料理研究家、料理大好きフッくんです。
桃の花がほころんで、雛人形の前に灯りがともる3月3日。ひな祭りは、女の子の健やかな成長を願う、春いちばんの節句ですよね。
寿司職人にとってこの日は、ちらし寿司の晴れ舞台。錦糸卵の黄色は、お雛さまの晴れ着だと思って仕込んでいます。今日はその飾りちらしの手の内から、はまぐりの縁起まで、まるごとお伝えします🎎
こんなお悩み、ありませんか?
- ひな祭りの献立、ちらし寿司の他が思いつかない
縁起の7品で組めば、桃の節句の祝い膳が完成します。 - ちらし寿司の飾りつけがいつも地味になる
職人の「花に見立てる」配置のコツを解説します。 - なぜはまぐり?なぜ菱餅は3色?
子供に聞かれて困る縁起の物語、まとめて答えられるようになります。 - 甘酒やひなあられ、子供にどう出せばいい?
アルコールと丸のみ、ふたつの見守りを現役介護士の目線でお伝えします。
寿司職人と栄養士、ふたつの目線で「ひな祭りの献立7選」を完全解説します。最後まで読めば、春の祝い膳が整いますよ🥢

ひな祭りはなぜあるの?桃の節句と縁起の物語

ひな祭りのルーツは、古代中国から伝わった「上巳(じょうし)の節句」。川で身を清めて厄を払う行事が日本に渡り、紙の人形に厄を移して川に流す「流し雛」になりました。それが華やかな雛人形へと育ち、女の子の成長を願う桃の節句になったと言われています。
食卓の縁起もそれぞれ物語を持っています。はまぐりは、対の貝殻としかぴったり合わないことから、良いご縁の象徴。菱餅の3色は、桃は魔除け、白は清浄、緑は春の芽吹きの色。ちらし寿司の海老は長寿、れんこんは先の見通しと、お祝いの願いがぎっしり乗っています。
桃の花そのものも、昔から邪気を払う木とされてきました。ひな祭りは、春の光で厄を払って、子供の一年を祝う日なんですね。
ひな祭りの献立、考え方は3つだけ

①春の3色=桃・白・緑で組む
菱餅の3色を、そのまま献立の設計図にします。海老と桜でんぶの桃色、酢飯と豆腐の白、菜の花とわかめの緑。3色が食卓にそろえば、それだけで桃の節句の顔になります。
②はまぐりで良縁を願う
お吸い物のはまぐりは、ひな祭りの核心の縁起。旬も春なので、味と願いがちょうど重なります。手に入らなければ、あさりのお吸い物でも貝の縁起は十分です。
③子供の飲み物はアルコールゼロの甘酒に
大人の白酒に対して、子供は米麹の甘酒。同じ「乾杯」を家族全員でできるように、飲み物まで献立のうちに入れて計画します。詳しくは見守りの章で。
ひな祭りの献立7選・早見表

| 料理 | 縁起・いわれ | 献立での役割 |
|---|---|---|
| 飾りちらし寿司 | 海老=長寿・れんこん=見通し・豆=まめまめしく | 主役・春の晴れ舞台 |
| はまぐりのお吸い物 | 対の貝=良縁 | 縁起の一椀 |
| 菜の花の辛子和え | 春の訪れを告げる花 | 緑の小鉢 |
| 若竹煮 | たけのこ=まっすぐな成長 | 春の煮物 |
| 三色ミルクかん | 菱餅の3色を映した甘味 | 締めのデザート |
| 米麹の甘酒 | 白酒に代わる子供の一杯 | 家族の乾杯役 |
| ひなあられ | 4色は四季・1年の幸せ | お楽しみの縁起菓子 |
ひな祭りの献立7選を寿司職人×栄養士が解説

