料理研究家、料理大好きフッくんです。
あけましておめでとうの声と、お雑煮の湯気。お正月は、日本の食卓がいちばん晴れやかになる日ですよね。でも「おせちって、何をどこまで作ればいいの?」「品数が多くて大変そう」と、年末が近づくたびに悩みませんか?
正直に言うと、お正月の献立は「願いのある品を7つ」で十分です。おせちの一品一品には、先人が込めた願いの物語があります。黒豆は「まめに働けますように」、数の子は子孫繁栄。全部作らなくても、願いを選んで並べれば、立派な祝い膳になるんです。
そこで今回は、寿司職人20年×栄養士のフッくんが、お正月の献立をまるごと解説します。縁起物の7選、私のお店の祝い膳A・B(栄養成分付き)、数の子とかまぼこの職人の下ごしらえ、そして、お正月にいちばん大事なお餅の見守りの話まで。新年の食卓が、この1本で決まりますよ🌸
まずは、みなさんがお正月の献立で迷いがちなポイントを整理してみましょう。
- おせちを全部作るのは大変
願いを選んで7品。市販品との合わせ技も賢い選択です。 - 縁起物の意味を知らずに並べている
黒豆・数の子・田作りの物語をご案内します。 - 数の子やかまぼこの扱いがわからない
塩抜きと飾り切り、職人の下ごしらえをお伝えします。 - お餅が心配で、お雑煮をためらう
お正月こそ、見守りの本番。大事なお約束をお話しします。

おせちの縁起物と、願いの物語

献立の前に、おせちの物語を少しだけ。おせち料理は、もともと年神様への供え物。それを家族でいただくことで、新しい年の福を分けてもらう——日本のお正月の、美しい食の形です。
そして、一品一品に願いが込められています。黒豆は「まめに元気に働けますように」。数の子は、たくさんの卵から子孫繁栄。田作りは、いわしを田の肥料にした歴史から五穀豊穣。伊達巻は、巻物の形から知識が増えますように。紅白かまぼこは、半円の形が初日の出。筑前煮は、具材が一つの鍋で結ばれることから、家族円満です。
だから、合言葉は「願いのある品を7つ」。全部そろえる必要はありません。わが家に届いてほしい願いから、選んでいきましょう。
お正月の献立の考え方

お正月の献立は、3つのポイントで考えると迷いません。順番に見ていきますね。
①願いで品を選ぶ
「今年は家族の健康を」なら黒豆、「子供の学びを」なら伊達巻。願いから品を選べば、7品でも立派なおせちです。
品数の多さより、願いの物語を語れることのほうが、ずっと豊かな祝い膳になりますよ。
②手作りと市販の合わせ技
黒豆や伊達巻は、おいしい市販品がたくさんあります。手作りは筑前煮と雑煮となますだけ、あとは市販——これが、賢い段取りです。
年末の台所は大忙し。全部背負わず、合わせ技で、元日の朝に笑顔でいることを優先してくださいね。
③お雑煮を膳の中心に
お餅と菜と、だしの一椀。お雑煮は、汁物と主食を兼ねる、お正月の膳の中心です。
おせちの品々は、お雑煮のまわりに小鉢で並べるだけ。この組み立てなら、朝の支度もすっきりですよ。
お正月の献立 早見表
7選の全体像を、先にひと目でどうぞ。
| 種類 | おすすめ | 願い |
|---|---|---|
| 膳の中心 | お雑煮 | 年神様の力をいただく |
| 祝い肴 | 黒豆・数の子・田作り | 健康・子孫繁栄・豊作 |
| 口取り | 紅白かまぼこ・伊達巻 | 初日の出・知識 |
| 煮物 | 筑前煮 | 家族円満 |
お正月の献立7選

ここからが本題です。願いの物語がある品を、主素材が重ならないように7つ選びました。
- ①お雑煮
年神様の力をいただく一椀。膳の中心です。 - ②黒豆
まめに元気に働けますように。つややかな祝い肴です。 - ③数の子
子孫繁栄の願い。プチプチの食感は職人の下ごしらえで決まります。 - ④紅白かまぼこ
半円は初日の出の形。飾り切りで祝いの顔になります。 - ⑤伊達巻
巻物の形に知識の願い。甘い卵のごちそうです。 - ⑥筑前煮
一つの鍋で結ばれる家族円満。根菜の滋味です。 - ⑦田作り
五穀豊穣の小さないわし。カリッと香ばしい箸休めです。
組み合わせのコツは、「雑煮を中心に、願いを3つ」。お雑煮の椀のまわりに、黒豆・数の子・かまぼこの小鉢。それだけで、元日の朝の膳は完成ですよ。
塩数の子は、真水でなく薄い塩水に半日〜1日浸けて塩を抜きます。
真水だと抜けすぎて苦みが出るんです。仕上げに薄皮も丁寧に取ってください。
プチプチの黄金色は、この下ごしらえの賜物。市場のお約束ですよ。
黒豆も田作りも数の子も、日持ちする料理ばかりなのがおせちの設計。三が日は台所を休む、という先人のやさしい知恵です。
この献立には特定原材料8品目「卵」(伊達巻)「小麦」(醤油)「えび」(市販のかまぼこ・伊達巻の原材料)+準ずる20品目「大豆」(黒豆・醤油)「鶏肉」(筑前煮)「さば」(だし)「いくら」等が含まれることがあります。えびアレルギーは重篤なアナフィラキシーを起こすことがあるため、市販品はパッケージ表示で必ず確認してください(消費者庁「食物アレルギー表示制度」)。
お雑煮と筑前煮のだしの土台には、昆布を。大晦日の夜に水出しを仕込めば、元日の朝がすっと始まります。祝い膳の縁の下の力持ちですよ。
私のお店のお正月献立例A・B(栄養成分付き)
実際に私のお店で出していた、お正月の献立を2パターンご紹介します。

