料理研究家、料理大好きフッくんです。
甘酸っぱい南蛮酢がしみた鶏肉に、たっぷりのタルタルソース。
チキン南蛮は、子どもから大人までみんなが喜ぶごちそうですよね。
でも、家で作ると、南蛮酢とタルタルの味がなかなか決まらないものです。
こんなお悩み、よく聞きます。
- 南蛮酢の味が決まらない
酸っぱすぎたり、甘すぎたり、毎回味が変わってしまう。 - むね肉がパサパサになる
しっかり揚げると、固くてパサついた食感になる。 - 中まで火が通っているか不安
鶏肉の生焼けが心配で、つい揚げすぎてしまう。
この記事では、現役料理人20年の私が、お店で作っているチキン南蛮の作り方をまるごとお伝えします。
南蛮酢とタルタルの黄金比、むね肉をしっとり揚げるコツ、火の通りの確かめ方、作り置きまで、順番に見ていきましょう。

チキン南蛮とは——宮崎生まれ
チキン南蛮は、衣をつけて揚げた鶏肉を甘酢にくぐらせ、タルタルソースをかけていただく料理です。
宮崎県延岡市発祥の料理で、1964年(昭和39年)ごろに提供されたのが始まりと言われています。
くわしい発祥の話は、チキン南蛮の献立の記事でも紹介しています。
唐揚げとの違いは甘酢とタルタル
唐揚げは、下味をつけた鶏肉に粉をまぶして揚げる料理です。
チキン南蛮は、小麦粉と卵の衣で揚げた鶏肉を甘酢にくぐらせ、タルタルソースをかけるのが違いです。
甘酸っぱさとまろやかさが重なる、ふたつのたれが主役の料理なんです。
むね肉か、もも肉か
この記事では、献立の記事と同じく、胸肉(むね肉)で作ります。
むね肉はあっさりして、甘酢とタルタルがよくからみます。
もも肉で作ると、よりジューシーでこってりした仕上がりになります。
南蛮酢の黄金比——酢3:しょうゆ2:砂糖2

チキン南蛮の味の土台は、甘酸っぱい南蛮酢です。
私のお店では、酢3:しょうゆ2:砂糖2の割合で合わせています。
酢が少し多めなので、タルタルソースと合わさったときに、味がぼやけずに締まります。
| 材料 | 割合 | 2人分 | 4人分 |
|---|---|---|---|
| 酢 | 3 | 大さじ3 | 大さじ6 |
| しょうゆ | 2 | 大さじ2 | 大さじ4 |
| 砂糖 | 2 | 大さじ2 | 大さじ4 |
酢は米酢か穀物酢で
酢は、米酢でも穀物酢でもおいしく作れます。
米酢はまろやかで、穀物酢はすっきりした酸味になるので、好みで選んでください。
甘めが好きなご家庭は、砂糖を少し足して調整します。
ひと煮立ちさせてから使う
小鍋に材料を合わせ、ひと煮立ちさせて砂糖を溶かします。
火にかけると酢のとがった香りがやわらいで、まろやかな南蛮酢になります。
揚げたての鶏肉を、この温かい南蛮酢にさっと漬けるのがチキン南蛮のコツです。
タルタルの黄金比——卵1個にマヨ大さじ3

チキン南蛮のもうひとつの主役が、タルタルソースです。
私の基本は、固ゆで卵1個にマヨネーズ大さじ3。
ここに玉ねぎのみじん切りとピクルスを加えると、食感と酸味が加わります。
- 固ゆで卵 1個(粗く刻む)
- マヨネーズ 大さじ3
- 玉ねぎ 1/8個(みじん切りにして水にさらす)
- らっきょうかピクルス 少し(みじん切り)
- 酢 小さじ1
- 塩・こしょう 少し
玉ねぎは水にさらして絞る
玉ねぎのみじん切りは、水にさらして辛みを抜き、ふきんでしっかり絞ります。
水気が残るとタルタルが水っぽくなるので、ここをていねいにするのがコツです。
ピクルスがないときは、らっきょうの甘酢漬けを刻んで入れています。
らっきょうの甘酸っぱさとシャキシャキ感が、南蛮酢の甘酢とよくなじみます。
家にあるものでおいしくできる、私の店の定番の置き換えです。
下ごしらえと衣——厚みをそろえる

