料理研究家、料理大好きフッくんです。
年末が近づくと、離れて暮らす親に、通販のおせちを贈ろうかなと考える方も多いですよね🎍
でも、高齢の親が食べるとなると、かたさや味の濃さ、届いてからの扱いまで、気になることがたくさんあると思います。
こんなふうに迷う方が、多いと思います。
- 親が食べられるおせちはある?
かたさや味の濃さが、今の親に合うか分からない。 - 冷凍で届いたら、どうする?
解凍の仕方や、届いてからの日持ちが気になる。 - のどに詰まらないか心配
お餅や昆布巻き、かまぼこが、のどに詰まりやすいと聞く。
この記事では、料理人20年で、現役介護士でもある私が、高齢の親に通販のおせちを贈るときの選び方と注意点をお伝えします。
贈る前に見たいところ、のどに詰まりやすいおせちと出し方、やわらかおせちの目印、
届いてからの解凍と日持ち、塩分とアレルギーまで、順番に見ていきましょう。
高齢の親に贈るおせちは?
高齢の親に通販のおせちを贈るなら、まず、今の親の噛む力と飲み込む力に合うかたさかを考えます。
ふつうのおせちが合わないときは、やわらかさの区分が表示された介護食のおせちも、選ぶ候補に入れてください。
そのうえで、味の濃さ、人数と量、冷凍か冷蔵か、冷凍庫や冷蔵庫に入るか、届く日に受け取れるかを、注文の前に確かめておきます。
届いたら、商品に書かれた方法で解凍し、一人分ずつ器に取り分けてお出しします。
お餅は出さず、弾力の強いものや繊維の多いもの、丸い豆は、刻む、外す、裏ごしするなど、形を変えてください。
やわらかいおせちを選んでも「これで大丈夫」とは言い切れないので、飲み込みに不安がある方は、かかりつけの先生や言語聴覚士に、食べられる形を確かめてくださいね。
まずは、おせちがどんな料理なのか、短く見ておきましょう。
おせちとは——五節句と重箱

農林水産省の和ごはんのページでは、おせち料理は、もともと人日、上巳、端午、七夕、重陽の五節句に備える料理全般のことで、そのうち特に大事な正月の料理だけを「おせち料理」と呼ぶようになった、と紹介されています。
同じページには、「正月のお節は、1年の家内安全と無病息災を願うものです。」とあります。
贈る前に、おせちに込められた願いと、重箱の決まりを、ほんの少しだけ見ておきましょう。
重箱に詰める理由
山口県のホームページの食の豆知識では、「おめでたいことを重ねるという願いを込めて重箱に詰めます」と説明されています。
同じページでは、基本は四段重ねで、一の重に黒豆や数の子、田作りなどの祝い肴、二の重に伊達巻やきんとんのような甘いもの、
三の重に魚や海老の焼き物、与の重に野菜の煮物を詰める、と紹介されています。
料理ごとの願い
農林水産省の和ごはんのページでは、料理ごとの願いも紹介されています。
- 黒豆
真面目によく働けますように、という願い。 - 数の子
一腹にたくさん卵があるところから、子孫繁栄。 - 田作り
田畑の肥料に使ったことから、豊作。 - 昆布巻き
よろ“こぶ”の語呂合わせ。 - 伊達巻
着物の柄に似ていたところから、着るものに困らない。
黒豆や伊達巻のように、資料によって説明の言い方が違うものもあります。
買って用意する時代
日本大百科全書では、「いまは大半のおせち料理は既製品を買い求めてくればまにあう」と書かれています。
また、ブリタニカ国際大百科事典では、おせちは「味つけはやや濃い目で保存性に富み」とされています。
味のしっかりした料理だからこそ、高齢の親に贈るときは、かたさと味の濃さを先に見ておきたいんです。
贈る前に見たい6つのところ

通販のおせちは、届くまで実物を見ることができません。
高齢の親に贈るときは、写真の華やかさより先に、次の6つを確かめておくと、届いてから慌てずにすみます。
値段や送料、予約の締め切りは商品ごとに違うので、注文する前に、それぞれの商品の説明で確かめてください。
①かたさ——噛む力に合うか
日本介護食品協議会は、介護食の区分を、ご本人の「かむ力、飲み込む力」を参考に選ぶように、としています。
