料理研究家、料理大好きフッくんです。
お正月にも、普段の晩ごはんにも。鍋いっぱいの筑前煮 🥢
いざ作ろうとして「何を入れればいいのか」「毎回同じ顔ぶれで飽きる」「子どもが根菜を残す」ということ、ありませんか?
正直に言うと、筑前煮は具材を決めた時点で、味の半分が決まります。作り方より前の話なんですよね。
こんなお悩み、ありませんか?
- 定番の具材が分からない
土台になる根菜と、そこに足す彩り。この2段で考えます。 - いつも同じで飽きてしまう
変わり種を1つ足すだけで、別の顔になります。 - 子どもが根菜を食べない
甘みのある具を1つ混ぜると、手が伸びます。 - 具ごとの下ごしらえが分からない
一覧にしました。切る大きさもそろえて書いてあります。
現役料理人20年・栄養士。店で毎週仕込んでいた筑前煮の、具の選び方から書いていきますね。

筑前煮の具材は「根菜が土台、そこに彩り」
結論から言いますね。筑前煮の具材は、根菜が土台です。れんこん・ごぼう・にんじん・里芋。この土の中で育った野菜たちが、鶏のうま味を吸って一体になる。それが筑前煮という料理の芯です。
筑前煮は、もともと福岡の郷土料理「がめ煮」から広まったものだと言われています。「がめ煮」の名前は、具をがめくり込む(寄せ集める)という博多の言葉から来た、という説が有力です。つまり最初から「ありもので作る」料理なんですね。
だから決まった具材はありません。ただ、根菜という土台がなければ筑前煮にならない。土台を先に決めて、そこに彩りと甘みを一つずつ足す。この順番で考えると、20種類の中から迷わず選べます。
なお、切り方や煮方の細かい技術は作り方の記事に、合わせる副菜や汁物は献立の記事にまとめてあります。この記事は「何を入れるか」に絞って書きますね。
具材選びの3つの考え方

店で筑前煮を仕込むとき、私は具材を「役割」で見ていました。れんこんは歯ざわり、里芋はとろみ、絹さやは彩り、さつまいもは甘み。具材の名前ではなく、その具が皿の中で何をするかで考えると、冷蔵庫に何があっても組み立てられます。
この見方に落ち着いたのは、修業を始めて数年たった頃です。それまでは「筑前煮といえばこれ」という顔ぶれをそろえることに必死で、一つ欠けると作れないと思っていました。でも親方の筑前煮は、日によって中身が違うのに、いつも筑前煮の味がした。具ではなく、役割がそろっていたからなんですね。
役割は3つです。
①根菜を3〜4種、土台にする
れんこん・ごぼう・にんじん・里芋から、3〜4種。全部そろえなくて構いません。歯ざわりの違うものを組み合わせると、ひと口ごとに表情が変わります。れんこんのシャキッ、ごぼうの噛みごたえ、里芋のねっとり。
②彩りを、一つ
筑前煮は茶色い料理です。緑か赤が一つ入るだけで、皿の印象がまるで変わります。絹さや、いんげん、にんじん。最後に散らすだけで十分です。
③甘みを、一つ
さつまいも、かぼちゃ、くわい。甘い具が一つあると、子どもの箸が動きます。しょうゆの味の中に、ほっとする一角ができるんですね。
合わせ方の早見表
| 作る日 | 土台 | 彩り | 足す一つ |
|---|---|---|---|
| 普段の晩ごはん | れんこん・ごぼう・にんじん | 絹さや | 厚揚げ(ボリューム) |
| お正月・おせち | れんこん・里芋・にんじん | 絹さや | くわい(縁起) |
| 子どもがいる日 | にんじん・里芋 | いんげん | さつまいも(甘み) |
| 高齢のご家族と | にんじん・里芋・大根 | 絹さや(刻む) | 高野豆腐(やわらかい) |
定番の具材8選

