料理研究家、料理大好きフッくんです。
赤いソースをまとった、ぷりっとしたえび 🍅
家で作ると「えびが縮んで小さくなった」「ぷりぷりにならない」「水っぽい」ということ、ありませんか?
正直に言うと、多くの方が火加減の問題だと思っています。でも違うんですよね。
こんなお悩み、ありませんか?
- えびがぷりぷりにならない
火加減ではなく、焼く前の下処理で決まります。 - えびが縮んで小さくなる
鍋の中で二度火を入れているのが原因です。 - ソースの味が決まらない
比率で覚えると、量が変わっても迷いません。 - 辛くて子どもが食べられない
豆板醤を抜いても、エビチリはエビチリです。
現役料理人20年・栄養士。中華の店でも家でも作ってきた手順を、そのまま書いていきますね。

ぷりぷりは、火加減ではなく下処理で決まる
結論から言いますね。えびのぷりぷりは、火にかける前にほぼ決まっています。
家で作るとき、多くの方は「強火で手早く」を意識されます。それ自体は正しいのですが、下処理をしていないえびは、どんな火加減で焼いてもぷりぷりにはなりません。
中華の店では、この下処理を上漿(シャンジャン)と呼びます。卵白と片栗粉で、えびに薄い衣をまとわせておく作業です。
この膜が、加熱したときにえびの水分を内側に閉じ込めます。水分が逃げないから、縮まないし、ぷりっとする。それだけの話なんですよね。
手間は3分です。この3分で、家のエビチリは店の顔になります。
えびの下処理、3ステップ

①背わたを取る
竹串を背中の節に差し込んで、そっと引き上げます。残っていると、食べたときに砂のような舌ざわりが出ます。
②塩と片栗粉でもみ洗いし、水気を完全に拭く
むきえび200gに、塩小さじ1/2と片栗粉大さじ1をふって、やさしくもみます。灰色の汚れが出てくるので、流水で洗い流します。
そしてキッチンペーパーで、これでもかというくらい水気を拭く。ここが最重要です。水が残っていると、次の上漿がつきません。
③塩・卵白・片栗粉・酒をもみ込む(上漿)
塩少々、卵白1/2個分、片栗粉小さじ2、酒小さじ1。これをえびにもみ込んで、10分おきます。
表面がとろりとしていれば成功です。冷蔵庫に入れておいて、その間にソースを作れば時間の無駄がありません。
中華の店に入って最初に任されたのが、えびの下処理でした。
先輩に何度も言われたのが「拭きが甘い」の一言です。洗ったえびをざるに上げただけで次に進もうとすると、必ず止められました。
理由は単純で、水が残っていると卵白と片栗粉がすべって、えびに乗らないから。膜ができなければ、上漿をした意味がなくなります。
ペーパーで押さえて、取り替えて、もう一度押さえる。2回拭くつもりでちょうどいいです。
若い頃、早く炒めたくてうずうずしていた私に、親方が言いました。「その3分をけちる奴に、ぷりぷりは作れん」。今でも、えびを拭くたびに思い出します。
エビチリとエビフライ、下処理はどう違う?

同じえび料理でも、下処理の目的がまったく違います。ここを知っておくと、迷わなくなります。
| 項目 | エビチリ | エビフライ |
|---|---|---|
| 目的 | ぷりぷりにする | まっすぐにする・油はねを防ぐ |
| 形 | 丸まっていてよい | 腹に切れ目を入れて伸ばす |
| 尻尾 | 取り除く | 先を切って水をしごき出す |
| まとわせるもの | 卵白と片栗粉(薄い膜) | 小麦粉・卵・パン粉(厚い衣) |
| 加熱 | 30秒〜1分で一度取り出す | 2分で引き上げる |
エビフライのまっすぐの下処理や、尻尾の扱いはエビフライの記事に詳しくまとめてあります。この記事は、ぷりぷりにするための下処理のほうですね。
チリソースの黄金比

