料理研究家、料理大好きフッくんです。
お正月の朝の一杯、お雑煮。
同じ「お雑煮」なのに、家によって、地域によって、中身がまるで違いますよね。
実は、お雑煮の具材ほど「わが家の当たり前」が分かれる料理はありません。
こんなお悩み、ありませんか?
- 何を入れればいいのか迷う
実家の味を思い出せず、定番の具材が分からない。 - 相手の地域のお雑煮を作りたい
結婚して、夫婦で育ったお雑煮が違うことに気づいた。 - 具材に意味があるなら知りたい
里芋や小松菜に、どんな願いが込められているのか気になる。
この記事では、現役料理人20年・寿司職人20年の私が、お雑煮の具材を地域別にまとめてお伝えします。
関東・関西・九州の定番から、ご当地の変わり種、具材の縁起、入れる順番、そして餅の安全まで、順番に見ていきましょう。

お雑煮の具材は「餅・汁・具」で決まる
お雑煮の違いは、大きく分けて3つの組み合わせで決まります。
餅の形と調理法、汁の味つけ、そして一緒に入れる具です。
この3つを押さえると、どの地域のお雑煮もすっきり整理できます。
- 餅:角餅か丸餅か、焼くか煮るか
東は角餅を焼き、西は丸餅を煮るのが大きな傾向です。 - 汁:すまし汁か白味噌か
全国ではすまし汁が多く、関西を中心に白味噌仕立てが広がります。 - 具:その土地の産物
海の近くは魚介、山あいは根菜や青菜と、土地の恵みが椀に入ります。
角餅と丸餅の境目は、岐阜の関ヶ原あたりとよく言われます。
私は大阪で、白味噌の丸餅で育ちました。
だからこそ、よその土地のお雑煮を知るたびに、同じ正月でもこんなに違うのかと驚かされます。
お雑煮の早見表——関東は角餅、関西は丸餅

まずは、関東・関西・九州の代表的なお雑煮を表にまとめました。
同じ地域の中でも家ごとに違いはあるので、「よくある形」として見てください。
| 地域 | 餅 | 汁 | 主な具材 |
|---|---|---|---|
| 関東 | 角餅を焼く | すまし汁(かつお昆布だし) | 鶏肉・小松菜・かまぼこ・三つ葉・ゆずの皮 |
| 関西 | 丸餅を煮る | 白味噌仕立て(昆布だし) | 里芋(頭芋・小芋)・大根・金時にんじん |
| 九州(博多) | 丸餅を煮る | すまし汁(あごだし) | ぶり・かつお菜・里芋・しいたけ・かまぼこ |
作り方の黄金比は、お雑煮の作り方の記事で関西の白味噌と関東のすましの2つを紹介しています。
この記事では、そこに入れる具材を地域ごとにくわしく見ていきます。
関東のお雑煮——焼いた角餅に鶏肉と小松菜

関東のお雑煮は、かつお昆布だしのすまし汁に、こんがり焼いた角餅を入れるのが基本です。
澄んだ汁の中に、焼き餅の香ばしさと鶏のうま味が重なります。
具材はシンプルで、彩りのきれいな椀になります。
角餅は焼いて香ばしく
四角く切った角餅を、焼き網やトースターでこんがり焼いてから椀に入れます。
焼き目の香ばしさが、すまし汁のキレをいっそう引き立てます。
鶏肉がだしの柱
鶏ももを小さめのそぎ切りにして、汁でことことと煮ます。
鶏のうま味が汁に溶けて、すまし汁に深みが出ます。
鶏肉は中まで色が変わるまで、中心75℃1分以上を目安にしっかり火を通してください。
小松菜・かまぼこ・三つ葉で彩り
緑の小松菜、紅白のかまぼこ、香りの三つ葉が、関東の椀の顔です。
仕上げにゆずの皮をひとかけ浮かべると、香りがぐっと引き締まります。
関西のお雑煮——煮た丸餅に里芋と大根

