料理研究家、料理大好きフッくんです。
外はカリッと、中はふんわり、熱々のつゆがしみた揚げ出し豆腐。
居酒屋の定番ですが、家で作るとなかなかうまくいかない料理ですよね。
実は私も、居酒屋の厨房で何度も失敗しながら覚えた一品です。
こんなお悩み、よく聞きます。
- 揚げているうちに豆腐が崩れる
鍋に入れたとたん、角が欠けてしまう。 - 衣がはがれてしまう
せっかくまぶした片栗粉が、揚げると鍋の底に残る。 - 油がはねて怖い
豆腐を入れた瞬間に、油がパチパチと飛んでくる。
この記事では、現役料理人20年で居酒屋の厨房にも立ってきた私が、揚げ出し豆腐の作り方をまるごとお伝えします。
崩れない水切り、衣のまぶし方、つゆの黄金比、油はねを防ぐ揚げ方まで、順番に見ていきましょう。

揚げ出し豆腐とは——居酒屋の定番
揚げ出し豆腐は、片栗粉をまぶした豆腐を油で揚げ、温かいつゆをかけて食べる和食です。
居酒屋では、注文が入ってから揚げる「できたてが命」の一品でした。
衣がつゆを吸って、とろりとした口あたりになるのが魅力です。
江戸時代の料理本にも、豆腐を揚げてつゆで食べる料理が出てくると言われています。
厚揚げとの違い
厚揚げは、豆腐をそのまま揚げたもので、表面は固く、中はしっかりしています。
揚げ出し豆腐は、衣をつけて揚げるので、外はカリッと、中はやわらかく、つゆとからむのが違いです。
豆腐は木綿か絹か
崩れにくいのは木綿豆腐です。
絹ごし豆腐でも作れますが、やわらかいぶん崩れやすいので、はじめて作るなら木綿がオススメです。
つゆの黄金比——4:1:1

揚げ出し豆腐のつゆは、だし4:しょうゆ1:みりん1の割合で合わせ、ひと煮立ちさせます。
2人分なら、だし大さじ8、しょうゆ大さじ2、みりん大さじ2です。
衣がつゆを吸うので、そばつゆよりも少し濃いめにしておくのがポイントです。
| 材料 | 割合 | 2人分 | 4人分 |
|---|---|---|---|
| だし | 4 | 大さじ8 | 大さじ16(240ml) |
| しょうゆ | 1 | 大さじ2 | 大さじ4 |
| みりん | 1 | 大さじ2 | 大さじ4 |
めんつゆの作り方の記事の即席めんつゆは、だし300mlにしょうゆとみりんが大さじ3ずつで、そばやそうめんにそのまま使う濃さです。
揚げ出し豆腐では、衣に味をのせるために、それより濃い4:1:1にしています。
手作りのめんつゆを使うなら、だしで割らずにストレートで温めるとちょうどいい濃さになります。
崩れない水切り——重しで20分

揚げ出し豆腐が崩れる原因の多くは、豆腐の水分です。
水分が多いと、揚げたときに中から水が出て衣がはがれ、油もはねやすくなります。
崩れない揚げ出し豆腐は、しっかりした水切りから始まります。
キッチンペーパーで包んで重しをのせる
木綿豆腐をキッチンペーパーで包み、平皿をのせて、その上に水を入れたコップなどで重しをします。
20分ほどおくと、豆腐がひと回り締まって、崩れにくくなります。
肉豆腐のように煮る料理より、揚げる料理のほうがしっかり水切りするのがコツです。
切ったら表面をもう一度拭く
水切りした豆腐を、1丁を4等分に切ります。
切り口から水がにじむので、キッチンペーパーでもう一度表面を拭いてください。
豆腐の水切りや保存の仕方は、豆腐の保存方法の記事にもまとめています。
重しが重すぎると、豆腐がつぶれて形がくずれます。
居酒屋では、豆腐と同じくらいの重さの皿をのせて、ゆっくり水を抜いていました。
豆腐の角が立ったまま、ひと回り締まるくらいがちょうどいい水切りです。
衣は片栗粉——揚げる直前に薄く