むね肉は、厚いところと薄いところの差が大きい部位です。
そのまま揚げると、薄いところは固くなり、厚いところは火が通りにくくなります。
だから、揚げる前に厚みをそろえるのが、しっとり仕上げるいちばんのコツです。
観音開きで厚みをそろえる
むね肉の厚いところに包丁を入れて左右に開き、全体の厚みを1.5cmほどにそろえます。
厚みがそろうと、揚げ時間が短くなって、中までむらなく火が通ります。
小麦粉と卵の衣をつける
塩・こしょうで下味をつけ、小麦粉を薄くまぶして、溶き卵にくぐらせます。
卵の衣が肉を包むので、揚げても水分が逃げにくく、しっとり仕上がります。
衣は揚げる直前につけてください。
生の鶏肉をさわった手や包丁、まな板は、ほかの食材にふれる前によく洗ってくださいね。
鶏肉の保存の仕方は、鶏肉の保存方法の記事にまとめています。
チキン南蛮の作り方——6工程

ここからは、2人分の作り方を順番に見ていきます。
南蛮酢とタルタルを先に作っておけば、あとは揚げて漬けるだけです。
材料は2人分で、次のとおりです。
- 鶏むね肉 1枚(約300g)
- 塩・こしょう 少し
- 小麦粉 大さじ2
- 卵 1個(衣用)
- 南蛮酢(酢大さじ3・しょうゆ大さじ2・砂糖大さじ2)
- タルタルソース(上の分量)
- 揚げ油 適量
- せん切りキャベツ・トマト 適量
工程1 南蛮酢とタルタルを作る
南蛮酢の材料をひと煮立ちさせ、温かいまま置いておきます。
タルタルソースを作って、冷蔵庫で冷やしておきます。
工程2 むね肉の厚みをそろえる
むね肉を観音開きにして厚みを1.5cmほどにそろえ、食べやすい大きさに切ります。
工程3 小麦粉と卵の衣をつける
塩・こしょうをして小麦粉を薄くまぶし、溶き卵にくぐらせます。
工程4 170℃で揚げる
揚げ油を170℃に温め、鶏肉を静かに入れて揚げます。
揚げ方のくわしいポイントは、次の見出しでお伝えします。
工程5 火の通りを確かめる
いちばん厚い1切れを切って、中まで火が通っているかを確かめます。
工程6 漬けてタルタルをかける
揚げたての鶏肉を熱い南蛮酢にさっと漬けて、全体にからめます。
器に盛ってタルタルソースをたっぷりかけ、キャベツとトマトを添えたら完成です。
揚げ方——170℃で5〜6分

チキン南蛮の鶏肉は、170℃の油で揚げます。
高すぎる温度だと、衣だけが先に色づいて、中まで火が通る前に焦げてしまいます。
170℃でじっくり、中まで火を通すことを意識してください。
入れて1分は触らない
鶏肉を静かに入れたら、卵の衣が固まるまで1分ほどは触らずに待ちます。
早く動かすと、衣がはがれてしまいます。
衣が固まったら、ときどき返しながら5〜6分揚げます。
油はねと鍋のそばの注意
揚げている間は、鍋から離れないでください。
油がはねることがあるので、揚げている間はお子さんを台所から離してくださいね。
揚げ油の温度の見分け方は、揚げ物のコツの記事でくわしく紹介しています。
火の通りの確かめ方——中心75℃1分

