料理研究家、料理大好きフッくんです。
寒い夜に、ぐつぐつ煮立った土鍋のふたを開ける、鍋焼きうどん。
衣を花のように広げた海老天(花揚げ)に卵、かまぼこと、ひとつの鍋に具がぎっしり並んだ、ごちそうの一杯ですよね。
でも、鍋焼きうどんの日の献立で、こんなことに迷いませんか?🥹
- それだけで足りる?
一杯で十分な気もするけれど、食べ盛りの家族には物足りないかもしれない。 - 副菜は何を合わせる?
具がたくさん入っているので、何を足せばいいか分からない。 - ご飯ものはいる?
うどんにご飯を合わせていいのか、量が多すぎないか気になる。
この記事では、現役料理人20年で栄養士の私が、鍋焼きうどんに合う献立を15選でお伝えします。
副菜・ご飯もの・箸休めの選び方から、献立例と栄養、家族への出し方まで、順番に見ていきましょう。

鍋焼きうどん、それだけで足りる?
鍋焼きうどんは、それだけで主食とおかずがそろう一人鍋なので、基本は一杯で足ります。
合わせるなら、さっぱりした副菜か、漬物や果物の箸休めを、小さく一品添えるくらいがちょうどいいんです。
食べ盛りの家族やしっかり食べたい日は、小さめのおにぎりなど、ご飯ものを少しだけ足してください。
作り方の記事でも、鍋焼きうどんの日は「献立の脇は軽い係で十分です」とお伝えしています。
鍋の中に具がたくさん入っているので、まわりの料理は、具と重ならないものを選ぶのがコツです。
この記事では、副菜・ご飯もの・箸休めを5つずつ選んでいます。
鍋焼きうどんってどんな料理?発祥と由来

鍋焼きうどんの鍋焼きという名前は、江戸時代の初めの寛永20年(1643年)の料理の本に、もう出てきます。
そのころの鍋焼きは、魚や貝を味噌で煮る料理のことで、鳥やせり、くわいを土鍋で煮る料理も、そう呼ばれていたと言われています。
うどんを入れるようになったのは、もっとあとのことなんですよね。
元治2年(1865年)に上演された芝居には、大坂の四天王寺の門前で、鍋焼きうどんがはやっている場面があります。
これが、鍋焼きうどんという言葉の、最初の記録とされています。
明治時代の終わりごろには、屋台の呼び売りから広まったという話もあり、始まりには諸説があります。
鍋焼きうどんは、ひとり分の土鍋やアルミ鍋で、うどんと具をつゆごと煮込む料理です。
うどんの主食に、肉や卵、海老天のたんぱく質、白菜やねぎ、椎茸の野菜が、ひとつの鍋に収まっています。
料理人として見ると、鍋焼きうどんは、もう献立がひとつの鍋の中でできあがっている料理です。
この「一杯で完結している」ところが、献立を組むときの大事な手がかりになります。
献立の考え方——3つのポイント

鍋焼きうどんの献立を組むとき、私は3つのことを見ています。
どれも、一杯で完結している鍋焼きうどんを、まわりの料理でそっと支えるための考え方です。
この3つを押さえておけば、寒い夜の献立で迷わなくなります。
①脇は軽い係で
鍋焼きうどんは、それだけでお腹がふくらむ一杯です。
まわりには、酢の物やお浸し、漬物のような、さっぱりした小鉢をひとつ添えれば十分です。
②具と重ねない
鍋の中には、卵や海老天、油揚げ、白菜が入っています。
だし巻き卵や天ぷら、油揚げの煮物を副菜にすると、同じ材料が重なってしまうので、鍋の中にない野菜や海藻を選びます。
③足りない日は小さめのご飯もの
食べ盛りの家族がいる日は、小さめのおにぎりや、茶碗に軽く一杯の炊き込みご飯を添えます。
うどんもご飯も主食なので、どちらも少なめにするのがポイントです。
献立例——A・B