覚え方は、大さじ換算の比率です。ケチャップ3・砂糖1・豆板醤1/3。
| 材料 | 分量(2人分) | ここが大事 |
|---|---|---|
| むきえび | 200g | 下処理をしてから使います |
| ケチャップ | 大さじ3 | 味の土台。減らすと物足りなくなります |
| 砂糖 | 大さじ1 | 辛さの角を取ります |
| 豆板醤 | 小さじ1 | お子さんがいる日は抜いても構いません |
| 鶏がらスープ | 100ml | 多いと水っぽくなります |
| にんにく・しょうが | 各1片 | みじん切り。弱火で香りを出す |
| 長ねぎ | 1/2本 | みじん切り。半分は仕上げ用に取り分け |
| 水溶き片栗粉 | 片栗粉小さじ2+水大さじ1 | とろみをつけます |
| 酢 | 小さじ1 | 火を止めてから入れます |
辛さを強くしたいなら豆板醤を小さじ2へ、子ども向けなら抜いて、代わりにケチャップを大さじ1足す。それだけで別の料理になります。
エビチリの作り方(6工程)

①えびを下処理して、10分おく
前の見出しのとおりです。この10分の間に、ほかの準備をすませます。
②香味野菜を弱火で炒める
油を熱し、にんにく・しょうが・長ねぎのみじん切りを弱火で。焦がすと苦みが出ます。香りが立ったら豆板醤を加えて、さっと炒めます。
③えびを強火で30秒〜1分焼いて、一度取り出す
ここが山場です。えびの色が変わったら、すぐ取り出してください。
この時点では、中まで火が通っていなくて大丈夫です。あとで戻したときに火が入るので、最終の確認は工程⑤でおこないます。
④ソースを合わせて、煮立てる
同じ鍋にケチャップ・砂糖・鶏がらスープ・酒・しょうゆを入れて、ひと煮立ち。ここで水溶き片栗粉を回し入れて、とろみをつけます。
⑤えびを戻して、10秒からめる
取り出しておいたえびを戻して、ソースをからめるだけ。10秒です。
ここで煮込むと、えびが縮んで硬くなります。からめたら、もう火は止めます。
ただし火を止める前に、いちばん大きな一尾を割って、中まで白く不透明になっていることを確かめてください。透き通った部分が残っていたら、10秒ずつ足します。えびは中心75℃で1分以上が加熱の目安です。
⑥火を止めて、酢とごま油
火を止めてから、酢小さじ1とごま油少々、そして取り分けておいた長ねぎを。
酢は加熱すると香りが飛びます。最後に入れるからこそ、湯気と一緒に立ちのぼるんですよね。
えびは、鍋の中で二度火を入れない
エビチリで縮む原因は、ひとつだけです。えびを入れっぱなしにして、ソースと一緒に煮ていること。
えびのたんぱく質は、加熱が長いほど締まって水を吐き出します。だから焼く・取り出す・戻すという手順になっているんですね。中華の店で必ずこうするのは、見栄えのためではなく食感のためです。
親方の言い方はもっと短くて、「えびは、鍋ん中で二回火ぃ入れたらあかん」でした。1回目が焼くとき、2回目が戻すとき。その2回で終わり、という意味です。
取り出したえびは、ボウルに上げておくだけで構いません。冷めても、戻したときにソースの熱で十分温まります。
それと、フライパンはえびが重ならない大きさを選んでください。重なると蒸れて、焼くのではなく茹でることになります。
よくある失敗と対策