①お雑煮
②黒豆
③数の子
④紅白かまぼこ
雑煮を中心に、祝い肴と口取りを小鉢で。元日の朝の、王道の膳です。

①筑前煮
②伊達巻
③田作り
④ごはん
二日目からのおせちプレート。煮物を主役に、ワンプレートで気楽にどうぞ。
2つの献立の栄養成分を比べてみますね(1人分の概算)。
| 栄養価 | 献立A(元日の祝い膳) | 献立B(おせちプレート) |
|---|---|---|
| メニュー | ①お雑煮 ②黒豆 ③数の子 ④紅白かまぼこ | ①筑前煮 ②伊達巻 ③田作り ④ごはん |
| エネルギー | 約530kcal | 約560kcal |
| たんぱく質 | 約22g | 約20g |
| 脂質 | 約8g | 約10g |
| 炭水化物 | 約92g | 約100g |
| 食物繊維 | 約4.0g | 約5.0g |
| カルシウム | 約60mg | 約85mg |
| ビタミンC | 約8mg | 約10mg |
| 食塩相当量 | 約3.0g | 約2.6g |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)」を参考に算出した概算値です。
数字を見ると、おせちの膳は脂質が控えめで、思いのほか軽やか。煮る・干す・酢で締めるの和の技が中心だからです。ごちそう続きの三が日も、この型なら体がすっと整いますよ。
職人の下ごしらえ(かまぼこ・筑前煮・お雑煮)

かまぼこは、12mmほどの厚さに切るのが食感の目安。板から外すときは、包丁の背でそっと。市松や結びの飾り切りにすれば、それだけで祝いの顔になります。
筑前煮は、根菜の大きさをそろえて切るのが火の通りの鍵。鶏肉は75℃で1分以上、しっかり火を通してください。れんこんとごぼうは酢水にさらして、すっきりした煮上がりに。
お雑煮のだしは、昆布と削り節の合わせだしが王道です。黒豆はふっくら煮るのに時間がかかるので、市販品も賢い選択。手作りと市販の合わせ技で、元日の笑顔を優先してくださいね。
【材料(3〜4人分)】
鶏もも肉…200g
れんこん・ごぼう・にんじん・こんにゃく・しいたけ…各適量
★だし…300ml
★酒…大さじ2
★みりん…大さじ2
★しょうゆ…大さじ2
★砂糖…大さじ1(私はキビ糖)
【作り方】
①根菜は大きさをそろえて乱切り、れんこんとごぼうは酢水にさらす
②鶏肉を炒めて色が変わったら、根菜を加えて油を回す
③★を加えて落としぶたをし、中火で15分ほど煮る
④鶏肉は中心75℃で1分以上を確認し、煮汁を軽く煮からめて完成
ひと晩おくと味が染みて、二日目がさらにおいしいですよ。

筑前煮と黒豆は大晦日までに仕込む(味染みは冷める時間の仕事)。
昆布は夜のうちに水出し、元日は雑煮を仕立てるだけにしておきます。
祝い膳の主役は料理でなく家族の顔。段取りが、その余裕を作りますよ。
お雑煮のだしには、香り高い混合削り節を。昆布との合わせだしで、元日の一椀が料亭の顔になります。毎日のお味噌汁にも活躍しますよ。
お餅の見守り(お正月こそ、一年でいちばん大事な日)

