料理研究家、料理大好きフッくんです。
カリッと揚げた豚に、つやつやの甘酢あんがからんだ酢豚。
中華料理店の人気者ですが、家で作るとなかなかお店の味にならない料理ですよね。
こんなお悩み、よく聞きます。
- 肉が固くなってしまう
揚げているうちに豚肉が縮んで、噛みしめるのが大変になる。 - 甘酢あんの味が決まらない
酸っぱすぎたり、甘すぎたり、毎回味が変わってしまう。 - あんをからめると衣がべちゃっとする
せっかく揚げたのに、すぐしんなりしてしまう。
この記事では、現役料理人20年の私が、お店で作ってきた酢豚の作り方をお伝えします。
肉が固くならない下処理、甘酢あんの黄金比、二度揚げのコツから、揚げない作り方まで、順番に見ていきましょう。

酢豚とは——広東料理がルーツ
酢豚は、揚げた豚肉と野菜を、甘酢あんでからめた中華料理です。
中国の広東料理がルーツとされ、日本では家庭でも中華料理店でもおなじみの一皿になりました。
酢豚の発祥やパイナップル論争の話は、酢豚に合う献立の記事でも紹介しています。
酢豚のおいしさは、甘酢あんのバランスと、豚肉の食感で決まります。
この記事では、その2つを家で再現するための技術に集中してお伝えしますね。
甘酢あんの黄金比——2:2:1:1

酢豚の甘酢あんは、酢・砂糖・しょうゆ・ケチャップを2:2:1:1で合わせるのが基本です。
献立の記事でお伝えしているお店の黄金比と同じで、ケチャップを少し入れると、こくと彩りがぐっとよくなります。
2人分なら、次の分量です。
| 材料 | 割合 | 2人分 |
|---|---|---|
| 酢 | 2 | 大さじ2 |
| 砂糖 | 2 | 大さじ2 |
| しょうゆ | 1 | 大さじ1 |
| ケチャップ | 1 | 大さじ1 |
| 鶏がらスープ | — | 100ml |
| 水溶き片栗粉(最後に入れる) | — | 片栗粉小さじ2+水小さじ4 |
合わせ調味料は、炒める前に全部混ぜておくのがコツです。
酢豚は手早く仕上げる料理なので、炒めながら一つずつ入れていると、野菜に火が入りすぎてしまいます。
合わせ調味料には、片栗粉を入れません。
酢・砂糖・しょうゆ・ケチャップに鶏がらスープを合わせると、さらさらの黒っぽい液体になります。
この液体を具にからめてから、水溶き片栗粉でとろみをつけるのが、私のやり方です。
酢を黒酢に替える作り方は、よくある質問のQ2で紹介しています。
肉が固くならない下処理

酢豚の豚肉が固くなる原因は、肉の部位と、揚げているあいだに肉汁が逃げることです。
次の3つの下処理をすると、揚げても縮みにくく、やわらかく仕上がります。
お店では、どれも欠かさない手順です。
①肩ロースを2〜3cm角に
酢豚には、脂と赤身のバランスがよい豚肩ロースのかたまり肉が向いています。
2〜3cm角に切り、白い筋があれば包丁の先で切っておくと、揚げても縮みにくくなります。
②下味に溶き卵を少し
しょうゆと酒で下味をつけたら、溶き卵を少しだけもみ込みます。
卵が肉の表面をおおって、揚げたときに肉汁を閉じこめてくれます。
③片栗粉は揚げる直前に
片栗粉は、揚げる直前にまぶします。
早くまぶしておくと、粉が肉の水分を吸って、衣がべちゃっとしやすくなります。
直前にうすくまぶした衣は、揚げるとカリッとして、あんをからめたときにとろりとなじみます。
片栗粉を一度まぶしてなじませ、揚げる直前にもう一度まぶす作り方もありますが、私は揚げる直前にまぶします。
粉が乾いたまま油に入るので、衣がカリッと立ち、あんをからめてもべちゃっとしにくくなります。
余分な粉は、はたいて落としてから揚げてくださいね。
二度揚げ——160〜170℃と180〜190℃