まずは土台になる8つです。この8つは、どれも煮汁を吸ってから本領を発揮するという共通点があります。れんこんもごぼうも里芋も、生のままでは味が入りにくく、時間をかけて煮ると鶏のうま味を抱え込む。だから筑前煮は「煮る」料理であって「炒める」料理ではないんですね。
全部そろえる必要はありません。この中から4〜5つ選べば、筑前煮の顔になります。迷ったら、歯ざわりの違うものを組み合わせてください。
鶏もも肉——うま味の出どころ
筑前煮の主役は根菜ですが、うま味を出しているのは鶏もも肉です。皮つきのまま炒めると脂が溶け出して、その油で根菜を炒めることになる。この一手で、野菜に鶏の香りがまとわりつきます。
むね肉でも作れますが、煮るとパサつきやすいので、ももが確実です。3cm角に切って、中心まで75℃で1分以上しっかり火を通してください。塊が大きいと中心が届きにくいので、大きさをそろえることが安全にもつながります。
れんこん——歯ざわりと、縁起
筑前煮に「シャキッ」を担当させる具です。煮ても食感が残るのがれんこんの強みで、ほかの根菜がやわらかくなるぶん、対比が生まれます。
穴が開いているので「先の見通しがきく」という縁起もあり、お正月の筑前煮には欠かせません。酢水に5分さらすと、白く仕上がります。さらさないと黒ずみますが、味は変わりません。見た目を気にする日だけで構いません。
ごぼう——土の香りと、噛みごたえ
ごぼうが入ると、筑前煮に「土の香り」が立ちます。この香りが、鶏の脂としょうゆの甘辛さをつなぐ役目をしているんですね。
ささがきではなく乱切りに。煮物では存在感が要ります。水にさらすのは5分で十分で、長くさらすと香りまで抜けます。ただし噛みごたえが強いので、高齢のご家族や小さいお子さんがいる日は外すか、薄く切ってください。
にんじん——彩りと甘み、両方の担当
にんじんは、土台と彩りの両方を兼ねる便利な一本です。茶色い筑前煮の中でオレンジが目を引き、煮ると甘みが増して、しょうゆの味を丸くしてくれます。
乱切りで2〜3cm。お正月なら梅や花の型で抜くと、それだけでお重の顔になります。抜いた端切れは、細かく切ってきんぴらや味噌汁に回してください。
里芋——ねっとりと、とろみ
里芋が入ると、煮汁にとろみが移って全体がまとまります。ねっとりした食感は、ほかの根菜にはない役割です。
塩でもんでぬめりを取ってから使います。ぬめりが残ると煮汁が濁り、味が入りにくくなります。崩れやすいので、大きめに切って、ほかの根菜が煮えてから加えるのがコツです。
こんにゃく——味を吸い、食感の変化に
こんにゃく自体に味はありませんが、煮汁を吸って、ほかの具にはない弾力を持ち込みます。ひと口ごとに食感が変わるのは、こんにゃくのおかげです。
包丁で切るより手でちぎるほうが、断面がでこぼこになって味が入ります。下ゆでして臭みを抜いてから。ただし噛み切りにくいので、高齢のご家族には外すか薄く切ってください。冷凍には向きません。
干ししいたけ——だしを一段深くする
生しいたけとは役割が違います。干ししいたけは戻し汁ごと使うことで、だしそのものを深くする具です。鶏のうま味と重なって、煮汁に奥行きが出ます。
ぬるま湯で戻して、戻し汁は捨てずに煮汁へ。大きければ半分に切ります。戻す時間がないときは、生しいたけでも構いませんが、だしの深さは干しのほうが上です。
たけのこ——春の筑前煮の主役
春なら生のたけのこを下ゆでして。それ以外の季節は水煮で十分です。水煮は水気をしっかり拭いてから入れると、味が入りやすくなります。
穂先のやわらかい部分と、根元の歯ごたえのある部分を混ぜると、一つの具で二つの食感が楽しめます。繊維があるので、高齢のご家族には穂先だけを。
変わり種の具材7選

