) | 献立B(おでん居酒屋型) |
|---|---|---|
| メニュー | ①おでん盛り合わせ(大根・卵・厚揚げ・つみれ・こんにゃく) ②茶飯 ③水菜とじゃこのサラダ ④白菜のゆず浅漬け | ①おでん盛り合わせ(大根・卵・厚揚げ・つみれ・こんにゃく) ②とり天 ③ほうれん草の胡麻和え ④りんごのコンポート |
| エネルギー | 約570kcal | 約600kcal |
| たんぱく質 | 約27.2g | 約41.7g |
| 脂質 | 約18.7g | 約31.6g |
| 炭水化物 | 約81.1g | 約46.8g |
| 食物繊維 | 約8.2g | 約7.5g |
| カルシウム | 約406mg | 約351mg |
| ビタミンC | 約50mg | 約26mg |
| 食塩相当量 | 約5.1g | 約3.8g |
※文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)」を参考に、1人前で算出した概算値です。おでんのつゆは飲み干さない前提で、具に染みる分だけを計上しています。茶飯の塩と白菜の浅漬けの塩は全量で計上しています。カルシウムが高いのは、おでんの厚揚げ(生揚げ)の分です。
おでんは具にだしが染みる料理なので、つゆを全部飲むと塩分が一気にかさみます。器のつゆは香りを楽しむ程度に残すのが、おいしさと体の両方にいい塩梅です。
そのぶん副菜は薄味に設計してあります。緑の副菜でカリウムと食物繊維、トマトやゆずでビタミンC。おでんの淡さを、まわりで静かに支える献立ですよ。
練り物(ちくわ・つみれ・さつま揚げなど)には、小麦・卵に加えて、えびやかにを含む商品が少なくありません。パッケージの原材料表示を、鍋に入れる前にひと目お願いします。
とり天と唐揚げの衣には小麦と卵、胡麻和えにはごま。おでんの日は「鍋も揚げ物も表示から」を合言葉にどうぞ。
茶飯の黄金比(関東煮の相棒を炊く)

おでんの夜の主食の答え、茶飯の黄金比です。
米2合・濃いめに出したほうじ茶400ml・酒大さじ1・塩小さじ3分の2。研いだ米に冷ましたほうじ茶と調味料を合わせて、いつもどおり炊くだけ。炊き上がりの香ばしい湯気が、もうおでんの相棒の顔をしています。
ほうじ茶はティーバッグ2個を熱湯400mlで5分出せば十分な濃さ。だし醤油で炊く「醤油茶飯」の地域もあり、どちらも正解です。ほんのり塩味のご飯は、つゆの染みた大根と交互に食べるためにあるような味。おかわりの声、覚悟してくださいね。
とり天の衣は、天ぷら粉を冷水で溶いて、マヨネーズを小さじ1混ぜるのが家庭版のいちばん確実な道です。マヨの油と酢が衣をふわっと軽くして、時間がたってもべたつきにくくなります。
鶏むねはそぎ切りにして酒と塩で10分下味を。揚げたてに、おでんのからしとポン酢。関東煮の街の、鉄板の組み合わせです。
残ったつゆは「二日目の宝」

その前にひとつだけ。鍋のまま室温で冷まさず、浅い容器に小分けして早く冷まし、冷蔵庫へ。大鍋の煮込みはゆっくり冷ますのがいちばん危ない置き方で、沸かし直しても残ってしまう菌がいます。二日目を楽しむための、最初のひと手間です。
- うどんを泳がせて「おでんうどん」
具のだしが溶けたつゆは、上等のうどんだしです。ねぎと七味で立派な一杯に。 - ご飯と卵で「おでん雑炊」
翌朝のいちばん優しい顔。溶き卵は火を止める直前に回し入れてください。 - つゆで炊く「二日目の炊き込み」
つゆを計量して炊き込みの水代わりに。刻んだ残り具材も一緒に炊けば、無駄なしの一釜です。 - 残った具は刻んで「おでんカレー」
大根と練り物のカレーは、だしの効いた和風の顔。二日目の楽しみに取っておく価値がありますよ。
高齢者や子供にやさしいおでん

