料理研究家、料理大好きフッくんです。
ふわふわの卵に、つやつやのあんがとろり。
天津飯は、町の中華屋さんで食べる、ほっとする一皿ですよね。
でも、家で作ると卵が固くなったり、あんが水っぽくなったりしがちです。
こんなお悩み、よく聞きます。
- 卵がふわとろにならない
お店のようなふんわり感が出ず、ぼそぼそした炒り卵のようになる。 - あんの味が決まらない
甘すぎたり酸っぱすぎたり、毎回味が変わってしまう。 - あんが水っぽくなる
とろみがつかなかったり、時間がたつとしゃばしゃばになる。
この記事では、現役料理人20年の私が、天津飯の作り方をまるごとお伝えします。
甘酢あんと醤油あんの黄金比、ふわとろ卵のコツ、とろみのつけ方から、家族への出し方まで、順番に見ていきましょう。

天津飯とは——日本生まれの中華
天津飯は、ご飯の上にかに玉をのせ、とろみのあるあんをかけた丼です。
名前に中国の地名がついていますが、中国には天津飯という料理はなく、日本生まれの料理と言われています。
くわしい由来は、天津飯に合うおかずの記事でも紹介しています。
かに玉との違い
かに玉は、かにを入れて焼いた卵にあんをかけたおかずです。
天津飯は、そのかに玉をご飯にのせた丼、と考えると分かりやすいですよ。
あんは関西と関東で違う
天津飯のあんは、地方によって味つけが大きく分かれます。
関西では鶏ガラだしの醤油あん、関東では酢の効いた甘酢あんが一般的です。
この記事では、両方の黄金比をお伝えします。
甘酢あん——しょうゆ1:酢1:砂糖1

関東風の甘酢あんは、しょうゆ1:酢1:砂糖1の割合で覚えるのが簡単です。
2人分なら、鶏がらスープ200mlに、しょうゆ・酢・砂糖を大さじ1ずつ合わせます。
とろみは、片栗粉大さじ1を水大さじ2で溶いてつけます。
| 材料 | 割合 | 2人分 | 4人分 |
|---|---|---|---|
| 鶏がらスープ | — | 200ml | 400ml |
| しょうゆ | 1 | 大さじ1 | 大さじ2 |
| 酢 | 1 | 大さじ1 | 大さじ2 |
| 砂糖 | 1 | 大さじ1 | 大さじ2 |
| 片栗粉(水で溶く) | — | 大さじ1 | 大さじ2 |
片栗粉は倍の水で溶く
片栗粉は、同じ量の倍の水で溶いておきます。
使う直前にもう一度よく混ぜないと、底に沈んだ片栗粉が固まってダマになるので気をつけてください。
酢は最後に加える
酢は、あんが煮立ってから最後に加えると、とがった酸味がやわらぎつつ香りが残ります。
甘めが好きなら砂糖を少し足し、さっぱりが好きなら酢を少し足して調整してください。
醤油あん——関西のあっさり味

大阪で育った私にとって、天津飯のあんといえば、あっさりした醤油あんです。
酢を入れず、鶏がらのだしの香りでいただく、やさしい味わいのあんです。
2人分なら、鶏がらスープ200mlに、しょうゆ大さじ1と、塩ひとつまみ、砂糖小さじ1を合わせます。
とろみのつけ方は、甘酢あんと同じです。
仕上げにごま油を数滴たらすと、香りがぐっと立ちます。
甘酢あんと醤油あん、どちらも覚えておくと、その日の気分で選べますよ。
ふわとろ卵のコツ——強火で大きく混ぜる