おせちも同じで、親が今、どれくらいのかたさなら食べられるかを、先に思い浮かべておきます。
のどに詰まりやすいおせちと出し方は、このあとの段でまとめます。
②味の濃さ
香川県立白鳥病院の病院だよりでは、「おせち料理は日持ちさせるために、しっかりした味付けになっています。」と書かれています。
介護食品の会社の解説ページでも、噛む力や飲み込む力が衰えている高齢の方には、
飲み込みにくさと同時に、味つけの濃さも気になるところ、とされています。
塩分のことは、栄養の段でくわしくお伝えします。
③人数と量
おせちは、何人前かが商品ごとに違います。
氷見糖尿病対策推進連絡会の資料では、「お重や大皿料理は、自分の食べた量が分かりにくくなってしまいます。」とされています。
ご夫婦二人なら、何人前かを見て、無理なく食べきれる量か、一人分ずつ器に分けやすい詰め方かを見ておきます。
④冷凍か冷蔵か
通販のおせちには、冷凍で届くものと、冷蔵で届くものがあります。
冷凍なら、食べる日に合わせて、解凍の時間をとっておく必要があります。
冷蔵なら、届いたらすぐに冷蔵庫に入れます。
厚生労働省の家庭の食品の扱いのページでも、冷蔵や冷凍の必要な食品は、
持ち帰ったらすぐに冷蔵庫や冷凍庫に入れるように、とされています。
⑤解凍の時間と庫内の空き
国民生活センターの、食事の宅配のトラブルの資料には、申し込んだ直後に、
冷凍庫に入らないことに気づいた、という相談が載っています。
おせちの資料ではありませんが、重箱の形で届くおせちも、
親の家の冷凍庫や冷蔵庫に入るかを、届く前に確かめておきたいところです。
山口県のホームページでも、年末やお正月は、たくさんの食品を買って長く保存する機会が増える、とされています。
解凍にかかる時間も商品ごとに違うので、食べる日から逆算しておいてください。
⑥届く日と受け取り
国民生活センターの同じ資料には、家族が注文を知らずに、商品の受け取りを断ってしまった相談もあります。
そのうえで、「商品を確実に受け取れるように、配達日を確認しておきましょう。」とされています。
親に贈るときは、届く日と、冷凍と冷蔵のどちらで届くかを、前もって親に伝えておいてください。
また、国民生活センターによると、インターネット通販などの通信販売には、法律上のクーリング・オフ制度はありません。
6つを確かめたら、商品の説明を読み比べてみてください。
次のリンクは、料亭や銘店が監修した通販おせちの広告です。
やわらかおせちとは別の、ふつうのおせちなので、のどに詰まりやすい品は、このあとの表のとおりに出してあげてください。
通販のおせちを見る:料亭おせち
【匠本舗】
※何人前か、冷凍か冷蔵か、解凍の時間、届く日、キャンセルの条件は、商品ごとに確かめましょう。
のどに詰まりやすいおせち

消費者庁の資料によると、厚生労働省の人口動態統計(令和6年)で、「気道閉塞を生じた食物の誤えん」で亡くなった方は4,383人で、そのうち65歳以上の方が3,992人、約91%を占めています。
月別では1月が135人、12月が42人で、この2か月で全体の半数以上を占めています。
年齢では80歳代が最も多く、救急搬送された方の約7割が中等症以上と診断されています。
消費者庁は、お餅は温度が下がるにしたがって硬さが増し、温度が下がるほどくっつきやすくなる、と説明しています。
介護食品の会社の解説ページでも、「おせち料理は全体的に水分量が少ないので、誤嚥や窒息を起こしやすいといえます。」とされています。
おせちの中で、気をつけたいものと出し方を、表にまとめました。
| おせち | 気をつけるところ | 出し方 |
|---|---|---|
| お餅(お雑煮) | 冷めると硬くなり、くっつきやすい | 高齢の方には出さないのが基本 |
| 昆布巻き | 歯ごたえがあり、かんぴょうはさらに噛み切りにくい | かんぴょうを外し、1cm幅くらいに薄く切る |
| かまぼこ | 弾力があり、噛み切りにくい | 高齢の方の分には入れない |
