料理研究家、料理大好きフッくんです。
1月7日の朝、白い粥に七草の緑が散る、やさしい一椀。
おせちとお雑煮でにぎやかだった食卓が、すっと静かになる朝ですよね。
でも、七草粥の朝ごはんで、こんなことに迷いませんか?🥹
- 七草粥だけだと物足りない
家族から「これだけ?」と言われて、何を足せばいいか分からない。 - 汁物はいる?いらない?
粥も汁気が多いのに、味噌汁まで並べていいのか迷ってしまう。 - 小皿を並べすぎてしまう
梅干しも佃煮も塩昆布も出したら、なんだかしょっぱい朝になった。
この記事では、栄養士で現役料理人20年の私が、七草粥に合う献立を15選でお伝えします。
おかず・小皿・汁物の選び方から、献立例と栄養、家族への出し方まで、順番に見ていきましょう。

七草粥の朝、何を足せばいい?
七草粥が物足りない朝は、焼き鮭や玉子焼きのような、たんぱく質のおかずを一皿足すのがオススメです。
七草粥は、米と水と塩、そして七草だけで炊く、とても静かな一椀ですよね。
だからおかずで肉や魚、卵を足すと、朝ごはんの満足感がぐっと上がります。
梅干しや佃煮のような塩気の小皿は、ひとつで十分です。
汁物はなくても献立になりますが、足すなら具を食べる汁物を、小さめの椀で合わせます。
この記事では、おかず・小皿・汁物を5つずつ選んでいます。
七草粥ってどんな料理?発祥と由来

七草粥は、1月7日の人日(じんじつ)の節句に、春の七草を入れて炊くお粥です。
ルーツは中国にあり、6世紀ごろの書物『荊楚歳時記(けいそさいじき)』に、正月7日を人日として、7種の菜で汁物を作るという習わしが書かれています。
日本では、平安時代の初めごろに、貴族たちが無病長寿を願って若菜を食べていたと言われています。
10世紀ごろには朝廷の行事になり、江戸時代には、人日が五節句のひとつに定められて、七草粥を食べる習わしが広く伝わりました。
昔は七種の穀物で作る粥だったとも言われ、今のように七草を入れるようになった時期には諸説があります。
春の七草は、せり・なずな・ごぎょう・はこべら・ほとけのざ・すずな・すずしろの7つです。
すずなはかぶ、すずしろは大根なので、七草のうち二つは、いつもの野菜の古い名前なんですよね。
作り方の記事でお伝えしているとおり、米1:水5の全粥に、塩茹でした七草を最後に混ぜて仕上げます。
作り方の記事では、七草粥を「ごちそう明けの、水分たっぷりの主食」とお伝えしています。
味つけは、水と塩の引き算です。
この「主食だけれど、おかずの役はほとんどない」というところが、献立を組むときの大事な手がかりになります。
献立の考え方——3つのポイント

七草粥の献立を組むとき、私は3つのことを見ています。
どれも、静かな七草粥の一椀を、まわりの料理で上手に支えるための考え方です。
この3つを押さえておけば、どの朝の献立でも迷わなくなります。
①おかずでたんぱく質を
七草粥には、肉や魚、卵がほとんど入っていません。
焼き鮭や玉子焼きなど、たんぱく質のおかずを一皿足すと、朝ごはんがしっかりまとまります。
②塩気の小皿はひとつ
作り方の記事のとおり、粥は薄く、小皿で濃く、が七草粥の形です。
ただ、梅干しや佃煮を何皿も並べると、塩気が重なります。
小皿はひとつ選んで、あとは青菜のお浸しのような、やさしい味の小鉢にします。
③汁物は小さめの椀で
七草粥は、それだけで汁気の多い主食です。
汁物を合わせるなら、具を食べる豚汁や味噌汁を、小さめの椀でよそいます。
献立例——A・B