天津飯のいちばんの見せどころは、ふわとろの卵です。
ここで紹介するのは、ご家庭で簡単にふわとろに仕上げる焼き方です。
ふわとろ卵のコツは、フライパンをしっかり熱して、卵を大きく混ぜることです。
献立の記事でも「卵を半熟で大きく混ぜる」とお伝えしているとおり、混ぜすぎないのがいちばん大事です。
お店で焼くプロの返し方は、次の見出しで紹介します。
フライパンとごま油をしっかり熱する
フライパンにごま油を入れ、薄く煙が立つくらいまでしっかり熱します。
フライパンが熱いと、卵を入れた瞬間にふくらんで、ふんわりした食感になります。
卵は溶きすぎない
卵は、白身が少し残るくらいに、軽く溶きほぐします。
溶きすぎるとコシがなくなり、焼いたときにふくらみにくくなります。
白身が少し残っていると、焼いたときに白と黄色のまだらになって、見た目にもふんわり感が出ます。
菜箸で大きく3〜4回だけ混ぜる
卵を一気に流し入れ、外側が固まり始めたら、菜箸で大きくゆっくり3〜4回だけ混ぜます。
細かくかき混ぜると炒り卵のようになるので、大きな波を作るように動かしてください。
ご飯をのせて、皿で返す
卵が半熟になったら火を止め、卵の真ん中にご飯をのせます。
上から皿をかぶせ、皿とフライパンをしっかり押さえて、ひと息にひっくり返します。
フライパンも皿も熱くなるので、ふきんを使ってしっかり持ってください。
最後に、卵の縁をヘラでやさしく寄せて丸く整えれば、ご家庭でも形のきれいなふわとろ卵になります。
お店では、天津飯の卵は必ず1人前ずつ焼きます。
2人前を一度に焼くと、フライパンの温度が下がって、ふんわりふくらみません。
直径20cmほどのフライパンで1人前ずつ焼くと、ご飯にのせたときに形もきれいに整います。
プロの卵の返し方——追い油で一枚のまま

ここまでの皿で返すやり方は、ご家庭で簡単にふわとろにできる焼き方です。
お店では、卵を焼く途中でもうひと手間かけて、フライパンだけで卵を返します。
油を温め、卵を一気に流し、菜箸で大きく混ぜるところ(図の①〜③)までは同じです。
縁から油を回し入れる
卵を大きく混ぜて半熟になったら、フライパンの縁から油を少し回し入れます。
卵とフライパンの間に油がなじむと、卵がするりと動くようになります。
フライパンだけで卵を返す
フライパンを奥へ傾けて卵を滑らせ、手前に引くようにして、卵を一枚のまま返します。
返した卵は崩さずに、器に盛ったご飯の上へ滑らせてのせます。
追い油で滑りをよくしておくのが、一枚のまま返すいちばんのコツです。
中華の厨房では、中華鍋をあおって、卵を手前からくるりと宙で返す方法もあります。
これはプロでも難しい技なので、参考程度に見てください。
ご家庭では、皿で返すやり方で十分ふわとろに仕上がります。
天津飯の作り方——6工程

ここからは、1人前の作り方を順番に見ていきます。
あんは2人分をまとめて作り、卵は1人前ずつ焼いてください。
材料は1人前で、次のとおりです(あんは2人分)。
- ご飯 200g
- 卵 2個
- かに風味かまぼこ 2本(約30g)
- 長ねぎ 5cm(約20g)
- 塩・こしょう 少し
- ごま油 大さじ1/2
- あん(甘酢あんか醤油あん・2人分)
工程1 あんを作っておく
小鍋に鶏がらスープと調味料を入れて煮立て、水溶き片栗粉を回し入れて、しっかりとろみがつくまで1分ほど煮ます。
甘酢あんなら、酢は最後に加えてください。
工程2 卵に具を混ぜる
卵を溶きほぐし、ほぐしたかに風味かまぼこと斜め薄切りの長ねぎ、塩・こしょうを混ぜます。
工程3 ごま油をしっかり熱する
フライパンにごま油を入れ、中火から強火で、薄く煙が立つまで熱します。
工程4 卵を流して大きく混ぜる
卵液を一気に流し入れ、外側が固まり始めたら、菜箸で大きく3〜4回混ぜます。
工程5 ご飯にのせる
器に盛ったご飯の上に、フライパンをすべらせるようにして卵をのせます。
すべらせるのが難しいときは、「ふわとろ卵のコツ」の皿で返すやり方でも、形よく仕上がります。
ご飯はやや固めに炊いておくと、あんをかけても水っぽくならず、最後までおいしく食べられます。
工程6 あんをかける
温め直したあんを、卵の上からたっぷりかけたら完成です。
グリンピースや刻んだ青ねぎを散らすと、彩りがよくなります。
具のバリエーション——えびやしいたけも

