料理研究家、料理大好きフッくんです。
「鬼は外、福は内!」。豆の音と子供の笑い声、そして太巻きを黙って頬張る、あのちょっとおかしくて幸せな夜。節分は、冬と春の境目のお祭りです。
そして正直に言うと、大阪の寿司職人にとって節分は、一年でいちばんの書き入れどき。夜が明ける前から巻きすを握って、何百本と恵方巻を巻いてきました。その手の内、今日は全部お伝えします🍚
こんなお悩み、ありませんか?
- 節分の献立、恵方巻だけで終わってしまう
縁起の7品で組めば、恵方巻が主役の立派な膳になります。 - 恵方巻を家で巻くと、ゆるんで崩れる
職人の巻きの合図を数字でお伝えします。巻きすがなくても大丈夫です。 - 豆まきの豆、小さな子にどこまで?
ここがこの記事のいちばん大事な話。5歳以下には与えない、が答えです。 - いわしや柊の意味を子供に聞かれて困った
鬼の苦手なものの物語、まとめて解説します。
寿司職人と栄養士、ふたつの目線で「節分の献立7選」を完全解説します。最後まで読めば、福を巻き込む食卓が整いますよ🥢

節分はなぜ豆をまくの?鬼と縁起の物語

節分は「季節を分ける」と書きます。もともとは立春・立夏・立秋・立冬の前日すべてが節分でしたが、一年の始まりとされた立春の前夜だけが、邪気払いの行事として残りました。
豆をまくのは、「魔を滅する」に通じる「まめ」で鬼を払うという言葉の縁起から。玄関の柊鰯(ひいらぎいわし)は、鬼がいわしの焼いた匂いと柊のトゲを苦手とすることから生まれた、日本のお守りです。
そして恵方巻。これは私の地元、大阪の花街や商人の町から広まったと言われる風習です。その年の恵方(縁起のいい方角)を向いて、福を巻き込んだ太巻きを、縁を切らないよう包丁を入れずに、願いごとをしながら無言で丸かぶりする。にぎやかな大阪らしい、福の食べ方なんですね。
節分の献立、考え方は3つだけ

①主役は恵方巻・福を巻き込む
7種の具は七福神になぞらえた縁起の数。かんぴょう、きゅうり、厚焼き卵、桜でんぶ、しいたけ、海老、うなぎやあなご。全部そろわなくても、7種を目指して巻けば福は十分です。
②鬼の苦手ないわしで守る
柊鰯は飾るだけでなく、食卓にも。いわしの塩焼きを一尾つければ、香ばしい匂いが家じゅうの魔除けになります。旬の脂ののった時期でもあります。
③大豆づくしで福を重ねる
福豆、湯豆腐、油揚げ、味噌。節分は大豆の日でもあります。姿を変えた大豆を膳のあちこちに散らして、福を重ねましょう。
節分の献立7選・早見表

| 料理 | 縁起・いわれ | 献立での役割 |
|---|---|---|
| 恵方巻 | 福を巻き込み、縁を切らない | 主役・大阪生まれの福 |
| いわしの塩焼き | 柊鰯=鬼の苦手な匂い | 主菜・魔除けの香ばしさ |
| けんちん汁 | 節分の行事汁として親しむ地域も | 根菜たっぷりの一椀 |
| 節分そば | 旧暦では立春前夜が年越し | もうひとつの年越しそば |
| 湯豆腐(立春大吉豆腐) | 白い豆腐は清めの縁起 | 大豆の白・箸休め |
| 小松菜と油揚げの炊いたん | 青菜と大豆の福合わせ | 青菜の小鉢 |
| 福豆(炒り大豆) | 魔を滅する「まめ」・年の数 | 締めの縁起・見守りの主役 |
節分の献立7選を寿司職人×栄養士が解説