「いつも同じ」を抜けるための7つです。ただし、ここで一つ線を引かせてください。変わり種は、土台に一つ足すつもりで選ぶこと。全部入れると、筑前煮ではなくなります。
筑前煮は「ありもので作る」料理だと最初に書きましたが、それは「何を入れてもいい」という意味ではありません。根菜の土台があって、はじめて変わり種が引き立つ。土台なしに変わり種ばかり入れると、それはもう別の煮物です。
その線を守ったうえで、季節や行事に合わせて一つ選ぶ。それが変わり種の楽しみ方だと思っています。
くわい——芽が出る、おせちの格上げ
芽が出ていることから「めでたい」とされ、お正月の筑前煮に一つ入れると格が上がります。ほっくりした甘みと、ほのかなえぐみが特徴で、大人の味です。
皮をむいて芽を残し、米のとぎ汁で下ゆでするとえぐみが抜けます。丸くて小さいので、5歳ごろまでのお子さんには丸ごと出さないでください。
ぎんなん——翡翠色の彩り
煮物の茶色の中で、翡翠色が一粒あるだけで皿が締まります。ほろ苦さも大人向けの一品です。
殻をむいて薄皮を取り、最後に加えます。長く煮ると色がくすみます。5歳ごろまでのお子さんには丸ごと出さないでください。大人も、数は数粒までにしておくのが昔からの言い伝えです。
厚揚げ——肉を減らしたい日の主役
厚揚げが入ると、ボリュームと油のコクが加わります。鶏肉を減らしたい日は、厚揚げを主役にすると成立します。
熱湯をかけて油抜きしてから、ひと口大に。煮汁をよく吸うので、ほかの具より先に味が決まります。崩れにくいので扱いやすい具です。
高野豆腐——やわらかく、たんぱく質を
煮汁を含んでやわらかくなり、噛む力が弱い方にも向く具です。たんぱく質もしっかり入ります。
戻してから軽く絞って、ひと口大に切って加えます。戻し不要タイプならそのまま。煮汁を抱えるので、取り分けるときに軽く絞ると、むせにくくなります。
大根——冬の、軽い一角
冬の筑前煮に大根を入れると、味を吸って、ほかの具より軽く食べられる一角ができます。根菜が続く中での休憩になります。
厚めのいちょう切りにして、米のとぎ汁で下ゆでしておくと、透きとおるまで煮えます。やわらかいので、高齢のご家族にも向きます。
かぼちゃ——甘みと彩り、崩れやすい
甘みと黄色の彩りを一度に足せます。ただし崩れやすいので、最後に加えて短く煮るのがコツです。
皮を少し残して切ると形が保てます。子どもがいる日の「甘みの一つ」として、さつまいもと入れ替えても構いません。
エリンギ——一年中たけのこ代わりに
たけのこが手に入らない季節に、歯ざわりが似ているエリンギで代わりが務まります。きのこのうま味も加わります。
縦に裂くか、乱切りにして。煮すぎるとしんなりするので、根菜が煮えてから加えて5分ほどで十分です。
店で親方に言われたのが、「変わり種は一つでええ。二つ入れたら、それは別の料理や」という一言でした。足す楽しみは、一つずつがちょうどいいんですよね。
子どもが食べやすい具材5選

子どもが筑前煮を残すのは、たいてい「茶色くて、かたくて、味が大人」だからです。この3つを、具材で一つずつ外していきます。
さつまいも——甘みの担当
しょうゆ味の中に甘い一角があると、子どもはそこから食べ始めます。そして隣のにんじんに手が伸びる。甘みは入り口なんですね。
皮つきのまま厚めの輪切りにして、根菜が煮えてから加えて10分。崩れやすいので、あまり触らないでください。
じゃがいも——親しみのある根菜
根菜の中で、子どもにいちばん親しみがあるのがじゃがいもです。ほくほくした食感は、里芋のねっとりより受け入れられやすいことが多いです。
煮崩れるので大きめに切って、最後に加えます。男爵よりメークインのほうが形が残ります。
ちくわ——やわらかくて、うま味も出る
練り物のやわらかさは、根菜の合間の休憩になります。噛み切りやすいので、小さいお子さんにも向く具です。
斜めに切って、最後の5分で加えます。長く煮るとかたくなります。うま味も出るので、鶏肉を少なめにした日の補いにもなります。
がんもどき——ふわっとした食感
煮汁をよく吸って、ふわっとした食感が根菜との対比になります。噛む力が弱くても食べやすい具です。
熱湯をかけて油抜きしてから、ひと口大に。中に野菜が入っているものを選ぶと、一つで彩りにもなります。
絹さや——緑ひとつで野菜のおかずに
茶色い筑前煮に、緑が一つあるだけで「野菜のおかず」の顔になります。子どもは色で判断することが多いので、ここは効きます。
筋を取って、塩ゆで30秒。煮汁には入れず、盛りつけてから散らします。いんげんでも同じ役目が務まります。
そして、子どもがいる日はぎんなん・くわい・豆類を丸ごと入れないでください。丸くてつるんとしたものは、5歳ごろまで丸ごと出さない——消費者庁が示している線です。
具材ごとの下ごしらえと、切る大きさ