- えびが縮んで硬い
ソースと一緒に煮込んでいます。焼いたら一度取り出して、最後に10秒からめるだけにしてください。 - ぷりぷりしない
上漿をしていないか、水気の拭きが足りません。卵白と片栗粉をもみ込んで10分おいてください。 - 水っぽい
えびの水気か、スープの量です。100mlを守って、とろみは水溶き片栗粉でしっかりつけてください。 - 辛すぎる
豆板醤を減らして、ケチャップと砂糖を足します。辛さは足せますが引けないので、控えめから始めてください。 - 酸っぱい・香りが立たない
酢を入れるタイミングです。煮ると飛び、入れないと重くなります。火を止めてから小さじ1を。
辛さの調整と、子ども向けの作り方

エビチリは、豆板醤を抜いてもエビチリです。むしろ日本で広まったエビチリは、もともと辛さを抑えた形から始まっています。
- 子ども向けは豆板醤を抜く
代わりにケチャップを大さじ1足すと、物足りなくなりません。 - 大人用は、取り分けてから足す
器に盛ってから、ラー油か豆板醤を小さじ1/4混ぜれば、大人の味になります。 - 辛さは足せるが、引けない
迷ったら控えめから。これはどの辛い料理でも同じです。 - 砂糖を少し増やすと、角が取れる
辛さを消すのではなく、丸くする方向です。
保存と温め直し

作り置きするなら「ソースだけ」
正直に言うと、エビチリは当日がいちばんおいしい料理です。えびは温め直すたびに硬くなるので、作り置きには向きません。
それでも段取りよくしたいなら、チリソースだけを作っておく手があります。香味野菜を炒めて、ケチャップ・砂糖・スープを合わせたところまで。冷蔵1週間、冷凍なら1か月もちます。
食べる日は、えびを下処理して焼いて、温めたソースにからめるだけ。10分で一皿になります。
炒めたものが残ったときは、粗熱を30分以内に取って冷蔵2日。温め直しは弱火のフライパンで短く。電子レンジはえびが硬くなりやすいので、使うなら短めにして様子を見てください。
冷凍は向きません。えびの食感が落ちて、ソースも分離します。
残りものは、そのまま温めるより形を変えるほうがおいしいです。ごはんと炒めてチャーハンに、溶き卵でとじて丼に、ゆでたパスタにからめて。二度目は別の料理にすると割り切ると、無駄になりません。
えび(バナメイえび)は100gあたり約82kcal・たんぱく質約19g・脂質約0.6g。たんぱく質がしっかりとれて、脂質はごくわずかです。
エビチリのエネルギーの多くは、実はソースの砂糖とケチャップから来ています。1人前でおよそ250kcal、食塩相当量は2〜2.5gが目安です。
軽くしたいときは、えびを減らすのではなく砂糖を小さじ2に減らすほうが効きます。そのぶん辛さが立つので、豆板醤も少し控えてください。
食塩相当量の目標量は、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」で成人男性7.5g未満・成人女性6.5g未満/日です。しっかりした味つけなので、副菜は薄味にしておくと全体が整います。
なお、塩分や糖分の指示を受けている方は、かかりつけの先生の指示を優先してくださいね。
※文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」を参考にした概算値です。
えびは、特定原材料8品目(2025年4月くるみ追加・現在えび/かに/小麦/そば/卵/乳/落花生/くるみ)のひとつです。症状が強く出ることがあります。
この料理にはほかに卵(上漿の卵白)・小麦(しょうゆ・豆板醤)、また特定原材料に準ずる大豆(豆板醤・しょうゆ)・ごま(ごま油)も入ります。
お子さんに初めてえびを食べさせる日は、病院が開いている平日の昼に、少量から。夕食や休日の前は避けてください。
1歳未満のお子さんには出しません。
ご家族やお客様に出すときは、必ずアレルギーがないか確かめておくと安心ですよ。
高齢者や子供にやさしいエビチリ