| 煮しめ | こんにゃくの弾力、ごぼうとたけのこの繊維 | こんにゃくとごぼうは外し、たけのこは薄く小さく |
| 黒豆 | 丸くてつるんとして、皮が残りやすい | つぶすか裏ごしして、小鉢に少しずつ |
| 栗きんとん | 栗の甘露煮は丸くて硬い | 栗は細かく刻んで混ぜるか、外す |
| 田作り | 硬く、小骨があり、飴で歯にくっつく | 砕いてふりかけにする |
| たこ・いか | 弾力が強い | 短く薄く刻み、ほかの食材と混ぜる |
| なます(酢の物) | 酸味が強く、むせやすい | だし汁でうすめる |
出典は、消費者庁と白井市の資料、介護食品の会社の解説ページ、このサイトのお餅とおせちの記事です。
どれも、食べる方の噛む力や飲み込む力によって、合う出し方が変わります。
お餅は出さないのが基本
お餅の記事でもお伝えしているとおり、「高齢の方には、お餅は出さないのが基本です。」
お雑煮の作り方の記事のとおり、噛む力と飲み込む力が弱い方には「餅は小さく切っても危険が残ります」。
お雑煮を用意するときは、高齢の方の椀は、餅なしにしてあげてください。
弾力と繊維のあるもの
介護食品の会社の解説ページでは、「かまぼこやこんにゃくもお餅と同様に弾力があり喉に詰まりやすい」とされています。
お餅の記事のとおり、「かまぼこやこんにゃくのように弾力のあるものも、噛み切りにくいので、高齢の方の分には入れません。」
昆布巻きは、作り方の記事のとおり、「まずかんぴょうは外してください。」
そのうえで、昆布巻きは1cm幅くらいに薄く切ります。
煮しめは、作り方の記事のとおり、「こんにゃく・ごぼう・たけのこの3つが難所です。」
同じ記事の介護士のコツのとおり、こんにゃくとごぼうは外し、たけのこは薄く小さくしてください。
丸い豆と栗、小魚
黒豆は、保存方法の記事のとおり、「丸くてつるんとしていて、噛む力が弱くなった方には、皮が口の中に残りやすい食べ物です。」
同じ記事のとおり、「つぶすか裏ごしして、小鉢に少しずつお出しします。」
栗きんとんの栗の甘露煮は、作り方の記事のとおり、丸くて硬いので、細かく刻んできんとんに混ぜるか、外してお出しします。
田作りは、作り方の記事で「硬く、小骨があり、飴で歯にくっつく食べ物です。」とされているので、砕いてふりかけにするのがオススメです。
たこ・いかと酢の物
介護食品の会社の解説ページでは、たこやいか、きのこのように、
加熱してもやわらかくなりにくい食材は、事故の原因となることがある、とされています。
白井市の資料では、いかやたこは弾力の強いものの例で、短く薄く刻んで、
ほかの食材と混ぜたり包んだりして、さらにとろみをつける、とされています。
同じ資料では、酢の物は酸味の強い、むせやすいものの例で、「酢の物はだし汁でうすめる」とされています。
とろみは、飲み込む力に不安がある方には、市販のとろみ剤(とろみ調整食品)でつけてください。
やわらかおせちという選択

噛む力や飲み込む力が落ちてきた親には、ふつうのおせちを刻んで出すほかに、
はじめからやわらかく作られた、介護食のおせちを選ぶ方法もあります。
商品の名前で選ぶのではなく、やわらかさの目印で選ぶと、親に合うものを見つけやすくなります。
目印になるのは、ユニバーサルデザインフードの区分と、スマイルケア食のマークです。
ユニバーサルデザインフード
日本介護食品協議会のユニバーサルデザインフードは、決まった規格に合う商品だけにつくマークで、「かたさ」や「粘度」で分けた4つの区分が表示されています。
区分ごとの、かむ力と飲み込む力の目安は、次のとおりです。
| 区分 | かむ力の目安 | 飲み込む力の目安 | たまご料理の例 |
|---|---|---|---|
| 容易にかめる | かたいものや大きいものはやや食べづらい | 普通に飲み込める | 厚焼き卵 |
| 歯ぐきでつぶせる | かたいものや大きいものは食べづらい | ものによっては飲み込みづらいことがある | だし巻き卵 |