酢豚の豚肉は、二度揚げにします。
献立の記事でお伝えしているとおり、一度目は160〜170℃でじっくり、二度目は180〜190℃でさっと揚げるのが、お店のやり方です。
一度目は160〜170℃でじっくり
一度目は低めの温度で、豚肉の中までじっくり火を通します。
3〜4分ほど、ときどき返しながら揚げて、いったん網に取り出します。
一度目のあとは少し休ませる
一度目に揚げた豚肉は、網の上で2〜3分休ませます。
休ませているあいだに、余熱で中までじっくり火が入り、二度目に揚げたとき肉汁が逃げにくくなります。
二度目は180〜190℃でさっと
油の温度を上げ、取り出した豚肉をもう一度、30秒〜1分ほど揚げます。
二度目で衣の水分がとび、時間がたってもべたつかない、カリッとした衣になります。
揚げている間は、鍋から離れないでください。
油がはねることがあるので、揚げている間はお子さんを台所から離してくださいね。
揚げ油の温度の見分け方は、揚げ物のコツの記事でくわしく紹介しています。
酢豚の野菜——大きさをそろえる

酢豚の野菜は、豚肉と同じくらいの大きさにそろえるのがコツです。
大きさがそろうと、あんが全体に均一にからみ、見た目もお店らしく整います。
野菜ごとのポイントを紹介しますね。
- 玉ねぎ:くし切りにしてほぐす
甘みが出て、あんの酸味をやわらげてくれます。 - ピーマン:乱切り
最後にさっと炒めると、緑色が鮮やかに残ります。 - にんじん:乱切りにして下ゆで
火が通りにくいので、先にやわらかくゆでておきます。 - たけのこ:乱切りにして下ゆで
シャキッとした歯ざわりが、カリッとした豚肉とよく合います。 - きくらげ:水で戻してちぎる
コリッとした食感が加わり、あんがよくからみます。 - パイナップル:好みで最後に
入れる理由は、よくある質問のQ1でお答えしています。
家庭では、多めの油で、固いものから順にしっかり炒めます。
にんじんとたけのこ、玉ねぎときくらげ、最後にピーマンの順です。
お店では、野菜も油で揚げてから中華鍋であんにからめ、とろみをつけます。
家庭では、炒めるだけで十分おいしく仕上がります。
酢豚の作り方——6工程

ここからは、2人分の作り方を順番に見ていきます。
下処理と合わせ調味料を先に済ませておけば、揚げてからは5分ほどで仕上がります。
材料は2人分で、次のとおりです。
- 豚肩ロース(かたまり) 200g
- しょうゆ・酒 各小さじ1(下味)
- 溶き卵 大さじ1
- 片栗粉 大さじ2〜3
- 玉ねぎ 1/2個・ピーマン 2個・にんじん 1/3本・たけのこ(水煮) 50g
- きくらげ(乾燥) 3g
- パイナップル(缶詰・好みで) 2切れ
- 甘酢あんの材料(上の黄金比の2人分)と水溶き片栗粉
- ごま油 小さじ1
- 揚げ油 適量
工程1 豚肉に下味をつける
豚肉を2〜3cm角に切り、しょうゆ・酒・溶き卵をもみ込みます。
片栗粉は、まだまぶしません。
工程2 野菜を切り、あんを合わせる
野菜は豚肉と同じくらいの大きさに切り、にんじんとたけのこは下ゆで、きくらげは水で戻しておきます。
甘酢あんの材料(酢・砂糖・しょうゆ・ケチャップ・鶏がらスープ)を、ボウルに全部合わせておきます。
水溶き片栗粉は、別の小さな器に作っておきます。
工程3 一度目を160〜170℃で揚げる
揚げる直前に、豚肉に片栗粉をうすくまぶして、余分な粉をはたきます。
揚げ油を160〜170℃に温め、豚肉を3〜4分揚げて取り出します。
工程4 二度目を180〜190℃で揚げる
油の温度を上げ、豚肉を30秒〜1分揚げて、衣をカリッとさせます。
工程5 野菜を炒め、とろみをつける
中華鍋に多めの油を熱し、にんじん・たけのこ、玉ねぎ・きくらげ、ピーマンの順に、固いものからしっかり炒めます。
合わせ調味料を加えて煮立て、水溶き片栗粉をよく混ぜてから回し入れて、とろみをつけます。
とろみがついたら、さらに1分ほど煮ます。
工程6 豚肉を戻し、ごま油で仕上げ
揚げた豚肉と、好みでパイナップルを入れ、強火で手早くからめます。
仕上げにごま油小さじ1を回し入れたら、すぐに器に盛って完成です。
火の通りの確かめ方——中心75℃1分