筑前煮の具材でいちばん大事なのは、大きさをそろえることです。大きさが違うと火の通りがそろわず、里芋が崩れる頃にれんこんがまだ硬い、ということになります。
目安はひと口大、2〜3cm。乱切りにすると断面が増えて味が入りやすくなります。切り方の細かい技術(面取りや乱切りの角度)は作り方の記事に詳しく書いてあるので、ここでは「どの具をどう扱うか」だけ一覧にしますね。
| 具材 | 下ごしらえ | 大きさ |
|---|---|---|
| 鶏もも肉 | 余分な脂を取る | 3cm角 |
| れんこん | 酢水に5分(白く仕上げる) | 乱切り2〜3cm |
| ごぼう | 水にさらす | 乱切り2〜3cm |
| にんじん | そのまま | 乱切り2〜3cm |
| 里芋 | 塩でもんでぬめりを取る | 大きめ(崩れやすい) |
| こんにゃく | 手でちぎって下ゆで | ひと口大 |
| 干ししいたけ | 水で戻す(戻し汁は煮汁に) | 大きければ半分 |
| たけのこ(水煮) | 水気を拭く | 乱切り |
| 厚揚げ・がんもどき | 熱湯をかけて油抜き | ひと口大 |
| さつまいも・かぼちゃ | そのまま | 大きめ・最後に加える |
里芋・かぼちゃ・さつまいも・じゃがいもは、煮え時間が短くて崩れやすい具です。
最初から入れず、根菜が煮えてから加えて10分。それだけで形が残ります。
親方の言葉は「入れる順は、崩れる順の逆や」でした。
私のお店の組み合わせ例

店で実際に出していた組み合わせを、3つご紹介します。土台3〜4種+彩り1+足す一つ、という形は同じで、中身だけ変えています。
普段の晩ごはん
れんこん・ごぼう・にんじん・鶏もも・こんにゃく・絹さや。いちばん基本の形です。ごぼうが入ると、香りが立ちます。
お正月・おせち
れんこん・里芋・にんじん・鶏もも・くわい・絹さや。ごぼうを外して里芋を入れると、口当たりがやわらかくなり、お重の中でほかの品とぶつかりません。くわいで格を上げます。
子どもがいる日
にんじん・里芋・鶏もも・さつまいも・ちくわ・いんげん。ごぼうとこんにゃくを外し、甘みとやわらかさを足しました。ごぼうがないだけで、子どもの反応が変わります。
筑前煮は、具が多いほど豪華に見えます。でも6種を超えると、一つひとつの味が薄まって、何を食べているのか分からなくなります。
土台3〜4・彩り1・足す一つ。合計5〜6種がちょうどいい。
迷ったら減らしてください。れんこん・にんじん・鶏だけでも、立派な筑前煮です。
基本の筑前煮の作り方(4人分)
具材が決まったら、作り方は一つです。詳しい火加減や黄金比は作り方の記事にありますが、この記事の具材でそのまま作れる手順を、短くまとめておきますね。
材料(4人分)
鶏もも肉 300g/れんこん・ごぼう・にんじん・里芋 各150g/こんにゃく 1/2枚/干ししいたけ 4枚/絹さや 8枚
だし 300ml(しいたけの戻し汁を含む)/しょうゆ 大さじ3/みりん 大さじ2/酒 大さじ2/砂糖 大さじ1/ごま油 大さじ1
手順
①具材はすべて2〜3cmの乱切りに。里芋は塩でぬめりを取り、こんにゃくは手でちぎって下ゆで
②鍋にごま油を熱し、鶏肉を皮目から炒める。色が変わったら根菜を加えて2分炒める
③だしと酒・砂糖を入れて煮立て、アクを取って落とし蓋。弱火で10分
④しょうゆとみりんを加え、里芋を入れてさらに10分
⑤煮汁が1/3になったら火を止め、鍋のまま30分冷ます(味が入るのは冷めるとき)
⑥盛りつけて、塩ゆでした絹さやを散らす
※鶏肉は中心まで75℃で1分以上。いちばん大きな一切れを割って、赤い部分が残っていないか確かめてください。
筑前煮の具材選びで避けたいこと【NG3選】