| 舌でつぶせる | 細かくてやわらかければ食べられる | 水やお茶が飲み込みづらいことがある | スクランブルエッグ |
| かまなくてよい | 固形物は小さくても食べづらい | 水やお茶が飲み込みづらい | やわらかい茶わん蒸し(具なし) |
出典は、日本介護食品協議会のユニバーサルデザインフードの区分表です。
同じ協議会の一般の方向けのページでは、「容易にかめる」は普通の食事に近く、そこから順に、だんだんやわらかく食べやすくなる、と説明されています。
スマイルケア食のマーク
農林水産省のスマイルケア食では、噛むことに問題がある方向けの食品に「黄」、飲み込むことに問題がある方向けの食品に「赤」のマークを表示しています。
噛むことや飲み込むことに問題はないものの、栄養補給が必要な方向けの食品には、「青」のマークがあります。
同じページには、この選び方にかかわらず、食べることについて気になることがあれば、
まずは医師や歯科医師、管理栄養士などの専門職に相談するように、と書かれています。
学会分類2013とのちがい
病院や施設で、日本摂食嚥下リハビリテーション学会の嚥下調整食学会分類2013のコードで、
食事の形を指示されている方もいます。
学会分類2013には、ユニバーサルデザインフードなど、ほかの分類との対応も載っていますが、「整合性や相互の対応が完全に一致するわけではない」とされています。
コードで食事の形を指示されている方は、どの区分の商品が合うかを、かかりつけの先生や言語聴覚士に確かめてから選んでください。
届いたら——解凍と日持ち

日本冷凍食品協会は、冷凍食品はいったん解凍すると、その時点で冷凍食品ではなく「生もの」になり、解凍した状態で長く置くと傷むことがある、と説明しています。
冷凍で届くおせちも、解凍したあとは、生ものと同じように、早めに食べきるつもりで扱ってあげてください。
解凍は商品の表記どおり
解凍の方法と時間は、商品ごとに違います。
日本冷凍食品協会は、自然解凍などができる商品には、その旨の記載がある、としています。
届いたら、まず商品の説明書きを読んで、書かれている方法で解凍してください。
厚生労働省の家庭のページでは、冷凍食品などの解凍は、冷蔵庫の中や電子レンジで行うとよい、とされています。
福岡市も、冷凍した食品の解凍は室温でせず、必要な分だけを解凍するように、としています。
解凍したら早めに
商品に、解凍したあとの日持ちや食べきる目安が書かれているときは、それを守ってください。
厚生労働省は、調理したあとの食品も、室温に長く放置してはいけない、としています。
時間が経ちすぎたものは、同じページのとおり、思い切って捨ててください。
日本冷凍食品協会は、家庭の冷凍室で再凍結すると、品質が悪くなることがあるので、再凍結はしないでください、としています。
生の魚卵は使わない
おせちには、いくらのような生の魚卵が入っていることもあります。
生の魚や魚卵は、2歳以下のお子さん・高齢の方・妊娠中の方の分には使わず、
ほかの方も、商品に書かれた目安を守って、早めに食べきってください。
親が食べるおせちを選ぶときは、生の魚卵が入っていない商品にするのも、ひとつの方法です。
暖房の部屋に置かない
山口県のホームページでは、「おせち料理などは、暖房中の部屋に放置しないようにしましょう」と呼びかけています。
お重はテーブルに出しっぱなしにせず、食べる分を器に取り分けたら、残りはふたをして冷蔵庫に戻します。
厚生労働省のページには、「清潔な手で、清潔な器具を使い、清潔な食器に盛りつけましょう。」とあります。
お重から取るときは、取り箸を決めて、食べる人の箸を直接お重に入れないようにします。
香川県立白鳥病院の病院だよりでも、食べすぎに気をつける工夫として、はじめに一人分ずつ取り分けておく方法が紹介されています。
一人分の器に盛り直すと、どれをどれだけ食べたかがご家族にも見えるので、オススメです。
足したい手作りの一品

通販のおせちに、手作りの一品をひとつ足すと、親の食べやすさに合わせやすくなります。