揚げ出し豆腐の衣は、片栗粉だけで作ります。
片栗粉は、揚げるとカリッとして、つゆを吸うととろりとやわらかくなるのが特徴です。
この「カリッととろり」が、揚げ出し豆腐のいちばんのおいしさです。
小麦粉ではなく片栗粉を使う理由
小麦粉の衣は、揚げると香ばしくなりますが、つゆを吸うと重たくなりがちです。
片栗粉の衣は、つゆを吸うととろりとなめらかになり、豆腐のやわらかさとひとつになります。
揚げ出し豆腐の「とろり」は、片栗粉だからこそ生まれる食感です。
揚げる直前にまぶす
片栗粉は、揚げる直前にまぶします。
早めにまぶすと、豆腐の水分を吸って粉がべたつき、揚げたときにはがれやすくなるからです。
全面にうすくまぶして、余分な粉ははたいて落としてください。
揚げ出し豆腐の作り方——6工程

ここからは、2人分の作り方を順番に見ていきます。
水切りの20分を含めて、30分ほどで完成します。
材料は2人分で、次のとおりです。
- 木綿豆腐 1丁(約300g)
- 片栗粉 適量
- だし 大さじ8
- しょうゆ 大さじ2
- みりん 大さじ2
- 大根おろし・おろし生姜・青ねぎ・かつお節 適量
- 揚げ油 適量
工程1 豆腐を水切りする
木綿豆腐をキッチンペーパーで包んで重しをのせ、20分ほど水切りします。
4等分に切って、表面の水気をもう一度拭きます。
工程2 つゆを温める
小鍋にだし・しょうゆ・みりんを入れて、ひと煮立ちさせます。
みりんのアルコールがとんだら火を止めて、温かいまま置いておきます。
工程3 薬味を準備する
大根をおろして軽く水気をきり、生姜をおろし、青ねぎを小口切りにします。
揚げたらすぐに盛れるように、ここで全部そろえておきます。
工程4 片栗粉をまぶす
揚げる直前に、豆腐の全面に片栗粉をうすくまぶし、余分な粉をはたきます。
工程5 170〜180℃で揚げる
揚げ油を170〜180℃に温め、豆腐を静かに入れて揚げます。
揚げ方のくわしいポイントは、次の見出しでお伝えします。
工程6 つゆをかけて薬味をのせる
油をきった豆腐を器に盛り、温かいつゆを器の底に張るように注ぎます。
大根おろし、おろし生姜、青ねぎ、かつお節をのせたら完成です。
揚げ方——170〜180℃で触らない

揚げ出し豆腐は、中まで火を通すというより、衣をカリッと固めるために揚げる料理です。
豆腐そのものは、そのまま食べられる食材ですよね。
だから、高めの温度で短く、衣を固めることに集中します。
静かに入れて、1分は触らない
豆腐は、鍋のふちからすべらせるように静かに入れます。
入れてすぐに動かすと、まだやわらかい衣がはがれてしまいます。
表面が固まるまで1分ほどは触らずに待ち、それから返して、全体がうすいきつね色になるまで3〜4分揚げます。
油はねを防ぐ
豆腐は水分の多い食材なので、ほかの揚げ物より油がはねやすくなります。
水切りと、表面の水気を拭くひと手間が、いちばんの油はね対策です。
揚げている間は鍋から離れないでください。
油がはねることがあるので、揚げている間はお子さんを台所から離してくださいね。
揚げ油の温度の見分け方は、揚げ物のコツの記事でくわしく紹介しています。
火の通りの確かめ方——中まで熱く

豆腐はそのまま食べられる食材ですが、揚げ出し豆腐は、中まで熱くなっているのがおいしさの条件です。
表面だけ熱くて中が冷たいと、つゆをかけたときに全体がぬるくなってしまいます。
次の3つで確かめてください。
- 衣:全体がうすいきつね色
白っぽいところがなく、さわるとカリッとしています。 - 音:揚げる音が軽くなる
入れた直後の大きな音が、小さく軽い音に変わってきます。 - 中:竹串を中心に刺して熱い
竹串を5秒刺して、抜いた串を少し待ってから指先で触り、熱ければ中まで熱くなっています。
揚げたての揚げ出し豆腐は、中がとても熱くなっています。
食べるときは、ひと呼吸おいてからにしてくださいね。
よくある失敗——衣がはがれる