選び方の話をしてきましたが、やってしまいがちな組み合わせも3つだけ書いておきます。どれも店で失敗してきたことです。
- 崩れやすい具を、最初から入れる
里芋・かぼちゃ・さつまいも・じゃがいもは、根菜が煮えてから。最初から入れると溶けて、煮汁が濁ります。 - 変わり種を二つ以上入れる
くわいと厚揚げと高野豆腐を全部入れると、何の煮物か分からなくなります。足すのは一つまで。 - 大きさをそろえずに切る
火の通りがそろわず、里芋が崩れる頃にれんこんがまだ硬い、ということになります。2〜3cmで統一してください。
筑前煮の栄養と、家族への出し方

筑前煮のいいところは、根菜の食物繊維が、一皿でしっかりとれることです。れんこん・ごぼう・里芋・こんにゃく・しいたけ。この顔ぶれは、野菜の中でも食物繊維の多い組です。
1人前を150gとして計算すると、調味料を足して1人前で約150kcalです。食物繊維は約3.5g。
- 鶏もも(皮つき)40gが約76kcal
- れんこん25gが約17kcal
- ごぼう20gが約12kcal
- にんじん20gが約7kcal
- 里芋25gが約13kcal
- こんにゃく20gが約1kcal
- しいたけ10gが約2kcal
意外なのは、エネルギーの半分が鶏もも肉だということ。軽くしたいなら、鶏を皮なしにするか、厚揚げに替えるのが効きます。
塩分は、しょうゆ大さじ3で作って4人で分けると1人約2.0g。煮汁を残せば、そのぶん下がります。筑前煮は煮汁を吸わせる料理なので、盛りつけるときに汁気を切るだけでも変わりますよ。
食塩相当量の目標量は、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」で成人男性7.5g未満・成人女性6.5g未満/日です。塩分や糖分の指示を受けている方は、かかりつけの先生の指示を優先してくださいね。
出す前に確かめておきたいのが特定原材料です。筑前煮には、特定原材料8品目(2025年4月くるみ追加・現在えび/かに/小麦/そば/卵/乳/落花生/くるみ)のうち小麦(しょうゆ)、また特定原材料に準ずる鶏肉・大豆(しょうゆ・厚揚げ・高野豆腐)・山いも(混ぜる場合)を使うことがあります。ちくわやがんもどきは製品によって原材料が変わるので、パッケージの表示を見てくださいね。
軽くしたいなら、鶏を皮なしに、または厚揚げに。
塩分は煮汁を残すぶんだけ下がる。盛りつけで汁気を切るだけでも変わります。
※文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」を参考にした概算値です。
高齢者や子供にやさしい筑前煮の具材