このサイトのおせちの作り方の記事から、高齢の方に出しやすい形を4つ選びました。
作り方は、それぞれの記事にまとめています。
黒豆——裏ごしして黒豆あんに
黒豆の保存方法の記事では、噛む力が弱い方の日に、黒豆を裏ごしして煮汁で少しのばし、
なめらかな黒豆あんにしてお出しする形を紹介しています。
黒豆を家で煮るときは、黒豆の作り方の記事を見てください。
伊達巻——噛む力が弱い方に
伊達巻の作り方の記事のとおり、「ふわっとやわらかく、甘くて食べやすい伊達巻は、おせちの中でも噛む力が弱い方に出しやすい一品です。」
同じ記事では、厚めの2cm幅のまま、フォークで一口ずつ切り分ける出し方も紹介しています。
お雑煮——餅なしで具だくさん
お雑煮の作り方の記事では、高齢の方の椀は、やわらかく炊いた大根や人参、里芋などの具だくさんの雑煮にする形を紹介しています。
餅の代わりの一品は、お餅の記事にまとめています。
お雑煮の汁はさらさらでむせやすいので、飲み込む力に不安がある方には、とろみ剤でとろみをつけてください。
煮しめ——具を選んでやわらかく
煮しめの作り方の記事では、れんこんは5mmほどの薄切りにして、長めに煮る、と紹介しています。
同じ記事では、汁気が少ない料理なので、飲み込みに不安がある方には、
煮汁を取っておいてとろみをつけ、少しかけて出すとまとまりやすくなる、とも書いています。
飲み込む力に不安がある方の分は、とろみ剤でとろみを整えてください。
伊達巻の作り方の記事では、市販品でぱさつきを感じたら、だしを数滴たらしてしっとりさせる手を紹介しています。
延岡地区地域栄養士研究会の資料でも、「調理する時は水分を保ち、飲み込みやすく仕上げましょう」とされています。
介護食品の会社の解説ページのとおり、おせちは全体に水分量が少ない料理です。
器に盛ってから、だしをひとさじかけて、しっとりさせてあげるのがオススメです。
避けたいこと3つ

選び方と扱い方をお伝えしてきましたが、やってしまいがちなことも3つだけ書いておきます。
どれも、少し気をつけるだけで変えられることばかりです。
- 冷凍庫の空きを見ずに注文する
届く前に、親の家の冷凍庫と冷蔵庫に入るかを聞いておきます。 - 暖房の部屋に置いたままにする
食べる分を取り分けたら、残りはふたをしてすぐ冷蔵庫へ。 - ひとりで食べてもらう
食べ終わるまで、そばで見守ります。
3つに共通するのは、「通販だから、届けばおしまい」にしないことです。
届く前の準備と、届いてからの扱い、食べるときの見守りまでで、ひとつの贈りものになります。
おせちの栄養——塩分とアレルギー

栄養士として見ると、おせちは、塩分と糖分に気をつけたい料理です。
杏林大学医学部付属病院の栄養部の資料では、「黒豆・栗きんとん・だて巻きなどは糖分が多く、かまぼこ・数の子などは食塩が多く含まれがちです。」とされています。
厚生労働省の令和6年国民健康・栄養調査の食塩摂取量は、次のとおりです。
- 20歳以上の平均値
9.6g(男性10.5g・女性8.9g)。 - 70歳以上の平均値
男性10.6g・女性9.2g。 - 健康日本21(第三次)の目標値
7g。
同じ調査では、平均値の9.6gは、この12年間で最も低い値ですが、目標値の7gよりは依然高い状況にある、とされています。
健康日本21の7gは国民全体の平均の目標、食事摂取基準の目標量は一人ひとりの1日の量で、別の物差しです。
数の子とかまぼこは少しずつ
氷見糖尿病対策推進連絡会の資料では、数の子40g(1本)で塩分0.5g、かまぼこ30g(2切れ)で塩分0.8gとされています。
塩けの多いおせちは、少しずつ味わってもらうのがオススメです。
お餅の記事のとおり、「お雑煮の汁は、何杯も重なると塩分も重なります。」
同じ記事のとおり、椀には具を多めに、汁は少なめによそって、汁は残してもいいと伝えてあげてください。
昆布巻きの作り方の記事でも、お雑煮を薄味にする、野菜の小鉢を一つ足す、という工夫を紹介しています。