天津飯の卵に入れる具は、かに風味かまぼこだけではありません。
冷蔵庫にあるもので、いろいろな天津飯が楽しめます。
私がよく作る組み合わせを紹介しますね。
- かに缶で本格かに玉
かに缶を汁ごと少し加えると、うま味の濃いお店の味に近づきます。 - むきえびでぷりぷりに
下ゆでしたむきえびを入れると、食感の楽しい天津飯になります。 - しいたけとたけのこで食感を
細切りにして先にさっと炒めてから卵に混ぜると、水っぽくなりません。 - ねぎだけのシンプル天津飯
具がなくても、卵とあんだけで十分おいしい一皿になります。
水分の多い具を入れるときは、先に炒めて水気を飛ばしてから卵に混ぜてください。
卵の中に水分が出ると、ふわとろに焼き上がらなくなります。
火の通りの確かめ方——卵の固まり具合

天津飯のふわとろ卵は、中が半熟の状態です。
とろりとした食感がおいしさですが、半熟の卵は、食べる人によっては控えたい状態でもあります。
家族に合わせて、卵の固め方を変えてください。
半熟は元気な大人まで
半熟は元気な大人までにして、2歳以下のお子さんや高齢の方、妊娠中の方の分は、卵にしっかり火を通します。
卵を流して大きく混ぜたら、ふたをして弱火で1分ほど蒸らし、中まで固まったのを確かめてからご飯にのせてください。
中まで固まった合図
菜箸で卵の真ん中を少し開いて、とろりとした液が流れ出てこなければ、中まで固まっています。
固めに焼いた卵でも、あんをたっぷりかければ、しっとりやわらかく食べられます。
卵の保存や、新鮮な卵の見分け方は、卵の保存方法の記事にまとめています。
よくある失敗——あんが水っぽい

天津飯の失敗は、卵とあんの2つでほとんど決まります。
どちらも火の加減ひとつで仕上がりが変わるところです。
よくある4つを押さえておけば、次からはお店の仕上がりに近づきます。
- 卵がぼそぼそになる
フライパンの温度が低いか、混ぜすぎが原因です。しっかり熱して、大きく3〜4回だけ混ぜます。 - あんが水っぽい
片栗粉を入れたあとの加熱が足りません。回し入れたら、とろみがつくまで1分ほど煮ます。 - あんがダマになる
煮立った中に一気に入れると固まります。いったん火を弱めてから回し入れ、すぐに混ぜます。 - 酸味がとがる
酢を最初から煮込むと香りが飛び、とがった酸味が残ります。酢は最後に加えます。
4つに共通するのは、「卵は強い火で短く、あんはしっかり煮る」という火の使い分けです。
この使い分けができると、ふわとろの卵とつやのあるあんが両立します。
片栗粉のあんは、とろみがついた瞬間で火を止めると、時間がたつとゆるんでしゃばしゃばになります。
お店では、とろみがついてからさらに1分ほど煮て、とろみを落ち着かせています。
こうすると、食べ終わるまでつやのあるあんが保てます。
保存と温め直し——その日のうちに

天津飯は、作りたてをすぐ食べるのがいちばんおいしい料理です。
とくに半熟の卵は時間がたつと傷みやすいので、卵とご飯はその日のうちに食べきってください。
半熟の卵をのせたまま保存するのは避けましょう。
あんだけなら、清潔な容器に入れて冷蔵で翌日まで保存できます。
温め直すと少しゆるむので、水溶き片栗粉を少し足して、しっかり煮立ててから使ってください。
天津飯の栄養——たんぱく質約23g

栄養士として、この作り方の天津飯1人前の栄養を計算してみました。
ご飯200gに卵2個、かに風味かまぼこと長ねぎをのせて、甘酢あんをかけた1人前です。
エネルギーは約590kcal、たんぱく質は約23gです。
卵2個でたんぱく質がしっかりとれる一方、野菜は少なめなので、副菜やスープで足してあげるとバランスが整います。
塩分は約2.8gで、あんを全部かけたときの値です。
1日の目標量(男性7.5g未満・女性6.5g未満、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」)の4割ほどになります。
この作り方に使う特定原材料は、卵、しょうゆの小麦、かに風味かまぼこの商品によってはかにです。
準ずる品目では、しょうゆの大豆、ごま油のごま、鶏がらスープの鶏肉が入ります。
かに缶を使うときはかに、具のバリエーションのむきえびを使うときはえびが特定原材料なので、食物アレルギーのあるご家族がいるときは表示を確かめてください。
天津飯は卵が主役で、野菜が少なくなりがちです。
青菜のおひたしや、野菜たっぷりのスープを1品添えると、1食のバランスがぐっと整います。
塩分や脂質の指示を受けている方は、かかりつけの先生の指示を優先してください。
高齢者や子供にやさしい天津飯