①飾りちらし寿司(主役・春の晴れ舞台)
秋祭りの記事では、具を混ぜ込む「ばら寿司」を紹介しました。ひな祭りのちらしはその逆で、酢飯を台にして、具を上に「飾る」寿司です。混ぜるか、飾るか。同じちらしでも、顔がまるで違うんですよ。
土台の酢飯にはれんこんの甘酢と炒りごまを混ぜ、上に錦糸卵をふんわり全面に。その上に茹で海老、絹さや、桜でんぶを花に見立てて放射状に置いていきます。詳しい手順は後半のレシピでどうぞ。
錦糸卵を平らに敷くと、地味に沈みます。ふんわり空気を含ませて山に盛ると、光が入って一気に華やぎます。細く切るコツは、薄焼き卵を冷ましてから、くるくる巻いて端から刻むこと。
具は「花に見立てて丸く」。真ん中に一番の主役(海老)、外に向かって色を散らすと、俯瞰で花が咲きますよ。
※まろやかな吟醸酢の酢飯は、飾りちらしの土台にぴったり。春の祝い寿司はこの一本で決まります。
②はまぐりのお吸い物(良縁の一椀)
昆布だしに砂抜きしたはまぐりを入れ、口が開いたら火を止めて、塩と薄口醤油をほんの少し。はまぐりのうま味が主役なので、味付けは最小限が正解です。
安心のために。貝は口がしっかり開くまで加熱し、加熱しても開かない貝は食べずに取り除いてください。砂抜きと貝の冷凍のコツは、あさりの保存記事で詳しく解説しています。はまぐりも同じやり方で大丈夫ですよ。
沸いただしに入れると、貝の口が開く前に身が縮みます。昆布と一緒に水から火にかけて、ゆっくり温度を上げると、身はふっくら、だしはうま味たっぷりに。
アクを丁寧にすくえば、澄んだ祝いの一椀になります。開いた瞬間が火の止めどきですよ。
※羅臼・利尻・日高の昆布セット。貝のお吸い物は、昆布の下支えで味の格が決まります。
③菜の花の辛子和え(春を告げる緑)
さっとゆでた菜の花を、だし醤油と少しの練り辛子で和えるだけ。ほろ苦さと辛子の鼻に抜ける香りが、祝い膳のいい箸休めになります。子供の分は辛子を抜いて、おかか和えにしてあげてください。
④若竹煮(まっすぐな成長の願い)
春のたけのことわかめを、だしで炊き合わせた煮物です。天に向かってまっすぐ伸びるたけのこは、子供の成長の縁起もの。ゆでたけのこの水煮を使えば、下ゆでいらずで気軽に作れます。

⑤三色ミルクかん(菱餅色のデザート)
いちごミルク(桃)・ミルク(白)・抹茶ミルク(緑)の寒天液を、保存容器で順に固めて3層に。ひし形に切れば、食べられる菱餅のできあがりです。寒天は歯切れがよく、餅よりずっと食べやすいのもいいところ。
※三色かんは四角い保存容器で固めると、ひし形に切り出しやすくなります。琺瑯なら冷えも早いですよ。
⑥米麹の甘酒(家族の乾杯役)
ひな祭りの白酒はアルコールを含む大人の飲み物。子供と一緒に乾杯するなら、米麹から作られたアルコールゼロの甘酒を選んでください。売り場での見分け方は簡単で、原材料が「米・米麹」だけのものが米麹甘酒、「酒粕」と書いてあるものは大人向けです。米の自然な甘さで、桃の節句の乾杯が家族全員のものになります。
⑦ひなあられ(四季の色の縁起菓子)
桃・緑・黄・白の4色は四季を表し、「一年を通して幸せに」の願いと言われています。関東は米のポン菓子の甘いあられ、関西は醤油や塩のおかき。地域で姿が違うのも面白いところです。食べ方の見守りは、次の章でお話しします。
私のお店の献立例A・B(栄養価つき)