しょっぱいおせちの日は、お雑煮のほうで調整するのがオススメです。
塩分や糖分の指示を受けている方は、かかりつけの先生の指示を優先してください。
アレルギーは容器包装で
消費者庁の決まりで、表示が義務になっている特定原材料は、えび、
カシューナッツ、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生の9品目です。
表示がすすめられている準ずる品目は20品目で、いか、いくら、あわび、さけ、ごま、大豆、鶏肉なども入ります。
カシューナッツは2026年4月に特定原材料に加わりました。
表示の切りかえには2年の猶予があるので、カシューナッツがまだ表示されていない商品もあります。
おせちには、えびの焼き物、伊達巻の卵、しょうゆの小麦と大豆のように、表示の対象になる食材がいくつも入ります。
いかやいくらが入ったおせちもあります。
消費者庁のインターネット販売の食品表示のガイドブックでは、食品表示基準は容器包装への表示が対象で、
通販サイトに載っている情報には適用されない、と説明されています。
注文するときは販売サイトの情報で確かめ、届いたら、商品の容器包装の表示を必ず確かめてください。
食べるときの見守りと相談

やわらかいおせちを選んでも、「これで大丈夫」とは言い切れません。
食べる場面でそばにいることと、気になるサインがあれば早めに相談することの2つを、最後にお伝えします。
そばで見守る
東京消防庁は、お餅などがのどに詰まる事故への呼びかけの中で、
乳幼児や高齢の方と一緒に食事をするときは、食事の様子を見守るなど注意を払うように、としています。
消費者庁も、高齢の方がお餅を食べるときは、少なめの量を口に入れているか、
しっかり噛んで食べているかなど、食事の様子に注意を払い、見守るように、としています。
お餅の記事のとおり、口に食べものが入っているときは、話しかけたり笑わせたりしないでください。
離れて暮らしていて、お正月にそばにいられないときは、帰省できる日や、近くのご家族が一緒に食べられる日に合わせて届くように頼んでください。
もしものときは119番
お餅の記事のとおり、「声が出ない、息ができない様子があれば、すぐに119番に通報してください。」
東京消防庁も、いざという時に備えて、応急手当の方法をよく理解しておくように、と呼びかけています。
相談したいサイン
新宿区の「新宿ごっくんプロジェクト」のリーフレットには、7つのチェックの項目があり、ひとつでもあれば相談するように、とされています。
そのうち、食卓で気づきやすい4つを挙げます。
- お茶や汁物でむせる
「お茶や汁物等でむせることがある」。 - のどに残る感じがする
「のどに食べ物が残る感じがする」。 - 食べるのが遅くなった
「食べるのが遅くなった」。 - 硬いものが食べにくい
「半年前に比べて硬いものが食べにくい」。
同じリーフレットの相談の流れの図には、かかりつけ医師や歯科医師、言語聴覚士、栄養士などが並んでいます。
お餅の記事でもお伝えしているとおり、「飲み込む力のことは、かかりつけの先生のほか、歯科の先生や言語聴覚士にも相談できます。」
形ややわらかさは、学会分類2013を目安に、かかりつけの先生と相談して調整してくださいね。
私は現役介護士でもあります。
通販のおせちが届いたら、ふたを開けるところから、親といっしょに楽しんであげてください。
食べられる量が少なくても、お重の彩りを見て、料理ごとの願いを話すだけで、お正月の気分は伝わります。
そのうえで、口に入れるものは、一人分の器に、食べられる形にして取り分けます。
食べにくそうな品は、無理にすすめず、食べやすい一品にかえて大丈夫です。
かたいおせちの一品を、裏ごしの黒豆あんや伊達巻に置き換える日があっていい。
高齢の親のおせちでよくある質問
最後に、高齢の親に贈るおせちについて、よくいただく質問にお答えします。
やわらかおせちのこと、注文や解凍のこと、お餅のことなど、迷いやすいところを5つにまとめました。
Q1. やわらかおせちなら大丈夫?