ここからは、七草粥を主食にした献立を2つご紹介します。
七草粥そのものは私のお店の献立表にはないので、おかずと小鉢と汁物を、お店の献立から私ならこう合わせるという組み合わせで選びました。
汁物なしのあっさりの朝と、汁物を足す物足りない朝の2つです。
献立A——あっさりの朝
①七草粥
②鮭の塩焼き(大根おろし添え)
③梅干し
④ほうれん草のしらす和え
七草粥に、焼き鮭と梅干しを合わせた、汁物なしの献立です。
作り方の記事でも、梅干し・塩昆布・焼き鮭のほぐし身を小皿で添えると、一汁一菜の朝定食になりますよ、とお伝えしています。
ほうれん草のしらす和えで、緑の小鉢をもうひとつ足しました。
献立B——物足りない朝
①七草粥
②ケランマリ(韓国の玉子焼き)
③小松菜のお浸し
④豚汁
七草粥に、具だくさんの玉子焼きと豚汁を合わせた、しっかりめの献立です。
卵と豚肉でたんぱく質を足し、豚汁は小さめの椀でよそいます。
「粥だけだとお昼までもたない」という家族がいる朝に向いています。
| 栄養価(1人前) | 献立A(あっさりの朝) | 献立B(物足りない朝) |
|---|---|---|
| メニュー | ①七草粥 ②鮭の塩焼き ③梅干し ④ほうれん草のしらす和え | ①七草粥 ②ケランマリ ③小松菜のお浸し ④豚汁 |
| エネルギー | 約240kcal | 約300kcal |
| たんぱく質 | 約14.3g | 約10.8g |
| 脂質 | 約2.2g | 約7.6g |
| 炭水化物 | 約43.3g | 約50.3g |
| 食物繊維 | 約2.6g | 約3.9g |
| カルシウム | 約80mg | 約150mg |
| ビタミンC | 約25mg | 約25mg |
| 食塩相当量 | 約2.1g | 約3.5g |
文部科学省『日本食品標準成分表(八訂)』を参考に算出した概算値です。
七草粥はおかゆの記事の全粥1杯(250g)に七草を足して、ほかの料理は私のお店の献立の分量で計算しています。
梅干しは塩気がしっかりあるので、1粒を少しずつ、粥と一緒にいただいてくださいね。
おかず5選——たんぱく質を

まずは、七草粥に合うおかずの5品です。
どれも、七草粥に足りないたんぱく質を補ってくれる一皿を選んでいます。
味の濃さは控えめにして、粥のやさしい味を消さないものにしました。
①鮭の塩焼き(大根おろし添え)
塩をふって焼いた鮭に、大根おろしを添えた一皿です。
身をほぐして粥にのせても、おいしく食べられます。
お出しする前に、骨を2回確かめてください。
②ケランマリ(韓国の玉子焼き)
にんじんやねぎ、にらを混ぜた卵を、海苔を芯にして巻いた韓国の玉子焼きです。
卵の黄色と野菜の色が、白い粥の横で朝の食卓を明るくしてくれます。
卵は、中までしっかり火を通してください。
③白身魚のかぶら蒸し
白身魚に、すりおろしたかぶをのせて蒸し、あんをかけた一品です。
すずなはかぶなので、七草粥の日にかぶの料理を重ねると、季節の一膳になります。
身をほぐすときも、骨を2回確かめてください。
④焼き豆腐のきのこ野菜あんかけ
焼き豆腐に、野菜ときのこのあんをかけた、やわらかい一皿です。
豆腐のたんぱく質と、あんのとろみが、粥の朝によく合います。
⑤納豆オムレツ——しっかり
納豆と卵を合わせて焼いた、食べごたえのあるオムレツです。
物足りない朝や、部活のあるお子さんの朝に向いています。
卵は、中までしっかり火を通してください。
作り方の記事のとおり、米から炊く七草粥は、弱火で40分の鍋の番が要ります。
その間に、鮭を焼いたり、玉子焼きを巻いたりすると、粥が炊き上がるころにおかずもそろいます。
七草の塩茹では最後に回すと、緑の色がきれいなまま食卓に出せます。
小皿5選——塩気はひとつ

次は、七草粥に添える小皿の5品です。
おかゆの記事では、白い椀の相棒の条件を、少しの塩気と、うまみの塊とお伝えしています。
前の3つは塩気の小皿なので、その日はどれかひとつに。あとの2つは、やさしい味の青菜の小鉢です。
①梅干し——塩気の小皿
白い粥に、梅干しの紅がひとつ。
酸味と塩気で、静かな七草粥の味がきりっと締まります。
②大豆の塩昆布和え
ゆでた大豆と青菜を、塩昆布で和えた小鉢です。
塩昆布のうま味と、大豆の食べごたえが、粥の横で頼もしい一品になります。
③椎茸昆布の佃煮
昆布と椎茸を、甘辛く煮た佃煮です。
ほんの少し粥にのせるだけで、うま味がぐっと深まります。
④ほうれん草のしらす和え
ゆでたほうれん草に、しらすと削り節を合わせた小鉢です。
緑の色と、しらすのやさしい塩気が、七草の緑とよく合います。
⑤小松菜のお浸し
小松菜と油揚げを、だしで含ませたお浸しです。
冬の小松菜はやわらかく、粥の朝の箸休めになります。
梅干しは、丸ごと粥にのせるより、種を外して果肉を軽くほぐしてから豆皿に添えると、少しずつ使えて塩気の加減がしやすくなります。
ほぐした果肉を粥の一角にのせて、その周りから食べていくと、最後まで味が変わって楽しめます。
塩昆布や佃煮も同じで、ひとつまみずつのせるのが、粥をおいしく食べるコツです。
汁物5選——小さめの椀で