酢豚の豚肉は、かたまり肉を角切りにしているので、表面が色づいても中まで火が通っていないことがあります。
豚肉は、中心温度75℃で1分以上が加熱の目安です。
あんをからめる前に、次の3つで確かめてください。
- 断面:赤い部分がない
いちばん大きい1切れを切って、中まで色が変わっているかを見ます。 - 肉汁:透明
押したときに出る汁が、赤っぽくなく透き通っていれば合図です。 - 音:揚げる音が軽くなる
入れた直後の大きな音が、小さく軽い音に変わってきます。
揚げ色だけで判断しないのが大切です。
あんをからめたあとは断面が見えにくくなるので、確かめるのは必ずからめる前にしてください。
よくある失敗——衣がべちゃっとする

酢豚の失敗は、だいたい4つのパターンに分かれます。
どれも原因がはっきりしているので、ひとつずつ直していけば、次からはお店の仕上がりに近づきます。
- 豚肉が固い
ももなど脂の少ない部位か、下処理が足りません。肩ロースに下味と卵をもみ込み、片栗粉は揚げる直前にまぶします。 - 衣がべちゃっとする
二度揚げをしていないか、あんの中で長く煮ています。二度揚げして、からめるのは最後に手早く。 - あんがダマになる
水溶き片栗粉の粉が底に沈んでいます。入れる直前によく混ぜ、火を弱めて回し入れ、すぐに混ぜます。 - 野菜がくたくた
一度に全部入れて炒め続けています。にんじんとたけのこは下ゆでしておき、固いものから順に炒めて、ピーマンは最後に入れます。
4つに共通するのは、「下処理はていねいに、仕上げは手早く」ということです。
このリズムができると、カリッとした豚と、つやのあるあんが両立します。
揚げない作り方——揚げ焼きで

たっぷりの油で揚げるのが大変な日は、揚げ焼きでも十分おいしく作れます。
フライパンひとつでできるので、洗い物も少なく済みます。
フライパンに1cmほどの油を入れ、片栗粉をまぶした豚肉を、転がしながら全面をこんがり焼きます。
油の量が少ないぶん、温度が下がりやすいので、一度にたくさん入れないのがコツです。
揚げ焼きのときも、いちばん大きい1切れを切って、中まで火が通っているかを確かめてください。
甘酢あんは、とろみがついてからさらに1分ほど煮て、とろみを落ち着かせてから豚肉を戻します。
とろみが落ち着いていないと、豚肉を戻したときにあんがゆるみ、衣が水分を吸ってしまいます。
天津飯のあんと同じ考え方で、時間がたってもつやのある酢豚に仕上がります。
保存と温め直し——冷蔵で翌日まで

酢豚は、揚げたてをすぐ食べるのがいちばんおいしい料理です。
作り置きしたいときは、揚げた豚肉と甘酢あんを分けておき、食べる直前にからめると、衣の食感が残ります。
残った酢豚は、粗熱を取ってから清潔な容器に入れ、冷蔵で翌日までに食べきってください。
温め直すときは、フライパンで中までしっかり熱くなるまで温めます。
豚肉の保存の仕方は、豚肉の保存方法の記事にまとめています。
酢豚の栄養——たんぱく質約20g

栄養士として、この作り方の酢豚1人分の栄養も押さえておきますね。
1人分は、豚肩ロース100gに、野菜と甘酢あんを半分ずつ分けた量です。
たんぱく質は約20gとれます。
塩分は約2.1gで、1日の目標量(男性7.5g未満・女性6.5g未満、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」)の3割ほどです。
揚げ油を吸う量は揚げ方で変わるので、エネルギーの数字はここでは書いていません。
この作り方に使う特定原材料は、下味の卵と、しょうゆの小麦です。
準ずる品目では、豚肉、しょうゆの大豆、鶏がらスープの鶏肉、ごま油のごまが入ります。
パイナップルを入れる場合は、まれに果物のアレルギーが出ることもあるので、食物アレルギーのあるご家族がいるときは表示と材料を確かめてください。
酢豚は、豚肉と一緒に玉ねぎやピーマン、にんじんがとれる料理です。
野菜の量を豚肉と同じくらいまで増やすと、満足感はそのままに、献立のバランスが整います。
塩分や糖分の指示を受けている方は、かかりつけの先生の指示を優先してください。
高齢者や子供にやさしい酢豚

