料理研究家、料理大好きフッくんです。
背徳鍋は、ぐるなびが2026年9月30日に発表した、2026年のトレンド鍋です。
肉やチーズ、背脂、たっぷりのにんにくを、カロリーを気にせず「マシマシ」に詰め込むところが、背徳と呼ばれる理由です。
ふだんは体に気をつけて、たまの日に思いきり楽しむ「ご褒美の鍋」として、ここ数年でお店のメニューに広がってきました。
でも、いざ家で作ろうとすると、こんなことで迷いませんか?🥹
- 背徳鍋って何を入れるの?
お店の背徳鍋は見たけれど、家ではどんな具をそろえればいいか分からない。 - スープの味が決まらない
にんにくや背脂を入れたら、しょっぱくなったり、くどくなったりしそう。 - 家族みんなで食べられる?
子どもや高齢の家族もいて、こってりすぎないか心配。
この記事では、現役料理人20年で栄養士の私が、背徳鍋の具材と、家で作る黄金比、作り方を順番にお伝えします。
こってりの日に合う副菜と〆、翌日のリメイク、背徳を軽くする一工夫まで、まとめて見ていきましょう。

背徳鍋とは——2026年トレンド鍋
背徳鍋は、ぐるなびが2009年から毎年発表している「トレンド鍋」の、2026年版に選ばれた鍋です。
ぐるなびの発表によると、飲食店で「背徳」の名がつく料理の取り扱いは、3年で約8倍に増えています。
お店では、背脂とにんにくをきかせたもつ鍋や、厚切りチャーシューにバターを合わせた辛い鍋、二郎系ラーメンのように野菜とにんにくと脂を盛った鍋などが出ています。
背徳鍋は、決まった一つの料理名というより、「背徳感のある鍋」のくくりなんですよね。
ですから、家で作るときの決まったレシピも、決まった黄金比もありません。
この記事では、料理人の私が家で作るならこうする、という形でお伝えしていきます。
家で作るなら「後のせ」で

私が家で背徳鍋を作るときは、背脂・バター・チーズの「背徳の3つ」を、食卓で最後にのせる「後のせ」にしています。
土台は、にんにく醤油のスープで豚バラとキャベツを煮る、ふつうの鍋です。
ここに背徳の3つを後からのせると、こってりの度合いを、食べる人が自分で選べるようになります。
後のせにすると、子どもや高齢の家族の分を、のせる前に取り分けられるのもいいところです。
キムチ鍋の具材の記事でも、バターは「仕上げにひとかけら加えるとスープのコクが格段にアップ」とお伝えしていますが、背徳鍋はその考え方を、背脂とチーズにも広げた鍋です。
背徳鍋の具材——4本柱と受け止め役

背徳鍋の具材は、「肉・脂・チーズ・にんにく」の4本柱と、それを受け止める野菜や豆腐に分けて考えると、そろえやすくなります。
4本柱は背徳の主役、受け止め役は、こってりの味をやわらかく包んでくれる役です。
全部そろえなくても、4本柱から2〜3つ、受け止め役から3つほど選べば、しっかり背徳鍋になりますよ。
①豚バラ——脂の甘み
豚バラの薄切りは、脂の甘みがスープに溶けて、背徳鍋の土台になる肉です。
豚肉は、中心75℃で1分以上を目安に、中までしっかり火を通してください。
①厚切りベーコン
厚切りのベーコンは、燻製の香りと塩気で、食べごたえを足してくれます。
塩気があるので、入れる日はスープのしょうゆを少し控えめにします。
②背脂——とろりと白く
市販の豚の背脂は、スープに溶けると、白くとろりとしたこくが出ます。
生の背脂と、火を通してある背脂があるので、商品の表示どおりに使ってください。
生の背脂は、器にのせる前に、別の小鍋で中までしっかり火を通してから使います。
火を通した背脂を茶こしに入れて、器の上で軽くふり落とすと、細かい粒がスープに散って、ラーメン屋さんの「背脂チャッチャ」のようになります。
②バター——仕上げに
バターは、仕上げにのせると、スープに香りとこくが広がります。
煮立てすぎると香りが飛ぶので、火を止める直前か、器に取ってからのせます。
③カマンベール——丸ごと
カマンベールチーズは、丸ごと鍋の真ん中に置くと、とろけて見た目も背徳らしくなります。
上の白い皮に切り込みを入れておくと、とろけたチーズを具にからめやすくなります。
③とろけるチーズ
とろけるチーズは、手に入りやすく、取り分けた器にのせるだけで使えるチーズです。
一人ずつ好きな量をのせられるので、後のせに向いています。
④にんにく——2つの使い方
にんにくは、薄切りを油で炒めて香りを出し、すりおろしはスープに溶かして使います。
2つの使い方を合わせると、香りもうま味もしっかり立ちます。
受け止め役①キャベツ
山盛りのキャベツは、背徳鍋の受け止め役の主役です。
芯は薄く切って先に、葉はざく切りにして、後から入れます。
受け止め役②もやし
もやしは、二郎系ラーメンの「野菜」のように、たっぷり盛ると背徳鍋らしくなります。
しゃきっとした歯ざわりが、こってりのスープによく合います。
受け止め役③にら
にらは、にんにくと相性のよい青みです。
煮すぎると色が落ちるので、最後に入れてさっと煮ます。
受け止め役④長ねぎ
長ねぎは、煮るととろりと甘くなり、背脂のこくを受け止めてくれます。
斜めに切ると、火が通りやすくなります。
受け止め役⑤木綿豆腐
木綿豆腐は、にんにく醤油のスープを含んで、やさしい口あたりになります。
煮くずれしにくいので、鍋の中でも形が残ります。
変わり種①揚げ玉
揚げ玉(天かす)は、食べる直前に器にぱらりとのせる、食感の背徳です。
スープを吸う前の、さくっとしたところを楽しんでください。
変わり種②食べるラー油
食べるラー油は、取り分けた器に少しのせると、香ばしさと辛さが足せます。
辛さが苦手な人や、お子さんの分には入れません。
背脂やバターを鍋に全部入れてしまうと、スープ全体が同じこってりになって、途中で味を戻せなくなります。
私は、鍋はにんにく醤油のまま煮て、背脂やバター、チーズは、取り分けた器にのせるようにしています。
家で作る黄金比——スープの割合