①飾りちらし寿司
②はまぐりのお吸い物
③菜の花の辛子和え
④若竹煮

①飾りちらし寿司(小盛り)
②三色ミルクかん
③米麹の甘酒
④ひなあられ(小袋)
| 栄養価 | 献立A(桃の節句の祝い膳) | 献立B(ひなパーティー型) |
|---|---|---|
| メニュー | ①飾りちらし寿司 ②はまぐりのお吸い物 ③菜の花の辛子和え ④若竹煮 | ①飾りちらし寿司(小盛り) ②三色ミルクかん ③米麹の甘酒 ④ひなあられ(小袋) |
| エネルギー | 約375kcal | 約435kcal |
| たんぱく質 | 約19.0g | 約12.0g |
| 脂質 | 約4.8g | 約5.8g |
| 炭水化物 | 約62.0g | 約84.0g |
| 食物繊維 | 約4.5g | 約1.5g |
| カルシウム | 約120mg | 約120mg |
| ビタミンC | 約55mg | 約8mg |
| 食塩相当量 | 約3.0g | 約1.5g |
※文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)」を参考に算出した概算値です。
菜の花はビタミンCやβカロテン、カルシウムを含む春野菜の代表です。祝い膳AのビタミンCの多くは、この小鉢が担っています。
ちらし寿司は酢飯に砂糖と塩を使うので、Aの食塩相当量は約3g。お吸い物をはまぐりのうま味に任せて塩控えめにするのが、祝い膳の整え方です。
この献立にはえび(ちらし)・卵(錦糸卵)・小麦(醤油・あられの一部)・乳(ミルクかん)・大豆(醤油・豆腐)を使います。ひなあられや甘酒は商品によって原材料が違うので、表示の確認を。
お友達を招くひなパーティーこそ、お品書きを先に伝え合ってくださいね。
飾りちらし寿司のレシピ(花に見立てる盛り方つき)

【材料(3〜4人前)】
米…2合
酢…50ml
キビ糖…大さじ2
塩…小さじ1
れんこん甘酢漬け…50g(刻む)
炒りごま…大さじ1
卵…3個(錦糸卵に)
茹で海老…8尾
絹さや…8枚(ゆでて斜め切り)
桜でんぶ…大さじ2
いくら…好みで少々
【作り方】
1. 合わせ酢で酢飯を作り、刻んだれんこん甘酢と炒りごまを混ぜて器に平らに盛ります。
2. 錦糸卵を作ります。薄焼き卵は中までしっかり火を通し、冷ましてから巻いて端から細く刻みます。
3. 酢飯の上に錦糸卵をふんわり山になるようにのせます。
4. 真ん中に海老を花芯のように置き、絹さやと桜でんぶを外へ向かって放射状に飾ります。いくらは最後に数か所へ。
5. 小さなお子さんと高齢の方の分は、海老を小さく切り、いくらなどの生ものは外して取り分けてください。えびの尾も先に外してあげると安心です。
ひな祭りの見守り(甘酒・あられ・菱餅)