鶏肉の生焼けは、カンピロバクターという菌による食中毒の原因になります。
まれに、手足のまひが起こるギラン・バレー症候群につながることもあると言われています。
新鮮な鶏肉でも起こるので、「新鮮だから少しくらい」は禁物です。
鶏肉は、中心75℃1分以上の加熱が安全の目安です。
南蛮酢に漬ける前に、次の3つで必ず確かめてください。
- 断面:いちばん厚い1切れが白い
切って、ピンク色や透明な部分が残っていないかを見ます。 - 肉汁:透明になっている
押したときに出る汁が、赤っぽくなく透き通っていれば合図です。 - 音:揚げる音が軽くなる
入れた直後の大きな音が、小さく軽い音に変わってきます。
ひとつでも怪しいときは、もう1〜2分揚げてから、もう一度確かめてください。
南蛮酢に漬けてからだと色で判断しにくくなるので、確かめるのは必ず漬ける前です。
お店では、揚げた中でいちばん厚い1切れを選んで、真ん中で切って確かめます。
いちばん厚いものに火が通っていれば、ほかの切り身も大丈夫です。
切った1切れは、そのまま盛りつけて、断面を見せるように並べれば見た目も華やかになります。
よくある失敗——パサつく・べちゃつく

チキン南蛮の失敗は、だいたい4つのパターンに分かれます。
どれも原因がはっきりしているので、ひとつずつ直していけば、次からはお店の仕上がりに近づきます。
- むね肉がパサつく
厚みがばらばらで、薄いところに火が入りすぎています。観音開きで厚みをそろえます。 - 衣がはがれる
入れてすぐ動かしたのが原因です。卵の衣が固まるまで1分は触りません。 - 衣がべちゃべちゃになる
南蛮酢に長く漬けすぎています。揚げたてを熱い南蛮酢に、さっとくぐらせます。 - タルタルが水っぽい
玉ねぎの水気が原因です。水にさらしたら、ふきんでしっかり絞ります。
4つに共通するのは、「揚げる・漬ける・かける」をそれぞれ短く、手早くすることです。
このリズムがそろうと、衣はサクッと、中はしっとりしたチキン南蛮になります。
作り置き——漬ける前で止める

チキン南蛮は、揚げたてを南蛮酢に漬けて、すぐ食べるのがいちばんおいしい料理です。
作り置きするなら、全部を合わせずに、漬ける前で止めておくのがコツです。
分けて保存すれば、翌日もおいしく食べられます。
揚げた鶏肉は粗熱を取って冷蔵
揚げた鶏肉は、浅い容器に広げて粗熱を30分以内に取ります。
冷めたらふたをして冷蔵庫に入れ、冷蔵で翌日までに食べきってください。
南蛮酢とタルタルは別に
南蛮酢は別の容器に入れて冷蔵しておきます。
タルタルソースは卵を使っていて傷みやすいので、その日のうちに使い切るのがオススメです。
食べる直前に温めて漬ける
食べるときは、鶏肉をオーブントースターで中まで熱くなるまで温め、温めた南蛮酢にさっと漬けてからタルタルをかけます。
一度解凍したものの再冷凍は避けてください。
チキン南蛮の栄養——たんぱく質約32g

栄養士として、チキン南蛮の1人分の栄養も押さえておきますね。
1人分のむね肉150gで、たんぱく質は約32gとれます。
むね肉は、たんぱく質をしっかりとれる部位です。
南蛮酢の塩分は、1人分で約2.6gです。
これは南蛮酢を全部からめたときの値なので、皿に残るぶん、実際にとる量はこれより少なくなります。
揚げ油を吸う量は揚げ方で変わるので、エネルギーの数字はここでは書いていません。
この作り方に使う特定原材料は、衣とタルタルの卵、小麦粉としょうゆの小麦です。
準ずる品目では、鶏肉と、しょうゆの大豆が入ります。
食物アレルギーのあるご家族がいるときは、使う食材と調味料の表示を確かめてください。
タルタルソースはマヨネーズが中心なので、上から全部かけると思った以上の量になります。
小皿に取り分けて、つけながら食べると、量を調整しやすくなります。
せん切りキャベツやトマトをたっぷり添えて、野菜も一緒にとってください。
塩分や脂質の指示を受けている方は、かかりつけの先生の指示を優先してください。
高齢者や子供にやさしいチキン南蛮