背徳鍋のスープは、にんにく醤油の、少しあっさりめの味にしておくのがコツです。
後から背脂やバター、チーズの塩気とこくが加わるので、スープだけで濃い味にしないほうが、最後までちょうどよく食べられます。
3〜4人分の分量を、表にまとめました。
| 材料 | 分量(3〜4人分) |
|---|---|
| 水 | 800ml |
| 鶏がらスープの素 | 小さじ2 |
| しょうゆ | 大さじ2 |
| みりん | 大さじ1 |
| 酒 | 大さじ2 |
| にんにく | 2かけ(薄切り1かけ・すりおろし1かけ) |
| ごま油 | 大さじ1 |
| 後のせ(1人分) | 背脂大さじ1・バター5g・とろけるチーズ1枚 |
具は、豚バラ300g、キャベツ1/4個、もやし1袋、にら1/2束、長ねぎ1本、木綿豆腐1丁が目安です。
厚切りベーコンを入れる日は、しょうゆを大さじ1と1/2から始めて、味を見ながら足してください。
背徳鍋の作り方——6工程

具材と黄金比が分かったら、作り方はシンプルです。
寄せ鍋の具材の記事でお伝えしている「だしが出る魚介や肉、火の通りにくい根菜を先に」という順番の考え方は、背徳鍋でも同じです。
6つの工程に分けて、順番に入れていきましょう。
工程1 にんにくを炒める
土鍋にごま油とにんにくの薄切りを入れて、弱火でじっくり炒め、香りを出します。
工程2 スープを煮立てる
水と鶏がらスープの素、しょうゆ、みりん、酒、すりおろしたにんにくを入れて、中火で煮立てます。
工程3 固い野菜から入れる
キャベツの芯、もやし、長ねぎを入れて、ふたをして煮ます。
工程4 肉を入れて中まで
豚バラと厚切りベーコンを広げて入れ、ふつふつと煮立つ火加減で8〜10分煮ます。
豚肉は、中心75℃で1分以上を目安に、中までしっかり火を通してください。
工程5 豆腐とにらを入れる
木綿豆腐とキャベツの葉を入れて、最後ににらをのせ、1〜2分煮ます。
工程6 取り分けて後のせ
子どもや高齢の家族の分を先に取り分けてから、背脂やバター、チーズを後のせにします。
生の背脂を使うときは、器にのせる前に別の小鍋で煮て、中心75℃で1分以上を目安に、中までしっかり火を通してから使ってください。
にんにくの薄切りは、熱した油に入れるとすぐに焦げてしまいます。
鍋が冷たいうちに、ごま油とにんにくを一緒に入れてから弱火にかけると、焦がさずに香りを出せます。
食べごろの見極め——3つの合図

背徳鍋は、いろいろな具が入るので、どこで食べ始めればいいか迷いますよね。
私は、次の3つの合図を見て、食べごろを決めています。
どれも目で確かめられるものなので、作りながら見てみてください。
合図1 豚バラの色
豚バラの赤い色がなくなり、中までしっかり火が通っていれば、食べごろです。
合図2 にらの色
にらがしんなりして、色があざやかなうちに食べると、香りが残ります。
合図3 チーズと背脂
後のせのチーズがとろけてきたら、背徳の食べごろです。
背脂は、のせる前に火を通してあるものを使います(器の熱だけでは、生の背脂に火は通りません)。
こってりの日の副菜5選