かわいい行事だからこそ、見守りも先回りで。3つだけお伝えします。
- 子供の甘酒は「米麹・アルコールゼロ」を確かめて
酒粕から作る甘酒には、アルコールが残っているものがあります
白酒はもちろん大人だけ。ここで大事なのは、「ノンアルコール」の表示だけで選ばないことです。アルコール分が1%未満の飲み物はお酒ではなく清涼飲料水に区分されるため、酒粕から作った甘酒でも「ノンアルコール」と書けてしまいます。見るのは表示ではなく、原材料欄。「米・米麹」だけのものを選べば確実で、「酒粕」と書いてあるものは大人の分にしてください。 - ひなあられとミルクかんは、座って一口ずつ
小さくても、笑いながらの丸のみがいちばん危険です
あられは小さな手にひとつかみ渡さず、小皿に少しずつ。寒天も一口大に切って、食べている間はそばで見守ってください。 - 市販の菱餅(お餅)は、3歳ごろまでは与えない
飾って楽しみ、食べるのは大人と大きい子の分だけに
お餅は冷めるほど硬く、くっつきやすくなる食べ物です。小さな子の菱餅は、三色ミルクかんが安全でかわいい代役になります。
高齢の方には、飾りちらしの海老を小さく切り、れんこんは薄めの甘酢漬けに。錦糸卵ととろりとした寒天は、噛む力が弱い方にも食べやすい行事の味方です。
はまぐりの身は弾力があるので、小さく切るか、うま味の移ったお吸い物のだしだけでも縁起は十分。貝殻は器から下げて、口に運ぶものだけを膳に残してください。
のどに不安のある方の甘酒は、とろみのつけすぎに注意して、少しずつゆっくり。噛む力や飲み込みに合わせたひな祭りの献立は、介護食版のひな祭り記事で作り方まで解説しています。
桃の節句の願いは、家族みんなの健やかさ。同じ食卓で、同じ春を祝ってくださいね。
ひな祭りの献立のよくある質問
Q1. ちらし寿司の具に決まりはありますか?
厳密な決まりはありません。海老(長寿)・れんこん(見通し)・豆(まめに働く)の3つが縁起の定番ですが、サーモンや炙り穴子をのせても立派なごちそうです。生ものをのせる場合は、小さなお子さんと高齢の方の分だけ加熱済みの具で取り分けてください。
Q2. はまぐりが手に入りません。代わりは?
あさりで大丈夫です。貝のお吸い物という形さえ守れば、縁起の心は同じ。砂抜きのやり方はあさりの保存記事で詳しく解説しています。豆腐と三つ葉のお吸い物にして、白と緑の色で節句を表す手もありますよ。
Q3. ひな祭りの料理は前日に作れますか?
若竹煮と三色ミルクかんは前日向きです(煮物は小分けして早く冷ましてから冷蔵庫へ)。ちらし寿司の酢飯は冷蔵で固くなるので当日に。錦糸卵だけ前日に作ってラップしておくと、当日の飾りつけが一気に楽になります。飾ったちらし寿司は室温に置きっぱなしにせず、いくらなどの生ものをのせた分は、早めに食べ切ってくださいね。
Q4. ひな祭りの食器や盛り付けのコツは?
白い器を選ぶと、桃・黄・緑の春色が引き立ちます。ちらしはガラスの器に盛るとカフェ風、お重に詰めると正統派。桃の花をひと枝添えるだけで、いつもの食卓が節句の顔になりますよ。
“おいしい”は、全部が重なること

ひな祭りの膳を作っていて、いつも思うことがあります。錦糸卵の黄色だけでは、あの日の華やかさにはならないんです。
雛人形の灯り、はまぐりの澄んだだし、家族そろっての甘酒の乾杯、あられをつまむ小さな手。そこに「元気に大きくなってね」の願いが重なって、はじめて「桃の節句のごはん」になる。
料理人として、寿司職人として、そして現役介護士として食卓に関わってきて、たどり着いた答えはシンプルです。おいしいは、一皿では完成しない。春の光と願いまで含めて、献立なんですよね🌸
まとめ。。。

- ひな祭りは上巳の祓いから生まれた桃の節句
流し雛が雛人形に育ち、女の子の成長を願う日になりました。 - 献立は菱餅の3色=桃・白・緑で組む
3色そろえば、食卓はそれだけで節句の顔になります。 - 飾りちらしは「錦糸卵ふんわり山盛り・具は花に見立てて」
混ぜるばら寿司との違いは「飾る」こと。真ん中に主役、外へ色を散らします。 - はまぐりは対の貝=良縁の縁起
水から加熱して口が開いたら火を止める。開かない貝は食べません。 - 子供の甘酒は米麹のアルコールゼロ
「ノンアルコール」表示でも酒粕製は微量に残ります。原材料が「米・米麹」だけのものを。 - 市販の菱餅は3歳ごろまで与えない
小さな子には三色ミルクかんが安全でかわいい代役です。 - あられとかんは座って一口ずつ・見守りと一緒に
笑いながらの丸のみがいちばん危険。小皿に少しずつが合図です。 - 介護版のひな祭り献立と対で使える
やわらかい桃の節句は、対の記事でどうぞ。
今年のひな祭りは、錦糸卵をふんわり山に盛って、家族で甘酒の乾杯をどうぞ。桃の花の下の笑顔が、いちばんの縁起ものですよ。
最後までお読みいただきありがとうございました。
フッくんでした!