①恵方巻(主役・寿司職人の本領)
店の節分は、夜明け前から巻きすの音だけが響きます。何百本と巻いて体に入った答えはひとつ。恵方巻は「具をのせる位置」で9割決まります。
酢飯はのりの奥3cmを残して広げ、具は手前3分の1に一直線にまとめて置く。巻くときは、手前ののりを具の向こう側の酢飯めがけて一気にかぶせ、巻きすの上からきゅっとひと締め。ためらいながら転がすと、ゆるみます。思い切りが、巻きの正体です。
巻きすを使った基本の巻き方は、巻き寿司の記事で写真つきで詳しく解説しています。巻きすがなければ、ラップとキッチンペーパーを重ねた即席巻きすでも大丈夫ですよ。
初心者の失敗のほとんどは、酢飯の広げすぎです。のりの奥3cmは必ず空けて、酢飯の厚みは米粒2〜3粒分。ここが薄いほど、具が真ん中に決まってきれいな渦になります。
巻き終わりを下にして1〜2分置けば、のりが落ち着いて切っても崩れません。切るときは包丁を濡れ布巾でひと拭きずつ。断面が化けますよ。
※まろやかな吟醸酢の酢飯は、7種の具をやさしくまとめてくれます。節分の朝の一本に。
②いわしの塩焼き(柊鰯・魔除けの香ばしさ)
頭は玄関の柊へ、身は食卓へ。いわしは振り塩をして10分置き、水気を拭いてから焼くと臭みが抜けます。フライパン用ホイルなら、皮はパリッと、後片付けは丸めて捨てるだけです。
安心のためにふたつ。いわしのような青魚は鮮度が命なので、買ったらすぐ冷蔵庫へ。アニサキスという寄生虫は中までしっかり加熱すれば心配いりません。塩焼きは、その点でも節分向きの食べ方です。小骨が多い魚なので、小さなお子さんと高齢の方の分は、骨を外してほぐしてあげてください。
※くっつかないフライパン用ホイル。いわしの皮パリから恵方巻の厚焼き卵まで、節分の台所の裏方です。
③けんちん汁(根菜の一椀)
大根、にんじん、ごぼう、里芋、豆腐をごま油で炒めてから、昆布だしで煮る具だくさんの汁。関東の一部では、節分にけんちん汁をいただく風習が今も残っています。
豆腐を手でくずして入れるのが、けんちん汁の顔。精進の汁なので、だしは昆布と干し椎茸で引くと、より本式の味になります。多めに作ったら、食べる分以外は浅い容器に小分けして早く冷ましてから冷蔵庫へ。汁物の作り置きの合言葉です。
豚汁と同じ理屈で、根菜と豆腐をごま油で先に炒めると、コクが一段深くなります。豆腐は水切りしてから炒めると、くずれすぎず食べごたえが残ります。
昆布は水から、沸く直前に引き上げる。精進の汁は、だしの丁寧さがそのまま味になりますよ。
※羅臼・利尻・日高の昆布セット。けんちん汁と湯豆腐、節分の膳はいい昆布がだしの主役です。
④節分そば(もうひとつの年越しそば)
旧暦では立春が年の始まり。だから節分の夜は、昔の人にとって大晦日でした。その名残が節分そばです。細く長く、そして切れやすいそばは「悪い縁を断ち切る」縁起もの。油揚げをのせたきつねそばなら、大豆の福も一緒にのります。
ひとつだけ、必ず確認を。そばのアレルギーは重い症状につながることがあります。お客さまを招く節分は、そばを出す前にひとこと確かめ合ってください。

⑤湯豆腐・立春大吉豆腐(白い清めの縁起)
立春に白い豆腐を食べて身を清める「立春大吉豆腐」という縁起があります。昆布を敷いた鍋で温めるだけの湯豆腐は、ごちそうの並ぶ節分の膳の、静かな箸休めです。
土鍋のまま出すときは、やけどにご注意を。取り分けは大人の仕事にして、小さな子の器には少し冷ましてからどうぞ。
⑥小松菜と油揚げの炊いたん(青菜と大豆の福合わせ)
大阪の台所の言葉で「炊いたん」、つまり煮びたしです。小松菜と油揚げをだしでさっと炊くだけで、青菜の小鉢が一品。小松菜はアクが少なく下ゆでいらずの、忙しい節分の味方です。選び方と保存は小松菜の保存記事でどうぞ。
⑦福豆(年の数の縁起・見守りの主役)
豆まきを終えたら、年の数だけ福豆をいただく。これで節分の締めくくりです。ただし、この福豆こそ、この記事でいちばん伝えたい見守りの主役。次の章で、しっかりお話しします。
私のお店の献立例A・B(栄養価つき)