背徳鍋の日の副菜は、酢の物やお浸しなど、口の中をさっぱりさせてくれるものが合います。
鍋にキャベツやもやし、にらがたっぷり入るので、副菜は鍋の具と重ならない野菜や海藻にしました。
どれも、私のお店のメニュー表にある副菜です。
①2色プチトマトの甘酢漬け
甘酢に漬けたプチトマトは、こってりの合間に、酸味で口をさっぱりさせてくれます。
赤と黄色の2色にすると、食卓がぱっと明るくなります。
②かぶともずくの酢の物
かぶの歯ざわりと、もずくのつるっとした食感が楽しめる酢の物です。
だしで割った甘酢なので、やさしい酸味になります。
③ほうれん草のお浸し
だしとしょうゆに浸して、削り節をのせる、料亭風のお浸しです。
にんにくの強い鍋の横に、だしの香りの一皿があると落ち着きます。
④ひじきと小松菜のお浸し
小松菜とひじき、うすあげ、にんじんをだしで浸した、彩りのよいお浸しです。
鍋にない緑と黒が、食卓に加わります。
⑤めかぶと胡瓜の酢の物
めかぶのとろみと、胡瓜の歯ざわりが楽しめる酢の物です。
小ねぎを散らすと、香りが立ちます。
献立例——鍋と副菜1品と〆
背徳鍋に、副菜を1品と、次の段の〆を1つ合わせれば、それだけで一食がまとまります。
たとえば、背徳鍋にかぶともずくの酢の物、〆はちゃんぽん麺、という組み合わせです。
背徳鍋の〆5選

背徳鍋の〆は、にんにくと豚バラのうま味が溶けたスープを、最後まで味わうためのものです。
こってりのまま〆るか、雑炊やうどんでやさしく〆るか、その日の気分で選んでみてください。
汁が少なくなっていたら、水を少し足してから〆を入れます。
①ちゃんぽん麺+バター
もちもちのちゃんぽん麺を煮て、仕上げにバターをひとかけのせる、背徳の〆です。
②チーズリゾット
ご飯を入れて煮て、とろけるチーズと黒こしょうで仕上げる〆です。
③にんにくラーメン
中華麺を煮て、もやしを足し、二郎系ラーメンのように食べる〆です。
④雑炊——卵でやさしく
ご飯を入れて煮て、溶き卵でとじる〆です。
卵は、中まで火を通して、ふんわり固まってから火を止めてください。
⑤うどん——つるっと
うどんを入れて、にんにく醤油のスープを吸わせる、やさしい〆です。
翌日のリメイク5選

背徳鍋が残ったら、浅い容器に移して粗熱を30分以内に取り、冷蔵庫に入れて、翌日のうちに使い切ります。
冷蔵庫で冷えると、背脂やバターの脂が表面に白く固まるので、それをおたまですくってから温め直すと、ぐっと軽くなります。
温め直すときは、中まで熱くしてから使ってください。
①背徳カレーうどん
残ったスープにカレールウを溶かして、うどんを煮るリメイクです。
②豚とキャベツの卵とじ丼
残った豚バラとキャベツを少しのスープで煮て、溶き卵でとじてご飯にのせます。
卵は、中まで火を通してください。
③チーズドリア
ご飯に残りの具とスープを少しかけ、チーズをのせてオーブントースターで焼きます。
④焼きそば風
残りの具を中華麺と一緒にフライパンで炒め、スープを少し加えて煮詰めます。
⑤野菜たっぷりスープ
残ったスープをお湯で倍ほどにのばし、キャベツやもやし、にらを足して煮る、軽いスープです。
翌日は野菜を足して、背徳を少し軽くいただきます。
背徳を軽くする一工夫