関西のお雑煮は、昆布だしに白味噌をたっぷり溶いた、甘くとろりとした汁が特徴です。
丸餅は焼かずに、やわらかく煮てから椀に入れます。
私が子どもの頃から食べてきたのも、この白味噌の丸餅です。
丸餅は「円満」の形
角を立てない丸い形は、家族円満の願いにつながると言われます。
やわらかく煮た丸餅に、白味噌の甘い汁がよくからみます。
里芋は頭芋と小芋
京都などでは、大きな親芋の「頭芋」や、小さな「小芋」を入れる家が多いです。
里芋のねっとりした口あたりが、白味噌の汁とよく合います。
大根と金時にんじんは輪切りで
大根と金時にんじんは、丸餅に合わせて丸く輪切りにします。
角を立てないように、という心づかいが、具の切り方にも表れています。
仕上げに花かつおをのせる家もあります。
大根と金時にんじんは、5mmほどの薄めの輪切りにして、先に下茹でしておきます。
白味噌の汁で長く煮ると汁が煮詰まって香りが飛ぶので、具はやわらかくしてから合わせるのがコツです。
元旦の朝は温めて合わせるだけにしておくと、段取りもぐっと楽になります。
九州のお雑煮——あごだしにぶりとかつお菜

九州、とくに博多のお雑煮は、焼きあごでとっただしのすまし汁が特徴です。
焼きあごは、とびうおを焼いて干したもので、上品で香ばしいだしが出ます。
そこに丸餅と、ぶりやかつお菜など、にぎやかな具材が入ります。
ぶりは出世魚
成長とともに呼び名が変わるぶりは、出世を願う縁起の魚です。
脂ののった冬のぶりが、あごだしにこくを加えます。
かつお菜は博多の青菜
かつお菜は、博多の雑煮に欠かせない青菜です。
名前に「かつお」とつくほど、うま味のある菜として知られています。
手に入らないときは、小松菜やちぢみ菜で代わりにしても椀が整います。
ぶりの切り身は、薄く塩をふって10分おき、出てきた水気を拭いてから熱湯をさっとかけます。
表面が白くなったら冷水にとり、残ったうろこや血を洗い流します。
このひと手間で生臭さが抜けて、あごだしの澄んだ汁がにごりません。
ご当地のお雑煮——あん餅・くるみ・鮭

関東・関西・九州の3つのほかにも、日本には驚くようなお雑煮がたくさんあります。
その土地の産物や暮らしが、椀の中にそのまま映っています。
代表的なものを紹介しますね。
- 香川のあん餅雑煮
白味噌の汁に、あんこ入りの丸餅を入れる甘じょっぱいお雑煮です。 - 岩手のくるみ雑煮
すまし雑煮の餅を、甘いくるみのたれにつけていただきます。 - 新潟の鮭といくらの雑煮
鮭の切り身に、いくらを散らした華やかな椀です。 - 奈良のきな粉雑煮
白味噌雑煮の丸餅を取り出し、きな粉をつけて食べる食べ方です。 - 島根・鳥取の小豆雑煮
小豆を甘く煮た汁に丸餅を入れる、ぜんざいに近いお雑煮です。 - 広島の牡蠣雑煮
名産の牡蠣を入れた、海の香りのするすまし雑煮です。
同じ県の中でも、海側と山側でお雑煮が違うこともあります。
ご実家のお雑煮を、改めて家族に聞いてみるのも楽しいですよ。
お雑煮の具材の縁起——里芋は子孫繁栄

お雑煮の具材には、ひとつひとつに新しい年への願いが込められています。
意味を知ってから食べると、同じ一杯でも味わいが深くなります。
よく言われる縁起をまとめました。
- 餅
よく伸びることから、長く続く幸せを願う縁起物とされます。 - 里芋
親芋にたくさんの子芋がつくことから、子孫繁栄の願いが込められます。 - 頭芋
「人の頭に立つ」ように、という願いを込めて関西の椀に入ります。 - 大根
土に深く根を張ることから、家の土台が固まるよう願う具材です。 - 小松菜
「菜」を「名」にかけて、名を上げる縁起につながると言われます。 - ぶり
成長に合わせて名前が変わる出世魚で、出世を願う魚です。
縁起は地域や家によって言い伝えが違うので、ご家庭の言い伝えがあればそちらを大切にしてくださいね。
具を入れる順番——固い根菜から、餅は別に