甘酸っぱい酢豚は、子どもから高齢の方まで人気の料理です。
それでも、揚げた豚肉のかたさと、あんの熱さには、食べる人に合わせた気づかいが必要です。
高齢の家族に出すとき
角切りの豚肉は噛み切りにくいことがあるので、薄切り肉で作るか、ひき肉の肉団子に替えると食べやすくなります。
野菜は小さめに切って、やわらかくなるまで火を通してください。
片栗粉のとろみは唾液で戻っていくので、飲み込む力に不安がある方には、市販のとろみ剤(とろみ調整食品)でとろみをつけ、日本摂食嚥下リハビリテーション学会の嚥下調整食学会分類2013を目安に調整してくださいね。
小さなお子さんに出すとき
揚げたての豚肉とあんは中が熱いので、少し冷ましてから出してください。
2歳以下のお子さんには、豚肉を小さく切って、衣が固ければ外して取り分けます。
酸味が苦手な子には、酢を少し控えた甘めのあんにしてあげると食べやすくなります。
揚げ物で、甘酢あんの味つけも大人と同じなので、1歳未満のお子さんには酢豚そのものは出さないようにしましょう。
豚肉を離乳食に使うときの始める時期や量は、月齢で変わるので、かかりつけの先生や自治体の相談窓口で確かめてくださいね。
私は現役介護士でもあります。
角切りの揚げた豚肉は、噛む力が弱い方には口の中に残りやすいことがあります。
その日は、豚ひき肉に豆腐を混ぜたやわらかい肉団子を作り、とろみ剤でととのえた甘酢あんをからめてお出ししています。
酢豚を、やわらかい肉団子の甘酢あんに置き換える日があっていい。
酢豚でよくある質問
最後に、酢豚を作るときによくいただく質問にお答えします。
Q1. パイナップルはなぜ入れる?
甘みと酸味が甘酢あんによく合い、彩りもよくなるからです。
生のパイナップルには、肉をやわらかくする酵素もありますが、缶詰や火を通したものでは、その働きは弱まります。
入れるなら、缶詰のパイナップルを、揚げた豚肉と一緒に最後に加えます。
嫌いな方も多いので、そのときは入れなくて大丈夫です。
Q2. 黒酢で作れる?
作れます。
酢を黒酢に替え、ケチャップを入れずに作ると、まろやかでこくのある黒酢酢豚になります。
黒酢は健康食として一時はやり、黒酢酢豚もよく見かけるようになりました。
Q3. 豚こまでも作れる?
作れます。
豚こまを丸めて片栗粉をまぶすと、やわらかく揚がり、火の通りも早くなります。
Q4. お弁当に入れてもいい?
よく冷ましてから詰め、保冷剤と一緒に持ち歩いてください。
あんは少なめにすると、ほかのおかずに汁が移りにくくなります。
Q5. 肉が固くなってしまったら?
次からは、豚肩ロースを使い、下味に溶き卵を少し入れてみてください。
固くなった酢豚は、あんを多めにして少し煮込むと、食べやすくなります。
まとめ。。。

酢豚の作り方を、甘酢あんの黄金比から、肉が固くならない下処理、二度揚げ、揚げない作り方、家族への出し方までまとめました。
- 甘酢あんは2:2:1:1
片栗粉は入れず、さらさらのまま先に合わせておきます。 - 肩ロースに下味と卵
揚げても縮みにくく、やわらかく仕上がります。 - 片栗粉は揚げる直前に
衣がカリッと立ちます。 - 二度揚げは160〜170℃と180〜190℃
揚げている間は鍋から離れません。 - 火の通りは中心温度75℃で1分以上
あんをからめる前に、断面で確かめます。 - とろみは水溶き片栗粉で
1分煮てから豚を戻し、仕上げにごま油。 - 揚げない日は揚げ焼きで
油は1cmほどで十分です。
酢豚は、下処理と二度揚げのひと手間で、お店の味にぐっと近づく料理です。
カリッとした豚肉に、つやのある甘酢あんがからんだひと口は、家族みんなを笑顔にしてくれます。
今度の週末は、ぜひ肩ロースのかたまり肉で作ってみてくださいね。
きっと、お店に負けない酢豚ができるはずだよ。
フッくんでした!
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