揚げ出し豆腐の失敗は、だいたい4つのパターンに分かれます。
どれも原因がはっきりしているので、ひとつずつ直していけば、次からはお店の仕上がりに近づきます。
- 豆腐が崩れる
水切りが足りないのが原因です。重しをのせて20分、しっかり水を抜きます。 - 衣がはがれる
粉を早めにまぶしたか、入れてすぐ動かしたのが原因です。揚げる直前にまぶし、1分は触りません。 - 油がはねる
豆腐の表面の水気が原因です。切ったあとにもう一度拭き、静かにすべらせて入れます。 - 衣がべちゃっとする
つゆをかけてから時間がたったのが原因です。つゆは食べる直前に器の底へ注ぎます。
4つに共通するのは、「豆腐の水分をどうおさえるか」ということです。
水切りと、衣をまぶすタイミングが、揚げ出し豆腐の仕上がりを決めます。
居酒屋では、つゆを豆腐の上からかけずに、器のふちから底に張るように注いでいました。
上からかけると衣がすぐにしんなりしますが、底に張れば、上はカリッと、下はとろりと、ふたつの食感が楽しめます。
食べ進めるうちに、衣がつゆを吸っていく変化も味わえます。
保存と温め直し——その日のうちに

揚げ出し豆腐は、揚げたてがいちばんおいしい料理です。
時間がたつと衣がつゆを吸ってしまうので、その日のうちに食べきるのがオススメです。
作り置きするなら水切りまで
前もって準備したいときは、豆腐の水切りまでを済ませておきます。
水切りした豆腐はラップで包んで冷蔵庫に入れ、その日のうちに揚げてください。
つゆも前もって作って冷蔵庫に入れておけるので、食べる前に温めるだけにしておけます。
残ったら冷蔵で翌日まで
揚げた豆腐が残ったら、つゆとは別の容器に入れて冷蔵庫に入れ、翌日までに食べきります。
温め直すときは、オーブントースターで中まで熱くしてから、温めたつゆを張ると、衣の食感が少し戻ります。
揚げ出し豆腐の栄養——たんぱく質約12g

栄養士として、この作り方の揚げ出し豆腐の1人分を計算してみました。
1人分は、木綿豆腐150gに、つゆを半分ずつ分けた量です。
たんぱく質は約12gで、豆腐だけで主菜の半分ほどのたんぱく質がとれます。
塩分は、つゆを全部飲んだときで約2.7gです。
つゆは器の底に残るので、実際にとる量はこれより少なくなります。
揚げ油を吸う量は揚げ方で変わるので、エネルギーの数字はここでは書いていません。
この作り方に使う特定原材料は、しょうゆの小麦です。
準ずる品目では、豆腐としょうゆの大豆が入ります。
大豆のアレルギーがあるご家族がいるときは、豆腐そのものを使えないので気をつけてください。
つゆの塩分が気になる日は、しょうゆとみりんを少し減らし、そのぶん大根おろしや生姜、青ねぎをたっぷりのせます。
薬味の香りで、つゆが薄くても物足りなさを感じにくくなります。
塩分や糖分の指示を受けている方は、かかりつけの先生の指示を優先してください。
高齢者や子供にやさしい揚げ出し豆腐