チキン南蛮は、甘酸っぱくて食べやすい味つけで、家族みんなに人気の料理です。
食べる人に合わせて、切り方と衣を少し工夫すると、さらに食べやすくなります。
高齢の家族に出すとき
むね肉は、薄いそぎ切りにしてから揚げると、噛み切りやすくなります。
揚げたあと南蛮酢に少し長めにくぐらせると、衣がしっとりして口の中でまとまりやすくなります。
タルタルの玉ねぎやピクルスは、できるだけ細かく刻んでください。
飲み込む力に不安がある方には、日本摂食嚥下リハビリテーション学会の嚥下調整食学会分類2013を目安に、やわらかさや形を調整してくださいね。
小さなお子さんに出すとき
揚げたての鶏肉は中が熱いので、少し冷ましてから出してください。
2歳以下のお子さんには、衣を外して、鶏肉を小さく切ると食べやすくなります。
タルタルの卵は、固ゆでにしてください。
揚げ物で、マヨネーズや甘酢の味つけも大人と同じなので、1歳未満のお子さんにはチキン南蛮そのものは出さないようにしましょう。
鶏肉を離乳食に使うときの始める時期や量は、月齢で変わるので、かかりつけの先生や自治体の相談窓口で確かめてくださいね。
半熟のゆで卵を使ったタルタルは、2歳以下のお子さんや高齢の方、妊娠中の方には出さないようにしましょう。
私は現役介護士でもあります。
揚げた衣は、噛む力が弱い方には口の中でまとまりにくいことがあります。
その日は、むね肉を薄くそぎ切りにしてフライパンでやわらかく焼き、南蛮酢にからめてお出ししています。
揚げるチキン南蛮を、焼いた南蛮チキンに置き換える日があっていい。
チキン南蛮でよくある質問
最後に、チキン南蛮を作るときによくいただく質問にお答えします。
Q1. 市販のタルタルでもいい?
もちろん大丈夫です。
刻んだ玉ねぎやらっきょうを少し足すと、手作りに近い食感になります。
Q2. 揚げずに作れる?
作れます。
フライパンに多めの油を入れて、揚げ焼きにしても十分おいしく仕上がります。
揚げ焼きのときも、いちばん厚い1切れを切って、中まで火が通っているかを確かめてください。
Q3. 南蛮酢は作り置きできる?
できます。
清潔な容器に入れて冷蔵庫で保存し、早めに使い切ってください。
使うときは温め直してから、揚げたての鶏肉にからめます。
Q4. お弁当に入れてもいい?
入れられます。
南蛮酢をよくきってから詰め、タルタルは入れずに、食べる直前にかけるのがオススメです。
保冷剤と一緒に持ち歩き、その日のうちに食べてください。
Q5. もも肉で作るときは?
もも肉は、余分な脂と筋を取り、厚みをそろえてから同じように作ります。
むね肉より揚げ時間が少し長くなることがあるので、いちばん厚い1切れを切って、中まで火が通っているかを必ず確かめてください。
まとめ。。。

チキン南蛮の作り方を、南蛮酢とタルタルの黄金比から、揚げ方、火の通り、作り置き、家族への出し方までまとめました。
- 南蛮酢は酢3:しょうゆ2:砂糖2
ひと煮立ちさせて、まろやかにします。 - タルタルは固ゆで卵1個にマヨネーズ大さじ3
玉ねぎは水にさらして、しっかり絞ります。 - むね肉は厚みをそろえる
観音開きで1.5cmほどにすると、しっとり揚がります。 - 170℃で5〜6分、入れて1分は触らない
揚げている間は鍋から離れません。 - 火の通りは中心75℃1分以上
いちばん厚い1切れを切って、漬ける前に確かめます。 - 作り置きは漬ける前で止める
鶏肉・南蛮酢・タルタルを分けて保存します。 - 家族に合わせて切り方と衣を調整
高齢の方には薄いそぎ切り、小さなお子さんには衣を外して。
チキン南蛮は、揚げる・漬ける・かけるの3つがそろって完成する料理です。
だからこそ、ひとつひとつを手早く、ていねいに仕上げると、お店の味にぐっと近づきます。
宮崎生まれのこの一皿を、ぜひ家の食卓でも楽しんでみてくださいね。
甘酢とタルタルが重なったひと口に、家族の笑顔が広がるはずだよ。
フッくんでした!
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