栄養士として見ると、背徳鍋は、脂と塩気がしっかりある鍋です。
でも、背徳の3つを後のせにすれば、どれだけのせるかを自分で決められます。
キャベツやもやしをたっぷり盛って、スープは具を食べるための汁と考え、翌日は冷えて固まった脂をすくう。
この3つだけで、背徳を楽しみながら、全体をちょうどよく軽くできます。
背脂やチーズをのせた日は、取り分けるときに、キャベツやもやしを肉と同じくらい器に盛ってみてください。
塩分や脂の指示を受けている方は、かかりつけの先生の指示を優先してください。
背徳鍋に使う特定原材料は、バターとチーズの乳、しょうゆ・揚げ玉・ちゃんぽん麺・中華麺・うどんの小麦、〆の雑炊と卵とじ丼の卵です。
ちゃんぽん麺や中華麺には、商品によって卵が入っています。
準ずる品目では、豚肉(豚バラ・ベーコン・背脂)と、大豆(豆腐・しょうゆ・うすあげ)、ごま(ごま油)が入り、鶏がらスープの素には鶏肉が入ります。
市販の背脂やベーコン、食べるラー油、リメイクのカレールウは、商品によって入っているものが違うので、表示を確かめてください。
高齢者や子供にやさしい背徳鍋
背徳鍋は、後のせにしておけば、家族みんなで同じ鍋を囲めます。
ただ、にんにくと脂がしっかりした鍋なので、食べる人に合わせて取り分けてください。
高齢のご家族に
高齢の方の分は、背脂・バター・チーズを後のせする前に取り分けて、器で少し冷ましてからお出しします。
とろけたチーズはのどや上あごに貼りつきやすく、揚げ玉は口の中でばらけてむせやすいので、高齢の方の器にはのせません。
にらや長ねぎは繊維が口に残りやすいので、短く刻んでください。
副菜の酢の物は、酢でむせやすいことがあるので、だしで少しのばし、もずくとめかぶは細かく刻んでお出しします。
〆の麺は、むせないように短く切ってください。
スープはさらさらでむせやすいので、飲み込む力に不安がある方には、市販のとろみ剤(とろみ調整食品)でとろみをつけ、形ややわらかさは、日本摂食嚥下リハビリテーション学会の嚥下調整食学会分類2013を目安に調整してくださいね。
小さなお子さんに
お子さんの分も、背脂やバター、食べるラー油をのせる前に取り分けて、具は小さく、〆の麺は短く切ってください。
鍋の具やとろけたチーズはとても熱いので、器に取り分けて少し冷ましてから渡します。
プチトマトは4等分に切り、生の胡瓜は3歳ごろまで湯通ししてからお出しします。
2歳以下のお子さんには、具をさらに細かく切って、スープはお湯で薄めて取り分けます。
にんにくと脂の強い鍋なので、1歳未満のお子さんには取り分けません。
離乳食で肉を始める時期や量は、月齢で変わるので、かかりつけの先生や自治体の相談窓口で確かめてくださいね。
私は現役介護士でもあります。
高齢の方には脂と塩分が強いので、背脂・バター・チーズを後のせする前に取り分け、肉は小さく切って、汁にはとろみ剤でとろみをつけてください。
背徳鍋を、後のせ前のやさしい一椀に置き換える日があっていい。
背徳鍋でよくある質問
最後に、背徳鍋について、よくいただく質問にお答えします。
市販の鍋の素の使い方や、背脂が手に入らないときなど、家で作るときに迷いやすいところを4つにまとめました。
Q1. 市販の鍋の素でも作れる?
キムチ鍋やもつ鍋の素を土台にして、背脂やバター、チーズを後のせにしても、背徳鍋になります。
鍋の素は味がしっかりしているので、後のせは少なめから始めてください。
Q2. 背脂が手に入らないときは?
豚バラを多めにして、先に鍋で焼いて脂を出してから、スープを入れると、背脂に近いこくが出ます。
バターとチーズだけでも、十分に背徳らしくなります。
Q3. チーズは何がいい?
見た目を楽しむならカマンベールを丸ごと、一人ずつのせるならとろけるチーズが使いやすいです。
〆のリゾットには、とろけるチーズに粉チーズを足すのもオススメです。
Q4. ミルフィーユ鍋でもできる?
白菜と豚バラのミルフィーユ鍋に、背脂やチーズを後のせしても、背徳鍋として楽しめます。
ミルフィーユ鍋の作り方は、関連記事のカードからどうぞ。
まとめ。。。

背徳鍋について、最後にもう一度まとめますね。
- 背徳鍋は2026年のトレンド鍋
肉・脂・チーズ・にんにくを、マシマシにした鍋です。 - 家で作るなら「後のせ」
背脂・バター・チーズは食卓で最後にのせます。 - スープはあっさりめのにんにく醤油
後のせのこくと塩気を考えて、濃くしすぎない。 - 豚肉は中までしっかり
中心75℃で1分以上が目安です。 - 副菜は酢の物とお浸し
鍋の具と重ならない、さっぱりした一皿を。 - 翌日は固まった脂をすくって
リメイクで、二日目も楽しめます。 - 家族の分は、のせる前に取り分け
具は小さく、少し冷まして。
背徳鍋は、こってりの度合いを、自分で選びながら楽しめる鍋です。
土台はふつうの鍋にして、背徳は後のせにするだけで、家族みんなで同じ鍋を囲めます。
寒い季節の、ちょっとがんばった日のご褒美に、家の背徳鍋を楽しんでみてくださいね。
とろけたチーズに背脂がからむひと口で、寒い夜の食卓がぐっとにぎやかになるはずだよ。
フッくんでした!
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