①恵方巻(ハーフ1本)
②いわしの塩焼き(1尾)
③けんちん汁

①きつね節分そば
②小松菜と油揚げの炊いたん
③湯豆腐(小鉢)
④福豆(10粒ほど)
| 栄養価 | 献立A(恵方巻の夕べ) | 献立B(節分そばの膳) |
|---|---|---|
| メニュー | ①恵方巻(ハーフ1本) ②いわしの塩焼き(1尾) ③けんちん汁 | ①きつね節分そば ②小松菜と油揚げの炊いたん ③湯豆腐(小鉢) ④福豆(10粒ほど) |
| エネルギー | 約460kcal | 約540kcal |
| たんぱく質 | 約27.0g | 約26.1g |
| 脂質 | 約17.0g | 約16.5g |
| 炭水化物 | 約46.5g | 約70.9g |
| 食物繊維 | 約4.5g | 約5.0g |
| カルシウム | 約120mg | 約200mg |
| ビタミンC | 約8mg | 約18mg |
| 食塩相当量 | 約3.0g | 約2.9g |
※文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)」を参考に算出した概算値です。
福豆・豆腐・油揚げ・味噌。大豆は姿を変えてたんぱく質を届けてくれる、日本の台所の柱です。いわしと合わせれば、魚と豆のたんぱく質が一椀の膳にそろいます。
行事の膳は食塩相当量が1食3g前後になりがちなので、けんちん汁の味つけはだしのうま味に任せて塩控えめに。翌日を薄味に整えれば、ちゃんと帳尻が合いますよ。
この献立にはそば・小麦・卵(厚焼き卵)・大豆(豆腐・油揚げ・福豆・味噌)・えび(恵方巻の具)を使います。とくにそばは重い症状につながることがあるアレルギー表示義務の食材です。
お客さまを招く節分こそ、お品書きを先に伝え合ってくださいね。
恵方巻のレシピ(七福の具・巻きの合図つき)

【材料(2本分)】
米…1.5合
酢…40ml
キビ糖…大さじ1.5
塩…小さじ1弱
焼きのり(全形)…2枚
厚焼き卵…卵2個分(棒状に)
きゅうり…縦4分の1を2本
かんぴょう甘煮・しいたけ甘煮…各適量
ゆで海老…4尾
桜でんぶ…大さじ2
うなぎまたはあなご…2分の1尾(温めて)
【作り方】
1. 合わせ酢で酢飯を作り、人肌に冷まします。
2. 巻きすにのりのざらざら面を上にして置き、奥3cmを空けて酢飯を米粒2〜3粒の厚みで広げます。
3. 手前3分の1に具7種を一直線に、押さえながらまとめて置きます。
4. 手前ののりを具の向こうの酢飯めがけて一気にかぶせ、巻きすの上からきゅっとひと締め。転がして形を整えます。
5. 巻き終わりを下にして1〜2分落ち着かせます。丸かぶり用はそのまま、切る場合は濡れ布巾で包丁を拭きながらどうぞ。
6. 小さなお子さんと高齢の方の分は、細巻きにするか食べやすく切って。うなぎの小骨とえびの尾は先に外してあげてください。
節分の見守り(福豆は5歳以下に与えない)