最後は、七草粥の朝に合わせる汁物の5品です。
汁物はなくても献立になりますが、物足りない朝は、具を食べる汁物を小さめの椀で足します。
塩味の粥に、味噌やだしの違う味が加わると、献立にめりはりが出ます。
①豚汁——具だくさん
豚肉と根菜を味噌で煮た、具だくさんの汁物です。
豚肉は、中心75℃で1分以上を目安に、中までしっかり火を通してください。
具を食べる汁なので、物足りない朝のおかずの役も兼ねてくれます。
②あおさと豆腐の味噌汁
あおさの香りと、やわらかい豆腐の味噌汁です。
豆腐でたんぱく質が少し足せて、小さめの椀でも満足感があります。
③かき卵汁——ふんわり
だしに溶き卵をふんわり流した、やさしい汁物です。
卵は、汁がしっかり煮立ったところに流し入れて、火を通してください。
④けんちん汁——根菜で
根菜と豆腐をごま油で炒めて煮た、具だくさんの汁物です。
けんちん汁の献立の記事でも書いたとおり、肉も魚も入らない汁なので、おかずの鮭や卵とよく合います。
⑤南瓜の味噌汁
かぼちゃの甘みが溶けた、やさしい味噌汁です。
甘みがあるので、お子さんの朝にも合わせやすい一杯です。
避けたい組み合わせ3つ

七草粥の献立で、やってしまいがちな組み合わせを3つ挙げておきます。
どれも、少し入れ替えるだけで、七草粥がぐっと引き立つ献立になります。
- 粥だけで済ませる
たんぱく質が足りず、物足りない朝になります。焼き鮭や玉子焼きを一皿足します。 - 塩気の小皿を全部並べる
梅干し・佃煮・塩昆布をそろえると、塩気が重なります。塩気の小皿はひとつにします。 - 汁物を大きな椀で
粥と汁で汁気が重なります。具を食べる汁を、小さめの椀でよそいます。
3つに共通するのは、「七草粥の静かな味を、まわりの料理で支える」ということです。
まわりの料理がたんぱく質と、ほどよい塩気と、違う味を足すことで、七草の香りがまっすぐ伝わります。
栄養と家族への出し方

栄養士として見ると、七草粥は、水分をたっぷり含んだやさしい主食です。
そこに、たんぱく質のおかずと、青菜の小鉢、小さめの汁物を合わせると、1食のバランスがきれいに整います。
残った七草粥は、作り方の記事のとおり、冷蔵で翌日までが目安です。
浅い容器に移して早く冷まし、粗熱が取れたらすぐ冷蔵庫へ入れてください。
作り方の記事にあるとおり、シンプルな椀ほど、足したものがアレルギーの地図になる、と覚えておいてください。
この記事の献立に使う特定原材料は、しょうゆの小麦と、ケランマリ・納豆オムレツ・かき卵汁・かぶら蒸しの卵、納豆オムレツのチーズの乳です。
しらすには、商品によって、えびやかにが混ざっていることがあります。
準ずる品目では、大豆(豆腐・納豆・味噌・しょうゆ・塩昆布和えの大豆・油揚げ)・さけ・豚肉・ごま(ケランマリとけんちん汁のごま油)が入ります。
食物アレルギーのあるご家族がいるときは、表示を確かめてください。
七草粥そのものは、塩ひとつまみのやさしい味です。
塩分が増えるのは、梅干しや佃煮、汁物を重ねたときです。
塩気の小皿をひとつ、汁物を小さめの椀にすると、粥の朝の塩分をちょうどよく調整できます。
塩分の指示を受けている方は、かかりつけの先生の指示を優先してください。
高齢者や子供にやさしい七草粥献立