ここからは、鍋焼きうどんを主役にした献立を2つご紹介します。
鍋焼きうどんそのものは私のお店の献立表にはないので、副菜とご飯ものと箸休めを、お店の献立から私ならこう合わせるという組み合わせで選びました。
それだけで足りる夜と、しっかり食べたい夜の2つです。
献立A——それだけで足りる夜
①鍋焼きうどん
②オクラと湯葉のお浸し
③フルーツミックス
鍋焼きうどんに、緑のお浸しと果物を添えた、軽い献立です。
オクラと湯葉のやさしい味が、熱いうどんの合間の口休めになります。
食後の果物で、冷たいさっぱりをひとつ足しました。
献立B——しっかり食べたい夜
①鍋焼きうどん
②焼きおにぎり(半分)
③めかぶと胡瓜の酢の物
鍋焼きうどんに、小さめの焼きおにぎりと酢の物を合わせた、しっかりめの献立です。
焼きおにぎりの香ばしさと、酢の物のさっぱりした酸味が、鍋焼きうどんのだしの味とよく合います。
「うどんだけだと夜中にお腹がすく」という家族がいる日に向いています。
| 栄養価(1人前) | 献立A(それだけで足りる夜) | 献立B(しっかり食べたい夜) |
|---|---|---|
| メニュー | ①鍋焼きうどん ②オクラと湯葉のお浸し ③フルーツミックス | ①鍋焼きうどん ②焼きおにぎり(半分) ③めかぶと胡瓜の酢の物 |
| エネルギー | 約620kcal | 約720kcal |
| たんぱく質 | 約38.6g | 約38.3g |
| 脂質 | 約23.0g | 約22.4g |
| 炭水化物 | 約70.0g | 約96.6g |
| 食物繊維 | 約6.5g | 約7.2g |
| カルシウム | 約195mg | 約185mg |
| ビタミンC | 約20mg | 約20mg |
| 食塩相当量 | 約6.3g | 約6.6g |
文部科学省『日本食品標準成分表(八訂)』を参考に算出した概算値です。
鍋焼きうどんは作り方の記事の1人前(つゆは半分残す前提)、ほかの料理は私のお店の献立の分量で計算しています。
作り方の記事のとおり、「つゆは半分残す」だけで、塩分がぐっと控えられます。
つゆを全部飲むと、食塩相当量は約4.6g増えます。
献立Bの酢の物と合わせる日も、つゆは飲みきらずに残してくださいね。
副菜5選——さっぱりの小鉢

まずは、鍋焼きうどんに合う副菜の5品です。
熱い鍋の合間にほっとできるように、さっぱりした酢の物やお浸しを中心に選んでいます。
どれも、鍋の具と重ならない野菜や海藻の小鉢です。
①めかぶと胡瓜の酢の物
とろりとしためかぶと、しゃきっとした胡瓜を合わせた酢の物です。
さっぱりした酸味が、だしの効いたつゆのあとの口をすっきりさせてくれます。
②オクラと湯葉のお浸し
オクラと湯葉を合わせた、とろりとやさしいお浸しです。
緑の小鉢があると、土鍋の横がぱっと明るくなります。
③春菊のなめたけ和え
春菊をなめたけで和えた、香りのよいお浸しです。
春菊のほろ苦さが、甘めのつゆとよく合います。
④プチトマトの甘酢漬け
赤と黄色のプチトマトを、甘酢に漬けた箸休めです。
冷たいままお出しすると、熱い鍋のあとにうれしい一品になります。
⑤切干し大根の甘酢漬け
切干し大根とにんじんを甘酢で和えた、歯ごたえの楽しい小鉢です。
前の日に作っておけるので、鍋焼きうどんの日の台所が楽になります。
鍋焼きうどんは、最後まで熱々の料理です。
副菜は冷蔵庫から出したての冷たい小鉢にすると、熱いと冷たいが交互に来て、最後まで飽きずに食べられます。
酢の物や甘酢漬けは、冷蔵庫で冷やしておくと、味がなじんでおいしくいただけます。
鍋を煮込んでいる間に小鉢をよそっておけば、土鍋ができあがったときに、すぐに食卓がそろいますよ。
ご飯もの5選——小さめに

次は、しっかり食べたい日に添えるご飯ものの5品です。
うどんもご飯も主食なので、どれも小さめにして添えるのがポイントです。
ひとりひとつ、小さなお皿に盛ってください。
①焼きおにぎり(半分)
しょうゆを塗って香ばしく焼いた、小さめの焼きおにぎりです。
半分の大きさにすると、鍋焼きうどんと並べてもちょうどよい量になります。
②塩むすび(海苔)
塩だけで握って海苔を巻いた、素朴なおにぎりです。
つゆに浸しながら食べると、鍋焼きうどんの〆のような楽しみ方もできます。
③わかめごはん
わかめを混ぜ込んだ、緑のきれいなご飯です。
鍋の中にない海藻の香りが、献立に違う味を足してくれます。
④栗ごはん
秋から冬にかけての、季節のご飯ものです。
栗のほっくりした甘みが、寒い夜の食卓を少し華やかにしてくれます。
⑤かやくご飯
ごぼうや人参、油揚げを炊き込んだ、関西のかやくご飯です。
鍋焼きうどんに油揚げを入れない日に合わせると、材料が重なりません。
ご飯ものを添える日は、うどんの量を少し控えめにしてもかまいません。
ご飯ものがあると、つゆをつい飲み進めてしまうので、つゆは半分残す、を忘れずにいてくださいね。
箸休めと果物5選