つゆの染みたやわらかい大根と卵は、噛む力が弱い方にそのまま出せる、おでんの優しい主役です。高齢の方の器には、大根・卵・はんぺん・豆腐を中心に、食べやすい大きさに切って盛ってください。
気をつけたいのは餅巾着。餅は詰まりの事故がいちばん怖い食べ物なので、高齢の方には避けて、はんぺんや豆腐入りの巾着に置き換えるのが安心です。こんにゃく・ちくわ・いか巻きなどの弾力の強い具も、小さく切るか無理にすすめないでください。
小さなお子さんにも、こんにゃくと餅巾着は同じ注意を。とくに餅巾着は、3歳ごろまでは中の餅を与えないでください。うずらの卵の串は、丸い形が危ないので5歳ごろまでは刻んでから。あつあつのつゆの椀は、手の届く位置に置かないことも約束です。
行事の日のやわらかい膳の組み方は、行事食のまとめ記事で作り方まで解説しています。
おでんの献立のよくある質問
Q1. おでんに白飯だと、やっぱり合いませんか?
合わないことはありません、淡いだけです。白飯党なら、からしを効かせた具をおかず役に立てるか、ご飯に具のつゆを少しかける「ミニだし飯」でどうぞ。一度茶飯を炊くと、おでんの夜の主食観が変わりますよ。
Q2. おでんは何日目まで食べられますか?
鍋ごと冷まして冷蔵し、食べるたびにしっかり沸かせば2〜3日が目安です。練り物から味が出続けるので、二日目はつゆがいちばんおいしい日。じゃがいもと卵は崩れやすいので、早めに食べ切ってください。
Q3. 献立を全部作る時間がありません。1品だけ足すなら?
緑の副菜を1品、それだけで十分です。ほうれん草の胡麻和えか、袋で10分の白菜ゆず浅漬け。栄養の穴が埋まって、食卓の彩りも締まります。余力の出た日に、茶飯ととり天へ進んでください。
Q4. おでんパーティーで出す順番はありますか?
コース仕立てにするなら、さっぱり副菜→おでん→とり天や唐揚げ→主食→コンポートの流れが、飲む方にも食べる方にも心地いい順番です。おでんは煮えた順でなく、大根と卵を最初にどうぞ。染みた主役から始まる夜は、間違いがありません。
“おいしい”は、全部が重なること
おでんの献立を考えていて、いつも思うことがあります。つゆの染みた大根がどれだけ上手に炊けても、それだけでは「おでんの夜」にならないんです。
茶飯の香ばしい湯気、青菜の緑、からしの黄色。「熱いから気をつけて」の声と、鍋のふたを開ける瞬間の顔。そこまで全部そろって、はじめて冬のごちそうになる。
料理人として、そして現役介護士として食卓に関わってきて、たどり着いた答えはシンプルです。おいしいは、一皿では完成しない。鍋を囲む全員の器まで含めて、献立なんですよね。今夜の関東煮が、いい夜になりますように。
まとめ。。。

- おでんの夜に汁物はいらない
つゆがその係です。引き算で食卓がすっきり整います。 - 栄養の穴は「緑」で埋める
胡麻和え・水菜サラダ・浅漬け。緑の副菜1品が献立を締めます。 - 主食の正解は茶飯
米2合にほうじ茶400ml・酒大さじ1・塩小さじ3分の2の黄金比です。 - 物足りなさは、とり天と唐揚げで
鶏は竹串の透明な肉汁まで確認を。揚げ物が煮物の夜を定食にします。 - つゆは飲み干さず、二日目の宝に
おでんうどん・雑炊・炊き込み・カレー。塩分対策と楽しみの両取りです。 - 高齢の方の主役は大根と卵
餅巾着ははんぺんや豆腐巾着に置き換えを。こんにゃくは小さく切って。 - うずらの串は5歳ごろまで刻んでから
丸い形の見守りと、あつあつの椀の置き場所も忘れずに。 - 具材の順番・大根・水菜の記事とあわせて
おでん本体の腕は、具材の順番の記事が受け持ちます。
今夜は茶飯を炊いて、緑を一皿。ふたを開けた湯気の向こうの「おっ」という顔が、献立の答え合わせですよ。
最後までお読みいただきありがとうございました。
フッくんでした!