高齢のご家族に出すとき
えびは弾力があって、噛み切りにくい食材です。やわらかく見えますが、口の中では意外と手強いんですよね。
取り分けたあと、キッチンばさみで1cmほどに切ってください。殻と尾は必ず取り除きます。
辛味は刺激になるので、豆板醤なしの取り分けを用意します。とろみのあるソースは、それ自体が飲み込みを助けますので、ソースは少し多めにかけてあげてください。
お子さんに出すとき
豆板醤を抜いて、ケチャップを足した「子ども用」で。えびは小さく切ります。
初めてえびを食べさせる日は、病院が開いている平日の昼に、少量から。1歳未満のお子さんには出しません。
私は現役介護士でもあります。
飲み込みに不安のある方の食事では、あとからとろみをつけることが多いのですが、エビチリはもともととろみのある料理です。これは大きな利点ですね。
気をつけるのは、えびそのもの。弾力があるので、小さく切って、ソースをよくからめてください。1cmくらいが目安です。
辛味は、のどへの刺激になってむせるきっかけになります。豆板醤なしで作って、大人は器で足す形がいちばん安全です。
それと、ソースは冷めるととろみが強くなりすぎることがあります。そのときは温かい鶏がらスープを少し足して、のばしてください。
えび自体が難しい日もあります。えびを、はんぺんや豆腐に替えてチリソースで食べる日があっていいと思っています。ソースが同じなら、食卓は分かれません。
エビチリの作り方でよくある質問
Q1.どうしてもぷりぷりになりません
下処理を見直してください。塩と片栗粉でもみ洗いして、水気を完全に拭いて、卵白と片栗粉をもみ込んで10分。
とくに水気の拭きが甘いことが多いです。ペーパーを2回替えるつもりでやってみてください。
Q2.冷凍のむきえびでも大丈夫ですか?
大丈夫です。冷蔵庫でゆっくり解凍して、水気をしっかり拭いてから下処理をしてください。
急ぐときは塩水で解凍すると、水っぽくなりにくくなりますよ。
Q3.豆板醤がありません
なくても作れます。日本のエビチリは、もともと辛さを抑えた形から広まった料理です。
ケチャップを大さじ1足して、こしょうを少し多めにすると、味が締まります。
Q4.酢はなくてもいいですか?
入れたほうが断然おいしくなります。火を止めてから小さじ1。量は少しですが、香りがまったく違います。
煮てしまうと飛ぶので、必ず最後に入れてください。
Q5.作り置きはできますか?
えびは温め直すたびに硬くなるので、当日がいちばんです。作り置きするならソースだけにしてください。冷蔵1週間・冷凍1か月です。
炒めたものが残ったら、粗熱を30分以内に取って冷蔵2日。温め直しは弱火で短く、再冷凍は避けてくださいね。
まとめ。。。

エビチリの作り方を、最後にもう一度まとめますね。
- ぷりぷりは、下処理で決まる
火加減の問題ではありません。卵白と片栗粉の膜が、水分を閉じ込めます。 - 水気は、2回拭くつもりで
水が残っていると、上漿がえびに乗りません。 - えびは焼いたら一度取り出す
ソースと一緒に煮込むと縮みます。戻すのは最後の10秒だけ。 - 黄金比はケチャップ3・砂糖1・豆板醤1/3
鶏がらスープは100ml。多いと水っぽくなります。 - 酢は火を止めてから
煮ると香りが飛びます。小さじ1で、湯気の立ち方が変わります。 - 豆板醤は抜いてもいい
子ども用は抜いてケチャップを足す。大人は器で足せば済みます。 - 作り置きするならソースだけ
冷蔵1週間・冷凍1か月。えびは食べる日に焼きます。 - えびは特定原材料。初めての日は平日の昼に
1歳未満には出しません。高齢の方には1cmに切って。
エビチリって、家で作ると「なんとなく違う」と感じる料理の代表だと思います。私も最初はそうでした。
でもその差は、辛さでも火力でもなく、焼く前の3分にありました。中華鍋も、強い火も要りません。洗って、拭いて、卵白をもみ込む。それだけです。
今夜のエビチリ、ぜひその3分をかけてみてくださいね。
フッくんでした!
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