最後は、箸休めと食後の果物の5品です。
作り方の記事でも、浅漬けやお浸し、みかんの一皿のような、冷たいさっぱりを添える組み合わせをご紹介しています。
漬物はひとつにして、塩気を重ねないようにしてください。
①大根のぬか漬け
ぽりぽりとした歯ごたえの、大根のぬか漬けです。
数切れを小皿に添えるだけで、献立が引き締まります。
②野沢菜漬け
しゃきっとした歯ごたえの、緑の漬物です。
細かく刻んでおくと、うどんの合間につまみやすくなります。
③さつま芋とりんごのレモン煮
さつま芋とりんごを、バターとレモンでやさしく煮た甘い一品です。
食後のデザートのように、少しだけ添えてください。
④フルーツミックス
パイナップル、桃、みかん、ぶどう、グレープフルーツ、さくらんぼを合わせた果物の小鉢です。
冷たい果物は、熱い鍋のあとにさっぱりとうれしい一皿になります。
おうちで手作りするときは、ピンクグレープフルーツやバナナを加えてみてはいかがでしょうか。
⑤みかんゼリー
みかんの果肉を入れた、つるんとしたゼリーです。
冬のこたつで食べる、鍋焼きうどんの日のちいさなデザートになります。
漬物を何種類も並べると、鍋のつゆと合わせて塩気が重なります。
その日の漬物はひとつだけにして、細かく刻んで少しだけ添えてください。
果物やゼリーは、食後に出すと、鍋焼きうどんの献立の締めくくりになります。
冷蔵庫で冷やしておくと、熱い鍋のあとに、ひんやりとした甘さを楽しめます。
避けたい組み合わせ3つ

鍋焼きうどんの献立で、やってしまいがちな組み合わせを3つ挙げておきます。
どれも、少し入れ替えるだけで、鍋焼きうどんがぐっと引き立つ献立になります。
- 卵や天ぷらを別に並べる
鍋の中の卵や海老天と重なります。鍋の中にない野菜や海藻の小鉢を選びます。 - 大盛りのご飯もの
うどんとご飯で主食が重なります。ご飯ものは小さめにします。 - 漬物を並べてつゆも飲み干す
塩気が重なります。漬物はひとつにして、つゆは半分残します。
3つに共通するのは、「鍋焼きうどんが主役で、まわりは鍋の中にないものを少しだけ」ということです。
まわりの料理が、さっぱりした酸味と、違う野菜と、ほどよい量を足すことで、鍋焼きうどんの味がまっすぐ伝わります。
栄養と家族への出し方

栄養士として見ると、鍋焼きうどんは、主食とたんぱく質、野菜がひとつの鍋にそろった一杯です。
そこに、鍋の中にない野菜や海藻の小鉢をひとつ足すと、1食のバランスがきれいに整います。
鍋焼きうどんの塩分は、ほとんどがつゆにあります。
つゆを半分残して、漬物をひとつにすると、献立全体の塩分をちょうどよく調整できます。
塩分の指示を受けている方は、かかりつけの先生の指示を優先してください。
この記事の献立に使う特定原材料は、鍋焼きうどんのうどんと海老天の衣、しょうゆの小麦、卵、海老天のえび、さつま芋とりんごのレモン煮のバターの乳です。
準ずる品目では、大豆(湯葉・油揚げ・しょうゆ)・もも(フルーツミックス)・りんご(レモン煮)・ゼラチン(みかんゼリー)が入ります。
フルーツミックスにバナナを加えるときは、準ずる品目のバナナも入ります。
鍋焼きうどんの具の肉は、使う肉によって、準ずる品目の鶏肉や豚肉が入ります。
かまぼこは、商品によって卵などが入っているので、表示を確かめてください。
食物アレルギーのあるご家族がいるときは、表示を確かめてください。
高齢者や子供にやさしい鍋焼きうどん献立