揚げ出し豆腐は、中がやわらかく、つゆでしっとりするので、家族みんなで食べやすい料理です。
それでも、揚げたての熱さと、衣の食べにくさには気をつけたいところです。
高齢の家族に出すとき
揚げ出し豆腐は、ひと口で食べられる大きさに切ってから出します。
つゆに片栗粉で軽くとろみをつけてあんかけにすると、口の中でまとまりやすく、衣もしっとりして食べやすくなります。
かつお節は上あごに貼りつきやすいので、細かくするか、のせずに出してください。
飲み込む力に不安がある方には、日本摂食嚥下リハビリテーション学会の嚥下調整食学会分類2013を目安に、とろみややわらかさを調整してくださいね。
片栗粉のとろみは口の中で唾液に触れると戻っていくので、飲み込む力に不安がある方には、市販のとろみ剤(とろみ調整食品)でとろみをつけてください。
小さなお子さんに出すとき
揚げたての揚げ出し豆腐は、中がとても熱いので、よく冷ましてから出してください。
2歳以下のお子さんには、衣を外して、やわらかい豆腐を小さく取り分けると食べやすくなります。
揚げ物で、つゆの味つけも大人と同じなので、1歳未満のお子さんには揚げ出し豆腐そのものは出さないようにしましょう。
豆腐を離乳食に使うときの始める時期や量は、月齢で変わるので、かかりつけの先生や自治体の相談窓口で確かめてくださいね。
つゆのみりんはひと煮立ちさせていますが、お子さんや妊娠中・授乳中の方、お酒に弱い方やアルコールを控えている方と食べる日は、みりんを少なめにして長めに煮立てると安心です。
私は現役介護士でもあります。
揚げた衣は、噛む力や飲み込む力が弱い方には、口の中でまとまりにくいことがあります。
その日は、豆腐に片栗粉を薄くまぶしてゆで、とろみのあるつゆをかけた、あんかけ豆腐にしてお出ししています。
飲み込む力に不安がある方のつゆは、唾液で戻りにくい市販のとろみ剤でとろみをつけます。
揚げ出し豆腐を、揚げないあんかけ豆腐に置き換える日があっていい。
揚げ出し豆腐でよくある質問
最後に、揚げ出し豆腐を作るときによくいただく質問にお答えします。
Q1. 絹ごし豆腐でも作れますか?
作れます。
絹ごし豆腐はやわらかいので、水切りは重しを軽めにして、揚げるときはより静かに入れてください。
口あたりがなめらかになり、木綿とはまた違ったおいしさです。
Q2. 少ない油で揚げ焼きにできる?
できます。
フライパンに1cmほどの油を入れ、豆腐の面を返しながら揚げ焼きにします。
油の量が少ないぶん、はねやすいので、ふたを少しずらしてかぶせると安心です。
Q3. 市販のめんつゆでも作れますか?
作れます。
表示どおりにかけつゆの濃さに薄めてから、少し濃いめに調整して温めてください。
めんつゆを手作りするなら、めんつゆの作り方の記事が参考になります。
Q4. 薬味は何がいいですか?
大根おろし、おろし生姜、青ねぎ、かつお節が定番です。
なめこや三つ葉をのせてもおいしく、季節ごとに変えて楽しめます。
Q5. なめこのあんかけにするには?
温めたつゆになめこを入れてひと煮立ちさせ、水溶き片栗粉で軽くとろみをつけます。
揚げた豆腐にたっぷりかければ、冬にうれしい、なめこあんかけの揚げ出し豆腐になります。
まとめ。。。

揚げ出し豆腐の作り方を、水切りから衣、つゆの黄金比、揚げ方、保存、家族への出し方までまとめました。
- 木綿豆腐を重しで20分水切り
崩れにくく、油はねもおさえられます。 - 片栗粉は揚げる直前に薄く
衣がはがれにくく、カリッと仕上がります。 - つゆはだし4:しょうゆ1:みりん1
衣に味をのせるため、少し濃いめに。 - 170〜180℃で、1分は触らない
表面が固まってから返します。 - 油はねは水気を拭いて防ぐ
揚げている間は鍋から離れません。 - つゆは器の底に張る
上はカリッと、下はとろりと楽しめます。 - 家族に合わせて切り方ととろみを調整
高齢の方にはあんかけ、小さなお子さんには衣を外して。
揚げ出し豆腐は、豆腐と片栗粉とつゆだけで作れる、シンプルだからこそ手間がそのまま味に出る料理です。
居酒屋で覚えたこの一品を、ぜひ家の食卓でも楽しんでみてくださいね。
水切りをていねいにするだけで、揚げたときの手応えがまるで変わるはずだよ。
フッくんでした!
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