楽しい豆まきの夜に、いちばん大事な約束をさせてください。
炒り大豆やナッツのようなかたい豆は、5歳以下の子供には与えないでください。かたい豆は噛み砕いても細かいかけらになり、気道に入りやすい食べ物です。消費者庁も毎年、節分の時期に注意を呼びかけています。
- 福豆・炒り大豆は5歳以下に与えない
「年の数だけ」は、5歳以下には当てはめないでください
小さな子の「年の数」は、やわらかく煮た豆や、たまごボーロなどの別のお楽しみに置き換えてあげましょう。お兄ちゃんお姉ちゃんが食べていて欲しがっても、そこでも与えないでください。消費者庁が毎年くり返し呼びかけているのが、この「兄姉から」の場面です。 - 豆まきは個包装・拾い残しゼロで
後日、床の豆を小さな子が拾って口に入れる事故があります
小袋のまままける個包装の福豆なら、まく楽しさと安全が両立します。まいた後は、家具の下まで拾い切ってください。そして豆を口に入れたまま、走る・笑う・泣く・大声を出す、をさせないこと。息を吸った拍子に、不意に吸い込んでしまいます。豆まきは走り回る行事だからこそ、食べるのは座ってからにしましょう。 - 丸かぶりは、無理をしない
高齢の方と子供は、切った恵方巻で福をいただいてください
太巻きの丸かぶりは、噛み切る力と飲み込む力をしっかり使う食べ方です。喉に詰まらせては福も逃げます。切っても願いは届きます。ほおばったまま笑うのがいちばん危ないので、こらえきれなくなったら、いったん飲み込んでから。食べている間は、そばで見守りを。
「切ると縁が切れる」と気にされる方がいますが、安全に食べ切れることが、いちばんの福です。高齢の方には恵方巻を2cm幅に切り、のりが噛み切りにくい場合は、のりの代わりに薄焼き卵で巻いた伊達巻き風もおすすめです。
いわしは小骨を外してほぐし、そばは短めに切ってつゆでやわらかく。福豆は、豆腐や煮豆で「大豆の福」をいただけば十分です。
噛む力や飲み込みに合わせた節分の献立は、介護食版の節分記事で作り方まで解説しています。豆まきの笑い声を、家族みんなで囲んでくださいね。
節分の献立のよくある質問
Q1. 恵方巻はいつ、どうやって食べるのが正式?
節分の夜、その年の恵方を向いて、切らずに1本、願いごとをしながら無言で食べ切るのが大阪流です。ただし正式さより安全と楽しさが先。家族で同じ方角を向いて笑いをこらえる時間こそ、いちばんの福だと思いますよ。ほおばったまま笑ってしまうと危ないので、こらえきれなくなったら、いったん飲み込んでからにしてくださいね。
Q2. 恵方巻の具は7種そろえないとだめ?
7種は七福神にちなんだ目安で、決まりではありません。3種でも5種でも、福を巻く気持ちがあれば恵方巻です。かんぴょうやしいたけの甘煮は市販品を使えば、ぐっと手軽になります。
Q3. 余った恵方巻は保存できますか?
酢飯は冷蔵庫で固くなるので、翌日までにしてください。ラップでぴったり包んで野菜室へ入れ、食べる30分前に室温に戻すと、固さがやわらぎます。それでも当日中がいちばんおいしいのは間違いありません。
Q4. 柊鰯はいつからいつまで飾る?
節分の日に飾り、立春を過ぎたら片付けるのが一般的です。地域によっては2月いっぱい飾るところも。片付けた柊鰯は、塩で清めて紙に包んで処分するか、神社のどんど焼きに納める習わしがあります。
“おいしい”は、全部が重なること

節分の膳を作っていて、いつも思うことがあります。恵方巻の具の豪華さだけでは、あの夜の福にはならないんです。
豆まきの笑い声、いわしの焼ける匂い、同じ方角を向いて黙々と頬張る家族の横顔、けんちん汁の湯気。そこに「今年もいい年になりますように」の願いが重なって、はじめて「節分のごはん」になる。
料理人として、寿司職人として、そして現役介護士として食卓に関わってきて、たどり着いた答えはシンプルです。おいしいは、一皿では完成しない。願いと笑い声まで含めて、献立なんですよね🌸
まとめ。。。

- 節分は立春前夜の邪気払い
豆は「魔を滅する」まめ。柊鰯は鬼の苦手な匂いとトゲのお守りです。 - 恵方巻は大阪生まれの福の食べ方
福を巻き込み、縁を切らずに、無言で丸かぶり。願いはひとつに絞って。 - 巻きは「のりの奥3cm空け・具は手前・一気にかぶせる」
ためらいがゆるみのもと。思い切りが巻きの正体です。 - 福豆・炒り大豆は5歳以下に与えない
年の数の縁起より安全が先。兄姉が食べていても与えないで。個包装でまいて、拾い残しゼロに。 - 丸かぶりは無理をしない
高齢の方と子供は切った恵方巻で。切っても福は減りません。 - いわしは加熱で安心・小骨は外して
青魚はすぐ冷蔵庫へ。柊鰯の香ばしさが家の魔除けです。 - そばはアレルギーの確認を先に
重い症状につながることがある食材。お品書きは先に伝え合って。 - 介護版の節分献立と対で使える
やわらかい節分の福は、対の記事でどうぞ。
今年の節分は、豆をまいて、いわしを焼いて、家族で同じ方角を向いてください。笑いをこらえるあの時間が、きっと一年ぶんの福になりますよ。
最後までお読みいただきありがとうございました。
フッくんでした!