鍋焼きうどんは、やわらかいうどんが中心なので、家族みんなで囲みやすい献立です。
ただ、直火の熱い土鍋と、すすり込むうどん、副菜の中に、気をつけたいものがあります。
高齢の家族に出すとき
作り方の記事のとおり、鍋ごと出さずに「取り椀に取り分けて、ひと呼吸置いてから」お出しします。
うどんは、すすり込むとむせやすいので、短く切って、スプーンで食べられるようにしてください。
つゆはさらさらでむせやすいので、飲み込む力に不安がある方には、市販のとろみ剤(とろみ調整食品)でとろみをつけてください。
形ややわらかさは、日本摂食嚥下リハビリテーション学会の嚥下調整食学会分類2013を目安に調整してくださいね。
海老天は、衣が口に残りやすいので、衣を外して身だけを小さく切ってお出しします。
かまぼこは弾力があって噛み切りにくいので、高齢の方の分には入れません。
卵は、半熟にせず、中までしっかり火を通してください。具の肉も、中までしっかり火が通っているか確かめます。
海苔は口の中に貼りつきやすいので、塩むすびの海苔は細かく切るか外してください。
湯葉と切干し大根は細かく刻み、漬物も細かく刻んで少しだけにします。
酢の物や甘酢漬けは、酢でむせやすいことがあるので、だしで少しのばしてください。
かやくご飯を合わせる日は、ごぼうは繊維が口に残るので外し、こんにゃくは外してください。
小さなお子さんに出すとき
作り方の記事のとおり、「海老天を切り分けて、しっぽの殻を外してから」お出しします。
「5歳ごろまではうどんも3〜4cmに切って」、すすり込みの勢いをそばで見守ってください。
鍋の椎茸やなめたけ、かやくご飯のごぼうは噛み切りにくいので、3歳ごろまでのお子さんの分は外します。
かやくご飯のこんにゃくも、小さなお子さんの分は外してください。
生の胡瓜は、3歳ごろまでのお子さんの分はさっと湯通ししてから酢の物にしてください。
プチトマトや、フルーツミックスのぶどう・さくらんぼのような丸いものは、小さなお子さんには4等分に切ってから出してください(さくらんぼは種があれば外します)。
卵は半熟にせず、中までしっかり固めます。
2歳以下のお子さんには、おかずをさらに細かく切って、つゆはお湯で薄めて取り分けます。
熱い土鍋には手を伸ばさないように、取り分けた椀を少し冷ましてから渡してください。
1歳未満のお子さんには、この献立は出しません。
離乳食のうどんを始める時期や形は、月齢で変わるので、かかりつけの先生や自治体の相談窓口で確かめてくださいね。
私は現役介護士でもあります。
熱い土鍋のままでは、手元が危なく、食べにくい方がいます。
そんな日は、うどんを短く切って、具と一緒に小鉢に取り分け、スプーンを添えてお出ししています。
「鍋焼きうどんやね、なつかしいわ」と、ゆっくり召し上がってくださいます。
熱い土鍋を、短く切った小鉢に置き換える日があっていい。
鍋焼きうどんの献立でよくある質問
最後に、鍋焼きうどんの献立について、よくいただく質問にお答えします。
Q1. それだけで足りる?
鍋焼きうどんは、主食とおかずがそろった一杯なので、基本は足ります。
しっかり食べたい日は、小さめのおにぎりなど、ご飯ものを少しだけ添えてください。
Q2. 汁物はいる?
鍋焼きうどんのつゆが汁物の役なので、別の汁物はいりません。
汁物を足すと、つゆと合わせて塩分も重なります。
Q3. ご飯とうどんは多すぎない?
どちらも主食なので、ご飯ものは小さめにしてください。
焼きおにぎりを半分にするくらいの量が、ちょうどよい目安です。
Q4. 副菜に天ぷらはどう?
鍋の中に海老天が入っているので、天ぷらを別に並べると重なります。
天ぷらが食べたい日は、うどんの献立の記事を参考に、ほかの具のうどんにしてみてください。
“おいしい”は、全部が重なること
鍋焼きうどんの献立を考えるとき、私は四つの軸で見ています。
鍋焼きうどんの満足感、副菜のさっぱり、ご飯もののほどよい量、そして箸休めのひと息です。
鍋焼きうどんは、それだけで完成している一杯ですが、ひとつの小鉢があるだけで、食卓の表情が変わります。
熱いだけでは疲れてしまい、量が多すぎても重くなる。
それぞれの料理が、同じ食卓の上で別の役割を持っているから、最後のひと口までおいしいんです。
満足感と、さっぱりと、ほどよい量と、ひと息。
その全部が重なったとき、いつもの鍋焼きうどんが、家族のごちそうになります。
まとめ。。。

鍋焼きうどんの献立を、最後にもう一度まとめますね。
- 基本は一杯で足りる
主食とおかずがそろった一人鍋。 - 脇は軽い係で
酢の物やお浸しを、小さく一品。 - 具と重ねない
卵・天ぷら・油揚げの副菜は避けて、鍋の中にない野菜や海藻を。 - 足りない日は小さめのご飯もの
焼きおにぎりは半分くらいが目安。 - つゆは半分残す
漬物はひとつにして、塩分を数える。 - 取り椀に取り分けて、ひと呼吸
うどんは短く、高齢の方とお子さんには食べやすく。
鍋焼きうどんは、寒い夜にひとつの鍋で心まで温めてくれる、ごちそうの一杯です。
そのまわりに、さっぱりした小鉢をひとつ添えるだけで、献立がしっかりまとまります。
今夜は、鍋焼きうどんと小さな一品で、ほっとする夕ごはんにしてみてくださいね。
土鍋のふたを開けた瞬間の湯気に、家族の顔がほころぶはずだよ。
フッくんでした!
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