具材は、火の通りにくいものから順に入れていきます。
順番を守るだけで、汁が濁らず、どの具もちょうどいいやわらかさに仕上がります。
関東・関西・九州どのお雑煮でも、考え方は同じです。
- 1 根菜を下茹でする
大根・にんじん・里芋は別鍋で下茹でし、里芋はぬめりを洗っておきます。 - 2 鶏肉や魚を汁で煮る
だしに鶏肉やぶりを入れ、中まで火を通します。 - 3 かまぼこや根菜を温める
下茹でした根菜とかまぼこを入れて、温める程度に煮ます。 - 4 青菜は最後にさっと
小松菜やかつお菜は火を止める直前か、別に茹でて椀に盛ります。 - 5 餅は別に焼くか茹でる
椀の中で汁と合わせると、汁が濁らずきれいに仕上がります。
餅を別に茹でて椀で合わせる方法と、その理由は、お雑煮の作り方の記事で詳しく紹介しています。
お雑煮で避けたい3つ——餅を煮込まない

お雑煮の失敗は、具材を入れるタイミングと下ごしらえでほとんど決まります。
よくある3つを押さえておけば、元旦の朝もあわてずにすみます。
- 餅を汁で長く煮込む
餅が溶け出して汁が濁り、とろみがついてしまいます。餅は別に焼くか茹でて、椀で合わせます。 - 青菜を最初から入れる
色が悪くなり、くたくたになります。最後にさっと火を通すか、別に茹でて盛ります。 - 里芋を下茹でせずに入れる
ぬめりが汁に出て、濁りや吹きこぼれの原因になります。別鍋で下茹でしてから合わせます。
どれも「汁を澄ませたまま、具をそれぞれいちばんいい状態で合わせる」という考え方です。
お雑煮は、別々に整えた具を椀の中で出会わせる料理なんです。
お雑煮の餅の安全——大人にも4つの約束

お雑煮の記事として、どうしても外せない話があります。
餅による窒息事故は、毎年お正月に起きていて、消費者庁も年末年始に注意を呼びかけています。
楽しい椀の中の、いちばん身近なリスクです。
元気な大人でも、次の4つを約束にしてください。
- 小さく切る
ひと口で入る大きさに切ってから食べます。 - 汁や水分と交互に
先に汁を飲んでのどを湿らせ、交互に食べます。 - 急がない
よく噛んで、飲み込んでから次のひと口へ進みます。 - ひとりで食べない
家族がそばにいるときに食べ、テレビを見ながらの食べ方は控えます。
噛む力や飲み込む力が弱い高齢の方の椀は、餅なしが基本です。
小さなお子さんも、5歳ごろまでは餅なしの椀にしてください。
具だくさんの汁だけでも、お雑煮は十分にお正月の顔になります。
お雑煮の栄養——すまし1杯で約230kcal

栄養士として、関東のすまし雑煮1杯の栄養を計算してみました。
お雑煮の作り方の記事にある関東のすましの黄金比を1人分にして、切り餅1個と鶏もも、小松菜、かまぼこを入れた一杯です。
エネルギーは約230kcalで、分量と内訳は次のとおりです。
- 切り餅1個(50g) 112kcal
- 鶏もも30g 57kcal
- みりん 22kcal
- かまぼこ20g 19kcal
- しょうゆ 7kcal
- だし 6kcal
- 小松菜30g 4kcal
塩分は1杯で約3.7gです。
そのほとんどは汁に溶けているので、汁を少し残すだけでも、とる量はぐっと減ります。
厚生労働省の食事摂取基準2025年版では、1日の食塩の目標量は男性7.5g未満、女性6.5g未満です。
おせちも並ぶお正月は、汁物以外の味つけを控えめにするのがオススメです。
お雑煮に使う具材の特定原材料は、醤油の小麦、岩手のくるみ雑煮のくるみ、商品によってはかまぼこの卵やえびです。
準ずる品目では、鶏肉、醤油や白味噌やきな粉の大豆、新潟の雑煮の鮭といくらが入ります。
親戚の集まる食卓では、使った具材を確かめてから椀に盛ってください。
切り餅1個は、ごはんで言えば茶碗半分強ほどの主食です。
おせちと一緒の元旦は、餅は1個から始めて、根菜や青菜を多めにすると、椀の満足感はそのままに食べすぎを防げます。
塩分や糖分の指示を受けている方は、かかりつけの先生の指示を優先してください。
高齢者や子供にやさしいお雑煮——餅なしで