筑前煮は、具材を選ぶだけで、誰にでも出せる料理になります。作り方を変えなくても、入れるものを変えればいいんですね。
これは筑前煮ならではの強みです。たとえば天ぷらは衣を変えられませんし、麺料理は麺の長さが決まっています。でも筑前煮は、同じ鍋の中で、具ごとにやわらかさも大きさも違う。だから取り分けるときに、その人に合った具を選べる。介護の現場でも、子どものいる食卓でも、同じ鍋から出せる料理は貴重なんですよね。
気をつけたいのは「硬い具」と「丸い具」の2つだけです。
高齢のご家族に出すとき
気をつけたいのは、こんにゃく・たけのこ・ごぼうの3つです。こんにゃくは噛み切りにくく、たけのことごぼうは繊維がしっかり残ります。外すか、薄く小さく切ってください。
代わりに、里芋・高野豆腐・大根に寄せます。どれも煮汁を含んでやわらかくなり、指でつぶせるくらいになります。煮汁に少しとろみをつけると、ひと口がまとまりますよ。
お子さんに出すとき
ぎんなん・くわい・豆類は、5歳ごろまで丸ごと出さないでください。丸くてつるんとしたものは、のどに詰まりやすい形です。
甘い具(さつまいも・かぼちゃ)を一つ入れて、全体を小さめに切ります。鶏肉は中心まで75℃で1分以上火を通して、切って赤い部分がないか確かめてください。1歳未満のお子さんには出しません。
私は現役介護士でもあります。
こんにゃく・たけのこ・ごぼうを外して、里芋・高野豆腐・大根に。それだけで、同じ鍋から出せます。
それでも難しい日があります。筑前煮を、里芋のやわらか煮ひと皿に置き換える日があっていいと思っています。同じ煮汁の味が届きます。
筑前煮の具材でよくある質問
読者の方からよくいただく質問を、まとめておきますね。
Q1.具材は何種類入れればいいですか?
5〜6種が目安です。土台の根菜3〜4種、彩り1、足す一つ。それ以上は味がぼやけます。
Q2.鶏肉は何を使えばいいですか?
鶏ももが基本です。皮つきで炒めると、脂が根菜にまわります。軽くしたいなら皮なし、または厚揚げに替えても筑前煮になります。
Q3.子どもが根菜を食べません
ごぼうとこんにゃくを外して、さつまいもを一つ入れてください。甘い一角があると、そこから食べ始めてくれます。
Q4.冷凍できる具材はどれですか?
れんこん・ごぼう・にんじん・鶏肉は冷凍できます。こんにゃくと里芋は冷凍に向きません。食感が変わります。粗熱を30分以内に取って、冷蔵なら3〜4日、冷凍は1か月。再冷凍は避けてくださいね。
Q5.おせちに入れるなら、何を足せば?
くわいです。芽が出ることから「めでたい」とされ、ほっくりした甘みも魅力です。ただし、お子さんには5歳ごろまで丸ごと出さないでください。
“おいしい”は、全部が重なること
筑前煮の具材を考えるとき、私は四つの軸で見ています。根菜の歯ざわり、鶏のうま味、煮汁の甘辛さ、そして絹さやの緑。
筑前煮は、一つの具で完成する料理ではありません。れんこんだけでは物足りず、鶏だけでは煮物にならない。それぞれの具が、皿の中で別の役割を持っているから、ひと口ごとに表情が変わる。だから具材を「役割」で選ぶのが、この料理のいちばんの近道だと思っています。
この四つが同じ皿の上で重なった瞬間が、私の思う「おいしい」です。親方の筑前煮が日によって中身が違うのに同じ味だったのは、役割がそろっていたから。具は変わっても、役割は変わらない——それが筑前煮という料理の芯なんですね。
作り方の技術、合わせる献立、煮しめとの違いは、あわせてご覧くださいね。
まとめ。。。

筑前煮の具材を、最後にもう一度まとめますね。
- 根菜が土台。3〜4種を選ぶ
れんこん・ごぼう・にんじん・里芋から。歯ざわりの違うものを組み合わせます。 - 彩りを一つ、甘みを一つ
絹さやと、さつまいも。茶色い料理に、緑と甘い一角を。 - 変わり種は一つまで
二つ入れたら別の料理。くわい・厚揚げ・高野豆腐から一つ。 - 具は6種まで
それ以上は味がぼやけます。迷ったら減らしてください。 - 大きさは2〜3cmでそろえる
火の通りがそろいます。崩れやすい具はあとから入れて10分。 - ぎんなん・くわい・豆類は5歳ごろまで丸ごと出さない
丸くてつるんとしたものは、のどに詰まりやすい形です。 - 高齢のご家族には、こんにゃく・たけのこ・ごぼうを外す
里芋・高野豆腐・大根に寄せれば、同じ鍋から出せます。 - こんにゃくと里芋は冷凍に向かない
粗熱30分以内・冷蔵3〜4日。再冷凍は避けてください。
筑前煮って、「ありもので作る」から始まった料理なんですよね。だから正解の具材は、本当はありません。
それでも私が店で守っていたのは、土台と、彩りと、甘みを一つずつ。親方の「二つ入れたら別の料理や」という言葉は、足したくなる気持ちを止めてくれる、いい線引きでした。
今日の冷蔵庫にある根菜から、一鍋どうぞ。
フッくんでした!
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