天津飯は、卵もあんもやわらかく、家族みんなで食べやすい料理です。
それでも、卵の火の通し方と、あんの熱さには、食べる人に合わせた気づかいが必要です。
高齢の家族に出すとき
高齢の方の分は、卵に中までしっかり火を通してください。
ねぎやかに風味かまぼこは細かく刻み、ご飯はやわらかめに炊くと食べやすくなります。
あんのとろみで口の中でまとまりやすくなりますが、片栗粉のとろみは唾液に触れると戻っていきます。
飲み込む力に不安がある方には、市販のとろみ剤(とろみ調整食品)でとろみをつけてください。
日本摂食嚥下リハビリテーション学会の嚥下調整食学会分類2013を目安に、形ややわらかさも調整してくださいね。
小さなお子さんに出すとき
2歳以下のお子さんの分は、卵を中まで固めて、小さく取り分けてください。
甘酢あんの酸味が苦手な子には、醤油あんにするか、酢を控えめにすると食べやすくなります。
あんはとても熱くなっているので、少し冷ましてから出しましょう。
味つけも大人と同じなので、1歳未満のお子さんには天津飯そのものは出さないようにしましょう。
卵を離乳食に使うときの始める時期や量は、月齢で変わるので、かかりつけの先生や自治体の相談窓口で確かめてくださいね。
私は現役介護士でもあります。
天津飯は、やわらかい卵とあんで、介護の食卓でも出しやすい料理です。
ご飯粒がばらけて食べにくい方には、ご飯をやわらかいおかゆに替え、中まで固めた卵をのせて、とろみ剤でととのえたあんをかけてお出ししています。
天津飯を、おかゆのかに玉丼に置き換える日があっていい。
天津飯でよくある質問
最後に、天津飯を作るときによくいただく質問にお答えします。
Q1. かにかまでなくてもいい?
もちろん大丈夫です。
かに缶を使えばより本格的に、ねぎだけでも十分においしい天津飯になります。
Q2. 甘酢あんにケチャップは?
ケチャップを少し加えると、色が赤く、甘みとこくが増した甘酢あんになります。
お店によって入れるところもあるので、好みで試してみてください。
Q3. 卵が固くなってしまったら?
固くなっても、あんをたっぷりかければおいしく食べられます。
次からは、フライパンをしっかり熱して、混ぜる回数を減らしてみてください。
Q4. オムライスとの違いは?
オムライスはケチャップライスを卵で包む洋食、天津飯は白いご飯にかに玉をのせてあんをかける中華風の丼です。
ふわとろ卵の作り方は似ているので、オムライスの作り方の記事もあわせて参考にしてください。
Q5. 黒酢あんにするには?
甘酢あんの酢を黒酢に替えると、こくと酸味のバランスがよい、本格的な黒酢あんになります。
黒酢は香りが強いので、はじめは半量を黒酢にして試してみてください。
まとめ。。。

天津飯の作り方を、甘酢あんと醤油あんの黄金比から、ふわとろ卵、火の通り、家族への出し方までまとめました。
- 甘酢あんはしょうゆ1:酢1:砂糖1
鶏がらスープ200mlに大さじ1ずつ、酢は最後に。 - 関西は醤油あん
酢を入れず、鶏がらの香りでいただきます。 - 卵は強火で大きく3〜4回
1人前ずつ焼くと、ふんわりふくらみます。 - あんはとろみがついてから1分煮る
時間がたってもゆるみにくくなります。 - 半熟は元気な大人まで
家族の分は、ふたをして弱火で1分、中まで固めます。 - 卵とご飯はその日のうちに
あんだけなら冷蔵で翌日まで。 - 飲み込みに不安がある方はとろみ剤で
片栗粉のとろみは唾液で戻っていきます。
天津飯は、卵とあんの2つだけで決まる、シンプルだからこそ奥の深い料理です。
強い火で卵を、じっくり火であんを、という使い分けを覚えれば、お店の一皿にぐっと近づきます。
今夜は、甘酢あんか醤油あんか、どちらで作りますか?
ふわとろの卵にあんがとろりとかかった瞬間、きっと笑顔になるはずだよ。
フッくんでした!
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