お正月は、三世代が同じ食卓を囲む特別な日ですよね。
餅を入れない椀でも、具材を工夫すれば、みんなで同じお雑煮を楽しめます。
高齢の家族の椀
高齢の方の椀は、餅なしを基本にして、大根・にんじん・里芋をやわらかく煮た具だくさんにします。
餅の代わりには、上新粉のやわらか団子や大根もち、豆腐を使う方法があります。
くわしい作り方は、お正月の介護食献立の記事にまとめています。
飲み込む力に不安がある方は、日本摂食嚥下リハビリテーション学会の嚥下調整食学会分類2013を目安に、具を刻んだり、汁にとろみをつけたりしてください。
小さなお子さんの椀
小さなお子さんも、5歳ごろまでは餅なしの椀にします。
1歳未満のお子さんには、汁の味つけが大人と同じなので、お雑煮そのものを出しません。
小芋のように丸くてつるんとした具は、丸ごとではなく小さく切ってから盛ってください。
にんじんを梅の形に抜いた飾り切りを入れると、子どもの椀もぐっとお正月らしくなります。
私は現役介護士でもあります。
介護の食卓では、餅は基本お出ししません。
それでも、やわらかく煮た里芋や大根に白味噌の汁がからめば、お正月の香りは椀いっぱいに届きます。
餅を、上新粉のやわらか団子に置き換える日があっていい。
お雑煮の具材でよくある質問
最後に、お雑煮の具材についてよくいただく質問にお答えします。
Q1. 夫婦で地域が違うときは?
元日は一方、2日はもう一方と、三が日で交互に作るご家庭も多いです。
関東のすましに丸餅を入れるなど、ふたりのお雑煮を合わせた「わが家の一杯」を作るのも素敵ですよ。
Q2. 具材は前日に準備できる?
大根・にんじん・里芋は、大晦日に下茹でして冷蔵庫に入れておけます。
青菜は当日にさっと茹で、餅は食べる直前に焼くか茹でるのがオススメです。
Q3. 残ったお雑煮の保存は?
餅は取り出して別にし、汁と具は粗熱を30分以内に取って冷蔵庫へ入れ、翌日までに食べきります。
温め直すときは、中心まで湯気が立つまでしっかり温めてください。
餅そのものの保存は、餅の冷凍保存の記事にまとめています。
Q4. 具材は何種類くらいがいい?
決まりはありませんが、餅のほかに3〜5種類ほどが目安です。
肉か魚をひとつ、根菜、青菜、彩りのかまぼこやにんじんを組み合わせると、どの地域の椀もきれいにまとまります。
“おいしい”は、全部が重なること
お雑煮のおいしさは、ひとつの具材だけでは決まりません。
香ばしく焼いた、あるいはやわらかく煮た餅と、その土地のだし、季節の具材。
その3つが椀の中で出会って、はじめてお雑煮の味になります。
そして、もうひとつ重なるのが、家族の記憶です。
子どもの頃に食べた一杯の味が、大人になっても「これがお雑煮だ」と教えてくれます。
餅と、だしと、具材と、家族の記憶。
その全部が重なったとき、お雑煮はいちばんおいしい一杯になります。
今年のお正月は、わが家のお雑煮の具材を、ぜひ家族で話してみてくださいね。
まとめ。。。

お雑煮の具材を、地域別の定番から縁起、入れる順番、餅の安全までまとめました。
- お雑煮は餅・汁・具の3つで決まる
餅の形と調理法、汁の味、土地の具材の組み合わせです。 - 関東は焼いた角餅に鶏肉と小松菜
かつお昆布だしのすまし汁に、かまぼことゆずの皮を添えます。 - 関西は煮た丸餅に里芋と大根
白味噌仕立てで、具も丸く輪切りにします。 - 九州はあごだしにぶりとかつお菜
焼きあごのだしに、出世魚のぶりが入ります。 - 具材には新年の願いが込められている
里芋は子孫繁栄、小松菜は名を上げる縁起です。 - 入れる順番は固い根菜から
青菜は最後に、餅は別に焼くか茹でて椀で合わせます。 - 餅は4つの約束で安全に
小さく切る・汁と交互に・急がない・ひとりで食べない。 - 高齢の方と小さなお子さんは餅なしで
具だくさんの汁で、同じお正月の椀を囲めます。
お雑煮は、その家の歴史がいちばんよく表れる料理だと思います。
わが家の定番を大切にしながら、よその土地の一杯も、ぜひ一度味わってみてくださいね。
新しい年の朝が、温かい一杯から始まりますように。
それが、料理人としての私のいちばんの願いだよ。
フッくんでした!
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