七草粥は、やわらかい粥が中心なので、家族みんなで囲みやすい献立です。
ただ、炊きたての粥の熱さと、おかずや小皿の中に、気をつけたいものがあります。
高齢の家族に出すとき
七草は、やわらかく茹でて細かく刻んでから粥に混ぜてください。
おかゆの記事でお伝えしているとおり、さらさらの粥は、水分と粒の二層が口の中でばらけて、むせやすいことがあります。
飲み込む力に不安がある方には、市販のとろみ剤(とろみ調整食品)で全体をまとめてからお出しします。
形ややわらかさは、日本摂食嚥下リハビリテーション学会の嚥下調整食学会分類2013を目安に調整してくださいね。
鮭や白身魚は、骨を2回確かめて、小さな骨のかけらが残っていないか確かめてから、身をほぐしてお出しします。
梅干しは、種を外して果肉をほぐしてください。
ケランマリの芯の海苔は口の中に貼りつきやすいので、高齢の方の分は細かく切り分けてください。
塩昆布や佃煮の昆布も、細かく刻んで少しだけ添えます。
けんちん汁を合わせる日は、こんにゃくは外してください。
豚汁やけんちん汁のごぼうは繊維が口に残るので、噛む力が弱い方の分は外してください。
小さなお子さんに出すとき
作り方の記事のとおり、七草の香りが強いので、3歳ごろまではごく少量から。
豚汁のごぼうや、佃煮の椎茸、かぶら蒸しやあんかけのきのこは噛み切りにくいので、3歳ごろまでのお子さんの分は外してください。
塩昆布和えの大豆は、5歳ごろまでのお子さんの分は、つぶすか刻んでください。
けんちん汁のこんにゃくは、小さなお子さんの分も外してください。
鮭や白身魚は、骨を2回確かめて、小さな骨のかけらが残っていないか確かめてからお出しします。
梅干しは種を外して、ほんの少しだけに。
2歳以下のお子さんには、おかずをさらに細かく切って、汁物はお湯で薄めて取り分けます。
炊きたての粥は熱がこもって冷めにくいので、おかゆの記事のとおり、取り分けてひと呼吸。少し冷ましてから渡してください。
1歳未満のお子さんには、この献立のおかずや小皿は出しません。
離乳食のお粥や七草を始める時期や形は、月齢で変わるので、かかりつけの先生や自治体の相談窓口で確かめてくださいね。
私は現役介護士でもあります。
細かく刻んだ七草でも、噛む力が弱い方には、葉の繊維が口の中に残ってしまうことがあります。
そんな日は、塩茹でした七草をすり鉢で軽くすってから、とろみ剤でまとめた粥に混ぜてお出ししています。
緑の色と香りはそのままなので、「七草の日だね」と言っていただけます。
刻んだ七草を、すった七草に置き換える日があっていい。
七草粥の献立でよくある質問
最後に、七草粥の献立について、よくいただく質問にお答えします。
Q1. 汁物はいる?
なくても献立になります。
七草粥は汁気の多い主食なので、汁物を合わせるなら、豚汁のように具を食べる汁を、小さめの椀でよそってください。
Q2. 夜ごはんにしてもいい?
作り方の記事のとおり、夜ごはんでも意味は十分です。
夜は、鮭の塩焼きや豚汁など、おかずを少ししっかりめにすると、献立がまとまります。
Q3. 七草セットがない日は?
作り方の記事では、かぶ・大根・せりなどの三草粥でも、若菜の椀の心は同じとお伝えしています。
献立の考え方は、七草粥と同じで大丈夫です。
Q4. 子どもが七草を残します
七草を全部混ぜずに、刻んだ七草を小皿に分けて、のせる量を自分で選べるようにしてみてください。
玉子焼きや焼き鮭など、好きなおかずが並んでいると、七草粥の朝を楽しみにしてくれます。
“おいしい”は、全部が重なること
七草粥の献立を考えるとき、私は四つの軸で見ています。
七草粥のやさしさ、おかずのたんぱく質、小皿のうま味、そして汁物の違う味です。
七草粥は、それだけで完成する朝ごはんではありません。
粥だけではおなかがもたず、おかずだけでは新しい年の朝の静けさがない。
それぞれの料理が、同じ食卓の上で別の役割を持っているから、最後のひと口までおいしいんです。
やさしさと、たんぱく質と、うま味と、違う味。
その全部が重なったとき、いつもの七草粥が、家族のごちそうになります。
まとめ。。。

七草粥の献立を、最後にもう一度まとめますね。
- おかずでたんぱく質を
焼き鮭や玉子焼きを一皿足して、物足りない朝に。 - 塩気の小皿はひとつ
梅干し・塩昆布・佃煮は、その日どれかひとつ。 - 汁物は小さめの椀で
なくてもいい。足すなら具を食べる汁を。 - 粥は薄く、小皿で濃く
七草粥は水と塩の引き算のまま。 - 取り分けてひと呼吸
熱い粥は少し冷まして、七草は食べる人に合わせて。
七草粥は、新しい年の食卓を、そっと静かに戻してくれる一椀です。
白い粥のまわりに、たんぱく質のおかずと、ひとつの小皿、小さめの汁物を並べるだけで、献立がしっかりまとまります。
1月7日の朝は、七草粥の献立を家族で囲んでみてくださいね。
おかずがひと皿あるだけで、静かな朝がぐっと楽しくなるはずだよ。
フッくんでした!
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