やわらかおせちでも、食べる方の噛む力や飲み込む力に合っていなければ、食べにくいことがあります。
ユニバーサルデザインフードの区分などで親に合うかたさを選び、食べている間は、そばで見守ってください。
迷うときは、かかりつけの先生や言語聴覚士に確かめてから選ぶと、合う区分が分かりやすくなります。
Q2. 注文の前に確かめることは?
かたさ、味の濃さ、何人前か、冷凍か冷蔵か、冷凍庫や冷蔵庫に入るか、届く日の6つです。
通信販売には法律上のクーリング・オフ制度がないので、キャンセルや返品の条件も、注文の前に確かめておきます。
Q3. 解凍したら何日もつ?
解凍したあとの日持ちは、商品ごとに違うので、商品に書かれた目安を守ってください。
日本冷凍食品協会は、冷凍食品は解凍すると「生もの」になる、と説明しています。
暖房の部屋に置かず、冷蔵庫で保存して、早めに食べきってください。
時間が経ちすぎたものは、思い切って捨ててください。
Q4. 親がお餅を食べたがったら?
高齢の方には、お餅は出さないのが基本です。
それでもご本人が強く望まれるときは、ご家族だけで決めずに、かかりつけの先生や歯科の先生、
言語聴覚士などに、食べられるかどうかを相談してください。
Q5. 少ししか食べないときは?
一人分の器に、食べやすいものを少しずつ取り分けて、お重の彩りを見て楽しむだけでも、お正月の気分は届きます。
食べる量が減ってきたときは、スマイルケア食のページのとおり、
まずは医師や歯科医師、管理栄養士などの専門職に相談してください。
“おいしい”は、全部が重なること
高齢の親に贈るおせちを考えるとき、私は四つの軸で見ています。
選ぶときのかたさ、届いてからの扱い、出すときの形、そして食べるときの見守りです。
おせちは、華やかな重箱を選ぶだけで、親のお正月になるものではありません。
やわらかくても扱いがおろそかなら傷んでしまい、扱いが正しくても形が合わなければ食べてもらえない。
それぞれが、同じ食卓の上で別の役割を持っているから、親のお正月のおせちになるんです。
かたさと、扱いと、形と、見守り。
その全部が重なったとき、通販のおせちが、親のごちそうになります。
まとめ。。。

高齢の親に贈る通販のおせちを、最後にもう一度まとめますね。
- 噛む力に合うかたさで選ぶ
合わなければ、やわらかさの区分のある介護食も。 - 注文の前に6つを確かめる
かたさ・味・量・冷凍か冷蔵か・庫内の空き・届く日。 - お餅は出さないのが基本
お雑煮は餅なしで、具を多めに。 - 弾力・繊維・丸い豆は形を変える
外す・薄く切る・刻む・裏ごしする。 - 解凍は商品の表記どおり
暖房の部屋に置かず、冷蔵庫へ。 - 一人分の器で、少しずつ
塩分と糖分、アレルギーの表示も確かめる。 - 食べ終わるまで見守る
気になるサインは、先生や言語聴覚士に相談。
通販のおせちは、選んで届けたところで終わりではなく、親の食卓に並ぶまでが贈りものです。
今の親に合うかたさを選び、届く日を伝え、一人分の器で食べやすい形にしてあげてください。
お重のふたを開けたときの親の笑顔が、何よりのしるしです。
その一皿が、親のお正月をきっとあたたかくしてくれるはずだよ。
フッくんでした!
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