お正月に、いちばんお伝えしたい話です。お餅がのどに詰まる事故は、一年のうちお正月がいちばん多いこと、ご存じですか。だからこそ、お雑煮の椀を囲む朝は、見守りの本番なんです。
お約束は、いつもの型と同じです。お餅は一口大より小さく切る。飲み物や汁物と交互に、ゆっくりかむ。そして、食べている間はそばで見守り、歩いたり、話に夢中になったりしながら食べないこと。ご高齢の方と小さなお子さんは、特にゆっくりです。
小さなお子さんには、お餅をさらに小さく切るか、思い切って餅なしのお雑煮も選択肢。具と菜とだしの一椀だけでも、年神様の福は、ちゃんと届きますよ。テレビの初笑いに夢中の食卓こそ、要注意。「見守りも、ごちそうのうち」——今年も、この言葉を添えさせてください。
餅による窒息事故は1月がいちばん多く、消費者庁も毎年年末に注意喚起しています。特に高齢者の窒息死亡事故が集中します(消費者庁「餅による窒息事故に御注意ください」参照)。
お餅は一口大より小さく切り、先にお茶や汁物で口の中を潤してから、汁と交互に、そばで見守りながらゆっくりと。歩いたり話に夢中になったりしながら食べないこともお約束です。小さなお子さんには餅なしの雑煮も選択肢です。
かむ力・飲み込む力に不安がある場合は、日本摂食嚥下リハビリテーション学会「嚥下調整食学会分類2013」を基準に、必ず主治医・言語聴覚士(ST)・管理栄養士にご相談ください。
なお、かむ力や飲み込む力に不安のあるご家族とのお正月は、嚥下に配慮した献立で準備してあげてください。安心の形は、ご家族の状態に合わせて選べますよ。

おせちは保存の知恵の膳ですが、野菜がやや控えめになりがちです。
筑前煮の根菜と、雑煮の菜っ葉が、三が日の野菜の頼れる担当です。
二日目には、なますや青菜のおひたしをひと鉢足してあげてくださいね。
筑前煮の煮汁や黒豆の甘みの計量には、計量スプーンが頼りになります。祝いの味こそ黄金比でぴたりと。毎日の合わせ調味料にも活躍しますよ。
お正月の献立でよくある質問
Q1. おせちは全部手作りしないとだめですか?
いいえ、合わせ技で大丈夫です。黒豆や伊達巻はおいしい市販品を、筑前煮と雑煮となますは手作りで——これが、私のおすすめの配分です。
大事なのは、品数より、願いの物語を家族で語れること。元日の朝に笑顔でいることを、いちばんに考えてくださいね。
Q2. 数の子の塩抜きのコツを教えてください。
真水ではなく、薄い塩水(水1Lに塩小さじ1ほど)に半日〜1日浸けてください。真水だと塩が抜けすぎて、苦みが出てしまうんです。
塩が抜けたら、表面の薄皮を指で丁寧に取り除いて。プチプチの黄金色が、祝い膳の主役になりますよ。
Q3. お雑煮のお餅、子供にはどうすればいいですか?
一口大よりさらに小さく切って、汁と交互に、そばで見守りながらゆっくりと。歩いたり遊んだりしながら食べさせないことも、大事なお約束です。
心配なときは、餅なしのお雑煮も立派な選択肢。具とだしの一椀でも、お正月の福はちゃんと届きますよ。
Q4. おせちに飽きたら、どうアレンジしますか?
二日目からは、献立Bのようなおせちプレートに。筑前煮を主役に、ごはんと合わせれば、普段の定食の顔になります。
お雑煮の餅が余ったら、年越しそばの記事でご紹介したアレンジもどうぞ。三が日を、飽きずにおいしく乗り切ってくださいね。
“おいしい”は、全部が重なること

お正月の膳のおいしさは、料理の味だけでは、完成しません。お雑煮の湯気に、初日の出のかまぼこの紅白が映えて、「黒豆はね、まめに働けますようにって意味なんだよ」の一言に、家族の笑いが重なる。窓の外には、新しい年の朝の光。
願いの物語、職人の下ごしらえ、大晦日の段取り、そして見守りのまなざし。それぞれは小さな心配りでも、元日の膳の上でひとつに重なったとき、「今年もいい年になりそうだね」の笑顔になります。お正月の献立を考えるというのは、一年の願いを、お皿の上にデザインすることなんだと、私は思っています。
新しい年の食卓に、あなたはどの願いをのせますか?この記事の7選が、その答えのヒントになれたら、うれしいです🌸
まとめ。。。

お正月の献立のポイントを、最後にまとめておきますね。
- おせちは、願いの物語
黒豆=健康、数の子=子孫繁栄。語れる膳が豊かな膳です。 - 合言葉は、願いのある品を7つ
全部作らなくて大丈夫。願いから選びましょう。 - 雑煮を中心に、願いを3つ
この組み立てで、元日の朝の膳は完成です。 - 手作りと市販の、合わせ技
黒豆と伊達巻は市販も賢い。笑顔を優先してください。 - 数の子は、薄い塩水で塩抜き
真水は避けて。薄皮まで取って、プチプチの黄金色に。 - 大晦日の段取りが、元日の笑顔
煮物は前日に。味染みは冷める時間の仕事です。 - お餅は小さく切って、見守り当番を
お正月こそ見守りの本番。いちばん大事なお約束です。
お正月の献立は、「願いのある品を7つ、雑煮を中心に」。先人の願いの物語と、見守りのまなざしを添えて、新しい年の食卓を晴れやかに整えてください。今年も、あなたの台所に、たくさんの笑顔がありますように。困ったときは、またこの記事を見に来てください🌸
最後までお読みいただきありがとうございました。
フッくんでした!








